障害者問題研究 第46巻3号(通巻175号) |
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2018年11月25日発行 ISBN-984-4-88134-745-4 C3037 定価(2,500円+税) |
特集 障害のある人の表現活動と発達 特集にあたって/白石恵理子 発達保障と表現活動 /川地亜弥子 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 表現活動と発達保障において重要なことは,表現した(もしくは表現している)本人にとっての意味を,できた作品だけでなく表現活動のプロセスそのものに共感しながら理解することである.表現を通じてその人の発達を理解できたり,他の人へのよい影響が見られたり,表現が社会的に高い評価を得たりすることも重要であるが,それは副次的なものである.戦前の作文教育においては,子どもを自由にする表現指導とその研究が行われ,子どもの内面に注目することの重要性や,子どもに身近な言語で語ることの是非について議論が交わされた.現代における表現活動と発達保障を考える上で重要な知見を提示している. 人間の文化的主体性の形成における芸術・芸術教育の役割と意義 ――障害児者の芸術文化活動の意義に寄せて /山田康彦 三重大学教育学部 教育とは個人の成長・発達と社会の持続・更新をつなぐ営みである.本論は,その結節点となる文化的主体性の形成における芸術と芸術教育の役割,とりわけ芸術的表現の意義を明らかにした.文化的主体性の形成にとって,人々の「真性な」表現を保障していくことが特に必要である.それは障害の有無に関わりなく,一人ひとりの心身の状態や特性を生かして,感覚やリズムそして思いを率直に表現していくことである.この「真性な」表現によって,外在する文化の一方的な受容を防ぎ,人間としての自然性を保存しながら文化を獲得し歴史をつないでいく「理性の自然化」の営みが可能になる. 特別支援学校における音楽づくり ――重度知的障害のある児童生徒の音楽表現を通して /岡ひろみ 滋賀県立新旭養護学校 音楽づくりとは,自分で選んだ音を自由に組み合わせていく音楽表現活動であり,音楽の学習領域の1つである.本研究では,重度知的障害のある中学部の生徒が自由な音楽表現を楽しんでいた事例を通して,特別支援学校における音楽づくりの意義と可能性を考察した.机を使った音楽では,机を打つ位置や手の形を変えたり,音と音の間に大きな声(合いの手)を入れたりして演奏していた.打楽器奏者と一緒にトガトンを演奏したときには,音の強弱や速度を変化させて奏者と音のやりとりを楽しんでいた.音楽づくりはどんな発達段階の生徒であっても,生徒の実態に応じた活動内容と支援を行うことで,自由な音楽表現を楽しむことができる活動であると考える.本稿ではこうした音楽表現活動の特徴を整理し,音楽づくりを楽しめる要因を考える.その後,発達的な考察や指導上のポイントを整理していく. 実践報告 どの子にも心揺さぶられる曲と出会う音楽教育を ――音楽を通して新たな自分と出会い,人と繋がる授業の創造 /佐藤知子 神戸大学附属特別支援学校 書の可能性 ――障害の有無に関わらず書を楽しむ活動からの考察 /西里俊文 青森県八戸市・俊文書道会 仲間たちの表現活動を仕事にするみぬま福祉会の取り組み ――工房集からの発信 /宮本恵美 社会福祉法人みぬま福祉会 工房集(埼玉県川口市) あざみ寮の生活のなかでの表現活動 カラー写真 写真7 写真9 /石原繁野 元あざみ寮施設長(社会福祉法人 大木会・滋賀県湖南市) /張 貞京 京都文教短期大学 ◆連載/実践に学ぶ @通常学級における教育実践 安心の中で子どもを育てる――子どもの相互理解を深める学級通信 /福井将道 滋賀県・公立小学校 【福井実践に学ぶ】/金沢大学 河合隆平 A青年学級の実践 宮津障害者青年学級の47年の歩み 社会に出てからも仲間の保障を /井上悦子・久古直子 青年学級指導員 【井上・久古実践に学ぶ】/福祉型専攻科シャンティつくば 船橋秀彦 ◆連載/ワイドアングル LGBTの権利状況と多様性をめぐる法的課題 /M畑芳和 立正大学社会福祉学部准教授 ■障害者問題研究 バックナンバーへ ■障害者問題研究 46巻3号 広告チラシ(ご活用ください) |
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