障害者問題研究 第47巻2号(通巻178号) |
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2019年8月25日発行 ISBN-984-4-88134-805-5 C3037 定価(2,500円+税) |
特集 重症心身障害児者の総合的権利保障 特集にあたって/白石恵理子(滋賀大学) 重症障害児者と人間の尊厳/牧野広義(阪南大学名誉教授) 「人間の尊厳」は第二次世界大戦後,悲惨な戦争・大量虐殺・障害者抹殺の歴史などをふまえて提唱された.それは,人間性の破壊への抗議と抵抗の表明である.日本国憲法の「個人の尊重」は,一人一人の人間の尊厳を意味するが,その表現は「個人」が日本ではまったく粗末にされてきた歴史をふまえたものである.しかし「人間の尊厳」や「個人の尊重」の意味や根拠について,さまざまな議論がある.理性や道徳的な判断能力などが「人間の尊厳」の根拠とされると,重症障害児者にはそれが認められないという議論にもなる.この点で,糸賀一雄が重症障害児の療育の実践をとおして主張した,「個性的な自己実現」の思想は「人間の尊厳」や「個人の尊重」にとって画期的な意味をもつものである. 超重症児の内面世界と教育的対応の課題/細渕富夫(埼玉大学教育学部) 近年,周産期医療技術の進歩により酸素吸入,経管栄養,喀痰吸引,導尿といった濃厚な医療的ケアを必要とする超重症児が急増しており,彼らの多くはNICU退院後に在宅生活へと移行し,特別支援学校へ入学している.本稿では,このような高度で濃厚な医療的ケアが必要な超重症児の増加の背景と実態を論じたうえで,超重症児の内面世界について論じた.その際,超重症児の典型的状態像として,@覚醒状態の維持が困難な超重症児,A重い機能障害がありながら高い認識レベルにある超重児を取り上げて教育的対応の課題について論じた. 重症心身障害児(者)の地域生活支援から見た権利保障の課題 /田村和宏(立命館大学産業社会学部) 本稿では,重症心身障害児者とりわけ医療的ケアが必要な子どもたちを念頭に,彼彼女たちにとって必要な生活の構造を提示した.生活の場が変わるとき,ライフステージが移行するときには困難が生じており,現行制度の下では,この移行期に同一性の保持の権利が狭められる危機が潜んでいる.ニーズや健康,生理的基盤の状況に合わせた計画調整,児者一貫する支援制度,モニタリングにおいて発達保障の砦となるようなチーム実践が今日問われている. 実践報告 あそびを届ける訪問療育――保護者と共にその子らしさを育む /藏貫裕子・林美和(滋賀県・大津市やまびこ総合支援センター やまびこ園・教室) 実践報告 重心病棟における過年度卒業生の訪問教育から教育権と発達を考える /西園健三(鹿児島県立加治木養護学校) 実践報告 重い障害の仲間もつながる中でたくましく――チューリップハウスの取り組み /梅田三木子(京都府・社会福祉法人あみの福祉会 生活介護事業所 チューリップハウス) 実践報告 重症心身障害をもつ20歳の息子の育ちと支援の課題 /高橋真保子(社会福祉法人コスモス 発達相談員・大阪成蹊短期大学非常勤講師) ◆連載/実践に学ぶ @特別支援学校小学部の実践 仲間の中で仲間と共に育つ /埼玉県・特別支援学校 弘津弘美 【弘津実践に学ぶ】心の扉を開いてともに創る文化 /龍谷大学 白石正久 A青年期の余暇活動の実践 障害のある青年たちの豊かな時間(とき)を考える 余暇・生活・学びの視点より /東京都清瀬市・清瀬わかば会 竹野晃・飯島未来・上野茉紀・永田三枝子 【清瀬わかば会の実践に学ぶ】人間として生きることを学ぶ /日本福祉大学 木全和巳 ◆連載/ワイドアングル すべてのひとに教育を! 学びからの排除問題と夜間中学をめぐる近年の動向 /添田祥史(福岡大学人文学部) 動向 「特別支援教育の生涯学習化」による障害者の生涯学習推進 /鳥取短期大学幼児教育保育学科 國本真吾 ◆本誌47巻2号 紹介チラシ(PDF) ■障害者問題研究 バックナンバーへ |
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