障害者問題研究 第49巻3号(通巻187号) |
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2021年11月25日発行 ISBN-984-4-88134-985-4 C3037 定価2750円(2500円+税) |
特集 教育実践における教材 特集にあたって/越野和之 現代の学校教育をめぐる政策・提言と教材論 川地亜弥子 神戸大学 学習指導要領,GIGAスクール構想等の現代の教育政策・提言について概観し,その問題点を指摘した.その克服のためには教師自身による授業づくり,特に教材論が重要である.障害児教育における教材論について,現代の授業論の成果をふまえ,教材・学習課題論として拡張し,教材を通じて学問を含めた文化内容を深める側面と,それを契機に自らが主人公として活動を生み出し味わう側面の両方が重要であることを指摘した. 障害のある子どもの学校教育と教材・教具 越野和之 奈良教育大学 「権利としての障害児教育」の確立過程における教材・教具観を,田村勝治の例に即して跡づけ,そこに文化=教材という教材観があることを示した.こうした教材観と通常の教育学における教育目標(内容)と教材概念の区別という枠組を対比した上で,障害児教育の実践の蓄積を踏まえた教材・教具観の更新の必要性を述べた.加えて,障害児教育実践における教材研究の意義ならびに生活年齢を踏まえた教材の創造という課題を指摘し,そのアウトラインを摘記した. 障害のある子どもと即興的表現活動 ――教育的ユーモアとしての「よじれたノリ」 赤木和重 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 本稿の第一の目的は,障害のある青年を対象とした即興的表現活動の教育的意義について,砂川一茂氏の開発した体験新喜劇をもとに整理することである.第二の目的は,体験新喜劇の背景にある思想が,日常的な保育・教育実践とどのようなかたちで接続されるのかについて検討することである.即興的表現活動の意義を整理した結果,現在の特別支援教育における「能力変調主義」への批判的実践になりうることを指摘した.また,体験新喜劇と日々の保育・教育実践と接続を検討した結果,間違いを共有するという「ノリはやさしさ」という思想が共通していた.加えて,保育者・教師の教育的意図も伝えたいというねがいも併存する結果,保育者・教師のかかわりが「よじれたノリ」として,教育的ユーモアが表現されうる可能性を明らかにした. 七生養護学校「こころとからだの学習」における「教材・教具」 渡邊好造 元 七生養護学校教員 様々な虐待経験をもつ生徒たちに対する七生養護学校の性教育実践(1995〜2003)は愛着形成に困難をもつ子どもたちにアイデンティティの確立と自己肯定感を育てることをねらいに行われていた.そこでは様々な「教材・教具」が活用されていた.それら「教材・教具」の活用例や生徒の反応,教員のねらいなどを検証するなかで,性教育の「教材・教具」の要件を確認し,そのユニークさや妥当性を示した. 実践報告 雨の季節・文化を子どもたちに伝える 若山健太 埼玉県・特別支援学校教員 実践報告 絵本を楽しみ,なかまと学ぶ「ことば」の授業づくり 猪澤由起子 奈良教育大学附属小学校 特別支援学級 実践報告 院内学級における子どもの興味を引きつける教材の工夫 橘岡正樹 大阪府立刀根山支援学校 佐藤 薫 大阪府立光陽支援学校 連載/実践に学ぶ 【小学校通常学級の実践】 誰もが居心地のよいクラスを 大阪府・小学校教員 中村 緑 【中村実践に学ぶ】 子どもたちへの愛あふれる中村実践 全障研大阪支部・元教員 大島悦子 連載/実践に学ぶ 【暮らしの場づくりの実践】 自分らしい暮らしを築いていくために 川端幸代 福井県・ハスの実の家 グループホーム管理責任者 【川端実践に学ぶ】 暮らしの願いを考える 日本障害者センター理事長 峰島 厚 連載/ワイドアングル 第15回 子ども・障害者・高齢者の人権と気候変動――国連人権高等弁務官事務所の報告書から 丸山啓史 京都教育大学 動向 スウェーデンにおける知的障害児教育の教材の動向 サリネンれい子 スウェーデンストックホルム市公立基礎特別支援学校教員 ウプサラ大学教育科学部特別支援教育専攻修士課程在籍 書評 岸博実著『視覚障害教育の源流をたどる』『盲教育史の手ざわり』 評者 星 祐子 筑波大学附属視覚特別支援学校 ◆本誌読む会のお知らせ(準備中) ■本誌紹介チラシ(PDF)をご活用ください ■障害者問題研究 バックナンバーへ ■ご注文は、つぎの 「オンラインBOOK全障研」からクリックしてください。 送料含む代金は郵便振替等にて10日間以内にご送金ください。 |