「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
肥満
●知的障害者に多い肥満 肥満とは、体重および体脂肪が標準以上に増加した状態を言います。体脂肪率の正常上限の目安が、男性20%、女性30%であり、これ以上になると肥満であると判定されます。現在の日本人における肥満の頻度は、成人男性で8〜10%、成人女性で5〜7%です。小児ではもう少し低値になります。 知的障害児の場合はどうでしょうか。養護学校などで調査した結果では、小学校で10%前後、中学・高校生になると15%前後の生徒が肥満という研究もあります。知的障害者になると肥満の頻度はさらに高くなります。 とくに危険な時期は養護学校高等部の頃です。身体的成長がほぼ完了し、必要カロリーが減少するこの時期に同じ調子で食べていると、カロリーオーバーになります。また、高等部を卒業してからも学校のときと比べて運動量が少なくなりやすいので同様に注意が必要です。 ●作業所でも体重のチェックを 肥満は「万病のもと」。呼吸や心臓の負担が増加し、高脂血症、高血圧、糖尿病、肝障害などの病気につながります。障害のある人が肥満状態になった場合、その治療はなかなか困難です。しっかり予防することが第一です。 肥満の有効な対策は、適度な運動をすること、過食しないこと、定期的に体重をチェックすることです。 学校では定期的に身長・体重など計りますが、作業所やグループホームなどでも定期的なチェックが必要でしょう。 食べ物にも気をつけましょう。肥満の人は過食傾向にあります。量はそれほど食べない場合でも、糖分の摂取が多く、脂肪に変わりやすいでんぷん質などをとりすぎている傾向があります。 ●肥満につながる生活の見直しを 一歩外に出れば清涼飲料の自動販売機が立ち並び、コンビニエンスストアではインスタント食品や菓子類が気軽に手に入ります。24時間、いつでも食べたい物が手に入る食環境は、肥満を生みだす一因となっています。 子どもの生活に目を向けても、放課後安心して外で遊べる環境は乏しく、家の中でテレビゲームなどをしてすごす時間が増えているのではないでしょうか。障害のある子どもの場合、さらにその傾向が強くなります。 このような生活の見直しも肥満を防ぐためには欠かせません。 |