子どもが見えてくる 実践の記録 竹沢 清(愛知・千種ろう学校)著 定価1575円(本体1500円+税) ISBN4-88134-244-4 C3037 |
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目 次 序 子どもの事実に励まされて、親になったり、教師になったりする ―子育て・保育・教育の要は、人間についての洞察 「ノー学校」に赴任/「出たとこ勝負」の陽一が、「見えてくる」とき/子どもにかかわる、すべての人に読んでほしい 第一章 綴ることで見えてくる子どもの内面世界 1 (どう表現しようか)、と思い悩むなかで子ども認識が深まっていく 長々しい年賀状/書くことで実践の主体者に/「教師の生活綴方」/事実で書く /この喜びを伝えたい 2 「私は―」という主語を入れて、文章を書いていく 「子どもが見えてくる」実践記録を/変化を生み出したもの/「わかりやすい記録」三つの視点 3 心が動いたとき、その事実を“すくいあげるようにして”書き留めておく 「子どもが見える」とは/「子ども発見」の事実を/実感から出発する/熱い思いが伝わってくる 4 書くことを急がず、「事実をつなぐこと」に力を注ぐ 大きな人間的価値/「事実をつなぐ」ことで見えてくるもの/大晦日の家庭訪問 /共感的な人間関係の中で記録づくりを 5 「映画の一場面のように」描いてみる 情景が浮かぶ/「読み手」を意識する/関心をもち続けること 6 書いてこそ在(あ)る エピソードを書きためる/書いてこそ在る/ことばってこんなに便利 /何気ない行動の中に、その子の輝きがある 〈手記〉 実践記録は「書き直す」もの ―竹沢先生の添削を受けて 村岡真治(東京・ゆうやけ子どもクラブ) 反省すべき「第二原稿」/「第四原稿」で「着地成功!」 第二章 私の実践記録とその書き方 〈私の実践記録〉天敵”がかけがえのない友に変わるとき 頭を床に打ちつける/問題行動に目を奪われることなく/こだわりの世界から“卒業するように” /集団と文化の出会いの入り口でつまづく/絵に人間がでてこない/出方を変える /変化のきざし/発達とは自由を獲得すること/ぶつかりあって、他者と自分を知る /近所のハトを手乗りに/人を恋うる俊作 〈実践記録、私の書き方〉 実践記録を問うことは、実践を問うこと/大切にした二つの実践原則 /「事実をつなぐ」と見えてくる意義/仲間の中で「メモから構想化へ」/イメージを伝える 第三章 実践記録Q&A 〈テーマ1〉私の実践記録史 発表できなかった実践記録/仲間から学ぶ場・サークル 〈テーマ2〉今から取りかかれることとして まず、連絡帳から/官制の報告にも一工夫を 〈テーマ3〉事実を切り取る力 勘もコツも磨かれていく/二つの本の読み方 〈テーマ4〉集団でのまとめ 「冷蔵庫」の取り組み/親の思いをくみとる 〈テーマ5〉実践記録の読み方 客観的な読み方・主観的な読み方/実践報告は問題提起/仲間の力をかりて読み解く 〈おわりに〉管理主義の嵐の中で、私を支えてくれたもの 〈解説にかえて〉 竹沢さんは、教育をとおして人間ドラマを書き、それを見事に演出していく人 中野 光(日本子どもを守る会会長・日本生活教育連盟(日生連)委員長) 「教育実践」ということばの重さ/竹沢さんとの共同研究の場/教育の勝利 |
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図書紹介 『子どもが見えてくる実践の記録』 菅原恭正(スガワラ ヤスマサ) 愛知県稲沢市の竹沢清さんの新しい著書だ。子どもが見えてくる「実践記録の書き方」が表のテーマだが、そのために「子どもをどうとらえるか」が裏のテーマになっている。 竹沢さんは、大学を卒業するとすぐ、「ろう学校」の教師になる。希望したのではなかったが、それ以来、「障害児教育」一筋に36年間を過ごしてこられ、あと2年で定年を迎える。 これまでにも、『子どもの真実に出会うとき』『教育実践は子ども発見』(全障研出版部)という感動的な実践の記録を出版されている。竹沢さんはこの著書の序文で、「子育て・保育・教育の要は、人間についての洞察だ」と断言される。そして、「子どもにかかわるすべての人に読んでほしい」と思ってこの本を書いたと述べておられる。私も同感だ。障害児教育に関係した人だけでなく、実践記録を書く全ての教師・保育士に読んでほしい本だ。私がこれを現職の頃に読んでいたら、子どもの見える、もっとましな実践記録を残すことができたのではないかと悔しく思ったほどだ。 実践記録を書くのは、「自分のため」であり「私たちのため」だと竹沢さんは言う。そして「実践記録は教師の生活綴方」であると説く。そのためには「事実で書く」ことが基本であり、「子どもがこんなに変わったという喜びを伝える」ために書くべきだという。「わかりやすい記録」の三つの視点、「事実をつなぐ方法」、読み手を意識して「情景が浮かぶように書くこと」について述べ、実践記録は「書き直すもの」であるとして、その添削の方法も具体例で説明されている。大切な実践の原則は、@問題行動を発達要求ととらえる、Aその子の中心的な課題に手厚く働きかけることだと説き、「小さな変化」にあくまでもこだわっている。まず「連絡帳から始めよ」というのも共感できる。 Q&Aのページもあり、現職にとって格好の手引書になっている。「実践報告は問題提起」だとして仲間の力をかりる大切さにも力を入れておられる。サークルの存在意義もそこにある。 最後に、「管理主義の嵐の中で、私を支えてくれた」のは、「学習」「仲間」「子ども」と「実践記録」だったと述べておられるが、私もそうだと思う。現職会員の皆さんに心からお勧めしたい一冊だ。 |
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