教育と保育のための発達診断<絶版> 白石正久 (龍谷大学教授) 白石恵理子 (滋賀大学教授)編 定価 本体2800円+税 ISBN978-4-88134-774-4 C3036 2009.8.10 21刷 |
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<目次> はじめに 序 章 子ども・障害のある人たちの権利と発達保障 国際的合意としての「発達への権利」の実現と発達診断 玉村公二彦(奈良教育大学) 「子どもの世紀」における精神発達の発見と歪曲/発達の権利と発達保障の提起/ 子ども・障害のある人の権利の総合保障へ向けて /子どもと障害のある人の権利保障のための発達診断を 第T部 発達の段階と発達診断 第1章 生後6、7か月までの乳児期前半 河原紀子(共立女子大学) 乳児期前半の発達的特徴/発達検査と診断/乳児期前半における保育・教育について考える 第2章 1歳半頃までの乳児期後半 松田千都(聖母女学院短期大学) 乳児期後半の発達的特徴/10か月児の発達診断/保育の中で大切にしたいこと 第3章 1歳半の発達の質的転換期 西川由紀子(京都華頂大学) 生活場面における1歳半の質的転換期/発達診断の方法/1歳半の質的転換期と教育指導 第4章 自閉症の発達的理解と発達診断 発達的に1歳半頃に焦点をあてて 赤木和重(神戸大学) 自閉症とは/自閉症を発達的に理解する三つの視点 /発達段階に応じた自閉症の発達的理解と指導 /発達的に1歳半頃にある自閉症者の発達診断と実践 第5章 2〜3歳の発達の姿 寺川志奈子(鳥取大学) 2〜3歳頃の発達の特徴/発達診断の方法/2〜3歳頃の教育指導の方法 第6章 4歳の発達の姿 藤野友紀(札幌学院大学) 4歳の発達的特徴/発達診断の方法/4歳の保育・教育指導を考える 第7章 5〜6歳の発達の姿 服部敬子(京都府立大学) 5〜6歳児の発達的特徴/発達検査と診断/5〜6歳頃の教育指導を考える 第8章 7〜9、10歳の発達の質的転換期 楠 凡之(北九州市立大学) 7歳児の発達的特徴/9、10歳頃の子どもたちの発達的特徴 /発達診断の方法/教育指導上の留意点 第U部 発達診断を実践につなぐ 第1章 発達と生活年齢 白石恵理子(滋賀大学) 生活年齢とは/発達年齢や発達段階をとらえることの意味/「マイナス」の生活年齢効果に関わって/ 具体的事例から考える/生活の歴史を尊重する/ねがいや要求の内実は生活の質によって規定される/ ライフステージについて/「問題行動」の発達的理解 /集団の中で自分の価値を築く/職員集団として、語り合う 第2章 乳幼児期における発達相談の役割 小原佳代(大津市総合保健センター) 西原睦子(大津市子育て総合支援センター) 高橋真保子(堺市立第1・第2つぼみ園) 乳幼児健診と発達相談/子育て支援と発達相談/通園施設における発達相談 第3章 教育指導と発達的共感 川地亜弥子(神戸大学) 子どもを見守る、子どもが寄り添う/子どもの喜びと悲しみに共感する/ 友だちの悲しさ、寂しさを知る/友だちの大切さ /心と体をぶつけ合う/連帯し、共感を育てる大人たち 第4章 発達障害と発達診断 白石正久(龍谷大学) 発達と障害をどう理解するか/発達障害をとらえる/「みかけの重度」とは何か おわりに 269 ◆発達とは何か、発達診断とはどうあるべきかを学ぶ 白石正久・白石恵理子 「みんなのねがい」9月号 私たちが、当時全障研の全国委員長であった田中昌人先生のもとで学び始めてから、30年が経ちました。幼子のかすかな指の動きや、障害のある子どもたちの瞳の動きに発達の煌めきがあること、その発達は奇跡でも何でもなく、大いなる自然の運動と人間の歴史につながる法則性の中にあること、それは教育という豊かな源泉にふれることでひきだされることを、感動をもって学びました。 本書は、その教えのもとにあった同窓の仲間による、私たちの念願の書です。発達とは何か、発達診断とはどうあるべきかを学ぶテキストとしてつくりました。 序章では、子どもや障害のある人たちの発達への権利が認められるようになった歴史をたどりつつ、発達への権利と幸福の実現のために発達診断がどのような役割を果たすことができるのかを述べます。 第T部1章から9章は、乳児から学童期までの発達の過程にそって、各時期の発達の特徴を子どもの生活や教育・保育の中での姿とむすびつけて論じ、その姿が発達診断という場面でどのようにみられるのかを解説しています。さらに、それぞれの時期の教育・保育の課題についても述べています。 第U部1章では、生活年齢と発達とのかかわりについて、2章は、乳幼児健診、親子教室、療育・保育の場における発達診断・発達相談の役割について、3章は、学齢期における文章表現から子どもの内面と生活を共感的に理解していく視点について、4章では、障害のある子どもたちを発達的に理解することの意味とその発達診断の視点について、それぞれ論じています。 編者として本書を読みながら、それぞれの文章に滲む子どもへの優しいまなざしを感じ取りました。その対象への愛情こそ、私たちが田中氏に厳しく問われ続けたことです。 教育や保育の職場、そして地域で、本書が学習会のテキストとして長く手に取られるであろうことを確信しています。 |
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