映画で学ぶ特別支援教育

  二通諭
(札幌学院大学准教授、全障研北海道支部運営委員長、札幌映画サークル会員)
 
  定価 本体1700円+税  ISBN978-4-88134-994-6 C3037  2011.8.25
  
表紙
<目 次>

 序章 めざすは、人情特別支援教育!

  1章 慰めの芸術としての映画
  2章 往年の名作が描いた発達障害
  3章 ADHDを描く映画
  4章 アスペルガー症候群を描く映画
  5章 自閉症を描く映画
  6章 適切な理解と必要な支援が求められる自閉症
  7章 人格障害という問題
  8章 映画が描くセクシュアリティの問題
  9章 児童虐待の実相と実践課題
 10章 カルト教団の子どもたち
 11章 不登校・ひきこもりの子ども・青年
 12章 高次脳機能障害という困難
 13章 憑依という困難
 14章 共感覚を描く

補章1 映画の中の障害者像―その変遷から見えるもの
補償2 『芋虫』から「キャタピラー」へ


高橋政雄(筑波大学人間系)さん 「総合リハビリテ-ション」2011.12月号(PDF)

 時代のニーズに即した内容
 時代的な背景や社会的な文脈のなかで各々の映画が有する意味ついても考えていることがわかる
 本書を読んでいると、特別支援教育の対象とされている子どもたちが、
 いとおしく、たくましい存在に思えてくる

温かいハートの映画論と特別支援教育  篠原昌彦(苫小牧駒澤大学教授)

 感動的な本である。映画という固有の映像芸術表現を通して、障害者の視点に立って分析している本書は、特別支援教育のあるべき姿を明示し希望を与えてくれる。
 当事者主権が力説されて久しい。本書に描かれているように、さまざまな障害と障害児者をめぐる多様な困難さを、映像芸術としての映画を数多く取り上げ、わかりやすく当事者の側から論じている本書は、きわめて貴重なものである。
 アスペルガー症候群、自閉症、人格障害、性同一性障害、高次脳障害など、実に丹念に障害の多様性と個別性に目を配りながら、問題点と未来への方向性をえぐり出している。
 筆者の映画鑑賞眼と文章表現力に敬意を表したい。
 また、この本の眼目は、時代認識の鋭さである。映画「若者たち」を通して、差別表現を考察した視点には、現代日本への批判が込められている。
 本書の中の障害者像で特に感動したのは、小説『芋虫』から映画「キャタピラー」へと題する章である。筆者による両作品の障害に対する表現の受容の奥深さ、および反戦意識の堅固さがうかがえる。と同時に、若松孝二監督への先入観のない正当な評価は柔軟な思考とはば広い思想的考察力に裏打ちされて的確である。
 特別支援教育へのありようを、映像の表現力によって語りかけている本書の魅力は、さらに精神障害者が映画でどのように描かれてきたかを述べている部分で明瞭にされている。
 映画の中の障害者像として「レインマン」「レナードの朝」などを通し優れた視点で述べつつ、「サイコパスムービー」など「精神障害者には逆風は吹いていた」という視点は共感に値する。筆者の温かいハートが躍如として光っている。(私事で恐縮だが、私自身双極性障害Ⅱ型で苦しんでいるので嬉しかった)。
 筆者が20年以上にわたり北海道新聞、「みんなのねがい」「総合リハビリテーション」などに連載した文章が、本書にまとめられた意義はきわめて高い。そして、全障研出版部から刊行されたことにより、今後の障害者運動に大きな力となっていくことであろう。
(「みんなのねがい」2011年11月号)

北海道新聞 2011.8.25  障害や社会環境を分析/どう対処すべきか考察

平和を育む(北海道教育子育て9条の会)
二通諭さんは、ゆるやかに歩く人、という感じ。ムーミンのキャラクターでいうなら、にょろにょろ(失礼っっ)。
感性が少年なので、読者は共感しやすく、無理せず飲み干しやすい本になっていると思います。同じ映画を観た人がそれぞれもつ感想も否定せず、また、影響をあたえすぎずに共存して、そこに「ある」ので、争わない空気を持っていると思うの・・・。
映画の長期連載を何本か持っていて、豊富な知識と分析。すっばらしいのです。
著作より、本人に逢ってみたらいいかも。会話がシナリオ通りに行かないので、おもしろいのですよ。8月に対談あります。
 二通・間宮対談-全障研札幌 8月例会 8月27日(土)14:15~14:00  場所 ウッドストック・ウエスト

スクールソーシャルワーカーのぼちぼちいこか
空いた時間でさくりと読みました。
福祉系の映画は結構見ているつもりでしたが世の中にはまだまだ福祉に関する映画がたくさんあるのだなとしみじみ感じました。
ちょうど後期の講義の準備もあったのでこの本はかなり心強いです。
あまり物語の内容にふれずにでも押さえる視点はふれているのがいい感じでした。


現役高校生のナツキさん
高校三年生の私は、これまで学校という場所に十二年間通ったことになる。
母校、と聞いて思い浮かべる校舎は3つもあり、これまでの担任の先生を挙げていくと8人になる。お互いの身長をミリ単位まで知っていたような友だちから、顔も知らず廊下ですれ違うだけの子まで、一体いままで何人の子と同じ時間・場所を共有してきたのだろう。
学校は嫌いではないけれど、いつも少しはらはらする。雰囲気を察知するのが苦手なあの子や思い込みで前のめりになりがちなあの子は大丈夫だろうかとこっそりクラスを見渡してしまうし、 提出物の期限がおかしいほど守れない自分自身にもうんざりする。
これまで私にとって学校とは誰もが得意や不得意と付き合いながら生活している場所だった。今回『映画で学ぶ特別支援教育』を読み、普段の学生という立場での日常とは違う世の中の様々な「場」を窺い知ることができた。
また、感覚的にぼんやりと分かっているつもりだった自閉症やADHDなどの発達障害とはどのようなものなのか初めて言葉で知ることができ、嬉しかった。
私でも名前を知っている有名なものから、思わず作品名をメモしてしまったものまで、この本には本当に数多くの映画が登場する。実際にこれから映画を見て、またこの本を読むと、もっと多くの発見があるのだろうと思う。
そうやって繰り返していくなかで「イン・ハー・シューズ」のマギーが自己肯定感を持つことができたように、私も周りの様々な人とよい関係を築いたり自分自身を知ることにつなげていきたい。
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