LD・ADHD・高機能自閉症児の発達保障 

 別府 悦子 (中部学院大学助教授)
 

  定価 本体1600円+税  2003年6月20日 発行  ISBN4-88134-101-4
 
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目   次

はじめに
第1章 子ども理解が教師を変える
第2章 LDの子どもたち
 (1)子どもにとっての「わかりやすさ」を考える
 (2)認知過程のアンバランス
第3章 高機能自閉症やアスペルガー症候群の子どもたち
 (1)多動傾向について考える
 (2)場にそぐわない行動を考える
第4章 ADHDの子どもたち
 (1)衝動的な行動を考える
 (2)学校ぐるみの相談体制
第5章 子どもたちへの対応
 (1)魅力ある活動
 (2)障害の理解と子どもの良さ
 (3)学校のパワーを引き出す援助
第6章 子ども・家庭・学校をつなぐ

対談 LD・ADHDなどの子どもたちの発達保障
    白石正久(大阪電気通信大学・全障研副委員長)
    別府悦子(中部学院大学)
資料 LD・ADHD・高機能自閉症の基礎知識
    奥住秀之(東京学芸大学)

おわりに

みんなのねがい8月号から
大切なのは子どもへの信頼感と発達的見通し
                          鎌ヶ谷市役所・発達相談員  小渕隆司

 著者の人柄が滲み出てくる装丁の本書は、昨年の本誌連載に、四月号特集企画「LD・ADHDってなに?」に掲載された白石正久氏との対談と基礎知識(奥住秀之氏執筆)を、加筆・修正してまとめたものです。
 登場する子どもは10人。担任の教師や養護教諭など、子どもに関わる人たちも多く登場しています。それらの「役者」たちが、軽度発達障害児の発達保障を現実の生活に即して自らの声で語っているように思えます。
 子どもたちの「心の声」に真摯に耳を傾け、「どんな問題行動」を起こしても「(あなたを)見捨てない」という揺るぎない子どもへの信頼。これらは心情論では到底語ることはできないものです。著者が学校巡回相談を通して語る「子どもを真ん中にして親と先生がつながり、連帯することの大切さ」は、まさに全障研が一環して進めてきた姿勢でもあります。
 軽度発達障害をもつ子どもたちが呈する「問題行動や逸脱行動」に振りまわされると「問題行動の消去」に目が奪われがちですが、対処療法では子どもも教師も「悪循環」になることに、著者は警鐘を鳴らしています。
 教師が教師としての主体性をもち、「特別さ」に目を奪われず、魅力ある授業づくりをすることは「言うは易し、行うは難し」です。しかし「子どもへの揺るぎなき信頼感と科学的に裏打ちされた発達的見通し」をもって、学校ぐるみで体制をとり、教師も自己実現するならば、必ず子どもたちは応えてくれることは、本書を一読すれば確信できるでしょう。
 本書には「子どもの理解は単に障害の特性を知ることではない」「障害を知ることは子どもが示す行動の意味や子どもの願いを知ることでなければならない」「どのような保育・教育的な支援が必要かを考えることにつながらなければ。障害を知ることにならない」など発達的な視点が貫かれています。また基礎知識では、障害の基本的な理解や子どもへの指導方法のポイントが学べます。
 通常学級の教師はもとより、多くの親ごさんたちに読んでいただき、子ども・家庭・学校のつながりのきっかけとしたい一冊です。

「女性のひろば」2003年11月号 より

 授業中に立ち歩く、友達を突き飛ばす、文字が覚えられない…。認知力や想像力など部分的な発達がスムーズに進まないため、ほかの子と同じように行動できず、あせり傷つく子どもたち。
 親は「育て方が悪い」と責められ、教師は指導を拒否されたと自信喪失し、悪循環が新たなトラブルを生みます。著者は、「問題行動は発達要求のあらわれ」という視点で、わかりたい、できるようになりたいという子どもの心に寄り添えば、子どもは安心して成長できると、事例を挙げて示します。
 本書は、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症について書いたものですが、子育て全般に役立つ子ども観を教えてくれます。

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