4.2 参議院憲法調査会会議録情報


第154回国会 参議院憲法調査会公聴会 第2号

詳細は以下へ
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/kenpou/topics3.htm

平成十四年五月十五日(水曜日)
   午前九時開会
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   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     又市 征治君     大脇 雅子君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         上杉 光弘君
    幹 事
                市川 一朗君
                加藤 紀文君
                谷川 秀善君
                野沢 太三君
                江田 五月君
                高橋 千秋君
                魚住裕一郎君
                小泉 親司君
                平野 貞夫君
    委 員
                愛知 治郎君
                荒井 正吾君
                景山俊太郎君
                木村  仁君
                近藤  剛君
                斉藤 滋宣君
                桜井  新君
                陣内 孝雄君
                世耕 弘成君
                中島 啓雄君
                中曽根弘文君
                福島啓史郎君
                舛添 要一君
                松田 岩夫君
                松山 政司君
                大塚 耕平君
                川橋 幸子君
                北澤 俊美君
                小林  元君
                角田 義一君
                直嶋 正行君
                堀  利和君
                松井 孝治君
                柳田  稔君
                高野 博師君
                山口那津男君
                山下 栄一君
                宮本 岳志君
                吉岡 吉典君
                吉川 春子君
                田名部匡省君
                松岡滿壽男君
                大脇 雅子君
   事務局側
       憲法調査会事務
       局長       桐山 正敏君
   公述人
       弁護士      杉井 靜子君
       全国生活と健康
       を守る会連合会
       事務局長     辻  清二君
       歯科医師     柳  時悦君
       都留文科大学教
       授        横田  力君
       桃山学院大学大
       学院教授     徐  龍達君
       主婦       福島依りん君
       早稲田大学大学
       院生       柳原 良江君
       神奈川肢体障害
       者団体連絡協議
       会会長      前田  豊君
        (前田公述人陳
         述補佐人   薗部 英夫君)
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
 (基本的人権
 ―私たちにとっての人権)
    ─────────────
○会長(上杉光弘君) ただいまから憲法調査会公聴会を開会いたします。
 日本国憲法に関する調査を議題といたします。
 本日は、「基本的人権」のうち、「私たちにとっての人権」につきまして、お手元の名簿の八名の公述人の方々から御意見を伺います。
 午前は、弁護士杉井靜子君、全国生活と健康を守る会連合会事務局長辻清二君、歯科医師柳時悦君及び都留文科大学教授横田力君、以上四名の公述人の方々に御出席いただいております。
(略)


    ─────・─────

   午後二時一分開会
○会長(上杉光弘君) ただいまから憲法調査会公聴会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本国憲法に関する調査を議題といたします。
 本日、午後は、桃山学院大学大学院教授徐龍達君、主婦福島依りん君、早稲田大学大学院生柳原良江君及び神奈川肢体障害者団体連絡協議会会長前田豊君、以上四名の公述人の方々に御出席いただいております。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本調査会は、本年四月から「基本的人権」について調査を開始したところでございます。
 本日は、「国民とともに議論する」という本調査会の基本方針を踏まえ、現在我が国が置かれている国際化、情報化、高齢化の進展など、大きな変化の流れの中で、憲法と人権の在り方についてどのように考えるべきなのか、人権の保障を一層確かなものにするため何が必要なのか、公述人の方々から幅広く忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず公述人の方々からお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきます。
 なお、公述人、委員とも御発言は着席のままで結構でございます。

(略)

○会長(上杉光弘君) ありがとうございました。
 次に、前田公述人にお願いいたします。前田公述人。
前田さんの公述
 公述する前田さん(右から2番目)

○公述人(前田豊君) 前田と申します。
 生まれつき脳性麻痺のために、このように言葉が不自由で多分聞き取れないと思いますので、手元にございます用紙を見ながらお聞きになってくだされますよう、よろしくお願いいたします。
 障害者ですので、障害者の立場で、憲法にうたっている人権、特に障害者にかかわる人権について述べさせていただきます。
 憲法は、第一条には国民は主権者であると言い、更に第三章には、二十五条には、日本国民としての生存権と、それにまた国家の生存権保障義務を高く掲げています。
 このように、日本国憲法には明確に国民としての生存権をうたっているのにかかわらず、日本政府は余りにも私たち国民のことを考えない政策を取り過ぎているようでなりませんし、特に私たち障害者の場合は、余りにも憲法の生存権保障義務から疎外されているように感じます。
 私は、今現在、在宅で両親と三人で暮らしていますが、その両親も八十に近い年で、おふくろは昨年から痴呆が激しくなり、今、介護老人施設に入っているのです。私の場合、八万前後の障害者年金で暮らしています。これは、親子三人で暮らしているからどうやら生活していくことができると思いますが、仮に一人で暮らしたら到底暮らしていくことが不可能だと思います。部屋を借りるだけでも五万、六万円になる時代ですから。
 それで、憲法二十五条では、すべての国民は健康的、文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると述べていますが、月に八万の年金では、どう健康的、文化的な最低限度の生活を送ればよいのか分かりません。どう暮らして、生活を維持していくことができません。
 外国の障害者から、いつも日本の障害者について、なぜ日本の障害者は自立しないのかということが指摘されていますが、ただ八万の年金暮らしではどう自立することができるでしょうか。考えてください。八万の年金でどう親方さんから離れて、一人で暮らすことができるでしょうか。政府が余りにも今日の生活実態の模様を十分に把握していないように感じます。
 スズメの涙のような年金にかかわらず、来年度からは障害者福祉法が大きく変わります。今まで、契約制になり、支援費支給方式が導入されます。この支援費支給方式制度になりますと何が変わるかというと、例えば私のように在宅障害者の場合、介護ボランティアに来てもらうと、今まではただになっていますが、それが家族の所得によって一部負担になります。応能負担になります。今でもわずかなスズメの涙のような年金であるのに、そこからも金を奪い取るという今の政府のやり方は余りにもむごいやり方ではないかと言えます。
 そして、民法で扶養義務という項目があります。障害者の場合、幾つになっても親が面倒見るということになっています。これは、いかにも時代遅れと言えます。世界の流れから見ても、親が子を扶養義務にしているのは中国と韓国と、それに我が日本しかありません。いわゆる発展途上国並みであると指摘しておかなければなりません。
 江戸時代から続いている、矛盾である古い民法の八百七十七条を今すぐにも廃止し、削除していかなければ、先進国である我が国が世界の国々から笑い物になりますし、我が国において重度障害者が自由に自立される環境が図れません。このように、憲法二十五条に矛盾する民法の八百七十七条をどうしても廃止、削除することが必要であると思います。
 バリアフリー法が二年前に成立して、各駅にエレベーターやエスカレーターができていますが、まだ、バスには車いすで乗れるバスが多く増えていますが、しかし、残念ながら、まだ一部の駅や、車いすのままで乗れるバスもほんの一部しかありません。これでは車いすの人が思うように外出することがまだ十分できませんし、特にバスの場合は、私が住んでいる横浜や横須賀などはスロープ付バスが走っていますが、しかし、時間が不規則になって、いつ走るかどうか分かりません。だから、帰ってくる保障がないので、結局、できません。
 だから、スロープ付バスなどは、単に私たち障害者だけではなく、お年寄り、おなかが大きい妊産婦にとっても必要です。このように、皆スロープ付バスに切り替えていくべきだと思います。
 最後に、一言述べておきたい。今、国会で審議されています有事法制のことです。
 この法案は、正にアメリカ戦争への協力法です。そして、戦争によって多くの障害者を作り出す、そしてまたその法案の八条には国民の義務だと言い、国に対して協力すべきだと述べています。しかし、私たち障害者は国に対して協力ができません。
 私たち障害者の先輩者らが、かつて国民から非国民と言われて、生きている感じがなかったということを聞き、驚いています。再び非国民と言われないようにするためには、いかなる戦争にも協力しないことが必要です。その上で、初めて私たち障害者の人権が守られ、そして今日よりもはるかに障害者の人権がより確立されるのではないかと思います。
 どうもありがとうございました。
○会長(上杉光弘君) 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 この際、十分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後三時七分開会
○会長(上杉光弘君) ただいまから憲法調査会公聴会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本国憲法に関する調査を議題といたします。
 これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に願います。

○会長(上杉光弘君) 堀利和君。
○堀利和君 民主党の堀利和でございます。
 本日は、四名の公述人の方、皆様、本当にありがとうございます。貴重な御意見を伺って、これから質問をさせていただきたいと思います。
 具体的に質問をさせていただきたいと思いますので、まず、前田公述人に伺います。
 私も同じ障害者として、日常生活なり社会生活、様々に健常者とは違った苦労といいますか、ということもあるわけです。重度の障害者にとっては親の庇護から離れていわゆる自立生活をするということが非常に大切なことだと思うんですね。
 しかし、残念ながら、我が国において重度の障害者が独り暮らし、自立をするということは非常に大変なことであるわけです。働きたくても雇ってくれるところがない、仕事をしたくてもなかなか思うように仕事に就けない。したがいまして、いわゆる社会保障ということで、最終的には生活保護、公的扶助に頼らざるを得ないわけですけれども、そういう場合にも、やはり扶養義務の問題等でなかなか生活保護を受給できないという、こういうこともあるわけです。
 そこで、二点お伺いしますけれども、まず一点ですが、前田公述人も言われているように、憲法二十五条は、これはもう余りにも有名ですけれども、生存権を保障しているわけでございます。文化的でかつ健康な最低限度の生活を保障しているわけです。この場合、社会保障法等の根拠となっているのが正に二十五条一項であるわけです。
 したがいまして、社会保障個別法の処分につきまして、これまでにも裁判でその処分をめぐっては多く争われてきております。今私たちにとってもその点で注目しているのは、国民年金制度における障害基礎年金の受給が受給できない、つまり年金制度の不備からくる無年金の障害者の問題ということで今裁判にもなっております。年金制度そのものが不備かどうかということも当然争っているわけですけれども、もとより二十五条の生存権に基づいて当然国は保障すべきであるということであるわけです。
 こういうような形で、二十五条に対しての非常な期待もありますし、当然国が保障すべきだというふうに認識しておりまして、また、一昨年ですか、交通バリアフリー法という新しい法律が制定されて、障害者が移動する際に公共交通機関を安全に自由に利用できるようにということで法律が制定されたわけです。この法律の審議の際にも、移動の権利、移動の自由ということについての考え方、理念が十分生かされていないということでの権利性の問題も審議の中で問われたわけです。移動する権利ということで、これまた憲法二十五条の生存権に基づく移動の権利であるという学者、研究者の考え方もあります。このように、憲法二十五条については、非常に障害者等にとって大変重要な条文であり、生存権を意味するわけなんですね。
 前田公述人も言われておりますように、それでは重度の障害者にとって本当に憲法二十五条が生存権を、健康で文化的な最低限度の生活を保障しているのかというとどうもそうではないんじゃないかという御意見、私もごもっともだと思います。ただ、健康で文化的な最低限度の生活といいましても、これ自体極めて抽象的でありますし、相対的であろうかと思うんですね。その時々の文化あるいは経済社会的状況、国民一般の皆様方の生活のありよう、こういうことでどの程度が憲法二十五条における生存権を、健康で文化的な生活を保障しているのかということになろうかと思いますけれども。
 そこで、前田公述人に憲法二十五条に言う、第一項に言う生存権、健康で文化的な生活を保障する今日的な水準といいますか、イメージといいましょうか、どのような状態で憲法二十五条が保障されたというように納得できるのか、その辺のところをちょっとお聞きしたいと思いますけれども。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 憲法の健康で文化的な最低限度の生活とは、当たり前の生活、当たり前の暮らしぶりができることではないかと思われます。
 例えば、外国では、幾ら重度障害者でも生活ができる年金が十分に支給されていると聞きます。
 日本は世界第二の金持ち大国であると言われていますのに、何で国民の生活に回らないのかと強く感じられます。
 国家は当然に国民の人権を守り、そして維持していくことが当たり前だと感じますので、それを重視していただきたいと思います。
○堀利和君 私どもも、旧厚生省、今厚生労働省ですけれども、年金額が低いために自立生活ができない、十分な所得保障をするようにということで声を上げてはいるんですけれども、年金を見ますと、その額が、給付額が、いわゆる適当に決められるわけではなくて、消費性向を見ながら消費のところでの積み上げということで額が決められるということがありますし、厚生労働省の言い分ですと、決して日本の年金は低いわけではないと、そのような低い水準ではないということで、国際的比較を出しながら説明してくるわけなんですね。そういう意味で、なかなか十分な年金額給付というのが実現できないわけですけれども。
 そこでまた、ちょっと一つ付け加えてお話お聞きしたいんですけれども、年金の問題を取り上げていっても、もし年金でどうしても生活できない場合には、正に憲法二十五条の究極的な意味での公的扶助、生活保護制度があると。これ、他法優先ですから、他法という年金でどうしても生活ができなければ生活保護があるからということで、どうしてもそこの理屈立てがなかなか難しい。言い換えれば公的扶助、生活保護制度があるということでは安心できるんですけれども、その手前で何とかならないかということで議論はするんですけれども、なかなかそこが解決できないわけなんですね。そんなふうなところで苦労もしているんですけれども、もしその点について何か御意見がございましたらお聞かせ願えますでしょうか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 確かに生活保護の方が生活しやすいが、しかし親や兄弟の……。
 普通の人の場合は二十歳になれば親御さんと同居していても一応独立する形になりますのに、それが民法八百七十七条により障害者の自立の制限が、規制になっているように思われます。そのために問題があると思います。
○堀利和君 そこで、説明を十分できないままで簡単にお聞きしますけれども、ただいまの民法第八百七十七条の直系血族及び兄弟姉妹はお互い義務、扶養義務があるという、これについて、言われるとおりだと思うんですね。
 その場合に、この民法八百七十七条を、つまり一般論として否定といいますか、撤廃というふうにお考えなのか、言わば重度の障害者に限ってこのような状況の中で適用しないようにというようにお考えか、その辺、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 重度障害者に限ってということではなくてすべての障害者にとって、この扶養義務というのは必要ではないと思います。時代後れだと思います。
○堀利和君 重度の障害者ではなくてすべての障害者、つまり障害者という限定という理解でいいんですか。その他の一般国民は別だということですか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) できれば、障害者ということではなくて、すべての国民からその規定が外されたら障害者もそうなるでしょう。
○堀利和君 分かりました。ありがとうございます。

○会長(上杉光弘君) 次、魚住裕一郎君。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。

○魚住裕一郎君 続いて、前田公述人にお聞きいたします。
 お伺いしたいことは一杯ございますけれども、一歩一歩障害者の、チャレンジドの人にとっても住みよい日本を作っていこうと努力してきたつもりでございますが、アメリカではいわゆるADA法、障害を持つ米国人法、そういうものがあるようでございます。九二年施行でありますが、障害者の公民権法ともいうべき法律でございまして、官民問わず、雇用や交通機関、公共的施設の利用、言語・視聴覚障害者の電話利用など、あらゆる分野での差別を禁じて機会均等を保障している、逆に平等の機会を与えないこと自体差別ととらえて禁止するという、そういう法律であるようでございますが、こういう法律というものはどのようにお考えでございましょうか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) アメリカのADA法と日本のバリアフリー法とは確かに性質が違いますが、しかし、私たち障害者が様々な社会に参加する環境の上ではメリットが大きいのではないかと思います。

○会長(上杉光弘君) 次、吉川春子君。
○吉川春子君 四人の参考人の皆さん、本当に今日はありがとうございます。大変いろいろな点で勉強をさせていただいております。
○吉川春子君 引き続きまして、前田参考人にお伺いいたします。
 憲法二十五条の生存権を障害者にも、国民あまねくといいますか、保障するためにどうすればいいかということでございますが、民法八百七十七条の扶養義務規定、障害者だけではなくて一般的にも取り払うべきだという、こういうお考え、私もよく分かりますし、同感です。これは例えば生活保護を受給する場合にも大変大きな壁になっておりまして、憲法の二十五条と真っ向から対決する法律、民法の法律でございますので、公述人のお考えに賛成です。
 それで、本当に障害者の皆様が自立をして生活するために、年金の問題とかいろいろな問題あると思いますが、どういうふうにすれば自立して生活できるかという問題について、更に御意見があれば伺わせていただきたいと思います。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) やっぱり最低生活費を確立していくべきではないかと思います。
○吉川春子君 その最低生活費を確立していくという具体的な方法はどういうことでしょうか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 生活保護の水準を引き上げることが必要なことだと思います。
○吉川春子君 そうすると、年金と生活保護、その両方がきちっとされることによって障害者の生活が自立していくということでしょうか。その職業に就く問題についてはいかがでしょうか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 働くこと含めて、すべての生活分野に参加できるということが必要なんだと思います。
○吉川春子君 もう一問伺いたいのですが、前田公述人のペーパーに、戦前は非国民と見られ、生きている感じがしなかったという記述がありまして、本当に軍国主義の時代、どんな思いで障害者の方々は過ごされたんだろうかと私も思います。
 それで、障害者と平和、憲法第九条についてのお考えを伺いたいと思います。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) やっぱり平和がなければ障害者は生活ができないと思います。有事法制案などは戦前の治安維持法と同じような中身ではないでしょうか。
 実は、昨日とおとといの二日間、私は車いすで平和行進に参加してきましたが、その間感じたことは、憲法九条の重みをしみじみと感じました。今こそ、憲法九条の重みを世界に伝えていくいい時期であると思います。
○吉川春子君 終わります。
○会長(上杉光弘君) 次、平野貞夫君。

○平野貞夫君 最後に、質問じゃございませんが、前田公述人には貴重なお話を伺いまして、ありがとうございました。
 特に憲法二十五条について御指摘が、これをどう実行するかということなんですが、私は、政党は自由党という政党に所属していまして、私は今の憲法をもう少し前向きに新しい文明社会に合うように変えていくべきという意見でございまして、特にこの二十五条については、こういう抽象的な規定ではなくて、国民の生命や生活の維持発展に必要な仕組み、特に基礎的な社会保障については国の責任で行うということを憲法に明記すべきだという意見を私たちは持っております。御趣旨の、お話しになった趣旨をこれから生かしていきたいと思います。
 以上でございます。
○会長(上杉光弘君) 大脇雅子君。
○大脇雅子君 今日は、公述人の方々には大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

○大脇雅子君 ありがとうございました。
 前田公述人にお尋ねしますが、当たり前の暮らしができるということが大切だという言葉は、私はとても胸にこたえました。
 生活保護の、最低生活の保障をするということに加えて、もう一つ、やはりすべての社会活動に参加していくために最も必要なこと、日本の社会で欠けているものというのは一体どんなふうだと思っておられますか。
○公述人(前田豊君)(薗部英夫君陳述補佐) 駅のエレベーターはたくさん増えてきたけれども、まだ全体としては一部ですよね。十時過ぎちゃうと、そういうところも止まっちゃったり、バスも来なかったりするので、そういうところに行きたいときには行けるようにやっぱりすべきだと思います。
○大脇雅子君 ありがとうございました。
○会長(上杉光弘君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 公述人の方々には長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 お述べいただきました御意見につきましては今後の調査に生かしてまいりたいと存じます。(拍手)
 以上をもちまして公聴会を散会いたします。
   午後四時五十分散会

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