150 衆議院内閣委員会 2000/11/07

   午後二時三十分開議

○佐藤委員長 矢島恒夫君。
○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私、前回、一日の日ですか、当委員会で、基本法の第一条目的、あるいは基本理念の問題、さらには第二十四条以降にあります戦略本部の問題などなど取り上げてまいりました。その中で、提案されている基本法というものは、どういう社会を目指すのか、国民に何をもたらすのか、こういう点がはっきりあらわされていない、つまり、国民的視点が後景に押しやられているのではないかということを中心に論議してきました。特に第三条の「もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、」こういう問題についても、長官と論議してきたわけです。
 きょうは、そのことを繰り返すつもりはありません。ただ、一つだけ確認させていただきたいことがあります。それは、現在、電話につきましては、NTT法の三条で、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」という、いわゆるユニバーサルサービスをうたっています。
 そこで、堺屋担当大臣にお尋ねいたします。
提案されているこの基本法は、政府として、電話だけではなくて高度情報通信ネットワーク社会でもユニバーサルサービスを実施していく、こういうことなのか、明確にお答えいただきたいと思います。

○堺屋国務大臣 第三条の基本理念において、「すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮すること」、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会を実現することと規定しておりますが、高度情報通信ネットワークの社会形成の意義を定義したものでございます。
 したがって、御指摘の点を含めまして、個別の具体的な施策については、この第三条の規定を含む本基本法の規定する基本理念及びその施策の基本方針を踏まえて、政府の重点計画及び各省庁の個別施策において対応していくべきものと考えております。その意味では、電話の場合のユニバーサルサービスとインターネットの場合の問題とはちょっと書き方が違っていると思います。

○矢島委員 書き方は違っていても、基本的な精神といいますか、これは同じだ、このように理解してよろしいんですか。

○堺屋国務大臣 その基本的な精神、旨とするという意味では同じでございますが、現実に、直ちにそのようにできるかどうかということは、個別の施策としてお考えいただきたいと思います。

○矢島委員 今、基本理念の第三条、あるいは第五条や第六条などにもそれらしいことが盛られています。
 しかし、私が、前回もそうだったのですが、それをだれがどう保障していくのかが明確ではないんだと。前回の質問に対しましては、基本理念や基本方針、こういうものにのっとって第三十四条以降の重点計画、これで具体化していくんだと、今の長官の答弁と同じことをお聞きしました。
 この基本方針というものを見ましても、それから重点計画の中にも、ユニバーサルサービスにかかわるものというのは何になるのか。とりわけ、九月に、内閣の内政審議室IT担当室というのがありますが、そこでIT関係資料というのをいただきました。その四ページのところには、ことしじゅうに結論を出すんだというので、検討課題というのがあります。一からずっと六まで書かれているのですけれども、この中にも、ユニバーサルサービスという言葉はともかくも、その基本理念をどう具体化していくかということもないわけであります。
 つまり、私が言いたいのは、基本理念の第三条というのをどう実現し、どう保障するか、この法案の中を見ても見えてこないのです。国民の情報アクセス権を保障するということが重要であることはもちろんでありますが、これから重点計画で検討していくんだ、これではなかなか国民は納得できないんですよ、見えないのですから。なるほど、こういう基本法をつくるとこういうところまでいろいろ便利さがあらわれてくるんだなということ、つまり、この法律によって何がもたらされるんだろうかというところがわかりにくいから、どうしてもまだまだこの基本法に多くの国民が関心を寄せてこないという点があるのです。
 ですから、私は、どう保障するのか、このユニバーサルサービスについて。いかがですか、これは明確にお答えできませんか。

○堺屋国務大臣 幾つかの条項に、委員の御懸念のようなことが書かれております。例えば八条には、「地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれ」があってはいけないというようなことが書かれております。
 委員御指摘の点は、まさに具体的政策において、何年までどこそこをどうする、何々をどうするということになりますと、やはり基本法を超えて個別の施策、あるいは個別にまたそういうような法律をつくっていただくか、そういう形になると思いまして、基本法としてはやはり、こういう理念、そして基本方針、そしてそれを重点政策でやっていくんだというところでとめるのがいいんじゃないかという気がいたします。
 その具体的なところまで議論しておりますと、基本法はできなくてなかなか前へ進まない、やはりここで基本的な理念をはっきりさすことによって次の施策に進めるんだろうと考えております

○矢島委員 それらしいことがそれぞれの条文に出されているということは、私も条文を読んでいましたから、第十六条などには「広く国民が」と、「すべての国民」が「広く」になっちゃっていますけれども、いずれにしろいろいろ書かれているわけです。
 ただ、私は、いわゆる重点計画の中身で論議する中で、なるほどこれでいこうじゃないかという、ここの国民的な合意が得られるんだろう。そういう意味では、来年一月六日に発足して、それから重点計画の中身をきちんとやって、それから進めるんだというお話なんですけれども、論議そのものはそれも含めてやっていくのが本来だろうと私は思います。
 そこで、私、郵政省にお聞きしたいのですが、ことしの七月二十六日に電気通信審議会に、IT革命を推進するための電気通信事業のあり方についての諮問を行ったと思うのです。その中に、ユニバーサルサービスの確保及び研究開発の推進について検討していこうというようなのがありますので、この審議会の現状について、今日の状況について、特に、インターネットなど高度情報通信ネットワークについても電話と同じようなサービスの提供、こういう問題が審議されているのか、もしそのような意見が交換されているならば、その中身はどういうものか、お答えいただきたいと思います。

○天野政府参考人 先ほど委員御指摘のように、現在のNTT法におきましては、電気通信分野のユニバーサルサービスにつきましては、NTT三社、NTTの持ち株会社と東西の二社でございますが、これの電話サービスにつきまして、あまねく公平かつ安定的な提供を確保する義務がある、こういうふうに規定しております。
 先ほど御指摘のように、現在電気通信審議会におきまして、「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」ということで、広く競争政策全般につきまして御審議いただいているわけですが、その中で、今後のユニバーサルサービスのあり方につきましても、競争政策と一体となって検討すべき非常に重要な課題であるというふうに位置づけて、この審議会の中のIT競争政策特別部会のもとにユニバーサルサービス小委員会を設けまして、現在審議いたしております。
 この審議の論点を御紹介いたしますと、従来のようにユニバーサルサービスを電話に限定しておくのがいいのかどうか。あと、インターネットだとか携帯電話が非常に急速に普及している中で、これからのユニバーサルサービスの範囲はどこまで定めたらいいのか、こういった具体的な範囲の問題。それから、範囲が決まった後に、ユニバーサルサービスのコスト負担、だれが負担をするのか、現在はNTTが内部相互補助で負担しているわけですが、それのコスト負担の問題。それから料金水準の問題。いろいろな論点がありますが、このような多様な論点につきまして、現在精力的に御審議をいただいているところでございます。
 審議会としましては、年内に第一次答申をおまとめいただく運びになっておりまして、郵政省としましては、答申がいただければ、ユニバーサルサービス確保のために必要な諸施策を適切に講じてまいりたいと考えております。

○矢島委員 アメリカやEUでは、国民の権利としてユニバーサルサービスを認めています。
 例えば、アメリカでは、九六年の電気通信法の二百五十四条、ユニバーサルサービス、こういう項目の中で、それぞれ、すべての国民が公正で、かつ、できるだけ低廉な料金で高度情報通信ネットワークにアクセスできること、過疎地や離島であっても都市部と同等の料金で高度なサービスが受けられる、また学校や図書館、医療機関などへの低料金でのサービスの保障、それから障害者に対する特別の対策、こういうようなことが明記されているわけですね。
 そこで、今天野局長のお話ですと、ことしじゅうに一つの答申を得て今後やっていこうということらしいのですが、電気通信審議会での審議が、今のお話のように、インターネットやそのほか、そういう高度情報通信ネットワークについてもやっていくんだ、そのことも審議していくんだというように今の御答弁で受け取れたのですけれども、そういう受け取り方でいいのか。また、その答申を受けますと、その後、法律を変えなければならないとか、いろいろな問題が起きてくるんだろうと思いますが、それは来年の通常国会を想定されているのか、その辺についてのお答えを。

○天野政府参考人 ユニバーサルサービスの範囲につきまして、インターネットの関係で申しますと、まだ結論は出ておりませんけれども、インターネットにつきましては、現在急速に普及しておりますものの、必ずしも全国の世帯に普及しているものではございません。例えば、平成十一年度の世帯普及率は一九・一%というふうになっております。そういうことから、こうしたサービスの提供を通信事業者にユニバーサルサービスとして法的に義務づけることが適当かどうかについては、いろいろ御議論があるところでございます。
 いずれにしましても、ユニバーサルサービスのあり方につきましては、先ほど御紹介しましたように、今いろいろな論点で議論しているところでございまして、まだ結論は出ていないという状況でございます。

○矢島委員 もう一つ
アメリカの電気通信法の二百五十五条を見ますと、障害者による利用ということで、電気通信機器あるいは顧客宅内の装置、こういうものについて、製造事業者に対しては、障害を持つ個人がアクセスでき、かつ使用できるようにその機器を設計し、開発及び製作しなければならないと決めておりますし、電気通信サービスの事業者には、障害を持つ個人がアクセスでき、かつ使用できるようにしなければならない、こういうような法律の中身になっています。
 きょうも午前中の参考人質疑の中でも、全国障害者問題研究会の事務局長の方が発言されていました。障害者の社会参加の中でどのようにインターネットというものが利用されており、重要なことかという観点です。
私も、障害者の社会参加には、政府の責務で保障することが必要だと思うのです。
 通信白書の中で、インターネット等の利用による生活の変化、グラフにもなっておりますけれども、白書の第一章の六十三ページです。それを見ますと、インターネットを利用した、しかしそれで悪い方向に変わったという人は一人もいないんですね。つまり、よい方に変わったという障害者の方が五一・三%ある、どちらかといえばよい方に変わったという方が三九・二%ですから、合わせますと、もう九〇%以上の障害者の方が、インターネットを利用することによって生活がよい方向へ変わった、こう答えていらっしゃるのです。
 そこで、この問題は堺屋担当大臣にお聞きしたいのですが、やはりバリアフリー技術や障害者のためのシステムづくりを行政の支援で確立することが必要だと私は思うのです。
 これは日本経済新聞の十月一日のものですけれども、「「森IT革命」の忘れ物」というので、バリアフリーの問題で取り上げているわけです。行政の支援も極めて必要だということを十月一日の日経で書かれておりました。つまり、第八条の「利用の機会等の格差の是正」、こういうことではどうしても後回しにされかねない。日経が言うように「「森IT革命」の忘れ物」になったのでは大変だということなんです。
 ですから、国の責任を明確にする、重点計画で具体策をきちんと示していく、そうしないと解決の前進はあり得ないと思うのです。政府としてどう具体化を図るのか、大臣、ひとつよろしくお願いします。

○堺屋国務大臣 御指摘のように、年齢、地域、身体的条件その他によってデジタルデバイドになる、そういうことを避けなければいけない。私もその日経新聞の記事は読みまして、我々決してその記事に書いてあるように考えているわけではございませんで、
特に身体に障害のある方々のためにはいろいろな方策を考えなければならないと思っております。
 具体的に申しますと、既に
障害者基本法におきまして、電気通信事業者等が障害者の利用の利便を図らなければならないというのが入っております。また、通産省、郵政省等の関係官庁におきましても、障害者が情報通信機器を容易に利用できるようにするための指針づくりに取り組んでいただいているところでございまして、今後は、さらにこの基本法の規定する理念に基づいて、積極的に技術の開発とか機器の普及とかあるいはさまざまな施策をとっていきたいと考えております。

○矢島委員 実際にこれも具体化の方向になれば、重点計画の中でということになろうかと思います。
 私は、先ほど申し上げましたように、基本法の中心問題やあるいは具体的な問題になりますと重点計画で、こういうふうになるわけなので、この重点計画をつくり上げて、その上で、これも含めて基本法全体についてもう一度論議すべきだ、このことを要請いたしまして、次の問題に移りたいと思います。
 情報リテラシーへの対応についてお伺いしたいと思います。
 堺屋長官が出されましたいわゆるIT講習券、この構想は見送られてしまいました。しかし、自治省がIT講習推進特別交付金に五百七十億円、郵政省も労働省も文部省も、補正予算を要求しています。新聞記事等によれば、ばらまきという字が目立つわけで、「IT花盛り 補正予算要求」というので、「官邸主導でバラマキ」だなんという、これは朝日新聞の十月七日のものですが、ほかの新聞も、多かれ少なかれ、補正予算のIT関連予算という問題については、どうも評判がよくないようであります。
 インターネットというのは確かに便利です。国民の側からも発信できるなど、利点も多くあるということはそのとおりなんです。しかし、その中身は玉石混交といいますか、その情報をどう判断していくのかの能力、いわゆる自己責任の世界であろうと思うのです。
 そこで私は、文部省に来ていただいているので、まず文部省にちょっとお尋ねしたいのですが、インターネットへのアクセスをユニバーサルサービスとして国民すべてがアクセスできるようにすることと同時に、この技術というものを我が国の民主主義の発展だとか国民生活、文化の向上に資するように国民が活用できるようにすること、これが大切だと思うのです。その土台にあるのはまさに教育であるということは広い一致点であると私は思います。
 そこでまず、このITをめぐる教育の現状ということで、
現在、インターネットを利用している小中学校あるいはその他の学校がどれくらいあるかということと、それからインターネットを活用して授業のできる教員はどれくらいいるのか、お答えいただきたいと思います。

○御手洗政府参考人 現在、平成十二年の三月末時点の調査でございますけれども、全国の公立学校でのインターネット接続率は、小学校で四八・七%、中学校で六七・八%、高等学校で八〇・一%、盲・聾学校含めまして全体では五七%の接続率となっておりまして、昨年の三六%から二〇ポイント以上の急激な増加となっております。
 文部省といたしましては、今後も、平成十三年度までにはすべての学校がインターネットに接続できるようにということで、これは財政当局とも御協力をいただきまして、地方交付税によりましてそのための経費を措置するということで、全国的に計画的な接続を図っているところでございます。
 また、インターネットを活用して授業を行える教員ということにつきましては、自己申告制でございますけれども、現在、コンピューターを操作できる教員は全体で六六%でございますが、そのうち三一・八%、全体でほぼ三割、コンピューターを活用できる教員のうちの半分程度はコンピューターを使って授業ができるという状況でございます。
 これにつきましても、文部省といたしましては、当面、平成十三年度までに、すべての教員がコンピューターを操作でき、またそのうち半分程度の教員がコンピューターで指導できるという状況まで教員の研修を充実してまいりたいということで、各都道府県や市町村と協力いたしまして、各学校段階まで及びます研修、校内の研修体制をつくっていただきまして、文部省は全国レベルでの指導者の養成、都道府県は各学校段階でのリーダー養成という役割分担をしながら研修の充実に努めているところでございます。

○矢島委員 今、コンピューターを使って授業できる、三一・八%。これはインターネットを教えられる教員の数ではないんですね。つまり、コンピューターを使って授業ができるという範囲ですね。それが三一・八。そうすると、インターネットを教えることができる教員というのはどれくらいいるんですか。

○御手洗政府参考人 学校におきますインターネット接続率も全体では五七%に達しているということから見ますと、教員は一般的にコンピューターを教える場合に、インターネットを利用しながら、教材の一部に取り込みながら教えているということは想像できますけれども、そういう厳密な意味での調査はいたしておりませんので、一応、指導できる、この教員につきましては、私ども、インターネット接続率の状況から見まして、それも操作できるもの、こう考えているところでございます。

○矢島委員 できるだけ、そういうデータもつくっていただきたい。実際にインターネットを教えることができる教員、これと同じなのか、イコールなのかどうかわかりませんが、ぜひそういう調査もよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、このインターネットというメディアは、二十一世紀に生きる子供たちの大きな可能性を開花させる――失礼しました。天野局長、質問は終わっていますので、済みません、お忙しいでしょうからお引き取りいただいて結構です。
 インターネットという可能性を開花させるこの道具、同時に、使い方によっては非常に否定的な影響を与えかねないんですね。
 私は、このインターネットを教育の場で本格的に活用するには、何といっても、先生方がインターネットを教育に活用できるような環境整備、例えば教員の大幅な増員によって三十人以下の学級を実現するとかです、こういう環境整備が欠かせないと思うのです。ところが、私は、政府やIT戦略会議にはこうした発想がどうも希薄のように感じるんです。
 このIT基本法の下敷きになっているのは、これは前回私がここで論議したことですけれども、出井議長の四大戦略だと。その出井議長は、この問題については、インターネット関連の事業をやると人手が足りなくなる、したがって、今インターネットリテラシーを持つ人は求人が盛んなのだが、子供の教育から含めて抜本的に取り組むべき非常に大きなテーマであると思う、こう述べておられます。将来、インターネット技術者が足りなくなってくる、だから教育を強化すべきだ、こういう発言なんですね。
 もちろん、インターネット技術者の養成は私は必要だと思います。思いますけれども、肝心の小中学校のインターネット教育環境を抜本的に改善する、どうもこういう議論は今までの戦略会議の議事録を読む限りでは出てまいりません。この問題ではどのような論議が戦略会議あるいは戦略本部との合同会議で行われているのか、長官からお願いいたします。

○堺屋国務大臣 戦略会議におきましても、教育の問題は非常に重要なことだ、特に人材を養成することが大切だということも言われております。また同時に、このインターネットを知識としてだけではなくして、マナーであるとか、倫理であるとか、道徳であるとか、そういった面の教育にも活用すべきだという意見も盛んに出されております。
 そういう観点から、インターネットの教育ができるようなハードウエアをつくるだけではなしに、教員も養成しなければなりませんし、また教科書に当たるもの、こういったものもつくらなければならないと思います。
 私も、ついこの九月でございましたでしょうか、兵庫県の方の高等学校へ行きまして、インターネットで七つの高等学校が連合して小説を書こうという、私もインターネットノベルというのを一回やったことがございますので、そういう現場も見せてもらいました。
 先生方はいろいろと工夫しておられます。こういう観点も今戦略会議で重点項目の中に取り入れようとして議論しているところでございます。

○矢島委員 文部省にお尋ねしますけれども、そういうものを進める具体策ですが、補正予算で、このIT関係については非常勤教員の配置ということで要求されているかと思うんですが、わかりましたら、どれくらいの人数のIT関係非常勤講師を予定しているのか、教えていただけますか。

○御手洗政府参考人 来年度の予算におきまして、文部省といたしまして、特別非常勤講師制度というのを設けまして、正規の免許状を持たない社会人の専門分野の方々が小中高等学校の教科の一部を指導できるという制度を設けておりまして、さまざまな分野で今日来ていただいているところでございますけれども、現在も、この中でIT関係の方々においでいただいておりますし、また緊急雇用対策事業におきましても、各都道府県、知恵を出しまして、このIT情報技術者を取り入れて子供たちや教師の指導に当たるという工夫をしていただいております。
 文部省といたしましては、特別非常勤講師制度、来年の補助金を五千万円ほど要求いたしているところでございますけれども、その中でIT分を措置いたしたいと考えているところでございます。

○矢島委員 これも堺屋担当大臣にお聞きしたいのですが、今、IT関係で五千万円、大まかに言って千人分ぐらいになりますかね、非常勤の人たち。そういうことでの予算というようですけれども、私、ほかの教育問題についてのいろいろな施策をこれから行っていくと思うのですが、ぜひ、補正予算で一回きりの対策じゃなくて、やはりこれは恒常的なメディアリテラシー教育を実施していくという観点から継続的に考えていってもらいたいのですが、戦略本部としてはどんなふうに考えていますか。

○堺屋国務大臣 教育の問題、人材養成の問題は、日本の将来を考えましても最も重要な点でございます。したがいまして、通常の予算におきましても大いにそういう点には力点を置きたいと思いますし、また、教員養成の段階で、インターネット、ITができるような課程をつくって、文部省さんでも近く一〇〇%の人がパソコンを使えるようにする、これをさらにインターネットを使えるような形にして、教員養成の段階から変えていくことが基本だろうと思っております。

○矢島委員 そして私は、そういう教育をする中で、もう一つ重要な問題があるということを指摘したいのです。
 今政府が個人情報保護法の制定だとか、電子商取引での消費者保護、こういう法整備を急いでいます。つまり、現在インターネットを国民が利用する上で必要な法整備がこういう面ではおくれている、一刻も早くやらなきゃならない、こういうことを示していると思うのです。そして、そうした法整備を整えたとしても、インターネットでの取引においては自己責任の比重が大きくなる。だからこそインターネットの情報を読み解く力を身につけることが重要だと思います。
 そこで、これらの、今出てきました補正予算での内容を見ますと、インフラの整備やあるいは技能講習のための予算が計上されておりますけれども、文部省にお尋ねしますが、その講習で、技能だけではなくて、サイバースペースでの商取引やトラブルや、あるいは個人情報をみずから守る、こういうための教育を行っているのですか。

○御手洗政府参考人 学校教育におきましては、コンピューターを使う技能の習得とあわせまして、誤った情報や不必要な情報に惑わされることなく、必要な情報を主体的に収集し、判断し、創造していく、そして、みずから情報として発信できる能力という意味での情報活用能力を中心にしながら行っているところでございます。
 具体的には、中学校におきまして「技術・家庭」、あるいは高等学校におきまして、普通科目といたしまして、平成十五年度からは全員が「情報」を必ず必修として卒業するというような仕組みにいたしておりますが、そういったことの中で、情報のさまざまな社会的な影響あるいはモラルセキュリティー、こういった点も含めまして、教育を体系的に行うということにしているところでございます。

○矢島委員 そういう意味から、消費者に安心して参加できるネットワークの形成、これは非常に重要なことだと思うのです。
 それで、いわゆる全体に係る個人情報の保護という保護法はもちろんですけれども、重要な個人情報を大量に管理しているところもあるわけですね。例えば国もそうですし、自治体もそうでしょう。そういうところの特別の体制と責任が私はあるんじゃないかと思うのです。この個人情報の管理ということは、民間機関でも、金融機関でも医療機関でも、特に重要な個人情報が集中しておりますから、その流出は非常に大きな被害をもたらす、こういうことが言えると思います。
 さらに、消費者保護の点で、また今の教育の問題とも関連するのですけれども、最近、新聞にたくさん、子供が危ないということがいろいろ出ております。これは毎日新聞です。
 いろいろインターネットを使って、バナー広告などを使って、お金がすぐもうかるような広告になっていて、そうしたら大変なことになったという記事だとか、あるいはおいしい話として、三択クイズ全問正解なら百万円なんというのが出てくるとか、それから、新手の悪徳インターネット商法というものが急増しているために、長官の経済企画庁に関係する国民生活センター、ここへの苦情や相談というのが、そのほかの国際的な電話会社も含めますと、月に三万件もあるというのですね。不当な料金を請求されたということです、いろいろな方が。
 こういう面についてきちっと対策を立てないと、NHKで堺屋長官が、五千万人でしたか、普及するんだと。安心してできないことには、そんなにふえないわけですから、その点にきちんと力を入れていただきたいのですが、いかがでしょう。

○堺屋国務大臣 委員御指摘の問題は二つあったかと思います。
 一つは個人情報保護の対策でございますが、これにつきましては、個人情報保護法制化専門委員会というので検討いたしまして、去る十月十一日に法案の大綱を取りまとめまして、これを法制化して、電子機器で大量に管理しているようなところはその対象にしていきたい、こういう法案にしております。
 それからもう一つ、今おっしゃいました取引の方でございますね。これは訪問販売法の改正等いろいろと措置もとっております。
 ことしの春に成立いたしまして、来年からは消費者契約法というのもできまして、錯誤によるときは取り消しもできるということになっております。
 特に、この訪販法の今回の改正におきましては、電子取引で消費者に大変大きな便利がありますけれども、うっかりクリックしてしまうと、無料だと思っていたところが有料だったというようなことも起こりますし、また、悪質な商法も登場することも想像されるわけでございます。これらの諸問題に対応いたしまして、政府といたしましては、今のこの国会に訪問販売法の改正案を提出いたしまして、事業者に対する、申し込み画面でのわかりやすい表示あるいはマルチメディア商法の誇大広告の禁止等を盛り込んでおります。
 また、電子商取引は技術やニーズの変化とともに日々変わりますので、この進展に伴いまして、法規制のみではなく、民間による自主規制ということもあわせて考えなければいけないのではないかと思っております。
 具体的に申し上げますと、民間団体によるオンライントラストマーク制度とか、ガイドラインの策定、普及、あるいは消費者団体による情報の提供や相談等々、いろいろな対策を考えております。我々の方の国民生活センターもそういったことでできるだけ尽力したいと思っております。

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