150 参議院交通・情報通信委員会 2000/11/16 ○50回-参-交通・情報通信委員会-04号 2000/11/16 ○中島啓雄君 大臣から中継系のネットワークを中心とするお話を伺いましたが、ユニバーサルサービスという意味ではなかなか問題があるんではないか。すべての国民がゆとりと豊かさを実感できるIT社会ということになりますと、当然、地理的に離れたところにある住民も利用できる、あるいは高齢者とか障害者とか身体的な障害がある方とか、そういうユニバーサルサービスという面を実現していかなければ本当に楽しい社会にはならない。これを競争と市場原理のもとでやればいいと言っておいたのでは、幹線系のインフラ部分については今おっしゃったようにある程度進むと思いますが、今言ったような山間僻地とかあるいは各家庭のアクセス回線とか、そういった部分についてこれからきちっと整備するにはどうしたらよいか。 アクセス網としては、光ファイバーだけでなくて、末端は今DSLとかあるいは光メタル併用のPDSというものもあるようでございますが、そんな技術的な面の開発と政策的な支援と両またの政策が必要ではないかと思いますが、その辺についてやや詳細なお話を聞かせていただければと思います。 ○政府参考人(天野定功君) 高度な通信サービスが広く末端まで行き渡るためには、委員御指摘のとおりにアクセス系の整備が重要でございます。 アクセス系の整備につきましてはまず光ファイバーの整備が一つ挙げられますけれども、これにつきましては、現在、民間の投資負担を軽減するために超低利融資制度でもって取り進んでおりまして、十一年度末現在でいわゆる饋線点前の整備率では全国平均で約三六%になっております。これを地域別に見ますと大都市部では非常に整備が進んできているわけでありますが、人口十万未満の都市のようなところですと整備率は一四%にとどまるなど、非常に地域間格差が広がってきているということでございます。 したがいまして、私どもは、この光ファイバー整備につきましては、このような地方と都市部における格差をなくすべく、従来の超低利融資の支援措置に加えましてより強力な民間の支援策を実現したいということで今予算面で取り組んでいるところでございます。さらにまた、光ファイバーのみならず、先生御指摘のように、高速アクセス網回線にはDSLだとか、あるいはCATV、また無線アクセス回線など、こういった多様な高速アクセス回線の普及も非常に重要だというふうに考えております。 郵政省としましても、広帯域加入者網の早期の全国普及に資しますよう、平成十三年度予算要求におきましてこういった広帯域回線に対する財政上あるいは税制上の支援措置も要望しているところでございます。光ファイバーを初めとするさまざまな高速アクセス回線が早期に普及できまして多くの利用者がより低廉で多様な高速通信サービスの便益が共有できるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 (以下略) ○宮本岳志君 (中略) 東京新聞の十月十三日付に、「障害者置き去り 声なきIT」という見出しの記事が掲載されました。中央省庁や国会関係のホームページが視覚障害者のための音声変換ソフトに対応するものになっていない、そのため行政情報にアクセスしようとする視覚障害者にとってせっかくのホームページが使えないものになっている、こういう記事であります。 これは情報アクセスの公平という意味で民主主義の問題であると同時に、主権者として行政情報を知る権利という点で極めて重大な問題だと私は受けとめました。これは改善されておりますでしょうか。 ○国務大臣(平林鴻三君) 技術はどんどん開発を今やっておる最中でございます。音声を文字に変換するとか、文字を音声に変換するとか、その他非常に使いやすい、障害のある人のために簡単に使えるような技術を今どんどん開発している最中でございますので、いずれ普及段階にどんどん広がっていくと思います。 ○宮本岳志君 それは違うんです。もともと別に一般的にある音声変換のソフトになっていなかったという、いまだに大蔵省などはそれが不可能な、音声化できない方法でホームページがつくられていると、これは障害者団体の方から随分辛らつな御意見が出ております。そもそも役所がホームページをつくるときに、要はハンディを持った受け手がいることを考えてつくったかどうかが問われている、こういう声もあります。あるいは、官公庁のホームページもアクセスできたりできなかったり、つくり方がばらばらで国に一貫したポリシーがあるように見えないと、だから、戦略というけれども、こんなところで戦略がないじゃないかという声も東京新聞には紹介されておりました。 私、改めて各省庁に問い合わせてみました。そうしたら、こういう答えです。参議院は記事が出たらすぐその日の午前中にすべて改良した、これは参議院のホームページです。二つ目、経済企画庁、対応については検討中、省庁再編し、ホームページをつくるときに字幕変換ソフト対応にする計画、これは省庁再編時だということです。国土庁、今のところ改良の予定はない、あと二カ月もすると省庁再編なのでそのときに。労働省、十三年一月の厚生労働省ホームページ開設に当たり対応できるように作業を行う。自治省、特に改良するという話はない、政府が改良すると発表したと新聞には載っていたようだが、各省には話がおりてきていないようだ。こう述べておられる。もうばらばらなんです、これはまだ。 まだ、つい最近のことで対応におくれをとっているということかもしれませんけれども、そもそもIT戦略本部、戦略会議というのは七月七日の閣議決定で置かれたわけですよ。しかも、それから四カ月、もう五回の会合を開いて随分さまざまな議論をやっていて、その一方でこういうことが見過ごされてきている、あなた方の役所の足元で。ここにやっぱりどっちを向いて議論をしているかということが如実にあらわれているんじゃないですか。 私はこういう点からも、こういう検討の場に障害者の方を入れないとだめだ、当事者の方が入ってそういうテーマ、そういうことについてしっかりとチェックができる。今度推進戦略本部というのをつくるわけですから、この人選について障害者の代表の参加などを御検討いただけますか。 ○国務大臣(堺屋太一君) 今御指摘のあったことは大変重要なポイントでございまして、去る十一月六日のIT戦略会議において報告がございまして、来年一月六日でございますからもうすぐでございますので、それまでに各省とも検討をしたいと思っております。 各省のホームページを音声変換ソフトに対応したものとするとともに、各省庁から地方自治体や所管の特殊法人に対しても国に準じて音声変換ソフト、フリーソフトを入れようというようなことも考えております。 また、十月十九日の日本新生のための新発展政策において、高齢者や障害者が自由に使いこなせるIT機器、システム、サービスを開発、提供するとともに、IT製品の開発に資する高齢者のIT利用特性データベースの構築を考えることになっております。ちょっと宮本先生から言うとおくればせと言われるかもしれませんが、そういうようなことを考えております。 そして、人選でございますが、一般からより大勢の人から意見を聞くために、インターネットその他でソーシャルコメントを受け付ける。これは非常に大勢の人から御意見を伺いたい、そういう意味で特定の委員ではなしに、そういうソーシャルコメントを同時に広げていきたいと考えております。 (以下略) ○渕上貞雄君 (中略) NPOの育成と活用について御質問を申し上げます。 基本法第十七条には、すべての国民に対して情報通信技術を活用できるための教育及び学習の振興が定められておりますが、アメリカでは七〇年代からパソコン技術を普及したり社会的弱者がパソコンを利用して社会参加を進めることをサポートする市民の活動が活発に存在をし、こうした広範なNPOの活動がパソコン技術を社会的底辺に広げ、IT革命を支える役割を果たしてきております。 IT技術の利便性を市民一人一人が実感しその利益を享受できるような革命とするためには、市民の自発的活動を促進することがぜひとも必要だと考えます。税制優遇など、NPO法人への支援施策が議論となっておりますけれども、IT革命を進めるためにNPOの活動などを積極的にサポートし育成することが喫緊の課題だと考えます。総理が音頭をとるIT国民運動が行政や関連産業を通した上からの運動であるならば、決して十分な成果は生み出すことはないのではないかと考えますが、NPOの育成と活用について御見解をお伺いいたします。 ○国務大臣(堺屋太一君) 本法案におきましても高度情報通信ネットワーク社会の姿について、すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有しと規定しておりますが、特にNPOの活躍は非常に重要な意義を持っていると思います。 東北、北関東を中心に高齢者が高齢者を教えるという、ネズミ講と言っちゃ悪いんですが、だんだん子が孫を産むように教えていくようなNPOも既にできておりまして、そういうNPOが担い手として大変意義あるものだと思っております。 NPO法人に対する税制上の措置につきましては、今後、平成十三年度の税制改正に向けた議論の中で政府あるいは国会の税制調査会、各党の税制調査会の場において御審議いただきたいと考えております。 |