障害者問題研究 第45巻4号(通巻172号) |
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2018年2月25日発行 ISBN-984-7-88134-635-8 C3037 定価(2,500円+税) |
特集 特別支援教育施行10年 特集にあたって/窪田知子(滋賀大学) 特別支援教育10年の検証 荒川 智(茨城大学教育学部) 特別支援教育の10年を統計資料や政策文書をもとにレビューし,検証の視点を提示した.特別支援教育の元々の理念はどこまで実現されているのか,そもそもその理念は妥当なものだったのか.一人ひとりの教育的ニーズに応えるといいながら,障害の種類と程度に応じた教育という実態は変わっていない.特別支援学級等の児童・生徒が急増しており,通常学級における発達障害児等の支援は成功しているとはいえない.特別支援学校という制度は多くの矛盾を抱えている.インクルーシブ教育システム構築の政策は,真のインクルーシブ教育の理念とは異なっている.この10年は決して肯定的な評価ではすまされない. 小学校通常学級における子ども理解と授業づくりの課題 ――全国学力学習状況調査体制の下で 石垣 雅也(近江八幡市立岡山小学校) 小学校通常学級においては全国学力学習状況調査の結果から導かれる子どもの課題と,それに対する授業改善が強く求められている.その結果通常学級の教育は調査結果と指導法が直線的に結びつけられ,一人ひとりの子どもの学習の事実が排除される傾向が強まっている.これは特別支援教育上最も重要な一人ひとりの子どもの発達的課題や学習上のニーズを把握することが教育実践から排除されることにつながる.それらの現状を踏まえ本稿は,調査結果がどのようにして指導方法までを規定していくのか,学習に課題のある子どもの実践における実践上の課題,実践上の制約が強まる中でも一人ひとりの子どもの学習の事実から始める教育実践の構想とその実践事例について述べた. 特別支援教育制度下における就学システムの改定と就学動態 越野 和之(奈良教育大学) 特別支援教育の具体化過程から今日に至る就学システムの改定として,@2002年学校教育法施行令改定,A特別支援教育発足時(2007年)の制度改定,B2013年施行令改定の3つの局面に注目し,それぞれの特徴と背景を述べるとともに若干の論点を指摘した.その上で,過去20年間の特別支援学校(旧・盲・聾・養護学校)小・中学部ならびに小・中学校の特別支援学級(旧・特別支援学級)の新入学生(第1学年在籍者)の量的推移を検討し,数次にわたる就学システムの改変は,量的な指標で見る限り,現実の就学動態にはほとんど影響を与えていない可能性を指摘した.これらを踏まえて,地方自治体における体制整備とそれを可能にする国レベルの条件整備の必要性を論じた. 実践報告 発達障害の子どもの育ちと生活を支える通級指導 小池 雄逸(東京都・小学校教員) 「特別支援教育」時代における職場づくりの試み ――子どもの発達要求に寄り添える学校をめざして 信濃 健介(公立小学校特別支援学級) 仲間とともに学び合い高め合う3年間 ――中学校特別支援学級の取り組み 谷田 三枝子(広島市立祇園中学校) 高等学校における特別支援教育をめぐる議論 北原 恵美(長野県箕輪進修高等学校) 動向 改訂教育要領,改訂学習指導要領で障害児教育の現場はどうなる? ――特別支援学校幼稚部改訂教育要領、小学部・中学部改訂学習指導要領の内容とその問題点 佐竹 葉子(全日本教職員組合障害児教育部) 連載/実践に学ぶ @関係者の支えあいの中で育つAくん ――在宅重症児のニーズに応える関係機関との連携 南 有紀(和歌山県立紀北支援学校愛徳分教室教諭) 【南実践に学ぶ】 発達的理解が「じっくりとした取り組み」を生む 木 尚(日本福祉大学) A“もうひとりの自分”に出会うヘアメイク教室 河村あゆみ(美容師、岐阜大学障害学生支援コーディネーター) 【河村実践に学ぶ】 山中 冴子(埼玉大学) 連載/発達保障のために学びたい本 第16回 江口季好著『障害児学級の国語(ことば)の授業』 羽山 裕子(滋賀大学教育学部) 書評 清水寛著『ハンセン病児問題史研究――国に隔離された子ら』 一盛 真(大東文化大学) ■障害者問題研究 バックナンバーへ |
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