障害者問題研究 第46巻1号(通巻173号) |
JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2018年5月25日発行 ISBN-984-7-88134-655-6 C3037 定価(2,500円+税) |
特集 障害児(者)医療の発展と今日的課題 特集にあたって/細渕富夫(埼玉大学) 重症心身障害児の在宅医療と地域ネットワーク/三浦清邦(豊田市こども発達センター) 医療の進歩により,重度の障害があっても,医療的ケアが必要であっても,幸せに家族と生活することが可能となってきた.在宅で生活できるようになったのは,在宅医療体制と福祉・教育制度の発展によるが,まだまだ不十分なところもあり,在宅生活は家族の負担が大きい.しかし,国の様々な施策の効果もあり,各地で,医療・保健・保育・教育・福祉・行政が一体となって,在宅重症心身障害児者や医療的ケア必要児者とその家族を支える地域ネットワークができつつある.重症心身障害児者をめぐる医療的・社会的背景と,小児在宅医療・医療的ケア必要児者支援をめぐる背景と課題をまとめ,先進的な取り組みを紹介し,各地で支援ネットワークの構築が進むことを期待したい. 自閉スペクトラム症と医療課題/土岐篤史(浜松医科大学 健康社会医学) 1940年代に端を発する自閉症概念は,疾患史上,類を見ない変遷をたどった.現在では,発達的多様性をもつ集合体である自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)と考えられている.乳幼児の行動観察研究や疫学研究によって,ASDの基本的症候や臨床像が明らかになり,有病率の増加が各国から報告されるようになった.その一方で,ASDの本態や原因については未知である.そのため,ASDの状態像について共有が難しく,診断や連携に苦慮することがある.本論では,ASDに関する現在の医療課題を指摘し,その解決策として「コンコーダンス」概念を紹介する. てんかんの診断・治療の発展と生活支援/尾崎 望(京都民医連かどの三条子ども診療所小児科) 本小論では,今に至るおおよそ20年くらいのスパンでのてんかん医療の進展について概説した.てんかん医療の進歩を考える場合,様々な視点からの分析が可能であるが,ここではてんかんが疾患とともに障害の側面をもつことを考慮して国際生活機能分類(ICF)の視点を念頭に置いた.この20年間に心身機能=疾患へのアプローチは大きく進歩した.分子生化学,遺伝学,画像診断など基礎的科学・技術の進歩を背景に,てんかんの診断学,治療学が大きく変化した.一方で患者の生活を活動と参加からみる視点が導入されてきた.疾患へのアプローチの進展自体がそれに大きく貢献したことは言うまでもなく,発作をもちながら,治療を継続しながら生活している人たちのライフスタイルにおける課題,例えば保育・教育,妊娠,就労における課題,てんかんの精神症状,大震災など突発的危急事態における医療の在り方,などがあげられる.むろん残された課題もまだ多数存在しているが,着実に進み始めていることは明らかである.本小論では主要な要素につき紹介する. 報告 小児がんの子どもと家族の より良い療育環境を目指して /楠木重範(公益財団法人チャイルド・ケモ・サポート基金 理事長/院長) NICU卒業時の在宅移行支援 ――在宅移行期における家族形成支援の意義 /奈須康子(社会福祉法人埼玉医大福祉会 医療型障害児入所施設カルガモの家) 私が試みた小児心身医療の実際 ――サイン読みとり法から神経発達症のケースまで /大宜見義夫(同仁病院小児科 沖縄県浦添市) 特別寄稿 新生児医療から療育への体験 ――生と死のはざまにいつつ /橋本武夫(若楠児童発達支援センター 佐賀県鳥栖市) ◆連載/実践に学ぶ @子どもが育つ「居場所」となる学級づくり/住田里美(小学校特別支援学級) 【住田実践に学ぶ】 奈良教育大学 越野和之 A草津市発達支援センターの保育所等訪問支援の取り組み /大西 塁(草津市発達支援センター 発達相談員) 【大西実践に学ぶ】 神戸大学大学院人間発達環境学研究所 木下孝司 ◆新連載/ワイドアングル より多くの人が使える共用品・共用サービス /星川安之(公益財団法人 共用品推進機構 専務理事) ◆動向 経済成長施策としての「『我が事・丸ごと』地域共生社会」批判 /山崎光弘(日本障害者センター事務局次長)・峰島 厚(立命館大学産業社会学部特任教授) ■障害者問題研究 バックナンバーへ |
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