障害者問題研究 第50巻1号(通巻189号) JAPANESE JOURNAL ON THE ISSUES OF PERSONS WITH DISABILTIES 2022年5月25日発行 ISBN-984-4-88134-016-5 C3037 定価2750円(2500円+税) |
特集 入院中の子どもの教育 特集にあたって/栗山 宣夫 小児がん等の難病で入院中の高校生の教育保障の動向と課題 /栗山 宣夫(育英短期大学保育学科) 現在,小児がん等の難病で入院中の高校生の教育保障は,義務教育段階のそれと比べると大きく遅れている状況がある.一方,教育機会の保障及び教育的ニーズに応じた支援の提供を検討し,取り組み始めている学校や自治体も見られるようになってきた.そこで本論は,取り組み始めている学校・自治体の活動のタイプについて整理して示し,その取り組みが当事者の教育的ニーズに十分に応え得るものとなるかどうかを検討し,応えるためにはどのような施策や対応が必要かを提起した.障害の重い人の思春期における発達と教育実践 入院中の子どもの心の支援――“寄り添う支援”と“育てる支援” /谷口 明子(東洋大学文学部) 入院中の子どもたちが不安やストレスを抱えており,心の支援を必要とすることが指摘されて久しい.本稿では,子どもにとっての入院の意味と入院児の心理について整理し,心の支援について検討する.子どもにとって入院とは,生活環境の移行,家族や学校・友人からの分離,検査・治療による身体的苦痛,生活上の制限というストレスフルな経験であり,子どもたちは多様な不安をいだいている.入院中の子どもたちの心の支援としては,カウンセリングの基本に即して子どもの心に寄り添うことが重要であることは言うまでもないが,同時に,将来的な社会的自立を視野に入れた心理教育的支援の必要性も高まっている.本稿では,入院中の子どもたちの心の支援について,“寄り添う支援”とともに,特に援助要請力の涵養に焦点をあてて“育てる支援”についても検討した. 入院中の子どもを支える教師の専門性とは何か――院内学級の教師の教育観を考える /副島 賢和(昭和大学保健医療学部) 筆者がこれまでに検討してきた院内学級の教師の教育観について述べた.子どもの成長を促すためには,教師自身が成長していくことが必要である.そこでまず,院内学級の教師の現状と,病院の中で病気のある子どもたちに関わるという特殊性を述べる.特殊な環境で教育を行うためには,その環境に合った専門性が必要となる.そこで次に,院内学級で教育を行うための院内学級の教師特有の教育観について述べる.ここでは特に,子どもとの関わりの視点から教育観について考える.そのため,子どもの声や具体的な子どもの姿を紹介する. 報告 病弱総合支援学校のセンター的機能を活用した入院する高校生の学習支援――高校生学習会と同時双方向型配信授業の取り組み /篠原淳子(京都市立桃陽総合支援学校 支援部長・医教連携コーディネーター) 報告 成田赤十字病院における高校生がん患者に対する教育支援の取り組みとその成果 /寺田和樹(成田赤十字病院小児科) 報告 病棟保育の現状と課題――病棟保育の専門性を高めるために /林 典子(帝京平成大学) 動向 スウェーデンにおける病気の子どもの教育ケアの動向 /髙 橋 智(日本大学文理学部教育学科) 連載/実践に学ぶ 【特別支援学校中学部の実践】 「ぼくの気持ち,わかってくれる?」――人とつながり,広がるシンヤくんの世界 /滋賀県・特別支援学校教員 堂 章世 【堂実践に学ぶ】 自閉症児の教育の基本を考える /滋賀大学名誉教授 黒田吉孝 連載/実践に学ぶ 【高齢家族と障害者支援の実践】 子どもより先には死なない ――家族と障害の重い仲間の生活を支える中で学んだこと /社会福祉法人ゆたか福祉会 北名古屋市・ゆたか生活支援事業所尾張 大田哲嗣 【大田実践に学ぶ】 家族であることを支える難しさ /田中智子 佛教大学社会福祉学部 連載/ワイドアングル 第17回 介護保険制度の経過と現状,今後の政策課題について /林 泰則 全日本民主医療機関連合会 事務局次長 動向 生きる力を支える小児緩和ケアとこどもホスピス /田川尚登 NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト代表理事 書評 内藤千尋著『発達障害等を有する非行少年と発達支援の研究』 評者 金子陽子 元高松矯正管区長・元少年院長 ◆本誌読む会(2022年6月20日)のお知らせ(PDF) ■本誌紹介チラシ(PDF)をご活用ください ■障害者問題研究 バックナンバーへ ■ご注文は、つぎの 「オンラインBOOK全障研」からクリックしてください。 送料含む代金は郵便振替等にて10日間以内にご送金ください。 |