○イオンの出店と東久留米の環境とまちづくりを考える 市民のつどい 2006年5月20日の記録 *事務局の責任で、市民のつどいの概要を記録したものです。 ○2006年5月20日 午前10時〜12時 ○東久留米市役所 市民プラザ ○参加者90名をこえる ●あいさつ 塩田俊郎(旧第一勧銀グランド跡地利用と環境を考える会代表) 湧水・ホタル・みどりと自然豊かなまちと思っていたが、突如イオンが来るということで動いてきた。今日は専門的な話を聞き、これまでの様々な取り組みからの報告も聞きながら、今後の活動への一里塚としていきたい。 ●お話1 市政の焦点はなにか 渡辺健一さん(東久留米市議会議員) ・平成16年3月議会の施政方針で市長は「公表」したというが、「イオンを誘致する」とは判断できなかった。 ・同年4月7日、業界紙が「イオンのショッピングモールを平成18年に着工」と報道し認識した。 ・都市計画マスタープランは市民参加でのまちづくりを考えている。それを市民参加なしで、市長の政策判断だけで勝手に変更してイオンの誘致を考えたことが最大の問題。 ・イオンの大きさ 延べ床面積(95,100u)、本町ヨーカドーの1.81倍 商業施設延べ床面積(74,800u)、本町ヨーカドーの4.94倍 駐車場(2,020台)、本町ヨーカドーの2.16倍 売り上げ高の予想(200億円) (現在の市内小売業の売り場総面積は78,251u、売上高998億8,200万円) ・イオンが売上高の20%を占めると予想できる。市長は「お客は地元商店街に戻ってくる」と言うが、小売業者がどこまで耐えられるのかは大問題だ。 ・市長の「総合的」判断のなかには市民の健康問題は入っていなかったことが市長交渉でわかった。 ●お話2 葛飾からの提言 木村陽治さん(元都議会議員) ・法律違反でなくても、まちづくりとしては認められないものがある。地域の声(世論)をあげて運動していくことが大事。 ・葛飾区では、工場跡地の開発計画は、@高層マンション、A大型商業施設の2つだった。 ・亀有のヨーカドーを中心にした商業施設が3月にオープンした(イオンのケースとよく似ている) <葛飾の問題点> ○慢性的な交通渋滞(オープン時渋滞6キロ、現在は信号2回待ち程度にはなったが) ○空気が悪くなった。 ○交通事故(バイク・自転車)が多くなった。 ○人の流れが変わり、従来の商店街が衰退した。 ○パチンコ店が商店街へ進出し、物販の商店街から「快楽街」へと変化。 ○夜11時以降に中学生以上の子どもたちがたむろするので、夏休みを心配する声が <東久留米で予想される問題点> ○道路(片側1車線)が狭く、小学校の前という考えられない立地条件。 ○所沢街道は歩道がないので、子どもやお年寄りの安全確保が心配 ○自転車利用者が増える可能性があるので危険。 ○営業時間が長いので、放置自転車が増える可能性がある。 ・どういうまちをつくっていくのか、行政の責任が問われている。 ・熊本市では市長が不許可している。市民の世論を大きくし、運動を継続していくことによって、阻止していくことは可能だ。 ●お話3 環境問題を考える 藤田敏夫さん(環境アセスメント問題都民連絡会代表幹事) 1.大都市郊外部の大型小売店規制の動きに逆らう駆け込み出店計画 ・都市郊外に大型ショッピングセンターが進出し、地元の商店街が衰退し、空洞化している ・福島県では「商業まちづくり条例」を制定、長野市、熊本市などではイオンの出店を拒否している。 ・「大型店の規制が必要」と考えている人は60%に達している(内閣府世論調査) ・衆議院国土交通委員会では都市計画法の改正案を可決。第1種中高層住宅専用地域には出店できないことになった。今回のイオンの出店計画は駆け込み計画である。 2.イオン東久留米大型ショッピングセンターの建設事業は東京都環境基本計画の趣旨に反している ・「東京都環境基本計画」では東京都における環境の2つの危機 @自動車交通の増大による大気汚染 A地球温暖化に伴うヒートアイランド現象の深刻化を挙げている 3.自動車使用に関する東京ルールに違反する事業計画 ・「自動車使用に関する東京ルール」(1992年12月決定)でも、自動車の使用を減らすことを決めている。 4.イオンショッピングセンターは大量の自動車交通を誘発する ・休日12900台の集中。発生交通量は、たとえ道路拡幅計画が実現しても周辺地域では大混乱が起きて、大気汚染に悪影響を与える。 5.駐車場の必要台数の確保は経済産業省の指針の40% ・「大規模小売店舗を設置するものが配慮すべき事項に関する指針」によって算出した必要駐車台数は5014台。2020台のイオン側の算出はありえず、渋滞になる事は必至。 6.大気汚染と気象の現地調査 ・静穏日(風速0.4m/sec以下)大気汚染が悪化する典型日が15.7%もある。 ・新日本婦人の会が「大気汚染測定運動東京連絡会」に5年間参加している(6、12月の2キロメッシュ測定)結果からは、直線的に二酸化窒素濃度が上昇していることがわかる。 ・光化学スモッグ注意報が昨年6月24日〜9月19日に6回発令されている。 ・気管支ぜんそくの罹患率が小学6年生の男子6.3%、女子5.8%で自然有症率の2.3〜2.5倍(東京都教育委員会 学校保健統計書2003年版から) ○この地域に自動車交通を集中させると排ガスが拡散されず高濃度汚染が予想される。 ○小中学生の健康に大きな負荷を与えることになる。 7.計画地周辺の道路整備計画 ・都市計画道路(東3・4・18号線)をイオンや東久留米市が作ることについては、「東京都都市整備局は何も聞いていない。現在着工していないので平成20年度完成は不可能」とも答えている。 ○東京都は東久留米市が勝手にやっているのだろうと返答 ・五小通りの拡幅はイオンの前だけなので問題は大きい。 8.地球温暖化防止のため24時間営業計画は取り止めること ・青少年に悪い環境を与える。(例江東区) 9.環境影響評価調査計画書が今年1月に公表されたが、その後環境影響評価の手続はストップしているので、世論を広げ、運動を広めていってほしい。 (質問) @用途地域変更が本当にできるのか?、A今の計画がどこまで進んでいるのか? 反対運動は間に合うのか? (答) ・現在予定地は「第1種住居専用地域」。都市計画マスタープランでは都市計画道路が完成しても、流通業務(商業施設はだめ)市は地区計画(第一勧銀の跡地と所沢街道の地域)をかけ、結果的に商業施設が可能としようとしているが、無理だろう。市の都市計画審議会や都の都市計画審議会などもある。 ・地域の世論との力関係で計画をくつがえすことはできる。 ●地域で取り組まれているみなさんからの発言 ○篠宮孝さん(所沢街道沿道商工業者連絡会) ・交通渋滞が広がる予想に対して、市役所としての対応はない。対応する法律がない。 ・消防自動車、救急車、パトカーが来ない場所になる。 ・イオンや市は「警視庁と協議して了解を得た」と言っているが、そうではないらしい。 ・バス、タクシーがなかなか来ない地域になる。 ・イオンに入りきれない車がヨーカドーに移動するとさらに渋滞地域が広がる。 ・近隣の人も内容を理解していないので、あきらめているが、一種の洗脳のようだが、事実は違う。 ○小島英樹さん(フォレストレイクひばりが丘イオンショッピングセンター対策委員長) ・西東京市民だが、住環境が悪化していく。 ・子どもたちの安全に対する不安が募る。 ・一方で、買い物の便利さを言う住民もいる。 ・説明会はあるが、具体性がなく、同じ事を繰り返すばかりで納得できない。 ・税金の増収で市がどれほど潤うか疑問もあるが、たとえ少しの増収を子どもの命やお年寄りの安全に変えてしまってもよいのか。 ・東久留米市のみなさんと一緒に署名を集め、27日には市長交渉も計画している。 ○西村妙子さん(新日本婦人の会) ・二酸化窒素の簡易測定をメッシュ調査5か所、その他35か所調査を継続している。 ・以前は新青梅街道や小金井街道で市内の最高値を計測していたが、昨年は南沢の所沢街道が最高だった。子どもたちの健康が心配。5小の前でもあるのでさらに心配。 ・市長は子育て支援をすると選挙の際に公約していたのに、実施していないのには怒りがある。 ○岩崎達夫さん(イオン出店問題を考える前沢・南町の会) ・3回の説明会をもち、イオンの話を聞いたが、交通や健康問題など納得のいく答えは得られなかった。 ・市長交渉にも参加して、この問題の責任は「誘致する」市長だと痛感した。 ・市長は健康や商店営業など市民に対する影響に対することを考えていないことがよくわかった。 ・ぜひ署名にも取り組んでいきたい。 ●フロアからの質問と発言 ○環境影響評価の手続は継続していると、イオン側が説明会で発言していたが。 ○渡辺(環境アセスメント問題都民連絡会) ・「環境影響評価調査」は事業を計画した人が、計画を実行した場合に環境にどのような影響が出てくるのかを考えて配慮するための手続 ・イオンが地域の環境への影響を真剣に考えた場合には、この計画は成り立たないと思う。 ・もしも、計画を実施することになれば、環境への配慮は無視するということになる。 ●今後のとりくみについて 篠原重信(旧第一勧銀グランド跡地利用と環境を考える会事務局長) ・「住宅地(南沢)の、第5小学校の前に、車が1日8千台出入りする環境・健康破壊、住民無視のイオン出店計画の中止を求める要請書」の署名を集めましょう。 ・「旧第一勧銀グランド跡地利用と環境を考える会」にぜひ入会しましょう。 |
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