北欧 研究ノート2018
わたしの見た北欧のノーマライゼーションの暮らしの場
レジスタンス運動に参加し、ナチス・ドイツの収容所に投獄されたコペンハーゲン大学法学部の青年=バンク‐ミケルセン(1919年〜90年)。
彼は、戦後、社会省に勤務し、知的障害者親の会の運動を手伝う中で、ノーマライゼーション(障害のある人たちに、障害のない人と同じ生活条件をつくりだすこと。−すべての人に自由と独立を−)を提唱した。
世界の障害者の権利保障運動に大きな影響を及ぼし、障害者権利条約にもつながっている。
しかしながら、日本ではノーマライゼーションは「脱施設化」が強調されるあまり、同年齢の市民と同等の生活条件をつくりだす側面が弱い。
デンマークでは、1960年代からのノーマライゼーションの運動によって、大規模な施設ではなく、より小規模な、自由やプライバシーが尊重されたそれぞれの住まい、「家」としての生活が追求された。
1976年に生活支援法、98年には社会サービス法が成立し、「特別なニーズと配慮」が位置づけられた。
顔の見えるような小さな町で、ノーマライゼーションが暮らしの場でどのように実現しているのかを見て、聞いた。
デンマーク
○ヘルシンガー(人口7万)
支援のある多機能型総合住宅SPUC(24時間ケア対応住宅+高齢障害者住宅+アパート+余暇活動センター)の暮らし
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2013年:初訪問
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2014年:利用者200人スタッフ80人
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2015年:仲間とつながって生きる
重度知的障害者の暮らすグループホーム・クロンボーフス
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クロンボーフスの10年
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2013年:再訪
○田舎町スーロン(200人が暮らす大規模生活施設)の変遷
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2001年:ライフ・イズ・ビューティフル
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2012年:「廃止」から「継続」へ
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2014年:変革
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2016年:新しい住まい
○ミゼルファート(人口4万)
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2010年:古くからの生活施設・ヴェステボの変化
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2010年:精神障害者たちのアパート
○オーフス(人口30万)郊外にある触法障害者のケアファーム
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2012年:働く場+「刑務所」?
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2014年:罪と罰
○コペンハーゲン(人口58万)にあるグループホーム
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2016年:街中のグループホーム
スウェーデン
○イースタッド(人口3万)
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2017年:知的障害者のグループホーム
○ストックホルム(人口95万)にある精神障害者のアパート
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2009年:精神障害者のサポート住宅
フィンランド
○エスポー(人口26万)にある300人が暮らす生活施設・リンネコティの変化
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2008年:重い障害者の居住施設
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2017年:ノーマライゼーションの実像
子どもたちの住まい
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2008年:ヘルシンキの障害児生活施設
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2016年:デンマーク・シルケボーの子どもの家
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2017年:ストックホルム郊外にある寄宿舎
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2017年:フィンランドの児童養護施設・SOS子どもの村
わたしの見た北欧のノーマライゼーションとインクルージョンの教育実態
第26回発達保障研究集会 2018年3月18日 「自由研究」
薗部英夫(東京支部)「わたしの見た北欧のノーマライゼーションとインクルージョンの教育実態」
(PDF)
デンマーク
統合教育から特別ニーズ教育の模索
デンマークでは、統合教育(インテグレーション)から特別学校の再評価の歴史がある。特別学校は、1985年から20年の間に、2倍以上も増加した。「より専門的な知識に基づき、障害児の個別的な教育ニーズにあった特別教育を行うべき」として、「障害の種類と度合いに応じて、多様な特別教育が実施された」(片岡豊「デンマークの障害児教育とインクルージョン」、リハビリテーション2004年)。北欧では、デンマークに限らず、「場の統合」を重視しながら、それぞれの特別なニーズと障害や発達をていねいに検討しながら教育実践がされてきた。
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1993年=ヘルシンオア市のグリュモーゼ小中学校
(300人)
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2001年=オーフス市の小中学校
(435人)
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2004年=アレロズ市の小中学校
(500人)
選択される特別学校
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2007年=コペンハーゲン市ギールスゲート・スコーレン
(100人、学習に遅れのある脳性マヒ児、重複障害児、視覚・聴覚障害児の3コース+学童保育所、寄宿舎(7名利用)、ショートステイ施設を併設)
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2012年=オーフス市 ステンサーゲル・スコーレン
(225人、重い知的障害児。24人は重複障害、54人が自閉症など。教師70人、ペタゴー(生活支援員)70人、他にPT、ST、音楽、心理、視聴覚の専門家。自宅通学の150人は学童保育利用)
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2013年、
2014年 コペンハーゲン市 エングスコーレン
=軽度知的障害のある子らの特別学校(100人。IQ40〜80。ADHDや自閉症の子も。60%が17カ国からの移民の子。保護者の多くは生活保護などを受給。教師21人+4人母国語(ソマリア・アラビア・トルコ語)教師。ペタゴー(生活支援員)3人。1クラス6〜7人。意図的に15〜20人の授業もする。国語・算数・英語は重視
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2016年 コペンハーゲン市(60万人) 特別学校=フェンスマルクスコーラン
(100人/全市400人。「一番支援度が高い子どもたち」のため市内に4校ある特別学校の一つ。自閉症や重度の知的障害のある子どもたち。1クラス8〜14人、各クラス教師3人+ペタゴー3人+助手3人=9人チーム)
スウェーデン
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2008年(学ぶこと働くこと)
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2015年 ストックホルム市 リンデパルケン知的障害児特別高校
(104人が60人のスタッフ(教員25人、アシスタント25人、その他管理職やレストランスタッフと4年間。義務教育は9年だが、知的障害のある子どもたちは10年間ゆるやかに教育している
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2010年 ソルナ市 基礎学校
3人の障害児をベテラン担任と若いアシスタントが、同一敷地内で独立した「学級棟」で教えていた
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2013年 ストックホルム市 1300人が学ぶストックホルム最大の高校
フィンランド
インクルーシブ教育の挑戦
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2007年
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2009年
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2010年
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2013年 エスポー市(30万) オーロラ学校
(356人16クラスの小学校、教師24人+アシスタント4人+インクルーシブ教育担当1人)
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2015年 エスポー市 マルティンカッリオ総合学校
(小中学校)
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2015年 ヤルヴァンパー市 ヴァリディア障害児職業学校
(600人、教職員280人。120人の寮)
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2010年 エスポー市 就学前教育と低学年児のホスマリン・プイストコウル
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2010年 ヘルシンキ市 総合学校(小中学校)
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2017年 エスポー市 ケスクスプイスト職業学校
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1000人、元国立の視覚障害特別学校、現在は、知的障害、自閉症などの障害児も学んでいる。15のコースがあり、700人は職業学校として300人はそれ以外の学びの場という位置づけ)
国民高等学校の伝統(デンマークとスウェーデン)
フォルケホイスコーレ(国民高等学校)は北欧独特の成年教育。発祥の地はデンマーク。現在80校近くがそれぞれ特徴を持って運営されている。創始者は「デンマークの精神の父」=N・F・Sグルントヴィ。アンデルセンなどと同時代の人だ。彼の思想は、日本では内村鑑三や宮沢賢治らに影響している。グルントヴィは、1830年代のイギリスに学び、学生と教師の共同生活に驚いた。授業以外でも、食事をともにし、広場で遊び、互いに討論しあう。学生は教師の見識に敬意を払い、教師は学生を尊敬する。そして欧州の産業革命や労働者階級の台頭など新しい社会発展における「自由」に感銘を受け、「精神の自由」が教育にとって最大で唯一の条件であると確信する。そんな体験が国民高等学校のベースとなり、農民青年たちの学びを土台にして、デンマーク社会をリードする協同組合運動が発展する。
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2010年 フェノーサンフリースクール
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2012年 ジュールスランド・ホイスコーレン
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2014年 エグモント・ホイスコーレン
(196人内半数が障害者、40人が電動車椅子ユーザー)
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2016年 ストックホルム市 聴覚障害者が学ぶモーゴード国民高等学校
全国に4校合計119人が学んでいる(教員26人)
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2017年 ストックホルム市 学びの成人学校LARVUX
(300人、教職員30人)
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UPdate:2018-8-29
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