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母校での3日間の集中講義(「特別なニーズ教育」という名の「ITと障害者の人権」)も明日は最終日。今夜は、金沢の街をそぞろ歩きました。
白鳥路を抜け石川門下に出て、紺屋坂を上がり、この桜の木の下にたしかに20歳の自分がいたことを確認。
黒いシルエットの兼六園を左に、いまは何もない中署前に。
今朝の北國新聞は駅西にできた豪華新庁舎への県庁と県警本部の引っ越しが一面記事。
昨晩遅くまで飲んで語った白山書店のおじさんは、引っ越しのどさくさに貴重な公文書を点検することなく捨てている。かつて「天下の書府」といわれた面影やいかに!と怒ってたな。 |
大手門跡
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地図を見ると、「百万石通り」という安っぽい名前となっている広坂の通りを歩けば、教育実習で6年生の音楽を担当した付属小学校跡は、なにやら市の美術館をつくるという。
久しぶりの金沢は、この不況下にもかかわらず土木工事がやたらに多い。
白山書店でいっしょした白髪が増えたかずさんは、新幹線がやってくる駅の上30メートルに傘の様に広がる巨大なドーム建築計画もまじにすすんでるよと語っていた。
大学もその大規模土建プロジェクトの中核なのだろうか。工学部系を小立野からそっくりもってくるための、山の切り取りと道路づくりが完成し、上ものが組み始められている。
煉瓦とコンクリート色の巨大キャンパス。クリスマスの夜には工事現場の明かりで巨大なクリスマスツリーができていたそうだ。 |
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今日から雨になった。
昨日、一昨日と雪が降った。
柿の木畠の中華料理屋「北京」の「小えび天定食」が無性に食べたくなった。
学園祭企画の講演会で、ある大御所さまを招いたとき、夕食をこの「定食」にしたことがある。かの大御所さまは、プイとされてしまった記憶がよみがえる(俺、この定食が一番ごちそうだったんだよなあ)
税込650円の定食は、むかしのようなとびきりの豪華さは感じないものの、けっこうじんとくる味がした。
雨に風が強まってきた。
湿気をたっぷり含んだ空気はとても濃密な感じがするのだが、風は冷たい。
月明かりの中を雪雲がどんどん走っている。
「無言歌」を訪ねた。
時間は、20年間まったく止まっていた。
スピーカーも変わっていない。
内装もむかしのままだ。
バッハのマタイ受難曲が流れていた。
1杯のコーヒーで1時間。
客はわたし一人。
じつに久しぶりに、たっぷりとした時間が感じられた。
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雪の犀川大橋
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「昨日の残り物ですが、、」と帰り際に差し出された一杯の白ワインに酔ったわけではないのだけれど、
それから、尾山神社の前を通り、宮守下、尾崎神社と、「南下軍の歌」とか、「琵琶湖就航の歌」とか、「さちこ」とか、
全然脈絡のない歌を鼻歌しながら歩いたのだ。
あの道は、いまはなき先輩と肩をならべて歩いていた。
いったい何を熱っぽく話していたんだろう。
あの公園で、ずいぶんと語り合っていたひともいた
あの街角では無言で何時間も歩いていた、、、
そういえば、あれだけギラギラしていた日々はほとんど思い出しもせず、
あこがれていた、さまざまな美しかった人たちのことが、
(具体的なイメージでうかぶわけではないのだが)
妙に懐かしく、
そのなんともいえない密度の濃い空気が感じられるのである。
2002年12月28日
金沢 大手門側の宿舎にて
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