大会アピール  国民のみなさんへ
 
 二〇世紀のあゆみに学び
  平和・人権・発達保障の新世紀を
 
 このテーマのもと、私たちは7月28日から3日間、震災から5年半が経った兵庫で第34回全国大会を開催しました。大会には、全国各地から、障害者、家族、関係者、ボランティアなど、3000名をこえる人たちが集いました。兵庫での全国大会は、11年ぶり2度目となり、震災後の兵庫県の障害者福祉の運動の広まりと高まりの中で成功をおさめました。
 
 今大会は、20世紀最後の大会であり、21世紀を平和と人権、発達保障の世紀とする確かな展望をつかむ機会となることが強く望まれました。
 開会全体会では、あしや喜楽苑々長の市川禮子さんが、「人生の最終章こそ心ゆたかに」と題する記念講演を行いました。市川さんは、高齢者福祉の豊かな実践をもとに、高齢者の人間の尊厳を守り、自立と自己実現、社会参加を尊重し、地域に支えられて普通の生活をあたりまえに過ごすケアの保障と、二一世紀を人権の世紀とすることの課題と展望について、熱い思いを語り、参加者に深い感動を与えました。また、兵庫からのメッセージは、震災後の障害者の生活をリアルに描き、その中から人間復興をめざして苦闘してきた足跡を語り、会場に大きな共感をよびおこしました。
 
 分科会では、教育や福祉の現場でのすばらしい実践がたくさん報告されました。同時に、教育基本法の抜本的改悪のたくらみ、新学習指導要領の押しつけ、教職員にたいする管理統制の強化など、子どもの発達保障をはばむ動き、介護保険や無年金障害者をめぐるきびしい生活の実態、社会福祉基礎構造改革の問題点が浮きぼりになりました。
 討論ではまた、障害をもつ人びとの地域での生活を楽しくゆたかなものにしたいという強い願いが示され、本大会の特徴となりました。障害をもつ人たちの文化・スポーツや学習への要求にこたえた青年学級が、多彩に展開されています。また、ここ数年注目されてきた放課後保障のとりくみは、全国各地にいっそう広がっています。そこには、国や自治体の制度・施策の貧しさをのりこえてすすむ実践と運動のたくましい力が示されています。
 
 今世紀は二度の世界大戦を経験するなかから、平和の尊さ、人間の尊厳と権利の確認という点で前進をとげました。新世紀に向かって、障害者の人権保障、ノーマライゼーションを前進させ、すべての人の人権と発達が保障され、安心して暮らせる社会にするために力を合わせていきましょう。
 
2000年7月30日                全国障害者問題研究会第34回全国大会


■ もどる