「5・14緊急フォーラム」での発言
  池添素 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会事務局長

 子どもたちの未来を保障する法律を
    障害児にかかわる自立支援法の「改正」について


●国の責任を明確に
 今回の障害乳幼児への支援についての改正案は、児童デイサービスを自立支援法から児童福祉法に再編されるなど私たちの声が一定反映されたものと言えます。しかし、契約や日払いのしくみがそのまま残っているのは、いかがなものかと考えます。保育制度にも契約の導入などの動きがあるなかで、国や自治体が子どもの福祉の責任から手をひこうとしている事実に拍車をかけないか心配しています。

 さらに、「一元化」で地域の偏在をなくすと言われていますが、本当にできるでしょうか。通園施設の実施主体が、都道府県から市町村に変更されますが、ますます地域格差が大きくなるのではと危惧します。私が住んでいる京都では、障害が発見され療育に通いたいと思っても、どこも満杯で利用することができません。契約さえもできないのです。選べるなんて論外です。

圧倒的に数が足りません。

 発達障害の子どもたちも増えています。小さいときからの子育てへの支援はもっともっと必要です。親まかせにするのではなく、市町村まかせにするのではなく、国の施策として財政措置が必要です。


●補装具にも改善策を
 補装具や育成医療については、なんの改善策も示されていません。障害の重い子どもにとって医療や訓練は命綱です。補装具は、自立した生活を営むうえで不可欠です。軽減策があっても、もともと補装具は高額です。障害があるから発生する負担を親や家族に課す。こんな情けない、悲しいやり方はすぐに見直してほしいと考えるのは私1人でしょうか。


●「施設をよくする会」設立
 もう一つは、30年間まったく変わらないし、それどころか、ますます存在が大切になってきている障害児の入所施設のことです。自立支援法になり、措置から契約に移行する子どもが存在するようになりました。同じ施設の中に、措置の子どもと契約の子どもをつくり、現場に大きな矛盾をもちこんでいます。

 入所の理由は、養育困難、虐待など、もともと困難を抱えた家庭の子どもたちです。当然、お金を払えない家庭が増え、場合によっては、退所ということにもなります。

 そのため、運営費は減収となり、そのしわよせは職員と子どもがうけています。今回の加算も、1人分の人件費にもなりません。職員の給料は低く、私の友人は結婚もままならないとなげいています。

 入所の子どもたちは、深い心の傷を抱えています。暴力で自分を表現するなど、しっかりと職員にかかわってもらうことを必要とする子どもたちは、以前にもまして増えています。しかし、子ども4・3人に1人という職員の配置基準は、30年以上変わっていないのです。

 最低基準の引き上げや安定した運営を可能にする入所施設のあり方の改善を望みます。このことについてもっと私たちが声を上げるために、6月28日、「子どもたちにとっての障害児施設をよくする会」を立ち上げます。


●子どもとしての権利保障を

 今回、子どもの分野でも大切な見直しがされています。しかし、今述べたこと以外にも、おきざりにされている問題がたくさんあります。

 「障害があっても、まず子どもとしての同等の権利を保障してほしい。そして、障害があるから、その子どもにとって必要な制度、支援を求める」、これが私たちのねがいです。子どもの権利条約、障害者権利条約。どちらからみても、子どもたちの未来が保障される、この国の法律をつくってください。