「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
●ムシ歯や口臭は障害が原因? 「障害のある人はムシ歯になりやすい」という印象をもっている人は多いのではないでしょうか。ムシ歯で苦しんでいる障害児者が多いことは事実です。しかしもちろん、その原因は障害ではありません。ほとんどは「口の中への気配りが足らなかった。放置されていた」ことが原因です。「障害のある人は口がくさい」というのも同様です。口臭の原因の大半はムシ歯の穴や歯間にたまった食べかすなどです。ムシ歯や口臭は歯と歯肉の健康回復で回復させることができます。 「よだれ」についても、障害が唾液の分泌をうながすわけではありません。口の中をきれいにして、そしゃく・嚥下の機能訓練をすすめると、大幅な改善が期待できます。 ●ポイントは「みがき残さない」こと ムシ歯や歯肉炎などの原因は、歯に付着しているプラーク(歯垢)です。プラークは単なる食べかすではなく、その成分の半分以上は生きて動いている細菌群です。したがって、口の中の健康を保つためには、正しいブラッシングによるプラークの除去が基本となります。 プラークは、うがいや水洗いでは除去できませんが、歯ブラシでこすれば簡単に取り除くことができます。歯をみがくときには、歯みがき剤をつけたり、ゴシゴシと強くみがく必要はありません。むしろ、すべての歯面に歯ブラシの毛先を届かせて、みがき残さないことが大切です。歯みがき剤をつけないと、うがいは不必要になりますので、ベッドの上などで簡単にすませることができます。 歯みがきは、三食とおやつの後に習慣化できればベストですが、それが難しい場合にも、夜寝る前には必ず行ないましょう。睡眠中は自浄作用が働きませんから口の中のバイ菌が増殖します。幼児の場合には、できればお昼寝の前にもみがいてあげてください。 ●ムシ歯になったら適切な治療を ムシ歯がいったん発生すると、どんなに歯をみがいても自然に治ることはありません。歯科医での治療が必要です。 障害のある人の場合には、専門的な知識や特別の治療方法が必要な場合があります(障害の重い人に対して行なわれる全身麻酔下集中歯科治療など)。ほとんどすべての歯科大学病院には障害のある人のための診療部門がありますし、地域の歯科医師会でも積極的な対応を図るところが増えています。 。 |