「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
●子どもや障害の重い人と薬 薬は、おとなと子どもで処方の仕方がちがいます。子どもは成長発育しますので、薬の量も年齢や体重によって異なってきます。最も合理的なのは、体表面積から決めるやり方ですが、一般的にはそこまでは行なわれていません。 子どもに薬を処方する場合、まず体重一キログラムあたりに何グラム、あるいは何ミリグラム投与するのかを決め、それに体重(キログラム)をかけあわせた値を一日の投与量とします。 そして、その薬を一日に何回に分けて服用するかを示します。二回であれば分2、三回であれば分3と記入します。一般に薬の分量はグラムで表記することが多いので、グラムを省略します。0・2と書いてあれば、0・2グラムのことです。グラム以外の場合には、必ず単位を記入します。 障害の重い人の場合、多くの種類の薬を服用していることがあります。副作用や医療過誤を避ける意味でも、二重、三重のチェックが必要です。医師から受けとった処方箋や、薬袋に印刷された記載も確認しておきましょう。 ●薬の効果と副作用 薬を服用するときは、その効果と副作用にも注意しなければいけません。とくに神経系に作用する薬(抗てんかん剤、筋弛緩剤、精神安定剤など)は効果と副作用の出現に大きな個人差があります。もちろん医師も注意していますが、身近にいる家族の目も大切です。新しい薬の投与を受けたとき、今まで服用していた薬の量が変更されたときに、疑問のある症状が出てきた場合などには、すぐに医師に相談することが望まれます。 たとえば、脳性マヒの人などに筋弛緩剤として使われるミオナールの場合、効果は約半数の症例にあらわれ、副作用は約2割の症例にあらわれたという報告があります。無効例が半数もあるわけですから、このような薬を用いるときにはその効果の有無を確認し、効果がないのに服用を続けることは避けるべきです。 生活の中でのさまざまな工夫などしても、興奮や睡眠障害がおさまりにくい場合には、鎮静剤や睡眠導入剤を使用することがあります。鎮静剤の効果も人によってさまざまですので、効果の有無は、家族などまわりの人が「効いている」と実感できることが必要で、「効いているような気がする」という程度では十分とは言えません。 |