「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
●リハビリは訓練だけではない リハビリテーション(以下、リハビリ)というと、治療を終えた人が歯をくいしばって歩く訓練をしている姿を思い浮かべる人が多いかもしれません。一般的にリハビリというと「専門機関で訓練士を中心に取り組む機能回復訓練」というせまいとらえ方が、まだ広く残っているのではないでしょうか。 リハビリでは、@疾病の治療と並行して早期から始めること、A病院でも在宅でも行なうこと、B本人、家族を中心にさまざまな関係者の協力で行なうこと、C新しい生活や人生を創造することなどが大切です。治るまで社会から孤立して訓練することではなく、外に目を向けながら、自分の生活を取り戻し、創造していくことがポイントです。 ●「QOL」も大切な課題 高齢や障害のため、「寝かせきり」にしたり、自宅に閉じこもりがちになることによって、筋力がおち関節が固まる、床ずれや肺炎になりやすくなるなど廃用症候群になることがあります。これは最も警戒しなければいけない機能障害で、家に閉じこもらないようにすることがリハビリになります。 リハビリでは、ADL(日常基本動作)が自立すること、身のまわりのことが自分でできるようになることは大きな目標になります。なかでも、食べること、排泄すること、座ること、立つことの訓練は重要です。しかし、ADLの自立ばかり求めると訓練を重視する傾向が強まって、本来の目的とずれてしまう場合があります。できないことはあるけれども、まわりの支援を受けながら、社会的な役割を果たしながら、自分の生活を創っていく。リハビリではQOL(生活の質)も目標とされなければいけません。 ●地域リハビリの充実をめざして 専門病院の訓練によって、できなかったことができるようになった。この段階でのリハビリは仮の姿にすぎません。生活の場で実行されるようになって初めてリハビリの到達点と考えられます。 この到達点を広げていくためには、病院での取り組みが中心である従来のやり方ではなく、地域ぐるみの新しいコミュニティの形成が求められています。高齢者や障害のある人たちが、安全にいきいきと生活できるように、医療や保健、福祉をはじめ、その人の生活に関わるあらゆる人びとが協力する取り組み「地域リハビリ」が求められています。 |