「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
●手足のしびれ、頸の痛み… 二次障害とは、成人障害者、とくに脳性マヒの人に見られる既存の障害(一次障害)の増悪や、あらたに出現した障害のことで、しばしば動作能力の低下をともないます。たとえば、手足のしびれ、頸の痛み、よくこける、ものを落とす、排尿の変化、肩のこり、腰痛、関節痛などの身体症状のほか、イライラする、ものを忘れるなど精神疲労の訴えもあり、症状は幅広くさまざまです。 二次障害の原因となる二次的疾患にはさまざまありますが、頸や肩、腕の痛みの場合には、頚椎症、頸肩腕障害などの疾患が疑われます。そのほか、脊柱側わん症と胸郭変形、変形性股関節症、関節拘縮、ポストポリオ症候群などもよくみられる疾患です。30歳前後から始まる人が多いのですが、早い人では20歳代から症状が現れる場合もあります。 さまざまな症状や動作能力の低下は、軽度の障害のある人よりも中度以上の障害をもつ人に、また年齢が高くなるほど多くみられる傾向があります。しかし、就労している人の場合には、その職種や労働条件のちがいによって症状のでかたが異なります。 ●生活全体に関わる総合的な対策を 二次障害の対策は、疾患や機能障害に対する治療的アプローチだけではなく、二次障害を生み出さない、悪化させない生活と労働の環境と条件を整備することが大切です。つまり、その人の生活全体に関わる総合的な対策が必要であることがポイントになります。 以下、働いている障害のある人を念頭に、のぞましい生活や労働のあり方についてふれます。 まず仕事(職場)については「作業の内容、作業時間は適切か」「長時間の同一姿勢の保持を防ぐため休憩時間に臥位で疲労をとるなどしているか」「机やイスの高さ、障害に応じた自助具やコンピュータの入力装置など環境が整備されているか」など、その人の障害の種類や程度に応じたきめ細かい対応が必要です。 生活面では、睡眠や食事をしっかりとって、規則正しい生活を送ることとともに、運動不足の解消と体力づくりが必要です。始業前のストレッチや昼休みの運動など有効です。 もちろん医療機関との連携も欠かせません。たとえば、歩きにくくなったなどの症状が、いつから始まったのか、なにかきっかけがあったのかなど整理しておくことは、二次障害の早期発見と治療方針を決めるために大切です。 「障害だからしかたがない」とあきらめずに、体の症状や生活を見つめなおすことから始めましょう。 |