「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
●世界的大流行をおこすインフルエンザ 毎年、冬になると心配なのは、風邪、とくにインフルエンザです。インフルエンザは、全身症状が強く伝染力が大きいだけではなく、高齢者や障害者など抵抗力の弱い人は、肺炎などを起こして重症になることもあるやっかいな病気です。 インフルエンザを引き起こすのは、インフルエンザウイルスです。ウイルスは細胞や細菌よりも小さな生命体で、インフルエンザウイルスは一万分の一ミリの粒子状です。大きく分けて、A型、B型、C型がありますが、世界的な大流行を起こして問題になるのはA型です。 なぜ、インフルエンザは冬に多いのでしょう。冬は空気が冷たく乾燥し、それによって鼻やのどなどの粘膜も乾燥します。また、寒さによって体の抵抗力が弱くなっていることに加え、インフルエンザウイルスが低温・乾燥に強い性質をもっているためだと思われます。 ●ワクチンを活用して予防する インフルエンザの治療の基本は、ワクチンと抗ウイルス剤、それに対症療法です。ウイルス性の疾患に特効薬はありません。ワクチンで免疫力をつけてかからないようにするなど予防が原則です。 インフルエンザの場合、ウイルスが毎年変異し、さらに十数年で大変異するためにワクチンの効果が限られ、インフルエンザの感染そのものを阻止する効果は疑問視されています。しかし最近では、感染の完全予防は難しくても、インフルエンザによる脳炎・脳症などの重症化を防ぐのではないかと注目されています。 近年、希望者にいきわたらないという事態も発生していますので、熱によってけいれんを起こしやすい人や、心肺機能の低下している人は、早めにワクチンの接種を検討してください。 ●皮膚のケアにも気をつけて インフルエンザ流行中はなるべく人混みをさけ、ウイルスに接触しない注意が必要です。外出から帰ってきたら必ず手洗いとうがいをしてください。室内の湿度が低くなりすぎない工夫も必要です。 冬は運動量が少なくなります。気候がいいときには、皮膚をきたえて風邪に負けない体をつくるために、寒さに気をつけながら外出もしてください。 冬は空気の乾燥のために皮膚も乾燥します。アトピーが悪化したり、乾燥肌の人はかゆみが増したりします。保湿用の軟膏をつけるなど、皮膚のケアにも気をつけてください。。 |