「みんなのねがい」の好評シリーズは、単行本『新版・子どもの障害と医療』
(尾崎望、出島直編、2000年、全障研出版部)になっています。
「みんなのねがい」2002年10月号では、つぎの特集(監修・尾崎望)を企画しました。
詳しい内容にはふれられていませんので、不明な点や、さらに詳しく知りたい点は
かかりつけの医療機関や医師にご相談ください。 (「みんなのねがい」編集部)
てんかん -- 治療の柱は、抗けいれん剤 ●発作型や病気の内容を分類する てんかんは、脳細胞の異常を原因とする慢性の脳疾患です。大脳ニューロンの過剰な発射による反復性の発作(てんかん発作)が特徴です。乳幼児に見られる熱性けいれんや憤怒けいれんなどは脳の疾患ではありませんので、てんかんではありません。 てんかんと判断される場合には、発作のようすと脳波検査によって、発作型の診断を行ないます。発作型は、脳の一部の細胞の異常な興奮によっておこる部分発作と脳全体をまきこんだ全般発作と、大きく二つに分かれます。 そしてその後、病気としての分類を行ないます。特発性、症候性、潜因性などの分類に、発症年齢や発作の組み合わせ、脳波の特徴などを総合して症候群を明らかにします。有名なものとしては、ウエスト症候群、レンノックス症候群などがあります。 ●治療の柱は抗けいれん剤 てんかんの治療は、抗けいれん剤を中心とした薬物療法です。発作型に対応していくつかの薬剤の候補を決めて、そのなかで優先すべき薬剤を選択して投与を開始します。各薬剤ごとに一日の投与量はほぼ決まっており、その二分の一から三分の一程度の量から開始します。そして状況を見ながら、二週間から一カ月ごとに漸増していきます。 薬の量を増やしても発作がおさまらない場合には、薬を変更します。このさい発作や副作用の状態など、患者や家族と医師の情報のキャッチボールが、治療を成功させる最大のポイントになります。 てんかん発作がなくなって副作用も見られない状態がベストですが、治りにくい発作の場合には、薬の種類、量ともに増えて、副作用もめだってきます。そのような場合には、おさえることと副作用をださないことの両者を天秤にかけ、どちらを優先させるのか、判断を求められることになります。 ●決められた量を、決められた時間に 最後に、薬の服用について注意することを述べます。 当然のことですが、まちがわずに決められた時刻に内服することです。あってはならないことですが、学校などで誤って別の子どもの薬を飲ませてしまった例もあります。 決められた時間に薬を飲むのを忘れてしまった場合には、気がついたときに内服し、その次の薬の時間をずらしてください。決められた一日の分量を、確実に一日で内服することが大切です。 薬を飲み忘れてしまうことによって、けいれん重績を起こしてしまう場合がありますので、十分に注意してください。 |