発達保障と教育・福祉労働(絶版)
 
コミュニケーション労働の視点から
  
   二宮厚美(神戸大学発達科学部教授) 著
 

    
定価 本体1500円+税     ISBN4-88134-284-3 C3036 
表紙

はじめに
  キーワードとしてのコミュニケーション概念
  教育・福祉労働の専門性への着眼
  コミュニケーションの扉を開く

第一章 コミュニケーションに根ざす精神代謝労働
  二種類に大別される人間の労働
  相互了解・合意としてのコミュニケーション
  物質代謝労働と精神代謝労働
  コミュニケーション労働に潜む苦悩や葛藤

第二章 発達保障における主客逆転の関係
  人間の発達の根源的意味
  発達保障労働における主役としての教育・福祉労働者
  主客逆転の弁証法の世界
  発達保障労働そのものを保障する課題

第三章 発達保障労働がひきだす享受能力の発達
  享受能力とは何のことか
  二つの世界にまたがる享受能力
  教育・福祉で問われる信頼感の絆

第四章 学ぶことは生きる喜びという人間の原点
  筋ジストロフィー患者の生きる喜び
  老人福祉現場の生きる喜び
  養護学校の享受能力のひとこま

第五章 コミュニケーション的理性の世界
  子どもの気持ちに寄り添うこと
  コミュニケーション的理性の意味
  求められるコミュニケーション的理性の力

第六章 三つの世界にまたがるコミュニケーション的理性の構造
  対話における三つの話題領域
  真理性基準のコミュニケーション的理性
  妥当性基準のコミュニケーション的理性
  共感関係のなかのコミュニケーション的理性
  相手を誠実に理解・了解する力
  仲間・共感関係に根ざした表現能力

第七章 発達保障とコミュニケーション的理性の発揮
  コミュニケーション労働としての発達保障
  小林多喜二の母から学ぶ
  三つのコミュニケーション的理性の同時発揮

第八章 アマルティア・センの福祉観と発達保障
  何の平等かという基準の設定
  アマルティア・センによる潜在能力アプローチの福祉観
  潜在能力と享受能力の相互関係

第九章 コミュニケーション労働に必要な政策的帰結
  知的熟練をもつ教育・福祉職人の道
  生き生きはつらつのコミュニケーションに必要な条件
  職場の裁量権と自治の確立

第一〇章 構造改革のなかの教育・福祉労働
  新自由主義的構造改革の見取り図
  契約型利用方式によるコミュニケーション関係の破壊
  用者本位主義の二面性

<補論>  現代日本の特別支援教育構想とコミュニケーション
  [1]新自由主義に制約された特別支援教育構想の特徴
     ◆特別支援教育構想の概要
     ◆教育改革と特別支援教育に見る子ども中心主義
     ◆個人単位主義と学習・教育分離主義の傾向
     ◆契約型利用方式に結びついた受益者負担主義
     ◆特別支援教育構想の問題点と課題
  [2]コミュニケーション概念と教育労働
     ◆相互了解・合意としてのコミュニケーション
     ◆コミュニケーション的理性の三つの世界
     ◆コミュニケーション労働としての教育

あとがき
参考文献

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