発達と指導をつむぐ
  
 教育と療育のための試論

 白石 正久
(龍谷大学社会学部) 著
  定価 本体2000円+税 ISBN978-4-88134-325-8 C3037  2014.8.9
  
 も く じ


はじめに 4

第1章 療育に求められるもの ―――――――――――――――― 9
1 障害のある子どもと家族にとっての乳幼児期 10
2 実践研究の大切さ 14
    実践研究の積み重ねによる療育者の育ち/「気づき」を支える実践研究/
    何のための療育なのかという目的・目標を吟味することの大切さ/
    「気づき」のための専門職の相互連携
3 発達への科学的認識の大切さ 20
    発達理論の学習を実践に生かす前提/発達の法則的理解/発達への見通し
4 療育の内容・方法の原則 26
    集団のなかで発達する/生活・文化を発達の源泉として組織する/生活・文化を創造する/
    子どもらしい生活を提供できる地域療育システム
5 親とともに創る療育 31
    療育の大切さは通うなかで認識されていく/療育からの公的責任の後退/
    療育を守り発展させていくために

第2章 療育における指導とは何か ――――――――――――――37
1 1969年、近江学園生活第1班の実践 39
    「ていねいな指導」をめぐる意見の対立/意見の相違を明確にした上での一致点に
    基づく療育/ぶつかり合い、共同しながら、活動を創造する子どもたち/
    発達のための基礎成分/きっかけは「湖畔学舎での子どもたちの主体性の発見/
    大人の教育的意図のありようを凝視する子どもたち
2 生活の教育的組織化の実践における分岐点 48
    生活の教育的組織化とは何か/意味・価値を共有し、主体的に学習すること大切さ
3 親と共同でみつめ合う子どもの発達可能性 52
4 学習、形成、発達の区別と連関 54
5 指導と支援の価値共有関係の相違 58
    指導は「はたらきかけるものがはたらきかけられる」関係での価値創造/
    「支援」に潜在する一方向性

第3章 子どもが意味や価値を発見できる教育 ―――――――――63
1 四つの実践論から 64
    子どもの歴史をみつめる/葛藤をのりこえる発達の主体を形成する/
    地域の中で自分らしく働くことを知る/文化と発達の系をつなぐ
2 発達を知る 69
    発達を知ることの大切さ/認識の過程と感情・意志の過程が統合される発達/
    矛盾を発達の原動力として内包する過程
3 子どもが意味や価値を認識できる指導 75
    子どもを常に創造の主体としてとらえる/子どもの生活史への想像によって
    教材に生命を吹き込む/生きる力としての文化、そして芸術/
    子どもの労働の価値を地域の中で相互承認する

第4章 教材研究に発達の視点を生かす ――――――――――――83
1 発達的認識とは何か 85
    「発達の状況」を理解するとは/「みかけの重度」の意味すること/
    発達的認識として求められること
2 子どもと教材がつくる単位 89
    文化を取り入れる単位/乳児期の発達の階層における単位/幼児期・学童期前半の
    発達の階層における単位/教材と子どもを媒介する指導の役割
3 教材研究という回路 96
    感情の過程への視野/感情の過程と生活の歴史/「懐かしさ」の意味するもの/
    普遍性ある単位の認識と個別性の認識の統合
4 教育目的・教育目標への問い 105


第5章 発達の過程と指導の視点 ―――――――――――――― 109
1 乳児期前半の発達の階層と指導の視点 112
    快・不快の情動分化と心地よい存在としての他者への志向性/
    生後4か月頃の主客を転倒させる「生後第1の新しい発達の原動力」の生成
    ――「人識り初めし微笑」など/「生後第1の新しい発達の原動力」の生成の障害
2 乳児期後半の発達の階層と指導の視点 119
    「一つ」から「もう一つ」への志向性/乳児期後半の発達の階層への移行における障害/
    生後10か月頃の主客を転倒させる「生後第2の新しい発達の原動力」の生成
    ――定位的活動の芽生えなど/「生後第2の新しい発達の原動力」の生成の障害/
    外界との「間」の形成/1歳半の発達の質的転換期へ向かう思春期の心理
3 1歳半の発達の質的転換期と指導の視点 132
    1歳半の発達の質的転換期と発達の連関/発達の諸力の連関を主導する自我/
    自己を対象化し復元させる力と2次元の萌芽
4 対比的認識と二つの操作の「結合」が獲得され始める発達段階と指導の視点 140
    「○○してから□□する」という「2次元形成」/「わかりたいけれど、わからない」という不安/
    「大きい自分になりたい」願い/「より良い自分」を選び取りたい/
    生活こそイメージの力を育む大地
5 「○○しながら□□する」という二つの変数を結合する発達段階と指導の視点 151
6 系列的認識の獲得される発達段階と指導の視点 156
    5、6歳頃の主客を転倒させる「生後第3の新しい発達の原動力」の生成
    ――系列的認識と「だんだん大きくなる」自分への願い/
    「大きくなりたいがなれない」自分/他者への視点変換と「やさしい導き手」への願い
7 発達理論の指し示すところ 161

   おわりに 163
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