張貞京『高齢期を生きる障害のある人』 大好評です

張 貞京(京都文教短期大学)
『高齢期を生きる障害のある人
 -人とつむぎ、織りなす日々のなかで-


定価1980円 
ISBN978-4-88134-086-8 C3036 2023年


張 貞京(ちゃん ちょんきょん)(京都文教短期大学)著
高齢期を生きる障害のある人 ー人とつむぎ、織りなす日々のなかでー

目次

はじめに 

第1章 高齢期の発達に光を当てる

第2章 一人ひとりの人生からみつめる高齢期
 1 高齢になった知的障害のある人たち
 2 大人の仲間になりました
 3 わたしも元気です
 4 老いてなお、自分にできることを

第3章 歳を重ねて花開くしごと 
 1 みんなとしてると楽しい
 2 生涯のしごと
 3 自分らしい表現で他者とつながる

第4章 老いと死に向き合う 
 1 一人じゃない、みんな同じ?死と向き合うとき
 2 としえさんの「絵日記」 伝えたい想い
 3 伝えられない想い

第5章 その人らしく生きる高齢期と看取り
 住み慣れたところで、自分らしく暮らし続ける/地域で共に働き、共に暮らす/障害があっても高齢になっても/住み慣れた場所で看取りを/「迷惑を恐れない」

第6章 他者と支え合って生きる
 高齢期の悩みに向き合って気づく/他者に想いを伝える/働くことの意味/高齢期の発達

補章 めざしたい実践 
 発達への気づき/学んで教え、共に学ぶ織物のはじまり/認め合って、力になっていく/学びと気づき/願いが生まれるしごと

  おわりに


新刊紹介『高齢期を生きる障害のある人』
 白石恵理子(滋賀大学)

2021年度『みんなのねがい』の張貞京さんの連載が一冊の本『高齢期を生きる障害のある人 ー人とつむぎ、織りなす日々のなかで』となりました。

張さんは、30年にわたり、滋賀県湖南市石部にある知的障害のある人の入所施設「もみじ・あざみ」に通い、寮生さんたちの思いに耳を傾け、しごとぶり、くらしぶりを見続けてきました。糸をつむぎ、機を織り、絵を描き、畑を耕しながら、仲間たちとくらしてきた寮生さんたちも、それぞれに老いを迎え、からだを動かすことが難しくなったり、ふるえる手にどうしようもなく不安を感じたり、家族や、ともに月日を重ねてきた仲間たちの死に直面したりと、高齢期ならではの〝課題〟にぶつかることが多くなってきました。

骨折によって2階から1階にうつることになった80歳のなつこさんは、仲良しの友だちや、ずっと手助けしてきた年下の友だちがいる2階のリビングにあがりたいのですが、そのためには職員の手を借りなければなりません。でも、それが待ちきれずに悩む日々です。そんな中でも、年下の友だちが自分を助けてくれることに感謝し、「おとなのなかまになりました」と職員に喜びを綴ります。それは、彼女自身が他の人を助けられるようになったことで「おとなになった」という誇りを感じてきた歴史があるからでしょう。こうして一人ひとりの歴史と今が、織物のように語られていきます。

「発達とは、自分自身の変化、環境の変化と向き合い、かかわり方や付き合い方を新たにしていく過程であり、意味づけ直していく過程」と、張さんは言います。加筆された補章では、石原繁野さんたち職員の歴史にも視点をうつしています。しごととは何か、生きるとはどういうことか、深く考えさせられる一冊です。



ご注文は全障研出版部オンラインへ

7月9日(日)13時~15時 
 張貞京さんと白石恵理子さん(滋賀大学)の出版記念トーク
 全国各地から60人をこえるオンライン参加で盛会でした。

『高齢期を生きる障害のある人』の紹介チラシです

2023年08月22日