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第55回全国大会(静岡2021) 情報更新しています

全国障害者問題研究会第55回全国大会(静岡2021)オンライン

 

大会参加申込受付は7月20日に終了させていただきました。たくさんの申込みありがとうございます。
特設ページでは、静岡県の浜松市、静岡市や、各支部が企画するミニ・パブリックビューイングもお知らせしています。また、各分科会情報が更新されています

 

▶全国大会(静岡2021)オンライン 特設ページ


日時=2021年8月7日(土) 開会全体会/8月8日(日) 分科会・学習講座
開催方法=Zoomによるオンライン開催です

大会テーマ= ひとり ひとりの たいせつないのちに スポットライトを ~Rights and Lights~


 

2021年07月21日

障害者権利条約の最新情報更新

障害者権利条約を考える 最新情報が更新されています


日本への「事前質問事項」が2019年秋に国連で採択されました。日本審査となる「建設的対話」は2020年夏が予定されましたが、コロナ禍の状況から延期されていますが、政府は「事前質問事項」への回答案を作成し、JDFや日弁連などと懇談しながらまとめようとしています。


初回の日本政府に報告に関する質問事項への回答案 2021.6.28
JDF(日本障害フォーラム)日本の総括所見用パラレルレポート(パラレポⅡ)2021.3

などを掲載しています。
詳細は「障害者権利条約を考える」ページ


「みんなのねがい」リレー連載「障害者権利条約の最前線」<公開>
障害者権利条約の最前線
(「みんなのねがい」2020年4月号~2021年3月号 リレー連載)
*権利条約をいま、学び、活用するために PDFで公開しています

第1回=人権の発展と障害者権利条約/中村尚子(全障研副委員長)

第2回=権利条約のいまの到達点/薗部英夫(全障研副委員長・JD副代表)

第3回=人権・発達の保障とインクルーシブ教育/河合隆平(東京都立大学)

第4回=最大限度の発達を保障する教育条件/佐竹葉子(全教障害児教育部長)

第5回=合理的配慮の要求主体と教育実践/越野和之(全障研委員長・奈良教育大学)

第6回=いまこそ学び、実現させたい「骨格提言」/斎藤なを子(きょうされん理事長)

第7回=家族負担のない自立に向けた課題/播本裕子(全国障害児者の暮らしの場を考える会)

第8回=働く権利と人としてふさわしい生活保障 第27条と第28条/赤松英知(きょうされん常務理事)

第9回=アクセシビリティ(accessibility)は条約の”肝”/薗部英夫(全障研副委員長・JD副代表)

第10回=表現の自由と言語としての手話/嶋本恭規(全日本ろうあ連盟)

第11回=人権水準の評価と向上に向けて/中村尚子(全障研副委員長)

最終回=パラレポⅡの意義と今後の焦点/薗部英夫(全障研副委員長・JD副代表)

◆『障害者問題研究』48巻4号
 特集=地域社会へのインクルージョンと暮らしの場
 座談会:暮らしの場に値する障害者施設をめざして/みぬま福祉会
 デンマークとスウェーデンにみる障害のある人たちの住まいと暮らし/薗部英夫(全障研)
 グループホーム制度30年と今後の課題/伊藤成康(きょうされん)
 サポートを受けながら私らしく暮らしたい/相田あづさ(埼玉)
 私にとってのインクルーシブな暮らしを考える/上野耕一(神奈川)
 北の大地の仲間たち2020 ~グループホーム編/北村典幸(北海道)
 多様な家族の形態を支える/川瀬加代子・菅原裕子(鹿児島)
 親のねがいと「全国障害児者の暮らしを考える会」の結成、運動の経過/播本裕子
2021年07月15日

佐藤比呂二『出会いはタカラモノ』出版記念トークイベント決定!

佐藤比呂二(特別支援学校)『出会いはタカラモノ 子どもから教えられたことばかり』
出版記念トークイベント(オンライン) 9月5日のご案内です

2021年9月5日(日)13:00~15:00
著者・佐藤比呂二さん講演&「みんなのねがい」編集長・塚田直也さん トークセッション
ZOOMミーティングにて開催
参加費=無料(佐藤本は事前購入の上ご参加ください。購入は全障研出版部へ)
申込はこちらをクリックください=イベント申込フォーム


(「はじめに」より)
 思うようにいかない子どもとのかかわり。考えても考えてもわからない子どもの気持ち。そんな先の見えない子どもとの日々を繰り返しながらも、(あっ、そんな風に思っていたのか)(えっ、そんなねがいがあったのか)と気づかされる瞬間がありました。
 こだわりの強い自閉症児が自分のこだわりを食い止めようと必死に葛藤したり、不登校になった子が自分の居場所を見つけて変わっていく姿を目の当たりにしたとき、彼らの本当のねがいは何かを教えられた思いがしました。

詳しい目次へ(「ちょっと見」できます)

 

2021年07月14日

当面する全国事務局体制について 2021年7月14日


◆当面する全国事務局体制について 2021年7月14日

 7月12日から8月22日まで、東京は新型コロナウイルス感染に対する4度目の「緊急事態宣言」が出されています。全障研は、「コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう」と声明(http://www.nginet.or.jp/posts/news20.html)しましたが、政府は、「無観客」としながもオリパラ開催に固執しています。

 こうした状況を踏まえ、8月7、8日に開催する第55回全国大会(静岡2021)オンラインの準備等がもっとも集中する時期でもありますが、全国事務局は、なによりも職員の健康と安全を第一に考え、ついては仕事や意思疎通のしやすさも大切にして、当面つぎのようにとりくませていただきます。

 合理的な「在宅勤務」や「時差出勤」などを継続します。首都圏などでは物流関係の滞りもあり、書籍発送等につきましては遅れてしまうことをご了承ください。

 ご連絡窓口は、電子メール=info@nginet.or.jpにお願いいたします。
 なお、今後の情勢により、適宜変更させていただきます。


◆当面する全国事務局体制について  2021年6月21日
 新型コロナウイルス感染に対する「緊急事態宣言」は解除されましたが、首都圏では「まん延防止等重点措置」が講じられています。東京の場合、高齢者を対象とするワクチン接種が1回目46%、2回目12%をこえたところです。新規感染者数は依然として高い傾向にあり、新しい変異株による感染増も懸念されています。
 全障研は、「コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう」と声明しましたが、政府は、オリパラを観客を入れて強行しようとしています。
 こうした状況を踏まえ、全国事務局は、なによりも職員の健康と安全を第一に、ついては仕事や意思疎通のしやすさを大切にして、当面つぎのようにとりくませていただきます。
 「原則在宅勤務」体制から、合理的な「在宅勤務」や「時差出勤」なども継続します。首都圏では物流関係の滞りもあり、書籍発送等につきましては遅れてしまうことをご了承ください。
 ご連絡は、できるだけ 電子メール=info@nginet.or.jp にてお願いいたします。
なお、今後の情勢により、適宜変更させていただきます。


◆当面する全国事務局体制について  2021年4月26日

 新型コロナウイルス感染に対する「緊急事態宣言」が解除されて一月余りですが、東京、大阪、京都、兵庫に三度目の「緊急事態宣言」が発出されました。変異株による感染拡大も懸念されます。こうした情勢を踏まえ、なによりも職員などの安全と生命を守るため、全国事務局は当面、原則在宅勤務体制とします。
 そのため窓口は、電子メール=info@nginet.or.jpを基本とさせていただきます。
 書籍などの発送等につきましてはたいへん遅れてしまうことをご了承ください。
 なお、事務所運営の基本方針は、今後の情勢により適宜変更させていただきます。


◆当面する全国事務局体制について  2021年3月24日
 新型コロナウイルス感染に対する「緊急事態宣言」は解除されましたが、首都圏などでは新規感染者数は増加傾向にあり、変異株による感染も対応が求められています。政府の対策は極めて不充分なままです。こうした状況を踏まえ、全国事務局は、職員の健康と安全を第一に、ついては仕事や意思疎通のしやすさを大切にして、当面つぎのようにとりくませていただきます。
 「原則在宅勤務」体制から「開所」としますが、引き続き合理的な「在宅勤務」や「時差出勤」も継続します。「フィジカル・ディスタンス」などに留意しす。書籍発送等につきましては遅れてしまうことをご了承ください。なお、今後の情勢により、適宜変更させていただきます。


◆当面する全国事務局体制について  2021年1月6日

 新しい年を迎えましたが、「一都三県に緊急事態宣言発出を検討」という政府の対応が報じられています。首都圏の新型コロナ感染拡大の情勢を踏まえ、なによりもスタッフなどの安全と生命を守るため、全国事務局は当面、原則在宅勤務体制とします。
 そのため窓口は、電子メール=info@nginet.or.jpを基本とさせていただきます。書籍発送等につきましてはたいへん遅れてしまうことをご了承ください。
 なお事務所運営の基本方針は、今後の情勢により適宜変更させていただきます。


◆当面する全国事務局体制について 2020年6月4日

 新型コロナウイルス感染に対する「緊急事態宣言」の解除、東京の「アラート発令」などの状況を総合的に検討し、当面つぎのようにとりくませていただきます。
 全国事務局は「原則在宅勤務」から「開所」します。状況に応じての「時差出勤」や「フィジカル・ディスタンス」などに留意します。 なお、今後の情勢により、適宜変更させていただきます。


◆全国事務局の臨時体制について 2020年4月2日
 新型コロナウイルス感染による緊迫した情勢の下、なによりもスタッフなどの安全と生命を守るため、全国事務局は当面、原則在宅勤務体制とします。
 そのため窓口は、電子メール info@nginet.or.jp  を基本とさせていただきます。物流は遅れることもお許しください。
 なお事務所運営の基本方針は、今後の情勢により適宜変更させていただきます。
2021年07月14日

第55回全国大会(静岡2021)基調報告案にご意見ください

全国障害者問題研究会
第55回全国大会(静岡2021)基調報告案

 常任全国委員会




はじめに

 昨年来の「コロナ禍」と呼ばれる状況のなかにあっても、たくさんの人が、それぞれに困難を抱えながらも、障害児者の発達保障・権利保障のために、知恵を集め、力を注いできました。

 一方で、日本の政府は、新型コロナウイルス感染症に対して、必要な対策を怠るだけでなく、「Go To キャンペーン」を展開するなどして感染のリスクを高めました。社会生活に欠かせない「エッセンシャル・ワーク」の重要性が鮮明になるなかでも、保健医療・福祉・教育等を軽視し続け、病院・病床の削減すら狙っています。東京オリンピック・パラリンピック開催に固執する姿に象徴されるように、人間の健康・命よりも経済の活性化を優先する姿勢、私たちの生活よりも大企業の利益を優先する姿勢を露わにしています。

 全障研は、5月、「コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう」と声明を発表し、「いのちと健康を守ることを自己責任とする政策がむき出しになれば、障害のある人、なかんずく重い障害があり複合的な権利保障を必要とする人のいのちと健康は守られません」と訴えました。いま、コロナ禍の中で生じている、さまざまな困難は、菅首相の言う「自助・共助・公助、そして絆」では解決できません。

 日本の社会は、多くの歪みを抱えています。福島第一原子力発電所の事故から10年以上が経過しましたが、未だに原発から脱却できていません。政府は「脱炭素」を口実に原発を推進しようとしており、運転開始から40年を超えた原発の稼働まで認めています。また、貧困が依然として深刻な問題であるにも関わらず、国の軍事費の増大は続いており、2016年度以降は5兆円を上回る額に及んでいます。日本学術会議会員の任命拒否や、「コロナ禍」のもとでの「憲法改正」の策動のように、政府が物事を強行に押し通す動きも目立ちます。

 世界的にみても、私たちの社会は、新型コロナウイルス感染症に加えて、いくつもの脅威に直面しています。ロシアや米国などの国々が保有する大量の核兵器は、世界に破滅をもたらしかねません。何百基もの原子力発電設備の存在も、無数の命を危険にさらしています。また、気候危機が深刻化しており、日本においても、近年は毎年のように台風・豪雨による災害が多発し、気候変動の影響が顕在化しています。土壌の劣化、地下水の枯渇、森林の破壊、生物の大量絶滅など、人間の社会を崩壊させ、地球の生き物を追いつめていく世界規模の危機が、目の前にあります。

 課題は山積していますが、そうしたなかでも、障害児者の発達保障・権利保障のために取り組む多くの仲間がいます。自らの実践に真摯に向き合うと同時に、その実践のためにも、学び、交流しています。私たち全障研も、「コロナ禍」のもとでも、オンラインなど、新たな方法の活用も模索しながら、発達と発達保障を学び、実態や実践を語り合うことを大切にして、研究運動を進めてきました。
 また、人々の権利保障をめざす運動は、いくつもの重要な成果を生み出してきました。2021年2月には、国による生活保護費の引き下げを違法とする判決が大阪地方裁判所で出されています。2021年3月には、札幌地方裁判所が、同性婚を認めないのは憲法違反であるとしました。そして、学校教育に関しては、公立小学校の学級人数の上限を35人に引き下げる法律改正が2021年3月になされ、少人数学級化が前進しました。特別支援学校の設置基準の策定に向けた動きも進んでおり、過大・過密の解消など、教育条件の改善が望まれます。医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)の成立、民間事業者における合理的配慮を努力義務に止めていた障害者差別解消法の改正(施行日未定)も障害分野における貴重な一歩であり、実効性のある施策の具体化につなげたいと思います。

 国際的には、核兵器禁止条約が2021年1月に発効しました。障害児者の発達保障・権利保障は、戦争と両立するものではなく、核兵器の存在と相容れません。日本政府は条約の批准に背を向けていますが、平和を願う声を集め、核兵器の廃絶に向けての歩みをさらに進めなければなりません。

 一人ひとりの発達保障・権利保障のためには、一人ひとりのための具体的な実践とともに、地球規模の問題を含めた社会的課題への取り組みが必要です。しっかりと社会に目を向けつつ、日々の実践を大切にしていきましょう。


Ⅰ 乳幼児期の情勢と課題

 乳幼児期の療育の今後を左右する二つの動向に注目する必要があります。一つは2021年度からの障害福祉サービス報酬における子どもに関わる改定であり、もう一つは児童福祉法改正に向けた障害児通所支援の見直しの議論です。

1)療育の土台を掘り崩す報酬改定
 2021年度報酬改定において、児童発達支援の加算が変更されました。これまで基準以上の職員配置に認められていた加算が部分的に削られ、代わって個別の子どもの通所に対応した個別サポート加算と、特定の資格をもつ職員を配置した場合の専門的支援加算が新設されました。前者は子どもの状態によって報酬に高低が生じる(公費の給付額が変わる)という点で、後者は特定の専門性を報酬に反映させたという点で、今後の療育のあり方に関わる重大な問題をはらんでいます。

 個別サポート加算には、障害の状態などの聞き取り調査の結果による加算Ⅰと、虐待などの可能性のある要保護・要支援の子どもが利用したときの加算Ⅱがあります。加算Ⅰを判定するための「乳幼児等サポート調査」は「5領域11項目」からなります。障害についての診断が確定せず苦悩する保護者に「行動障害及び精神障害」に関する具体的特徴の有無を問うことは、育児の希望とわが子の成長・発達への信頼を奪うことになります。「食事」や「排せつ」などの身辺自立に関する介助の状態も、障害ゆえのできなさなのか、発達途上の課題なのかを見極めて答えることは困難です。発達科学の知見を踏まえず、乳幼児の実態からかけ離れた調査は、保護者の困惑をひきおこすものであり、「できる」「できない」を問うことは子どもの尊厳を踏みにじるものです。

 一方、加算IIは、虐待などの可能性や養育上の課題のある要保護・要支援児童で関係機関との連携を行っている場合の加算です。利用契約を前提とした現行制度では、加算Ⅱの適用を支援計画に明記して保護者に同意を求めることになりますが、これは保護者との信頼関係を損ない、子どもの療育を受ける権利を奪いかねません。実際に要保護・要支援児童の支援をていねいに行っている事業所はありますが、個別の加算の手続きは現実的ではないとの意見があがっています。

 発達のつまずきや障害のある子どもの乳幼児期において、保護者がその事実を受けとめながら子育ての喜びを感じて生きていくためには、療育などの支援と出会う場面からのていねいで心のこもった支援が必要です。二つの加算の調査や手続きはそのことに逆行し、子どもと保護者の尊厳、基本的人権を侵害するものです。

 また専門的支援加算については、「専門的支援を必要とする児童のための専門職」として、理学療法士や心理指導担当職員の配置がこれまで以上に強調されています。保育士・児童指導員も併記されているものの経験年数「5年以上」という限定つきです。理学療法士等を配置し、個別指導をする事業所が「専門性が高い」と見なされ、加算を得ると、療育を個別の支援や訓練に狭め、発達保障のための療育実践を制約することにならないかが懸念されます。子どもの発達や生活を丸ごととらえ、乳幼児期にふさわしい遊びを保障することで、育ちの土台を築く。こうした実践を重ね検証しながら、療育の専門性の議論を深めてくことが求められています。子どもへの働きかけ一つひとつに値段をつけるような加算方式や日額報酬制をやめて、安定して児童発達支援の実践がすすめられる制度的基盤をつくっていくために、ひきつづき職員と保護者がともに学び、運動していく必要があります。

2)特別なケアと子どもらしい発達の保障
 このように、今回の報酬改定は、報酬の上げ下げにとどまらず、障害児支援の質の変更を迫る内容を含んでいます。振り返ると、2006年の障害者自立支援法施行から障害のある子どもの福祉にも利用契約、応益負担、日額報酬のしくみが導入され、その骨格を維持したまま、2012年からは児童福祉法のもとで子どもの福祉が「障害児通所支援」として再編されました。

 本来、発達的な変化の著しい乳幼児期は、障害がある場合も含めて、すべての子どもに「よく遊んで、たっぷり食べて、ぐっすり眠る」という当たり前の生活を保障することが何よりも大切です。発達や障害のつまずきがある場合には、保護者へのていねいな支援も求められます。療育を商品とみて、利用料の対価として相談・支援が行われるしくみでは、職員と保護者がともに子どもの成長・発達を喜び合い、じっくりと時間をかけて話し合いながら、ねがいや悩みを分かち合うことが困難になります。こうした観点から、障害児通所支援の各事業の役割を見直す必要があります。

 しかし、6月から厚生労働省内で始まった「障害児通所支援の在り方に関する検討会」は、利用契約や応益負担など障害を自己責任に帰す制度の根本にふれないまま、利用者増の抑制や支給決定のあり方、保育所などの一般施策の利用促進などについて「検討」しようとしています。

 また、子どもの状態を聞き取る「5領域11項目」調査が個別に加算をつけるために用いられるようになったことは、成人の「障害支援区分」により類似したしくみになったことを意味します。利用契約、応益負担、日額報酬のしくみは、発達しつつある子どもの支援に大きな矛盾と困難をもたらしてきましたが、これを改善しようという方向とは逆行します。

 子どもの生活や人間関係を切り刻むようなしくみをあらため、障害があっても「子どもは子ども」として尊重されるためには、制度の根本が見直される必要があります。子どもが育つためには、当たり前の生活と安心できる人とのかかわりが必要です。遊びにくさがあったり、生活リズムを整えることが苦手な子どもたちにとって療育の場は、安心して自分を出し、友だちと一緒に遊びを楽しみながら、自信をたくわえていくことのできるかけがえのない場所です。子どもが思わず手を伸ばしたくなるような、心がぐっと動く遊び、子どもを自然と巻き込んでいくようなクラスの雰囲気、その一つひとつに、子どもの育ちをねがう療育者たちの意図が込められています。コロナ禍にあっても、感染を防ぐためにさまざまな制約がありながらも、子どもらしい当たり前の生活を保障しようと努力や工夫が重ねられています。ところが、こうした発達のつまずきや障害のある子どもと保護者が、毎日安心して楽しく通える療育の土台や入り口が大きく揺るがされているのです。

 子どもの権利条約(1994年批准)や障害者権利条約(2014年批准)に照らして、障害があっても、障害のない子どもと同等に、毎日の生活の拠点があり、そこで障害への特別なケアを受けながら、子どもとして発達することを保障する施策が求められます。児童発達支援をはじめとする障害児通所支援も、保育所、幼稚園、認定こども園などの一般の子ども支援制度から排除しない制度がつくられなければなりません。

3)地域療育づくりの歴史に学び、総合的な発達保障を
 障害乳幼児に療育を保障するための運動と実践は、住民自治と結びつきながら、乳幼児健診や母子保健と一体となった自治体の療育システムをつくりあげてきました。そうした地域療育づくりの歴史にも学びながら、障害乳幼児の発達保障としての療育の理念を確かめたいと思います。親子教室をはじめ、障害診断の有無にかかわりなく、子どもの必要に応じて療育が受けられるよう、保健師、療育・保育の関係者が連携して、地域のすべての子どもの発達保障に責任をもつ、ゼロ歳からの系統的な発達支援・子育て支援のシステムが求められています。『障害者問題研究』第49巻1号の特集「乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題」も活用しながら、乳幼児期の総合的な発達保障にむけた地域療育のあり方を話し合っていきましょう。


Ⅱ 学齢期の情勢と課題

1)「コロナ禍」のもとでの学校教育の困難と新たな展望
 新型コロナウイルス感染症の最初の感染拡大から1年半が経過し、この春、「コロナ禍」のもとでの2回目の新年度を迎えました。昨年初夏の学校再開以後、各地の学校では、感染拡大防止に細心の注意を払いながら、子どもたちの当たり前の生活を取り戻し、発達へのねがいに応える教育実践を創り出すために、実にさまざまな工夫が行われています。

 その一方、ソーシャルディスタンスの一面的な強調とGIGAスクール構想の強行のもと、実践の工夫が、オンライン授業でどんなコンテンツを提供すれば子どもたちの興味をひけるのかといったことに一面化する危惧もあります。「オンラインでは、子どもたちの心の動きがほとんどわからなかった」、「そばにいるから感じること、触れているからわかること、働きかけるから気づくことがある」。再開後の学校から伝わるこうした声は、子どもたちのことを深く知りたい、子どもたちとつながりたいというねがい、だからこそ、子どもたちの内面に思いを寄せ、子どもとの関わりから学ぶことを大切にしてきたいという、実践者としての切実なねがいの表明でしょう。

 こうしたねがいは、困難が大きい今だからこそ学び合いたい、仲間とつながりたいという要求を生み出します。コロナ禍のもと、これまでの学習活動を継続することが困難な中でも、オンラインなどの新たな形態をとりながら、さまざまな学習活動が力強く進められようとしています。

2)中教審答申と「新しい時代の特別支援教育」有識者会議報告
 2021年1月、中央教育審議会は「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」と題する答申を公表し、それと前後して、「新しい時代の特別支援教育の在り方」に関する有識者会議もその最終報告を公表しました。

 中教審答申は、従来の「日本型学校教育」を高く評価する一方で、子どもの多様化や教師の長時間労働、情報化への対応などの課題を指摘し、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の双方を「一体的に充実」するとしていますが、その背後には、よりストレートに「学びの個別最適化」を主張する経済産業省「未来の教室」創出事業や、それと呼応する「Society5.0に向けた人材育成」(文部科学省2018年)などの動きがあります。これらは、学校における「一人一台端末」の実現などを強行するGIGAスクール構想などとも相まって、子どもたちの学習の個別化を促進するとともに、学習成果に対する「自己責任論」を押し進める危険性の強いものです。学校マネジメントや持続的で魅力ある学校教育の実現といったスローガンも、政治による学校及び教師への管理統制の強化につながりかねません。

 「新しい時代の特別支援教育」を掲げる有識者会議報告も、ICT環境の充実と教師の活用スキル向上を強調しますが、実現が急がれる「自校通級」のための環境整備や、学校数の少ない盲学校・聾学校からの専門的指導などを「ICT・遠隔技術の活用」に委ねるなど、本来必要な予算措置や教員配置に背を向け、安上がりに済ませるための方便という性格が色濃いものとなっています。急ピッチで進められるGIGAスクール構想に関わっては、学校施設の補修などの切実な課題には予算措置がないのに、ICT環境の整備だけが行われるといった矛盾も報告されています。有識者会議報告では、特別支援教育を担う教師の専門性の向上も謳われていますが、特別支援学校における特別支援学校免許の所持に関する特例は放置され、ICTを活用したより効率的な研修の実施を求めるなど、現場の教師の実感とはかけ離れたものとなっています。

3)教育条件整備の課題
 一方で前進もあります。「新しい時代の特別支援教育」有識者会議と中教審は、政府のこれまでの方針を転換し、特別支援学校の設置基準の策定を表明しました。

 「教育環境が非常に劣悪なのに、それを正す指標としての設置基準が特別支援学校にだけないのはおかしい」「よりよい環境で学ばせたい、学びたい」という保護者・教職員・子どもたちの思いを背景とした、十数年におよぶ運動の成果です。形式的な策定に止めることなく、教育条件を実質的に押し上げるものとしていかなければなりません。全日本教職員組合などでは、実効性のある設置基準とするために、多くの教職員・保護者の声を集めた設置基準案を提起しています。教育条件が劣悪なのは、特別支援学級も通級による指導も、通常学級もしかりです。設置基準策定を実現させた運動の底流にあるのは、どの子にもゆきとどいた教育条件の下でゆたかな教育保障を、という要求です。その実現のためには、現在の教育条件の劣悪さと、そのもとでの教育実践の制約をリアルに明らかにし、より広範な人びととの連携をつくり出していくことが必要です。

 一方で、特別支援学校では小学部の段階から、将来の一般就労を目標とし、実践をその目標に従わせようとする傾向が広まっています。日々の学校生活を、常に「できる―できない」で評価されるなかで、自信と自尊の感情を持ちづらくさせられたまま卒業していく子どもたちの姿も報告されています。現在の教育現場では、「働き方改革」の名のもとでタイムカードでの勤務時間管理が導入されたり、授業や教育課程は学習指導要領と整合しているかどうかだけが問題にされたり、実践が、数値で測定できる短期間の変化だけで評価されるなど、教師のしごとに対する管理・統制が幾重にも強められています。教育条件の整備は、学校増設などの教育環境の改善に留まるものでなく、一人ひとりの教師がしっかりと教育実践に向き合い、子どもとともにゆたかな教育内容を創り出していくことができる条件を創り出していくことでなければなりません。子どもたちの教育権を実質的に保障していくためには何が必要なのか、視野を大きく持った総合的な検討と改善に向けた運動が必要です。

4)ゆたかな生活のための放課後保障
 拙速な休校要請によって障害のある子どもと家族の生活にはさまざまな困難が生じました。学校での教育活動が大きく制約される中でも教師によるさまざまな努力が各地で行われましたが、休校の間、子どもと家族の生活を支えたのは放課後等デイサービスであったことも事実です。公園や公共施設などの閉鎖で場が狭められ、職員も感染の危険にさらされながら、活動を続けました。こうした困難はたびたび報道され、コロナ禍のなかで、放課後等デイサービスは障害のある子どもにとってなくてはならない社会資源として知られるようになったといえます。

 しかし、4月からの報酬改定では、「収益を上げている」という数字を根拠に、放課後等デイサービスの報酬は引き下げられ、今後の活動継続を見通すことが困難だとの報告も相次いでいます。

 放課後等デイサービスに代表される学校外の障害児支援の場は、学校とならんで、障害のある子どもたちの生活と発達保障に欠かせない大切な場です。3ヵ月以上にわたる非科学的な「臨時一斉休校」の経験は、これら放課後保障のとりくみの大切さと、そのおかれている制度的基盤の脆弱さに加えて、学校教育と放課後等デイサービスなどとの相互理解と緊密な連携の必要性も明らかにしました。障害のある子どもたちとその家族のゆたかな生活を実現するために、行政による分断を乗り越え、学齢期の発達保障に関わる幅広い人々の連帯をつくり出していくことが求められます。


Ⅲ 成人期の情勢と課題

1)他の者との平等を基礎とした生活・人生の確立を
 成人期において暮らしの質を追求するためにも、ライフサイクルを通じてのノーマルな経験の保障は不可欠です。乳幼児期の保育・療育の保障に始まり、学齢期の生活、さらに、青年期には同年代の多くの市民が高等教育機関に進学するのと同様に、学びの場を保障すること、その後の成人期においても生涯学習を保障するととともに、親離れ、結婚、親になることなどを含めて、多様な人生の選択肢を、障害者にも平等に開くことが重要です。

 また、障害者が家族に依存しないで生きることを考えることと同時に、障害者の介護に専念せざるを得ないために家族が貧困リスクを高めることになるのではなく、家族も自立する視点をもつことが必要です。障害者がいることが要因となって、きょうだいや夫婦、祖父母といった家族の関係が緊張を強いられるのではなく、相互に尊重しあって生活するために何が必要か、それぞれの就労や休息など家族の要求に基づく運動、社会的支援のあり方について検討することが求められています。

 入所施設で暮らしている人の外出支援や、グループホームや入所施設の中で家族が過ごすスペースの制度化など、障害者と家族の交流を保障する手立ても必要です。「全国障害児者暮らしの場を考える会」の基本要求には、家族依存からの脱却ために「親が元気なうちから社会的支援への実質的な転換」ということが掲げられています。障害があっても、本人も家族も豊かな人生を追求することを諦めない社会づくりが求められています。

2)成人期施設の安定した運営を支える制度を
 新型コロナウイルスの感染拡大状況下では、成人期障害者施設においても休所や利用者による通所自粛があり、居宅支援では移動支援や訪問介護の利用のキャンセルなどが相次ぎました。不測の事態であっても事業者への報酬は日割りで実績払いのため減収になり、事業の継続自体が困難になっている施設も多くあります。

 加えて、2021年度の報酬改定においては、就労移行実績や月額工賃の高低によって報酬に差をつけ、生活介護事業では利用者に行動障害や身体障害がない場合には報酬を減額するなど、成果主義と障害支援区分偏重がさらに露わになりました。グループホームにおける夜間体制の弱体化を招くような報酬では暮らしを守ることはできません。その他にも事業基盤の不安定化につながるような施策がつづいています。成人期障害者を対象とした施設は、多くの利用者にとって、有期限ではなく長期にわたり、仕事や暮らしなど人生を支える拠点ともいえる場所であり、安定的な運営が欠かせません。人生に見通しをもって、仕事や暮らしの場のあり方を考えることができるような安定した運営を支える制度が求められます。

3)所得保障政策の整備を
 市場化された経済生活を営む現代において、障害のある人の自立を考えたとき、所得保障政策の整備は他の者との平等を基礎とするための前提条件です。この点では、2021年2月22日、国が物価下落に合わせて、2013年から2015年にかけて生活保護費を約10%引き下げたことは違法とした大阪地裁判決や、2021年3月から、障害基礎年金を受給しているひとり親が「児童扶養手当」を受給することができるようになったことは、私たちをおおいに励ましました。

 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大状況下において、8割以上の事業所で生産活動が減収になり工賃は大幅に下がった(きょうされん調べ、2020年7月)ことで、障害のある人たちの生活や余暇を支える経済的基盤が不安定で脆弱なものであることが改めて問題となりました。障害のある人の労働による給料や工賃保障のための社会的手立ての充実とともに、最低生活水準を大きく下回る障害基礎年金の問題などを改めて問い直す必要があります。

 その障害基礎年金さえも、障害の医学モデルに依拠した受給要件で対象者を制限するといった制度の不備によって無年金状態となっている人たちや、その救済策である特別障害者給付金制度のからも対象外とされている人も多くいます。加えて、2019年10月から、消費税増税にかかる緩和措置として、低年金者に年金生活者支援給付金が支給されるようになりましたが、無年金障害者は対象外というように、何重もの排除が働いています。そもそもの問題として、生活の主要な支えである年金を社会保険という「共助」の仕組みにしていることが、大きな問題です。

 自己責任や自己努力を求めるのではなく、生活の支えは国家の責任でということへと転換を図る必要があります。

4)暮らしの場の整備を
 障害者家族における、老障介護、「ロングショート」(短期入所を長期間つないで生活の場とする)、親なき後をめぐっては、深刻な実態が生じています。地域で入所施設やグループホームなどの暮らしの場を求めて待機状態になっている人が多数いる現状を踏まえた喫緊の課題として、量的整備の必要があります。

 また、障害のある人たちの多くの尊い命が無残に奪われた津久井やまゆり園事件から、5年が経ち、事件を振り返りこれからを展望するような関係者からの発信が行われつつあります。量的整備だけではなく、暮らしの質にも着目し、どこで暮らすかだけでなく、どのように暮らすかを考えることのできるような社会資源の整備が必要です。

5)ケアの家族依存・専門職のボランタリーからの脱却を
 新型コロナウイルスの感染拡大状況下においては、成人期障害者の利用する社会資源の休所や通所自粛などが相次ぎ、ケアにおける家族役割の大きさが再認識されることなりました。グループホームや入所施設でも、中にはできるだけ帰省を求めるなどの対応がとられたところもあり、極限の状態で、高齢の親が子どものケアを全面的に引き受けざるを得ず、親子ともに行き詰まりを感じているケースも多く見られました。

 新型コロナウイルスは障害者施設をも例外なく襲い、障害があるとケアの体制が取れないので陽性であっても入院することができない、体調不良や発熱などの症状があってもPCR検査さえも受けられない事例が続出しました。

 そのような中で、家族や専門職は、まさに命がけでケアを行いました。障害児者を支える専門職は、エッセンシャルワーカーとして、緊急事態下であっても休むことのできない、社会生活において欠かせない職業として認識されはじめたものの、労働条件や環境を支える制度は、何ら改善が見られません。

 新型コロナウイルスによる危機は、これまで家族に押し付けられてきたケアの矛盾をあぶりだしつつあります。また、寄り添う専門職のボランタリーに依存しすぎていることも問題です。障害のある人の命を守るということは、それを支える人たちの命も守るということです。ケアの家族依存や、専門職のボランタリーに依存している状況を構造的に見直す必要があります。


Ⅳ 研究運動の課題

1)脆弱な制度に分断させられることなく要求でつながろう
 「家での生活を強いられ、子どもも親も疲れきっています」。自分の責任、家族の責任で命を守れという究極の自己責任論に対して、障害や年齢を問わず、日本中から発せられた叫びです。家族が面倒をみることを当然だとする考えが根強く残るなか、障害のある人とその家族は、障害者自立支援法以来、小刻みにされた支援をつなぎ合わせて生活を組み立てることを強いられています。その矛盾は、ステイホームの強調でいっそう鮮明になりました。こうした矛盾は、ときとして障害者・家族、学校、福祉事業所などの間に溝をつくります。

 だからこそ、目の前の障害者・家族を中心に、分野をこえてつながり、語りあい、一緒に考えることが大事なのではないでしょうか。この1年余、各地で模索し、足を踏み出して展開された実践は、いずれも私たちに新たな課題を提起しています。感染に十分気をつけながら何ができるかを考え工夫した実践、感染に直面して実感した保健所や医療機関との連携など、『みんなのねがい』、『障害者問題研究』にはたくさんの報告が掲載されており、ここから学ぶことができます。

 必要な支援は「サービス」ではなく、権利保障の根幹です。制度にないことも要求に基づいて実践し、新たなつながりをつくり、自治体に働きかけるなど、制度を変え、新たにつくることを展望した研究と実践、運動に取り組んでいきましょう。

2)発達研究と発達保障の実践を車の両輪として進めよう
 「発達の理論と目の前の子どもたちの姿がなかなか結びつかず、どうしても『~の力をつける』を考えている自分がいます」。6月の「教育と保育のための発達診断セミナー」に寄せられた声です。実践の場は異なっても、多くの人々が障害のある子どもや大人のねがいを受けとめる実践者でありたいとの思いをもって、人間が発達することの価値を学ぼうとしています。

 私たちは、何かが一人でできるようになることだけをとらえて「発達」と呼ぶような、貧困な発達観には立ちません。同じ場所、同じ道具、同じような関わりがあれば、それでよいという立場にも立ちません。これまでに積み重ねてきた、人間発達の研究と、家庭や地域と手を取り合って進めてきた発達保障実践を車の両輪としてとらえ、より豊かに進めることが重要です。障害者が主体として生きる、その主体性を中心に据えながら、時には全身で、時には本当に小さいサインとしてあらわされる発達要求をしっかりと理解し、その要求に応える実践を創り出すこと、そこで生み出された事実をもとに研究を進めることを大切にしましょう。

 希望する子どもへの後期中等教育保障が実現してきた現在、生涯にわたる発達を展望しつつ、多様な形で広がってきた18歳以降の教育の場の実践をはじめ、青年期の発達と発達保障実践を検討しあうことが大事な課題となっています。

 実践とそれにもとづく研究の発展のためには、実践の成り立つ基盤にも目を向けることが必要です。発達保障実践をすすめる療育や放課後活動、自立訓練事業の場の土台が日額報酬という「明日の保証がない」脆弱なしくみで成り立っていること直視しなければなりません。豊かな実践と結んだ制度の改善に力を合わせることにも取り組みましょう。

3)同年齢の市民と同等の権利を実現するために手をつなごう
 障害ゆえに移動や生活上の支援を利用して自分らしい生活を送ってきたから高齢になっても支援を継続してほしいということは当然の願いです。しかし、5月18日、千葉地裁は、65歳から介護保険を優先して利用せよというのは理不尽だとする天海正克さんの訴えを退けました。判決は、「公費負担の制度より社会保険を優先する」のが基本だといい、障害者の生きる権利ではなく国の不十分な社会保障政策に追従した姿勢を露わにしています。天海訴訟によって「65歳問題」は日本の社会保障制度の根幹に関わる問題だということが明らかになりました。こうした本質を幅広い人々に知らせ、輪を広げていくことが大切です。

 同じように、保育・学校教育でも、障害の有無をこえて課題を共有し、同年齢の市民と同等の権利保障を実現するすじ道を明らかにしていきましょう。

4)あなたも全障研へ 今こそ、発達保障の研究運動をすすめよう
 今こそ、「私たち抜きに私たちのことは決めないで」を合言葉に、声をあげ続けましょう。

 暮らしの場、学ぶ場、働く場における発達保障労働は、障害者の発達の権利を豊かに実現するために重要です。それらの一つ一つが魅力的な労働の場でもあります。より豊かに発達を保障していくために、全国大会やサークルに集い、研究運動を進めていきましょう。『障害者問題研究』や『みんなのねがい』の読者会を通じて、会員が広がっています。実践を語り合うグループをつくって、仲間を広げていきましょう。全障研ホームページには、学びを深めるための「ラーニングガイド」、学びを止めないための「オンライン活用」のページも充実しています。

 地球規模の課題を視野に入れ、障害のある人の命、暮らし、発達の権利を守る研究運動を、社会全体で進めていきましょう。安心できる生活を破壊し、ねがいを分断し、他者と共に文化を謳歌することを認めず、発達権を後回しにするような動向に反対の声をあげ、発達研究に基づく権利保障の運動を展開していきましょう。個人のねがい、集団・組織のねがい、社会のねがいのそれぞれを深め、つなぎ、障害者権利条約の時代にふさわしい権利保障を訴え、平和・非暴力・民主主義を社会制度と国際社会に貫いていきましょう。           (2021年7月13日)

*本基調報告(案)へご意見は、2021年8月5日(木)までに、電子メールやFAXなど文書で全国事務局にお送りください。

 電子メール info@nginet.or.jp    FAX 03-5285-2603

 

2021年07月13日

田中智子『障害者家族の老いる権利』トークイベント 100人参加に感謝

田中智子(佛教大学)『障害者家族の老いる権利』刊行しました

障害児・者の親の高齢期は、親自身にとっても関係者にとっても、これまで蓋をされてきたのではないでしょうか。
一方で、障害児・者の親は多くのケアを担い、ライフサイクルを通じて生活問題は積み重なってきています。「親亡き後」の心配までしなければならないのではなく、家族が ‶当たり前” に生きることのできる社会について、著者の数々の調査や取材をもとに、課題と解決の道を考えます。

詳しい目次へ(「ちょっと見」できます)

2021年7月12日 出版記念トークイベント 100人こえる参加ありがとうございました

2021年07月12日

「みんなのねがい」8月号できました!

「みんなのねがい」8月号 

特集は「気候変動」
数ある障害関係の雑誌でも気候変動と子ども・障害者を結び付けてテーマにしたものはめずらしいのではないかと思います。
加速する地球温暖化、年々きびしさを増す台風や豪雨などの災害…ゆたかな教育実践、障害のある人たちの権利を守るためのとりくみも、安心して生きることのできる環境が土台となります。すべての人たちと一緒に考え合いたい問題です。

また、特集とタイアップしたオンライン学習会も予定されています!今回特集内で執筆していただいた方々のお話が聞けるチャンスでもあります。この機会にぜひご参加ください。

「みんなのねがい」8月号の詳しい目次

2021年07月09日

6月27日発達診断セミナー(オンライン)ありがとうございました

教育と保育のための発達診断セミナー(オンライン)は

6月27日(日)に開催されました。
全国各地から500人を越える参加がありました。
たいへんありがとうございました。


主催・問合せ=特定非営利活動法人 発達保障研究センター・全国障害者問題研究会
   東京都新宿区西早稲田2-15-10 西早稲田関口ビル4F
   メール:info@nginet.or.jp   TEL: 03(5285)2601


詳細は発達診断セミナー(オンライン)特設ページ


『新版 教育と保育のための発達診断 下ー発達診断の視点と方法 』のラーニングガイドです

2021年06月28日

「発達保障のための相談活動」を広げるオンライン学習会のご案内

「発達保障のための相談活動」を広げるオンライン学習会
2021年8月29日(日)13:00~15:30
Zoomミーティングによるオンライン開催です


◆プログラム1=基調報告
子育てへの共感は“トレーニング”からは生まれない
「一緒に悩む」から始まる保護者への支援
池添 素さん(福祉広場)
 子どもからの“多様で多彩な発信”を理解することは容易ではありません。“問題行動”にも理由があるので一律のやり方はありません。<ペアトレ>の問題を指摘しつつ,保護者を支援する上での大事にしてきたことをお話いただきます。

◆プログラム2=実践報告
療育のなかで、保護者とともに子どもを理解する
浜田友紀さん(鹿児島県湧水町子ども発達支援センターみのり)
 子どもの姿を共有することで深まる子ども理解。親子教室の実践など発達支援センターの取り組みを報告いただきます。

◆プログラム3=報告を受けて二人のトーク

○療育や放課後の実践なかで、保護者への支援は重要な位置を占めます。昨年の学習会でも、相談支援の場面で保護者の思いを聴き取ることの大切さが話し合われました。
○今年度の報酬改定で「事業所内相談支援加算」にペアレント・トレーニングの実施が例示されたことで、保護者への支援はあらたに注目されています。
○こうした情勢の中であるからこそ、保護者と子ども理解を共有しあいながら療育につなぐ、さらに療育実践をすすめていくことを大切にしたいと、学びあいの場を企画しました。

【参加方法】
以下のURLにアクセスし、必要事項を記入して申し込みをしてください
<申し込み期間>7月1日(木) ~ 8月20日(金)
https://bit.ly/2SGen1L

8月23日以後、参加のためのURLと資料を送ります。
参加費は1500円です。学習会終了後、お支払い方法をご案内します。

主催=NPO法人 発達保障研究センター
問合せ npocenter@nginet.or.jp

案内チラシをクリックするとPDFがダウンロードできます

 

2021年06月24日

ZOOMウエビナー<受付番号と姓名>の表示変更方法

ZOOMウエビナー<受付番号と姓名>の変更方法

ZOOMウエビナーのセミナーなどに参加する場合には、<受付番号+姓名>の表示変更をお願いします。
事務局が参加者のみなさんを確認するためには、受付番号と登録された姓名の表示が必要です。

方法は簡単です。
ZOOMウエビナーに入室する段階で「Webセミナーに参加するための登録を終了してください」と表示され、<名前>と<メールアドレス>の入力を求められます。
このときに表示される<名前>を、<受付番号と申込登録時の姓名>に書き直して変更します。

「ZOOMウェビナー」では一度入室してしまうと、視聴者(参加者)が<名前>を変更することが機能的にできません。そうしたときには、一度<退室>し、再度入り直すときに、上記の操作で表示変更をお願いします。


特設ページ 「発達診断セミナー(オンライン)」へ

2021年06月18日

読む会案内=障害者問題研究49巻1号 乳幼児期の発達保障

障害者問題研究を読む会のお知らせです
日時 7月16日(金)19時~21時  Zoomオンラインにて開催
話題提供=児童発達支援の機能と役割/井原哲人さん(白梅学園大学)
参加費無料

読む会は特集企画の意図を聞いたり、執筆者の報告を直接聞いたりすることで理解が深まります。
ひとりで読むだけではなかなか見えにくいことでも、意見交換を通じて、各地の読者が同じ悩みや困難にあいながら、研究運動に参加していることが実感をもって感じられます。
特集の関連分野のみなさんの参加はもちろん、ライフステージをつうじた障害児者の権利保障・発達保障のために、幅広い分野の問題にふれることもでき、新たな気づきも生まれるでしょう。
研究誌の内容を、執筆者や関係者とともに学び合うことで、つながる相手や研究運動の課題がみえてくる「読む会」へのご参加をよびかけます。  「障害者問題研究」編集部

申し込みフォームは以下です

▶ https://forms.gle/kbJeoSCXYBdew8Cq7



「障害者問題研究」49巻1号
特集=乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題

特集にあたって/中村尚子

児童発達支援の機能と役割
 井原 哲人 白梅学園大学子ども学部

自治体における障害児福祉計画の現状と課題
 ――埼玉県下40市の第1期障害児福祉計画の分析
 新井 利民 立正大学社会福祉学部

発達支援と地方自治 ――鹿児島県伊佐市を例に
 若林 隆泰 奈良教育大学非常勤講師

連帯して療育の質を高めあう地域づくり
 ――広島県東部幼児通園療育機関協議会の取り組み
 長谷川貴一 社会福祉法人こぶしの村福祉会 児童発達支援センター 草笛学園
 中塚まちい 社会福祉法人こぶしの村福社会 児童発達支援センター ひかり園

報告
「安心」「楽しい」「大好き」を大切にした療育 ――“ほんとはやりたい”思いとつながる
 安藤 史郎 大阪府・社会福祉法人療育・自立センター 寝屋川市立あかつき・ひばり園

報告
保育園と家庭の間につくるスモールステップ ――並行通園の役割を考える
 飯室 智恵子 山梨県・社会福祉法人いずみ会 児童発達支援センターひまわり

政策動向
障害児通所支援2021年度報酬改定の問題点
 中村 尚子 特定非営利活動法人 発達保障研究センター


連載/実践に学ぶ
【報告】障害の重い子どもの特別支援学校の実践
 今こそドキドキわくわく心おどる学校を
  滋賀県立特別支援学校 教員 木?澤 愛?子
【木澤実践に学ぶ】
 みんなで“あぁ楽しかった”と思える授業づくり
 鳥取大学地域学部 寺川志奈子

連載/実践に学ぶ
【報告】放課後等デイサービスの実践
 集団の中で「一緒にしたい」思いを育んだ子どもたち
 放課後等デイサービススタッフ 中嶋麻衣
  社会福祉法人おおすぎ 城山れんげの里,立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程
【中嶋実践に学ぶ】
 放課後になかまと育ち合うことの大切さに気づくこと
 静岡県立大学短期大学部 佐々木将芳

連載/ワイドアングル
 認知症の人と家族の会のあゆみと介護・福祉の未来
 花俣 ふみ代 公益社団法人 認知症の人と家族の会副代表理事

動向
 コロナ禍における障害児教育の現状把握オンライン研究会の取組みから
 國本 真吾 鳥取短期大学幼児教育保育学科

書評
 田中智子著『知的障害者家族の貧困──家族に依存するケア』
 評者 藤原 里佐 北星学園大学短期大学部

詳細案内・「ちょっと見」やオンラインでのご注文は以下のホームページへ
 ▶「障害者問題研究」49巻1号 特集=乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題

2021年06月17日

田中智子『障害者家族の老いる権利』出版記念オンライントーク 7月12日(月)開催

田中智子『障害者家族の老いる権利』出版記念
オンライントークイベント  7月12日(月)10:30~12:30

100人をこえる参加ありがとうございました。


 


障害者のいる家族に生じる生活問題をテーマに研究を続ける田中智子さん(佛教大学社会福祉学部)による、高齢期を迎えた障害者家族の生活問題を捉え、親の老いる権利を考える『障害者家族の老いる権利』が刊行さ れます。
そこで、出版を記念してオンライントークイベントを開催します!
ゲストは全国障害児者の暮らしの場を考える会の播本裕子さんです。
播本さんは大阪障害児・者を守る会の会長でもあり、ご自身の子育て・ケアの 移行の経験を通して「親の自律・子の自律」をめざす活動を続けています。

「親亡き後」の心配までしなければならないのではなく、家族が ‶当たり前” に生きることのできる社会について、高齢期の問題に直面している方 も、子どもがまだ小さくずっと先の話だという方も、一緒に考えてみません か? 日々家族を支える支援者・関係者の方のご参加も歓迎です!

詳細案内、申込みはこちらのURLへ
 https://zenshoken-event-210712.peatix.com/

案内チラシをクリックするとPDFがダウンロードできます

 

2021年05月28日

「障害者問題研究」49巻1号 特集=乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題

「障害者問題研究」49巻1号
特集=乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題

特集にあたって/中村尚子

児童発達支援の機能と役割
 井原 哲人 白梅学園大学子ども学部

自治体における障害児福祉計画の現状と課題
 ――埼玉県下40市の第1期障害児福祉計画の分析
 新井 利民 立正大学社会福祉学部

発達支援と地方自治 ――鹿児島県伊佐市を例に
 若林 隆泰 奈良教育大学非常勤講師

連帯して療育の質を高めあう地域づくり
 ――広島県東部幼児通園療育機関協議会の取り組み
 長谷川貴一 社会福祉法人こぶしの村福祉会 児童発達支援センター 草笛学園
 中塚まちい 社会福祉法人こぶしの村福社会 児童発達支援センター ひかり園

報告
「安心」「楽しい」「大好き」を大切にした療育 ――“ほんとはやりたい”思いとつながる
 安藤 史郎 大阪府・社会福祉法人療育・自立センター 寝屋川市立あかつき・ひばり園

報告
保育園と家庭の間につくるスモールステップ ――並行通園の役割を考える
 飯室 智恵子 山梨県・社会福祉法人いずみ会 児童発達支援センターひまわり

政策動向
障害児通所支援2021年度報酬改定の問題点
 中村 尚子 特定非営利活動法人 発達保障研究センター


連載/実践に学ぶ
【報告】障害の重い子どもの特別支援学校の実践
 今こそドキドキわくわく心おどる学校を
  滋賀県立特別支援学校 教員 木?澤 愛?子
【木澤実践に学ぶ】
 みんなで“あぁ楽しかった”と思える授業づくり
 鳥取大学地域学部 寺川志奈子

連載/実践に学ぶ
【報告】放課後等デイサービスの実践
 集団の中で「一緒にしたい」思いを育んだ子どもたち
 放課後等デイサービススタッフ 中嶋麻衣
  社会福祉法人おおすぎ 城山れんげの里,立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程
【中嶋実践に学ぶ】
 放課後になかまと育ち合うことの大切さに気づくこと
 静岡県立大学短期大学部 佐々木将芳

連載/ワイドアングル
 認知症の人と家族の会のあゆみと介護・福祉の未来
 花俣 ふみ代 公益社団法人 認知症の人と家族の会副代表理事

動向
 コロナ禍における障害児教育の現状把握オンライン研究会の取組みから
 國本 真吾 鳥取短期大学幼児教育保育学科

書評
 田中智子著『知的障害者家族の貧困──家族に依存するケア』
 評者 藤原 里佐 北星学園大学短期大学部

詳細案内・「ちょっと見」やオンラインでのご注文は以下のホームページへ
 ▶「障害者問題研究」49巻1号 特集=乳幼児期の発達保障と児童発達支援の課題

2021年05月21日

声明=コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう

声明=コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう

声明
コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、
すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう

  2021年5月9日
  全国障害者問題研究会常任全国委員会

 私たちは、昨年5月、声明「新型コロナウイルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために」を発表し、コロナ禍における障害児者の困難や権利侵害の実態をつかみながら、障害児者とその家族、そして障害児者に関わる人たちの権利を守り、発達を保障するための施策を求めました。

 それから1年が経ちましたが、現在の感染拡大の状況下では、感染力が強く重症化の可能性が高いとされる変異ウイルスが急拡大し、各地の新規感染者数は過去最多を更新するとともに、死亡者も増え続けています。病床がひっ迫した医療機関では新たな患者の受け入れも困難となり、「救えるはずのいのち」が救えない危機的な事態が生じています。

 しかし、政府は、医療崩壊をくいとめる抜本的な施策を講じることなく、国民に「自粛」と「自衛」を求めるばかりです。医療従事者や高齢者へのワクチンの優先接種も混乱しています。にもかからず、オリンピック・パラリンピックの開催には大量の医師の募集や看護師の派遣要請が報じられています。

 いのちと健康を守ることを自己責任とする政策がむき出しになれば、障害のある人、なかんずく重い障害があり複合的な権利保障を必要とする人のいのちと健康は守られません。いのちの選別はあってはなりません。

 障害のある人のなかには、慢性疾患があり、感染すれば重症化しやすく、日常的な医療・介護を必要とする人たちが多くいます。いま、求められていることは、希望すればPCR検査ができること、希望者がワクチン接種を受けられること、適切な医療が受診できること、障害を理由に入院が拒まれないことです。本人や家族が感染した場合も、安定した生活基盤が確保できるような医療や福祉の体制が必要です。事業所や施設等で奮闘を続ける人たちのいのちと健康を守り、障害児者の発達と生活を支えるために最善を尽くすことのできる手厚いしくみが求められます。

 東京オリンピック・パラリンピック開催に固執することなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを最優先することを強く求めます。

 PDFデータです


2021年05月10日

特別ニュース(パンフレット)発行! 個別サポートⅠ 個別サポートⅡの中止求める 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会

特別ニュース(パンフレット)を発行しました 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会


「個別サポート加算Ⅰ、個別サポート加算Ⅱ」の中止を求めるわかりやすいパンフレットを特別ニュースで発行しました。ぜひ、ご活用ください。
また、厚労省へのFAX要請も!  
詳細は「持ち込ませない会」ホームページへ

 特別ニュース(パンフレット)  厚労省へFAX要請用紙案(word)


皆さん、個別サポート加算ⅠⅡのこと、知っていますか?
年度末ギリギリに国から出された報酬改定の事務連絡。個別サポート加算Ⅰは丁寧な支援が必要な子どもに対する加算です。「加算が付くのはいいことだ」と思われていますが、実は膨大な調査項目を保護者にたずね「できる」「できない」を聞き取り決定します。
加算Ⅱは「被虐待などの可能性のある要保護などの子どもを受け入れた場合」、保護者の同意を得て、支援計画にも書き込み決定します。どちらも子どもの人権や尊厳を大きく侵害するものです。
すでに始まっているものですが、内容と本質を知る学習会を企画しました。
オンライン開催なので、全国のどこからでも参加できます。ぜひ職場で集まって、一緒に学びましょう。

 2021年5月14日(金)18時から20時
 主催 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会
 講師 白石正久、中村尚子、池添素

以下から申し込んでください(参加費無料)
 https://bit.ly/3x0AFL7

2021年05月07日

ラーニングガイド!『新版 教育と保育のための発達診断 下 発達診断の視点と方法』

白石正久・白石恵理子編
新版 教育と保育のための発達診断  発達診断の視点と方法』のラーニングガイドです。

ラーニングガイド(PDF) (20210414)
 *プリントの際には、A4用紙一枚に2ページ入る指定をすると便利です

<編者から>
このラーニングガイドは,本書の理解を容易にするためのものではありません.本書のなかでくりかえし登場しながら,必ずしもその解説がなされていない事項,つまり①基本的な用語・概念,②子どもの具体的な姿の背後にある発達のしくみについて補足的に説明するものです.その用語・概念や発達のしくみへの認識を通じて発達の理解が一歩深まることを願って,本書の読者のみなさんにお届けします.
 白石正久・白石恵理子

『教育と保育のための発達診断 下 発達診断の視点と方法』目次

2021年04月14日

全障研「学びの”わ”プロジェクト」がスタートします。4.4キックオフイベント

全障研「学びの”わ”プロジェクト」がスタートします。4.4キックオフイベント!

 


全障研「学びの“わ”プロジェクト」がスタートします。

コロナ禍で教育実践を深く学びにくくなった方、自分の近くに語り合える仲間が見つからずサークル活動に一歩が踏み出せなかった方、この機会に一緒に学びの“わ”を広げませんか。

このプロジェクトのコンセプトは、
学びの機会をつくる
学びの仲間をつくる
学びのうねりをつくる
です。

具体的には、別紙資料にあるように「本作りを支える」こととその本にかかわった「学びあいの“わ”を広げる」活動を行います。

◯書籍を刊行します=障害者問題研究の「実践に学ぶ」コーナーに掲載された教育実践報告の出版の資金援助を行います。

◯オンライン学習会を開催します=出版前から、そして出版後も障害者問題研究の「実践に学ぶ」コーナーに掲載された教育実践報告をもとに、オンラインでの学習会を行います。限られた誌面では語り尽くすことのできなかった実践者の思いや実践の背景なども学び尽くし、普遍的な教育実践として大切にしたい視点を学びあいたいと思っています。

◯仲間と学習の“わ”を広げます=仲間とつながって、自分たちで学習の企画を立て、学びの“わ”を広げましょう。

ぜひ、みなさんプロジェクトメンバーになってください。
詳細はPDF資料を参照(クリックしてください)

プロジェクト参加希望者は専用の申込フォームからお願いします。
https://form.run/@sakurai-hiroaki--1611202867

キックオフイベントとして4月4日(日)に第1回プレ学習会を企画しました。

「激しい偏食をもつりんちゃんと仲間たちの3年間」 障害者問題研究第43巻2号
 実践報告=小島貴子さん(埼玉・小学校特別支援学級)
 コメント=別府哲さん(岐阜大学)
「出会い直し」や思いの『受けとめ』は、子どもを外からアセスメントし観察するだけではできない」「仮説を持って意図的に働きかけ、その格闘の中で共につくり出すもの」(別府哲)

興味がある方は試しに参加してみてください。この学習会は、プロジェクトのメンバーはもちろん、興味をもってくれた人も参加可能な学習会です。
詳細はPDF資料参照(クリックしてください)

2021年03月03日

「障害者問題研究」48巻4号 特集=地域社会へのインクルージョンと暮らしの場

「障害者問題研究」48巻4号 
特集=地域社会へのインクルージョンと暮らしの場 

特集にあたって/中村尚子 本誌副編集委員長

座談会 暮らしの場に値する障害者施設をめざして
出席者 社会福祉法人みぬま福祉会 足立早苗・植村 勉・園部泰由・野崎壮一
司会 中村尚子(本誌編集委員)

デンマークとスウェーデンにみる障害のある人たちの住まいと暮らし
薗部 英夫
 全国障害者問題研究会副委員長・日本障害者協議会副代表

グループホーム制度30年と今後の課題
伊藤 成康
 きょうされん大阪支部グループホーム部会

【手記】
サポートを受けながら私らしく暮らしたい
 社会福祉法人皆の郷グループホーム利用 相田あづさ
 きょうされん埼玉支部利用者部会WA会

【手記】
私にとってのインクルーシブな暮らしを考える
県営住宅居住 上野 耕一

報告
北の大地の仲間たち2020~グループホーム編~
北村 典幸
 旭川大学/社会福祉法人あかしあ労働福祉センター(北海道・旭川市)

報告
多様な家族の形態を支える
川瀬加代子・菅原裕子
 麦の芽福祉会(鹿児島県)

運動
親のねがいと「全国障害児者の暮らしを考える会」の結成、運動の経過
播本 裕子
 全国障害児者の暮らしの場を考える会


連載/実践に学ぶ
生徒と楽しむ理科実験
吉村 邦造
 群馬・特別支援学校中学部

【吉村実践に学ぶ】 自然の不思議さに迫り,文化や科学の面白さに迫る
品川文雄 特定非営利活動法人発達保障研究センター

コロナ禍における学生の健康と生活と学習の危機に、障がい学生支援室はどう向き合えばよいのか
龍谷大学 障がい学生支援室
支援コーディネーター 瀧本美子

【瀧本実践に学ぶ】 学生の苦しみ,悩みに心を寄せる
社会福祉法人いたみ杉の子発達支援連携室
芦屋大学特任准教授
神戸大学・学ぶ楽しみ発見プログラムコーディネーター
 河南 勝


連載/ワイドアングル
学校図書館における特別なニーズへの対応をめぐる現状と展望
野口 武悟
 専修大学文学部


原著論文
二分脊椎症児の母親のソーシャル・キャピタル醸成プロセス
古城 恵子
 帝京短期大学生活科学科

障害者問題研究2020年度(第48巻)総目次

詳細やオンラインのご注文は以下のホームページへ
「障害者問題研究」48巻4号 特集=地域社会へのインクルージョンと暮らしの場

2021年02月19日

『くらしの手帳』が教科用一般図書に選定されました

『くらしの手帳』が教科用一般図書(旧107条図書)に選定されました

2021年度の教科用一般図書(特別支援学校・学級用)として、『くらしの手帳 ~おとなとしてゆたかに生きるために』(みんなのねがい編集部編 2014年刊行)が選定され、文科省と契約を結びました。
すでに、中学の障害児学級や特別支援学校の高等部などから注文が入り、供給に入りました。定時制高校からの問い合わせも入っているところです。
「くらしの手帳」は、「障害のある青年たちの学びの場で教科書として使ってもらえるようにしたい」という願いをもっていました。柱は「くらす」「はたらく」「あそぶ」「性」「お金」の5つ。イラストやマンガで楽しくやさしく、総合的に学べる1冊です。

『くらしの手帳』のページへ

 

 

2021年02月03日

全国総会で新役員が選出されました

◆全国総会で新役員が選出されました 2020年12月19日

2020年度 第54期 役員

全国委員長 越野和之  奈良教育大学教授

副委員長  池添 素  福祉広場理事長
  同   河合隆平  東京都立大学人文社会学部准教授/研究推進委員長(新任)
  同   川地亜弥子 神戸大学発達科学部准教授(新任)
  同   白石正久  龍谷大学名誉教授
  同   薗部英夫  職員/日本障害者協議会副代表
  同   中村尚子  NPO法人発達保障研究センター常務理事 /立正大学特任准教授
  同   丸山啓史  京都教育大学准教授(新任)

常任全国委員 荒川 智  茨城大学教育学部教授
  同    石田 誠  特別支援学校
  同    児嶋芳郎  立正大学社会福祉学部准教授
  同    木全和巳  日本福祉大学社会福祉学部教授
  同    櫻井宏明  職員/元特別支援学校(新任)
  同    田中智子  佛教大学社会福祉学部准教授(新任)
  同    塚田直也  特別支援学校/「みんなのねがい」編集長
  同    船橋秀彦  シャンティつくば
  同    古澤直子  特別支援学校
  同    別府 哲  岐阜大学教育学部教授
同・事務局長 圓尾博之  専従職員

出版部経営委員長     峰島 厚 元立命館大学教授
発達保障研究センター長  品川文雄 NPO法人発達保障研究センター理事長

 

 

2020年12月24日

第54回全国大会基調報告(確定版)

全国障害者問題研究会
第54回全国大会 基調報告   2020年8月9日

 常任全国委員会




<はじめに>

 人と人が語りあい、向かいあって暮らすというあたりまえの日常に制限を受けた数か月でした。この間、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大という事態の中で私たちが経験した日常とは異なる生活は、子ども、大人の年齢を問わず、障害のある人びとと家族に、はかりしれない不安と困難をもたらしました。不安や困難の背景には、この感染症に対する処方箋がないということに加えて、すべての人の生きる権利を保障するはずの社会福祉・社会保障の制度の脆さが日に日に明らかになってきたということがあります。そうであるなら、どんな困難があったのか事実を出しあい、記録し、話し合うことは、予想される次の感染への対応にとどまらず、障害のある人びとのいのちとくらし、発達を保障する土台を改善する提起につながると考えます。

 ここで3月から、私たちの周りで起こったことをふり返ってみましょう。

 またたくまに世界中に広がった新型コロナウィルスによる感染症に対して、WHOは3月11日、世界的大流行(パンデミック)を宣言、各国政府はそれぞれに人びとの社会的活動や経済活動を制限する対策を実行しました。ウィルスについて科学的解明が続けられていますが、いまだ決定的な治療薬、ワクチンは開発されていまいせん。感染の広がりは世界的規模で格差を浮き彫りにしました。医療体制の不備のもと「経済優先」に舵をきる国も増え、6月末には、世界の感染者数は1000万人を、死亡者は50万人を超えています。

 日本では、2月27日の夕刻、安倍首相による突然の一斉休校要請に始まり、4月7日には、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法によって「緊急事態宣言」が出され、以後、全国的には5月25日まで、生活全面にわたる規制が強いられました。

 この事態の中で、全障研は、まず3月2日に「緊急声明」を出し、障害のある子どもと家族のもつ特別の困難に照らして、一律の休校を求めることの問題点を指摘し、要請の撤回を求めました。そして障害のある子どもと家族の健康と生活を守る方途を、国民的な英知の結集と議論によって検討していくことをよびかけました。

 さらに「緊急事態宣言」から1ヵ月を経て、「補償なき自粛要請」への批判が高まるなか、5月9日には「声明=新型コロナウィルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために」を発表しました。この声明では、社会福祉の仕組みの決定的な弱さが障害児者・家族に困難をもたらしていることを指摘し、乳幼児の施設や事業所、学校と放課後支援、児童および成人の施設などそれぞれにおいて、障害児者とその家族、障害児者に関わる人たちの「人間的な諸権利を守り、発達を保障することが必要だ」と訴えました。

 2つの「声明」に呼応して、全国からたくさんの報告が寄せられました。

 密になる集団生活をさけるために学校は休校とされる一方で、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所は開所を求められ、しかも感染防止のための方策はすべて事業所任せだったこと。卒業生を送り出し新入生を迎える大事な時期であったにもかかわらず、感染対策のみが優先され、子どもの気持ちに寄り添った活動を準備することすらままならなかったこと。在宅生活による生活リズムの乱れ、活動や集団が保障されないなかでの行動の不安定化などが家族から訴えられても、十分議論できない日々を送らざるを得なかったこと。いずれも、マスコミ報道には取り上げられることのない障害児・者と家族がかかえる困難から生じた問題ばかりでした。

 「緊急事態宣言」後の4月以降は、児童発達支援、放課後デイ、作業所などの障害福祉事業所は、利用控えが顕著になり、事業継続の危機に直面しました。厚生労働省から電話などでの支援も報酬の対象となるという事務連絡が出されましたが、これにたいする疑問を感じながら、障害のある人への支援とは何か、それを支える制度はどうあるべきかという課題にいっそう向き合い、多くの事業所が事業を継続してきました。こうしたなかで、支援の対価としての日額報酬制という制度への批判が高まっています。

 以上のように、まさに「コロナ禍」によって、国民生活を守る制度の脆さから矛盾が噴出したなかにあっても、政府は社会保障全般にわたる公費抑制をもくろみ、自助・互助・共助を基本とする「全世代型社会保障改革」にもとづいて、年金法、社会福祉法などの「改正」を強行してきました。
 3月、津久井やまゆり園事件の裁判が終結しました。裁判では、「障害者は生きる価値がない」という被告の主張を正面から問うことがありませんでした。しかし、いま未解明の感染症とそこから生じた不安の拡大という状況のもとで、「すべての命は平等」であるという価値はますます重要になっていると思います。このことを基盤にした社会をめざす運動をすすめていかなければなりません。
 私たちは、どんな情勢の下でも、人間のいのちと尊厳を軽んじる考え方や社会のしくみを断固として否定します。憲法と障害者権利条約の理念を地域のすみずみに広げながら、だれもが安心して生きられる平和でインクルーシブな社会の実現にむけて、みんなのねがいと力を重ね合わせて、発達保障をめざすとりくみをさらに進めていきましょう。


Ⅰ.乳幼児期の情勢と課題

(1)登園できなくてもつながる療育
 感染が拡大するにつれて、保育園や幼稚園、児童発達支援の施設に通い、楽しい時間を過ごすという子どもたちの日常が消えていきました。3月、学校と同様に休園になる幼稚園がめだち、4月の「緊急事態宣言」以降は、保育園にも登園自粛の要請があり、子どもにとっての日中の生活と集団の基盤が揺らいでいきました。児童発達支援の施設(センターや事業所)は感染予防に努力しつつ可能な限り開所することが求められましたが、保護者の判断で登園を自粛する、事業所として登園制限や臨時休所を選択するという場合もありました。

 友だちと遊ぶのが苦手、好きな遊びが見つけられないといった課題があるから、保育園や療育の場に通っていた子どもたちです。登園できなくなったとき、子どもに対してどんな支援ができるのか、各地で模索がつづきました。一方では、コロナ禍をも好機にしようと、オンラインの個別支援と称して動画や教材を有償で家庭に提供する事業者もあらわれました。

 コロナ禍のもとにあっても重ねてきた実践の中には、今後の感染対策に引き継ぐべきことだけでなく、保護者・家庭への支援の基本として大事にしたいことがたくさん含まれています。少しでも楽しく過ごせるよう、子どもの心身の状態を把握し、工夫を凝らして試みた在宅生活における子どもへの支援について、経験を交流していくことも必要だと思われます。

(2)保護者への支援
 父親が在宅勤務になった家庭では、家族一緒の時間が格段に増えました。しかし、障害のある子どもたちにとって、ふだんと異なる日課や家庭での暮らしはストレスとなる場合もあります。保護者からは、つい強くしかってしまう、適切でない対応になる可能性もあるという切実な声が聞かれました。在宅支援は、保護者にたいしても大切な支援であり、実践的な検討をしていかなければない課題です。

 一方、厚労省や自治体が出す事務連絡では、保護者や子どもがコロナウィルスに感染することは、ほとんど想定されていませんでした。感染への不安は、障害の重い子どもや医療的ケアを必要とする子どもがいる家庭ではさらに深刻です。子どもを対象にしたショートステイの場の整備などが緊急に求められています。

 障害のある子どもを育てる保護者の就労困難は以前から大きな問題ですが、今回のコロナ問題は家計にも大きな影響を与えました。

(3)事業所を守る
 育ちを守り育てる療育の場では、まさに療育者と子どもが身体と心を通わせ働きかける場であり、「3密」状態を避けることは不可能といっても過言ではありません。療育の場が安心安全とはいえない状況が生まれました。

 感染に配慮しつつ開所し続けても通園児が5割を切った、とうとう1名になったといった事業所もあります。楽しい集団療育ができないだけでなく、通所する子どもの人数の減少は、事業所の減収に直結するので園の運営そのものが不安定さの度合いを高めました。子どもが通園した日にしか公費が支払われないこの制度は職員の雇用をも不安定にしています。

 厚生労働省の事務連絡にもとづいて電話などで支援をする場合には、支援計画等の書類を作成し、事前に1割の費用負担があることを保護者に了解してもらうことを徹底するよう求められ、自治体によっては、支援の内容や書類に細かい指示もありました。支援をしたら報酬を出す、利用料は応益負担という障害福祉制度ゆえの問題に、多くの事業所が戸惑いを感じたのが現実でした。

(4)乳幼児期の総合的な発達保障を
 今年2020年は、2021~2023年度を期間とする第2期障害児福祉計画にむけた施策の見直し期にあたります。厚生労働省は、2020年度までに「重層的な地域支援体制の構築」を目指し、児童発達支援センターを市町村に少なくとも1カ所以上設置するという目標を掲げていますが、実現に向けた特別な方針がないまま市町村にまかされています。子どもと保護者のねがいを障害児福祉計画に反映させるよう地域の自立支援協議会児童部会などで議論し、計画策定に参加していくことも重要です。

 乳幼児期の支援は、母子保健施策である乳幼児健診と結んだ総合的なシステムが求められますが、ゆとりのない職員体制のもとで保健センターにおける障害の発見から対応、療育への橋渡しの機能低下が危惧されています。全障研大会では、すべての子どもの健康と発達を保障するという視点から子育て支援の枠組みを発展させ、早期療育へつなぎ、親子を支える仕組みを充実させている自治体の取り組みが毎年報告されています。そうした実践に学びあうことを大切にしたいと思います。


Ⅱ.学齢期の情勢と課題

(1)突然の休校要請の下での子どもたちの暮らし
 2月27日の夕刻、全国の学校の職員室では大きな不安と動揺、混乱がもたらされました。首相による全国一斉休校要請の突然の発表、そこからの数日間、学校は対応に追われました。卒業や進級という一つの大きな節目を控え、次のステージに向けて期待や意欲を高めていこうとする子どもたちの気持ち、その学年、学級、学校生活の残りの日々で、子どもたちに何を手渡していくのかという教職員の思いは、まったく突然に、そして一瞬にしてやり場を失うことになりました。首相とその周辺による強行的な決定は、多くの自治体や学校から、教育的な判断を主体的に行う機会を奪い、子どもたちはその間、教育を受ける権利を保障されなくなったのです。

 3月に入ると、休業補償等の手立てに関する十分な検討もないまま強行された休校によって、多くの障害のある子どもたちとその家庭は、日中をどうやって過ごすのかという問題に直面します。休校要請に際して、厚生労働省は放課後等デイサービスに対し、「可能な限り時間を延長して子どもたちを受け入れること」という事務連絡を出しました。感染拡大予防という一斉休校要請の趣旨と大きく矛盾する課題を、福祉の現場に丸投げしたのです。放課後等デイサービスの事業所では、午前中からの体制づくりに突然直面させられ、職員の不足や職員家族の負担、マスクや消毒液の不足、公共施設が使えないなどの多くの困難と向き合いながらも、子どもと家庭の困難さに応えようと、必死の努力を続けました。4月の「緊急事態宣言」以降も、公的責任に基づく根本的な手立ては示されることなく、各地域や現場レベルでの工夫を強いられている状況が続きました。

 「緊急事態宣言」解除後にいくつかの自治体等で取り組まれた調査などでは、子どもたちの家庭での生活の困難の実態や、放課後等デイサービス事業所が直面した困難の実態とともに、学校と家庭、また学校と障害児支援事業所との矛盾が、「学校に見捨てられたような気がした」「学校は何もしてくれなかった」など、悲鳴のような表現で指摘されています。5月に公表した全障研の声明は、この間の施策が、「教育と福祉の関係性に大きな歪みをもたらした」と指摘しました。この歪み正し、障害のある子どもと家族、関係者の人間的な諸権利を守り、発達を保障するための具体的なとりくみが緊急に求められています。

(2)学校に「行く」ことの意味を問い返す
 昨年、障害を理由に、長きに渡って教育を受ける権利を奪われてきた人たちの、「学校に行きたい」「学びたい」というねがいを結実させた養護学校義務制実施から40年を迎えました。全障研しんぶんでは「義務制実施40年を考える」と題し、2019年6月から7回にわたって、義務制実施までの道のり、そして義務制実施以降のさらなる教育権保障の道のりを辿りました。すべての障害のある人たちの義務教育実現を大きな基盤としながら、さらに障害の重い人たちの教育内容の深化、後期中等教育の保障、卒業後の進路保障と作業所づくり、さらなる学校設置運動の広がりなど、教育の豊さの広がりはもとより、障害のある人たちのライフステージ全般にわたる豊かさを求め、実践と運動を地道に積み上げてきた歴史に学ぶことができました。

 どの子も学校に行けるようになってから40年を経た今年、日本の多くの地域で、子どもたちは3ヶ月もの長きにわたって、学校に「行く」ことを奪われました。そうした事態の中でも、全国の少なくない教師たちは、子どもと家庭の状況をつかみ、子どもたちが少しでも笑顔で過ごせるようにしよう、わずかながらでも発達を保障しようと、家庭訪問や電話、手紙などを用いて連絡をとり、学校生活の中で、子どもたちが好きになった歌のCDを届けたり、絵本の読み書かせや身体を楽しく動かすための動画データを配信するなど、さまざまな努力を続けました。

 障害のある子どもたちにとって、学校は「学ぶこと」をただ受け取るだけの場所ではありません。子どもたちは、「学校」という場所に毎日通うことで自ら生活リズムを作り、自分に合った環境で心身をリラックスさせ、適切な運動の機会をつくり、友だちや先生との人間的なかかわりをつくっていくのです。そうした毎日の生活の中で、子どもたちは学校でしか学べないものに出会い、自分自身がよりよくなりたいという「ねがい」を育みます。学校でしかできないこととは何か、子どもたちにとって、学校の価値はどこにあるのかということを改めて問い返しながら、再開後の学校と、そこで営まれる子どもたちと毎日の生活の質を吟味する必要があります。

(3)「再開」後の学校の「学び」をめぐる問題と教育政策
 しかし、登校が再開されつつある今、学校は、子どもたちの「ねがい」に応えうる場所になっているでしょうか。学校行事の中止や縮減の一方で、7時間授業や土曜登校、夏休み登校など、授業時数の確保や「遅れを取り戻す」ことばかりが一面的に強調されてはいないでしょうか。
 安倍政権が推し進めてきた教育改革、さらには今年から小学校、特別支援学校小学部で本格実施となる学習指導要領では、「何ができるようになったか」「学んだことをどう使えるようになったのか」という視点ばかりが重視されます。そこでは子どもや親、そして教師の「ねがい」から実践を構想するのではなく、短期での目標達成や行動の変容のみをターゲットにした実践を助長させるような「評価」と、一面的な社会からの要請の影響を色濃くうけた「教育目標」が教育現場に押しつけられ、そのことに教育実践が縛られようとしています。

 2019年度から開始された文部科学省「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」は、6月末に「これまでの議論の整理(案)」を示しました。この文書には、障害のある子どもの保護者や教職員が長年要求してきた特別支援学校設置基準の策定に初めて言及するなど、ゆたかな権利保障をめざす声の高まりを反映したと見られる箇所もありますが、特別支援学級と通常学級の「交流及び共同学習の拡充」と称して、「ホームルーム等の学級活動や給食等については原則共に行う」等の一面的な方向性を示したり、「自校通級を進める」との名目の下に「ICTを活用した遠隔による専門的指導」を例示するなど、子どもたちのゆたかな学びと生活へのねがい、子どもと寄り添い、子どもの事実から実践を構想しようとする教師のねがいに背く危険性もはらんでいるとみられます。特別支援教育をめぐる今後の政策動向に直結する動きとして十分な注意を払う必要があります。

(4)自ら考え、行動できる教職員集団づくりを
 長期にわたる休校とその後の学校再開の動きの中、学校と福祉がこれまで以上に連携を深めながら、子どもたちの生活を少しでもよくしよう、家庭やそれぞれの現場の負担を軽減しあおうという動きも見られます。子どもの家庭や生活の状況をつかもうと、従来以上に密に連絡を取り合うようになった学校や福祉事業所の事例もあります。休校期間中、体制の不足する福祉事業所に応援に入った学校や、学校施設を家庭や福祉事業所に開放した自治体、学校もありました。こうしたとりくみは、行政上の障壁や教職員集団の合意形成の困難などに制約されて、いまだ多数とはなっていませんが、困難な状況の中でこそ、障害のある子どもたちの権利を守るために何ができるか、現場レベルで話し合い、考え合うことの重要性と、そうした努力を重ねることで、少しずつでも困難を切り拓いて前に進めることを私たちに教えています。

 教職員集団が「集まる」ことが強く制約された経験を経て、「集まる」「語り合う」ことの価値を、再発見している人たちは少なくありません。今年度の『みんなのねがい』の連載「出会いはタカラモノ 子どもから教えられたことばかり」の冒頭で、著者の佐藤比呂二さんは「私の教師人生は、子どもから学んだことの積み重ね」だと記しています。子どもたちの教えてくれるタカラモノを一つ一つ大事に掬い取ることができるように、そしてその「価値」を決して手放すことのないように、みんなで語り合いながら、子どもの「ねがい」に応える授業づくり、教育課程づくりを進めましょう。「働き方改革」と「コロナ対応」などの名の下、再編される行事や教育活動についても、「子どもにとっての値打ち」をしっかりと語り、現下の状況に即して創造できる教職員集団づくりを進めましょう。


Ⅲ.成人期の情勢と課題

(1)「全世代型社会保障」の動向
 成人期の障害者の権利保障を考えるうえでは、社会保障全体の動向に目を向けておく必要があります。

 政府が2019年9月に設置した全世代型社会保障検討会議は、12月に中間報告をまとめ、「年金」「労働」「医療」「予防・介護」の各分野について、改革の方向性を示しました。その内容は、第201回国会において一部具体化され、70歳までの雇用継続と結んだ年金支給年齢の引き上げなど、関係法の「改正」がなされました。さらに、2020年6月には、第2次中間報告がまとめられ、「フリーランス」の拡大のための労働関係法の改正などが準備されています。

 こうした動向の基調になっているのは、経済成長を最優先する姿勢です。昨年12月の中間報告は、「障害や難病のある方々」にも言及していますが、それは「一億総活躍社会」を語る文脈においてです。政府がめざしているのは、「強い経済の実現」なのです。日本に住む人の権利保障の観点から社会保障改革が考えられているわけではありません。

 そのため、全世代型社会保障改革は、「制度の持続可能性」の名のもとに、社会保障の抑制を図るものになっています。医療についても、窓口費用負担割合の引き上げなどが提案されています。
 そして、重視されているのは、高齢期に至るまでの就労です。人間らしく働く権利の保障は重要ですが、経済成長や社会保障抑制のために就労を強いられることは問題です。

私たちは、権利保障の観点から、あるべき社会保障を考えていかなければなりません。

(2)報酬改定をめぐる動向
 障害のある人の生活と権利に直結することとしては、「障害福祉サービス等報酬改定」の問題があります。3年ごとの報酬改定が、2021年度に予定されており、感染対策で中断していた検討チームの会合が再開されました。

 2018年度の報酬改定の際には、国が食事提供体制加算を撤廃しようとしましたが、障害者団体等の運動によってそれを阻止しました。昼食・食事は、障害者の労働や生活を支える大切なものです。次回の報酬改定で食事提供体制加算を廃止することは許されません。

 また、事業所による送迎支援も重要なものであり、送迎加算は廃止されるべきものではありません。それにも関わらず、厚生労働省のもとで送迎に関する実態調査が行われるなど、送迎加算の見直しが進められてきています。

 現実には、公費支出の水準が低い現状のもと、事業所の運営は困難を抱え、職員の働く環境も厳しいものになっています。また、2018年度の報酬改定においては、就労継続支援事業B型の報酬単価を平均工賃と連動させるという成果主義的な方式が導入され、そのなかで多くの事業所が減収に追い込まれました。報酬改定は、これらの問題を解決する方向でなされるべきものです。
 新型コロナウィルス感染症に関係して、障害者や家族、事業所が抱える困難が増しているなか、報酬改定がさらなる打撃をもたらすようなことがあってはなりません。

(3)安心できる生活の保障
 必要なのは、社会保障の拡充であり、障害者が安心して暮らせる社会の構築です。

 今年度の『みんなのねがい』の連載「高齢期を迎えた障害者と家族―老いる権利の確立をめざして」(田中智子)でも述べられているように、障害者のケアの責任は、費用面も含めて、親・家族に押しつけられています。障害者の生活を支える社会資源の整備も、家族によるケアを前提としている面があります。障害者および家族の権利保障にとっては、家族依存を当然のこととするような現状からの脱却が重要です。

 そのためには、障害者の暮らしの場の充実が欠かせません。障害者権利条約の第19条は、「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」を確保するように締約国に求めています。障害者が意に反して「特定の生活施設」で暮らさなければならないことが問題であるのと同時に、障害者が親・家族との生活を強いられることも問題です。

 遠くないうちに、国連・障害者権利委員会から、日本への勧告(総括所見)が出されることになります。その内容を吟味したうえで活用しながら、障害者の暮らしの場の保障を進めていくことが、今後の課題になります。

(4)文化的な生活の創造
 障害者の労働や生活の場を豊かなものにすることと合わせて、障害者の文化的活動が十分に保障されるようにすることが重要です。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催が2020年に予定されていたなかで、障害者のスポーツに対する社会的関心はいくらか高まったのかもしれません。しかし、幅広い障害者がスポーツを楽しめる環境が整備されてきたとは言えません。家族による援助に依存するような状況は、スポーツについてもみられます。

 文部科学省のもとでは、「障害者の生涯学習の推進」が言われ、「文化芸術活動」や「スポーツ活動」を支援するとした「障害者活躍推進プラン」が2019年に発表されています。その背景には、生涯学習等に対する障害者の要求や、その要求に応えてきた諸実践もあるでしょう。養護学校義務制の実施や養護学校高等部の拡充などに結びついてきた、これまでの教育権保障の取り組みが、「生涯学習」を政策的課題に押し上げてきたとも言えます。しかし、高い能力をもって「活躍」することばかりに価値を置く発想がないか、特別な才能のある障害者を政策的に利用するようなことにつながらないか、といったことには注意が必要です。

 障害者権利条約の第30条では、「文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」についての権利が明記されています。すべての障害者がこの権利を享受できるようにしなければなりません。

 そのためには、障害者の余暇活動のための制度の構築も求められます。学校に通う子どもについては、2012年に放課後等デイサービスの制度が創設されました。類似の仕組みを必要とする人は、成人期にある障害者のなかにも少なくありません。

 障害児者の生活のありようを構成する不可欠の要素の一つにセクシュアリティをめぐる問題があります。すべてのライフステージに関わる大切な課題ですが、この領域における権利侵害の実態や権利保障・発達保障の課題は、これまで必ずしも十分に論議されてきたわけではありません。全障研出版部の新刊『ゼロから学ぶ障害のある子ども・若者のセクシュアリティ』(伊藤修毅著)なども用いて、セクシュアリティをめぐる権利保障の課題についても議論と実践を深めましょう。

(5)権利保障の道を描くこと
 現状に甘んじることなく、障害者の権利保障のために必要なことを考え、取り組んでいきましょう。

 新型コロナウィルス感染症をめぐる事態は、さまざまな分野で従来の仕組みの歪みを浮かび上がらせました。保健所が統廃合によって減らされてきたことも、その一つです。余裕のない医療体制では危機的状況に対応できないことも明白になりました。障害者支援の領域においては、「日割計算」の弊害が改めて顕在化したといえるでしょう。ゆとりのある安定的な職員体制の大切さも再確認されることになりました。また、行政の責任・役割が小さなものになっていることの問題性も顕著に表れました。

 障害者自立支援法の成立から約15年が経過し、社会福祉基礎構造改革の流れのなかでつくられてきた仕組みが当然のもののようにみなされる傾向があるかもしれません。しかし、私たちは、現在の仕組みを固定的なものとして考えることはできません。障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意(2010年)や障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言(2011年)などをふまえ、障害者と関係者の実態や要求を立脚点にして、あるべき権利保障の道を描いていきましょう。


Ⅳ.研究運動の課題

(1)平和的生存権を基盤に、三つの系でねがいを束ねる
 新型コロナウィルスを契機として引き起こされた情勢は、社会にもともと存在していた矛盾や格差、差別と偏見を浮かび上がらせました。近い将来人類の存続さえ脅かすような気候変動・気候危機も急速に進行しています。ウィルスがもたらす危機だけに目を奪われることなく、発達保障・権利保障の課題を正面からとらえる必要があります。

 新型コロナウィルスの世界的な感染爆発により、無数の人びとの生活が破壊され、いのちが奪われていくなか、アメリカ合衆国では、重度の知的障害、脳性まひ等のある人への治療を抑制したり、人工呼吸器を装着させないという選択肢を含んだガイドラインを作成した州もあります。障害を理由とするいのちの選別は、障害のある人びとのいのちを脅かし、いのちの切り捨てをさらに進めることにもつながりかねず、いかなる場合にも断じて容認できません。

 2020年3月31日、津久井やまゆり園事件をめぐる裁判で死刑判決が出され、その後この判決は確定しました。しかし、「障害者は不幸をつくり出すことしかできない」、「生きるに値しないいのちがある」という被告の価値観がこれ以上追及されず、事件の本質も解明されないまま、事件に終止符が打たれることがあってはなりません。今回の事件を忘れることなく、人間のいのちに軽重をつける価値観に抗い、いのちの選別をおし進めようとする動きに向き合い続けなければなりません。

 新型コロナウィルス対策をめぐり、異論を唱えることを許さない空気が社会に蔓延し、「自粛」要請による生活の統制が一気に進みました。3月半ばから4月の初めにかけて、新型インフルエンザ特別措置法改正から「緊急事態宣言」発令へと事態はきわめて急速に進行しましたが、自民党は今回の緊急事態宣言に便乗して憲法を改正し、「緊急事態条項」を創設する意向を示したことに注意が必要です。政府の判断で検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案も、国民の声に押されて頓挫したとは言え、民主主義の根幹に関わる三権分立を脅かそうとするものでした。未知の感染症の蔓延という危機に乗じて、私たちの自由を奪い、政府の意に沿わない声を封じ込め、平時には実現しにくい政策をなし崩しに強行しようとする動きが顕著であったことは決して見過ごしてはなりません。

 私たちは、障害者のいのちと権利を守り、すべての人の発達保障を実現するために、日本国憲法が定める平和的生存権を拠りどころとして、「個人-集団-社会」という発達の三つの系を統一し、民主的に発展させることをめざしてきました。「コロナ禍」の下で顕在化し、あるいは新たに引き起こされた情勢は、集団の系の展開を強く制約するとともに、社会制度の系において人類が築いてきた進歩に対しても大きな反動を招きかねないものであり、そうした情勢の下で個人の豊かな生存と発達の権利が脅かされるという構造を持っているものと見られます。発達の三つの系を断ち切らせず、それぞれの系において一人ひとりのねがいを持ちより、みんなのねがいとして分かち合うとりくみを大切にしていきましょう。

(2)本人や家族のねがいや不安を聴きとり、権利侵害の事実をつかむ
 この間、「自粛」要請による生活や行動の制限にくわえて、新自由主義改革によって弱体化させられてきた社会保障制度の矛盾が、障害のある人や家族を追い詰めています。そうしたなかで、本人や家族が困っていることや不安に思っていることを十分に聴きとり、受けとめることができないまま、不自由な生活を強いてしまっている現実があります。

 私たちの研究運動に求められるのは、そうした障害のある人びとや家族の抱える不安と、その背後にある人間的な生活と発達へのねがいをていねいに聴きとること、そのことを通して、障害のある人びとに対する権利侵害の事実を具体的につかむことです。コロナ情勢下での障害のある人や家族の実態をしっかりと記録しながら、多様かつ複合的に立ち現れている権利侵害の事実を総体として明らかにすることで、動かしがたくみえる現実に立ち向かう実践と研究の課題が明らかになります。

 いっぽう、困難な状況をていねいにつかみ、本人の要求をじっくりと探るとりくみが、関係者や関係機関を結びつけ、新たなつながりのもとで、それぞれのライフステージで安心できる生活を保障しようとするとりくみも生まれています。困難な状況下で生まれつつある新たなつながりや実践の芽をつかみ、そうした実践のなかで生み出された事実を共有することが、権利保障の道すじを見出すことにつながります。


(3)実践者のそだちと発達保障労働の専門性
 福祉や教育の現場では、感染の危険性を抱えながら困難な状況にねばり強く立ち向かい、障害のある人や家族の抱える不安に心を寄せて、一人ひとりのねがいに応えようと奮闘する実践者がたくさんいます。本人の不安を少しでも取り除き、ことばと心を通わせあうことで、障害のある人たちと家族のねがいをつかみ、それに応えようとする人たちが、お互いのの不安や悩みを聴き合うこと、障害のある子どもや仲間が示すわずかな変化のうちに実践の展望を見出そうとする努力を励まし合うことが大切です。

 いま、障害のある人びとの発達や幸福の実現に寄与する実践に力を尽くしたいとねがって現場で働く人たちが、これまでの歴史のなかで深められてきた発達保障の思想をわがものとしながら、主体的な実践者として育ち合う道すじはどこに見出されるでしょうか。実践がうまく立ち行かない原因を、自分や同僚など、個人の力量の不足に求める自己責任の発想は、実践と、それを制約する制度などに対する疑問や悩みを抑え込ませる方向に作用します。こうした考え方が幅をきかせる現場では、実践者は自らの実践に手応えを感じにくく、展望を見出しづらくなります。障害のある人びとが困難や葛藤を抱えながらも人間らしく生きようとする姿のなかに、本人たちのねがい、そして自分自身のねがいの実現を阻んでいる社会や政治の矛盾を読みとり、そうした困難や矛盾の根源に共同して立ち向かう力こそ、発達保障労働に求められる専門性であるといえます。

 とはいえ、個人の疑問や悩みを自覚することが、ただちに社会や政治への視野を開くわけではありません。身近なところから、小さな悩みや疑問、自分が実践を通して出会ったささやかな事実を安心して語り合い、聴き合い、みんなで共有し合うなかで、「個人-集団-社会」という発達の三つの系のつながりに気づき、自分や仲間の悩みやねがいと、社会や政治とのつながりへの視野が少しずつ開かれていくのではないでしょうか。

(4)障害者権利条約の水準にふさわしい制度改革を実現する
 日本国憲法にもとづき、すべての人の権利を保障することなしには、障害のある人びとの発達保障を実現するとりくみの前進はありえません。この間、2018年の生活保護基準引き下げが違憲であるとして取り組まれてきた「いのちのとりで裁判」の名古屋地裁判決が6月25日に、また強制不妊手術による人権侵害を訴えた優生保護法違憲訴訟の東京地裁判決が6月30日に出されましたが、2つの判決とも、司法が人権救済の最後の砦としても役割を果たしえない現状にあると言わざるをえない内容でした。国内の人権保障の基盤を強固にしていくことがたいへん重要です。

 そうした国内の人権保障へのとりくみと結びつき、障害のある人びとのねがい、生活や発達の事実と結びついてこそ、障害者権利条約は、「他の者との平等」を実現させる大きな力を発揮します。国連の障害者権利委員会による政府報告書の審査日程も流動的ですが、今後示される国連の総括所見などを最大限に活かしながら、国内の障害者団体が叡智を結集して完成させたパラレルレポートが示した障害者制度改革の諸課題を、権利条約にふさわしい水準で実現させていくとりくみが大切になります。

(5)仲間をつなぎ、ねがいをつなぐ
 私たちの研究運動は、「ひとりぼっちをつくらない」ことを大切にしてきました。対面で言葉を交わすことができない状況に直面する中でも、SNSやインターネット等を活用して、職場の実態や各地の情報を交流する動きが生まれました。支部やサークルでは「語りたい」「学びたい」というねがいをていねいに受けとめながら、ねがいや悩みを分かち合う仲間を求めている人と出会い、仲間とつながり合う方法を模索しましょう。

 私たちは、今年9月に予定されていた北海道・旭川での全国大会を中止するという苦渋の決断をしました。いまは、それぞれの職場や地域のとりくみを持ちより、全国の仲間と直接交流し、深め合うことは叶いません。しかし、私たちには全国の課題と地域での研究運動をつなぐための素材がたくさんあります。月刊誌『みんなのねがい』は、毎月各地の実践や運動、研究の成果などを届けることで職場や地域の課題を掘りおこし、自分たちの実践の意義や課題を語り合う場をつくってきました。発達保障の研究運動の成果を科学的に整理し、実践と理論を往還させる道すじを明らかにするための理論誌が『障害者問題研究』です。「発達を学びたい」「実践を吟味したい」という要求に応えて、学習の導き手となるような出版物もたくさんあります。それぞれの地域や職場で、これらの素材を積極的に活用して、新たに出会う人たちのねがいや悩みを分かち合い、発達保障の魅力に触れてもらいながら、研究運動をともに担う仲間になってもらえるよう働きかけていきましょう。

(2020年11月23日 最終版を常任全国委員会は確定しました)

 

2020年12月14日

「障害者問題研究」48巻3号 特集=障害基礎年金の制度的課題と生活問題

「障害者問題研究」48巻3号 特集=障害基礎年金の制度的課題と生活問題 刊行しました

特集にあたって/濵畑芳和 立正大学

障害基礎年金の現状と課題――障害のある人の権利条約を踏まえた見直しをめざして
鈴木 靜 愛媛大学法文学部

障害基礎年金の認定格差とあるべき姿
市川 亨 共同通信記者


障害基礎年金と児童扶養手当の併給へのたたかいの今日的課題
仲尾 育哉 椙山女学園大学現代マネジメント学部准教授・弁護士

障害年金の認定問題――成人先天性心疾患患者の運動から
下堂前 亨 一般社団法人全国心臓病の子どもを守る会 事務局長

報告
救済措置が取られない無年金障害者の立場から見える年金問題
原 静子 無年金障害者の会代表幹事

報告
精神障害者支援の現場から障害年金の問題を報告する
松本みを 大阪府八尾市 医療法人清心会 相談支援事業所ちのくらぶ、精神保健福祉士・相談支援専門員

報告
無年金障害者における生活問題――生活実態調査を通じて
無年金障害者の会(大阪市・障害者(児)を守る大阪連絡協議会内)・田中智子(佛教大学社会福祉学部)

◆連載/実践に学ぶ
①「学びは「教わる」から「つきとめる」へ
――子どもと対話し,子どもと共につくる授業をめざして
 長友志航 滋賀県 特別支援学校教員
 【長友実践に学ぶ】子どもと共につくる授業の楽しさ
 宮本郷子 龍谷大学社会学部

②贅沢な仕事――障害の重い人の仕事を考える
 原田文孝 兵庫県・重度障害者通所事業所さち 生活介護事業サービス管理責任者
 【原田実践に学ぶ】生活を意味づけ,新しい人生をつくる
 細渕富夫 川口短期大学

◆連載/ワイドアングル
ドキュメンタリー映画『ゆうやけ子どもクラブ!』を語る
井手洋子 映画監督

◆動向
全世代型社会保障とは何か――障害福祉に何をもたらすのか
平野方紹 立教大学コミュニティ福祉学部

詳細やオンラインのご注文は以下のホームページへ
→「障害者問題研究」48巻3号 特集=障害基礎年金の制度的課題と生活問題

2020年11月25日

『新版 教育と保育のための発達診断 下 発達診断の視点と方法』刊行しました

白石正久・白石恵理子編
『新版 教育と保育のための発達診断 下 発達診断の視点と方法』刊行しました

 

はじめに 白石恵理子

Ⅰ 発達保障のための子ども理解の方法
   発達保障のための子ども理解の方法/木下孝司(神戸大学)

Ⅱ 発達の段階と発達診断
 1章 乳児期前半の発達と発達診断/河原紀子(共立女子大学)
 2章 乳児期後半の発達と発達診断/松田千都(京都文教短期大学)
 3章 1歳半の質的転換期の発達と発達保障/西川由紀子(京都華頂大学)
 4章 2~3歳の発達と発達保障/寺川志奈子(鳥取大学)
 5章 4歳の質的転換期の発達と発達診断/藤野友紀(札幌学院大学)
 6章 5~6歳の発達と発達診断/服部敬子(京都府立大学)
 7章 7~9歳の発達と発達診断/楠凡之(北九州市立大学)

Ⅲ 「発達の障害」と発達診断

 「発達の障害」と発達診断/白石正久

おわりに 白石正久


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2020年11月18日

日本学術会議新会員候補の任命拒否に関する声明

日本学術会議新会員候補の任命拒否に関する声明

 

日本学術会議新会員候補の任命拒否に関する声明

                                  2020年10月11日
                        全国障害者問題研究会常任全国委員会

 10月1日、菅内閣総理大臣は、日本学術会議が推薦した第25期新会員候補のうち6名の任命を拒否しました。しかも、任命拒否の具体的な理由は明らかにされていません。1983年の国会では、内閣総理大臣の任命について、学術会議の推薦にもとづく形式的な任命であることを確認しており、拒否する性質のものではないことは明らかです。したがって、今回の菅内閣総理大臣による任命拒否は、日本学術会議法に違反して日本学術会議の独立性を侵害し、「学問の自由は、これを保障する」と定めた日本国憲法を蹂躙する行為であり、断じて許すことはできません。政権が多種多様な学術研究の評価に立ち入ることで、学界や社会の分断を誘発し、時の政権の見解・意向にそぐわない知見や意見を排除する空気が醸成されていくことを深く憂慮します。

 日本学術会議は、戦前・戦中に国策協力した学術界自らへの歴史的な反省に立ち、政府からの独立性を原則に、日本の平和的復興ならびに人類社会の福祉への貢献を使命として1949年に設立されました。科学研究の立ち遅れや民主主義の未成熟が、障害のある人びとの人間的なねがいを奪い、人権侵害をいっそう厳しいものとすることは、障害者問題の歴史が教えるところです。障害者問題の根本的解決をはかり、障害のある人びとの権利保障と発達保障を期すためには、思想や言論の自由、学問の自由、差別なき人権の尊重を前提とした科学的な認識と批判が欠かせません。不当な権力を行使して学問の自由と自律性を侵害し、自由な言論や対話の機会を閉ざすことは、個人の自由や権利を制限し、ひいては発達保障のための研究運動を制約するものとして見過ごすことはできません。

 全国障害者問題研究会常任全国委員会は、菅内閣総理大臣の行為に抗議の意を示すとともに、任命を拒否した6名の候補者について、任命拒否に至った具体的な経緯を説明し、推薦にもとづきすみやかに任命することを求めます。そして、真理・真実にもとづき、科学的な認識にひらかれた自主的・民主的な研究運動をたゆまず進めていきます。

2020年10月11日

15分でわかる支部・サークル・読者会などオンライン活用のヒント

15分でわかる支部・サークル・読者会などオンライン活用のヒント

この15分間のビデオは、オンライン学習会を企画する側の、必要な知識、手順を解説したものです。これを参考に、従いながら、設定できる優れものとの声も(^_-)

15分でわかる支部・サークル・読者会などオンライン活用のヒント

特設ページ オンライン活用


2020年09月14日

声明=新型コロナウイルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために

声明 新型コロナウイルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために

 

2020年5月9日

声明
 新型コロナウイルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために

                     全国障害者問題研究会常任全国委員会


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる問題が広がるなかで、社会保障の仕組みの決定的な弱さをはじめ、日本社会の抱える矛盾が露呈しました。そのなかで、障害児者や家族の生活にとりわけ大きな困難が生じています。
 そうした状況のもと、私たちは、少なくとも以下のようなことを確認し、障害児者とその家族、また障害児者に関わるさまざまな人たちの人間的な諸権利を守り、発達を保障することが必要だと考えます。

◎今年3月には、国会でほとんど審議されることなく、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改定されました。そして、4月には、改定法に基づき、緊急事態宣言が発令されました。さらに、安倍首相は、緊急事態条項の創設を主張しつつ、憲法九条の改変を含めた改憲を進める意思を表明しました。感染の拡大に便乗して権利制限の仕組みを強化すること、改憲を図ることは、絶対に許されません。

◎アメリカ合衆国のいくつかの州などでは、感染が拡大した地域において、障害者の治療を後回しにする事例や、障害者や高齢者に人工呼吸器を装着させない事例が起きていると報じられています。すべての命は平等です。障害を理由に命が軽んじられてはならないことが、再確認されなければなりません。

◎慢性疾患への日常的な治療、体位変換、呼吸、摂食などの重い機能障害への医療・介護と家族への支援、施設入所しつつ通学している子どもの生活保障など、複合的な権利保障を必要としている実態の把握と施策の必要を看過してはなりません。

◎乳幼児期の発達保障の場である児童発達支援に、事業所の閉所や感染予防のために、多くの子どもが通えなくなりました。家庭内に限られた生活は、子どもの精神や生活リズムを不安定にし、その行動や健康の問題が家族を疲弊させています。子どもの活動の場の確保や家族の相談支援のための具体的な方策が求められます。

◎学校の臨時休業が続くなか、「グローバルスタンダード」や「留学」なども理由に、「9月入学」の導入が主張されています。危機に乗じて拙速に学校制度の根幹を変えることは許されません。障害児者の豊かな生活と発達をめざす立場からは、グローバル経済やエリート人材育成ばかりに目を向ける傾向も見過ごすことができません。今必要なことは、すべての子どもたちのこころとからだの状況をていねいにつかみ、そのねがいに応える学校再開の在り方を、多くの知恵を集めて考えあうことです。

◎学校を臨時休業にしながら、障害のある子どもの居場所を放課後等デイサービスや学童保育に求めるこの間の施策は、感染防止という面においても不合理であり、教育と福祉の関係性にも大きな歪みをもたらしました。子どもたちの、子どもらしい生活と権利を守るために、関係者がいっしょになって考え、それぞれの役割を果たしていくことが求められます。

◎感染の防止は必要なことですが、学校や施設を休校・休所にすれば問題がなくなるわけはありません。家で過ごすことが難しい子どももいます。毎日の通所に張り合いを感じてきた人もいます。障害のある子どもたちの学習や生活、障害者の仕事や生活を守るために、何ができるのかを考えていかなければなりません。

◎障害児者支援の領域においては、「日額報酬制度」の問題性が改めて顕在化しています。財政面を心配することなく、事業所・職員が最善を尽くせるよう、開所の場合にも休所の場合にも事業所の運営が守られるような緊急施策が必要です。また、事業所の安定した運営が可能になるよう、制度を抜本的に見直すことも、今後において求められます。

◎今、各地の障害児者支援事業所、生活施設、医療機関等では、障害児者の発達や生活を支えるために、感染の不安を抱えながらも、多くの人たちが懸命の努力を続けています。そうした努力に応える施策や、現場の努力だけに問題解決を委ねない施策が、早急に実施されなければなりません。


2020年05月10日

第54回全国大会(北海道)中止のお知らせ

第54回全国大会(北海道)中止のお知らせ

2020年4月19日

関係のみなさま

 全国障害者問題研究会 全国委員長 越野和之
 全障研第54回全国大会 準備委員長 二通 諭

全障研第54回全国大会(北海道)中止のお知らせ

 新型コロナウイルス感染症が拡大し、深刻化するなかで、当会は、9月12日(土)、13日(日)に北海道(旭川市)で開催を予定していました第54回全国大会を中止する判断をいたしました。

 開催地の準備委員会では、大会のための会場確保などとともに、北海道ならではの内容の準備を進めており、大会案内も作成したところでした。しかし、コロナウイルス感染症は拡大しており、終息の予測もできないなかで全国規模の人の移動を伴う大会開催の判断はできないこと、大会準備や大会参加の中心となる道内の教育や福祉の現場も今後の見通しがたたず、大会準備活動もむずかしいこと、感染への不安があるなかで、当初の予定の企画が実施できない状況になっていることなどを踏まえ、大会参加を予定していた方々や、より多くの方々の生命と健康を守るという立場から、苦渋の決断として中止を決定しました。

 あわせて、新型コロナウイルスをめぐる状況は予断を許さないことから、北海道開催の第54回全国大会の延期も行わないこととします。
 なお、道内では、全国大会開催に向けたこれまでのとりくみを今後につなげていくために、新型コロナウイルスをめぐる状況を見ながら、適切な時期にあらためて独自の企画を実施することを検討します。

 末筆ながら、全障研第54回全国大会(北海道)の開催準備に関わられたすべてのみなさまの今日までのご協力とご奮闘に、心より感謝申し上げます。全障研は、当会北海道支部と力をあわせて、障害者の権利を守り、発達を保障する研究運動をさらに進めていきたいと思います。

 ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 ▶ホームページへ

2020年04月19日