デンマークの確信<3>
歌う議会



それはみんなの歌からはじまりました。
議員も傍聴に来ている市民も歌集を手に歌いはじめたのです。夜7時。

どこぞの国なら「君が代」斉唱!(歌ってない奴は「強制研修」だ!)となるのでしょうが(^^;)
議会のはじめに歌っている歌は、デンマークスポーツ協会が作成した「うたの本」から日によって違うのだそう。きっと「四季の歌」とか「森の熊さん」(輪唱はないが)て感じなんだろうなあ。

デンマークでは、なにかみんなではじめるとき、よく「うたの本」の歌をみんなでうたう。そういうことが多いそうです。そういえば、全障研の全国大会の分科会でも、自己紹介の前に、「みんなで歌いましょう!」なんてしてる、してる。

さて、ひきつづき「夜」にこだわっています。
ですので、夜の議会を傍聴しました(^^)

傍聴といっても、議場で通訳の木下澄代さんも同時通訳するわけにもいかないので、私たちは20人ほどの傍聴の市民にまじって、言葉はわからないけれど、熱心でまじめな議会の雰囲気をからだで感じていたのです。
 議会の様子のイラスト

言葉もわからないので、始まりから30分ほどで退席予定でしたが、議場は猛烈に真剣に熱が入った議論となり、なんとも退席しがたい状況で(^^;) 結局1時間近くおじゃました。

「ejby(エイビュー)コムーン」は人口8000人。オーデンセからバスで30分くらいの小さな自治体です。3年前には、ヘルパーさんたちといっしょに、いくつかのグループにわかれて高齢者のお宅を訪問させてもらいました。
 http://www.nginet.or.jp/box/SWDN2001/SWDN2001index.html

議会は月曜と水曜の夜7時から開かれます。
議員は無給で、それぞれ仕事をもっています。商店経営者、学校の教員、ヘルパー、農民などなど、、、
今回は、異例の木曜日夜7時からで、特別予算議会とのこと。超過した町の財政のどこを今後押さえるかといった議論だったそうです。

「お年寄りは増えているから、その支出は増だけど、これは減らせない」
「サービス内容は下げられないから、これから造る予定のホームをのばそうか」
「ホームの修理代は必要。これから造るものは予算を削ろう」
などなど、それぞれの立場から意見をのべ、徹底して話し合っています。

日本の「三権分立論」と違っておもしろいのは、たとえば、市長が議長をして議事を進行しています。議員は15名いましたが、それぞれが教育とか、保育とか、高齢者福祉とか、それぞれの責任者(執行責任)だそうで、決議機関と執行機関が分離していません。たとえば、障害者団体の理事会とか、労働組合の執行委員会などに似ています。協同組合的民主主義とでも言えばいいのでしょうか。

ほとんどの議員は政党に属しているそうで、労組や障害者団体からも支持があり、個人の利権のために立候補する人はいないとのこと。ちなみに、ヘルパーさんたちの労働組合組織率は98%。投票率は90%強。18歳選挙権(18歳で成人なので)があり、国会には20歳の議員もいるそうです。

ストが決行できる労組は、「プロ野球労組」しかなくなってしまった感のある某国の労働界などと政治状況の大きな違いを感じました。

だれかが言ってました。
「すべて政治は、人々のくらしのためにある」

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帰国後はじめての土曜日(25日)の夜7時から新宿の紀伊國屋サザンシアターで、飯沢匡=作、青年劇場の十八番「夜の笑い」を家族3人でみました。

授業中にあんぱんを食べたのは死に値するという「校則」をめぐる喜劇です。1978年に初演とのことですから、当時は大きな笑いを誘う喜劇だったと思います。
「校則」が「人間」にまさり、権力者に人はおもねる。そうしたなかで真実を追究するには勇気が、知恵がいる、、、、

でも、問答無用のあの首相、あの都知事が支持され、憲法9条までがまな板にのせられる時代のなかでは、この喜劇はシュールを越えて、猛烈なブラックユーモア)

それでも、ほぼ満員の「老若(老が多いが)男女」が感動していました。後ろをふりむくと、角刈り白髪頭の反骨・永六輔さんそっくり(本物?(^^;))の人がいました。

日本は長い夜が続きます。

海峡の虹
 ▲海峡の向こうに虹が見えた(北シェラン島)

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