陽はまた昇る<9> はだしのゲン ワシントンDCでイラク撤兵を求める反戦集会があり、ジェーン・フォンダ(69歳)が、34年ぶりに訴え、「沈黙はもう選択肢ではありません」と発言したそうだ。 ちなみにこの集会、朝日の使うAFP時事は「1万人以上が集まり」とし、赤旗のワシントン特派員は「50万人(主催者発表)」と報じている。 写真でみると50万はしらず、それでも数万って感じの並の数ではないことはわかる。 大新聞、しっかり世界の事実を報道して欲しいぞ! ◆ ◆ ◆ ヘルシンキのスーパーの隣にあった書店の棚で、『HIROSHIMAN POIKA』というマンガを見つけた。中沢啓治『はだしのゲン』だ! 1973年「少年ジャンプ」連載、ちょうどわたしの高校時代だから、けっこう印象深い。中沢さんの実体験で、原爆の惨禍だけでなく、当時の時代をリアルに表現してた。大工だったお父さんは、反戦思想の人で「非国民」と言われ、兄は予科練へ。 原爆投下後の地獄絵は強烈だったけれど、父や妹・弟が家の下敷きになり、家に火がついて3人は生きたまま焼かれた。 学生の頃行った広島で買った土門拳の写真集『ヒロシマ』とともに、わたしのなかのヒロシマの原型となった。 昨年、被爆者団体協議会の事務局次長を長くつとめられた岩佐幹三先生の話を聞いた。 学生時代にちゃんと学んでおけばいいものを、4半世紀をこえた後に、先生のありがたさを今頃感じるのだが・・・ 岩佐先生はゲンより6歳上の16歳の時に、爆心地から1.2キロの自宅で被爆した。お母さんはゲンと同じように家の下敷きとなったまま焼かれたという。 その先生が、イギリスのマンチェスターに調査に行ったとき、街で反核集会があった。 「私は広島で被爆した」と言ったら、「集会にぜひ出て、話してくれ」となり、集会に集まった600人を前に、(みんなは電話連絡で集まったのだそうだ) 「わたしたちは国に過去・現在・未来の補償を求めている。過去というのは、亡くなった人たち。現在は、今生きている人への補償。そして、未来というのは、核兵器を廃絶するということだ!」と訴えた。すごい反響だったそうだ。 『はだしのゲン』が、フィンランド語の吹き出しで、マンガの棚に並んでいる。 フィンランドでは日本のアニメは人気のようで、同じ棚には『名探偵コナン』や『ドラゴンボール』もあった。 それでも、「ゲン」は一冊約3000円だ。北欧では全体的に書籍は高め(人口が少ないので価格は上がる)とはいえ、フツーの書店の店頭でこんな魂の入ったマンガが売れてることに、こころ強いものを感じたのだ。 ◆ ◆ ◆ 昨年の暮、六本木のスウェーデン大使館で、陶芸展「用の美を求めて」があった。 在瑞40年の藤井恵美さんには、98年と01年のストックホルム視察で通訳としてお世話になった。 ITを生活に役立てていた脳性マヒのオーセさんのお宅訪問ではたいへん学ぶものがあった。 http://www.nginet.or.jp/~kinbe/SAS/sedk2001/sedk20012.html 彼女は言う。 「日本はここ数年でほんとうに変わったわ。どうして自殺者がこんなに・・・」 「どんどん変わってしまう。でもスウェーデンはほんとうに変わらないのよね」 「暗く寒く長い冬は豊かさにもかわる」とは、俳優の樫山文枝さんが彼女の工房を訪ねたとき、言った言葉だそうだ。 北欧の暗く、寒く、長い冬、、、、。 デンマークの通訳の田口さんは、言っていた。 「みんな、クリスマスがあるから、日中、日が無くても耐えられる。そしてクリスマスが終わると、一日一日と日が長くなる。もうすぐ春だと実感し、それをこころの糧として、長い冬を乗りこえていく」 ▲ヘルシンキ・ストックマンデパート付近 夕方5時 |