ドイツの人口分布をみると
人口が集中しているのはライン河流域部分で、工業地帯である。
FCケルン、ボルシア・ドルトムント、シュトットガルト、、、
これはみな、ドイツのプロサッカー、ブンデスリーグのチームの名前(都市名)で、
ライン河畔の地域だ。
さて、ヨーロッパの工業は、石炭でささえら、
その黒い宝石は炭坑労働者によって生産された。
最近の映画なら、
フランスの「ジェルミナル」、
イギリスの「ブラス」
そして日本の宮崎駿「天空の城ラピュタ」。
いづれも、炭坑労働者たちとおかみさんたちの迫力あるスクラムが印象的だ。
そしてヨーロッパの労働運動の奔流は、
まさにこの炭坑労働者たちがつくりだしている。
危険な仕事だ。
落盤事故や爆発もある。
身体にだって良くない地下の作業だ。
とすれば、みんなでそれぞれの生活を守ろうと、
共済のような「保険機構」が発展するのも理解できる。
以上、ここまでの話はわたしの独断と推測にもとづくもの(^_^)
しかし、
ドイツの社会保障は、ドイツだけでなくヨーロッパの多くの国々では
こうした無数の労働者たちの生活を守る労働運動によって拡充されてきたし、
いまもつづいている。
ドイツの場合、この労働運動の歴史を背景にした「保険機構」が
「介護保険」の実務面をつかさどる。
つまり「介護保険」を支払うのは、
国や州(県)ではなく、
医師の認定にもとづいて「保険機構(介護金庫)」が支払うのだ。
ドイツ介護保険制度の成立は1994年5月。
施行は翌95年1月から 保険料徴収と要介護認定を開始
95年4月から 在宅介護給付
96年7月から 施設介護給付
ということで、まだはじまったばかりだ。
要介護の申請をすると、
まず全国17か所の医療保険のメディカル・サービスで判定員たる医師の認定を受ける。
また、認定は3、4か月に一度「介護士」がお宅を訪問し
て生活環境含めてチェックもする。
キール市のある州では、毎日10件ほどの申請があり、
平均すれば3件程度が却下され、7件程度が認定されているそうだ。
しかし、もちろん却下された人含め、「介護度」が低く認定された場合は、
裁判になる(ドイツ人はアメリカ人と似て裁判が好きなようだ)
その数は申請数の約5%、
内4分の1程度が勝訴しているらしい。
さて、給付は介護度によって
月750(約6万3千円)〜2800マルク(23万5千円)
末期癌患者などの場合は「介護度3+」という認定でで月3750マルク
多くは現金給付だそうだ。
保険料は、収入の1.5%で労資折半
子や配偶者は、保険料負担なしで対象となる
要介護者、及び年金受給者は、保険料の負担義務はあるが、
年金受給者の負担の半分は年金保険が負担する。
では、保険料が払えない場合はどうなるか、
これは州や市町村が負担する。
だから「無年金」は存在しないし、介護保険のレベルダウンもない。
以上のドイツ事情を念頭において、
わが日本の「介護保険」に対して指摘されている問題点をみてみよう。
1)保険料
40歳から平均で月2600円(パーセントではない!)
所得のない人からも月1300円取るのだ!
2)条件整備の見通しがたたない
新ゴールドプラン(29万人分)を達成しても8万人が不足。
70%の市町村は財政難や人不足から新プランは「達成困難」の声もある
3)利用料負担!?
かかったサービスの1割の利用料が一律に取られる!
そのため、現行制度の老人福祉制度でサービスを受けている高齢者も
介護が受けられなくなることもありそうだ
4)「要介護」の認定基準
これは今年から国会試験を実施し「ケアマネージャー」をスタートさせるが
実施まであと16か月を切った(^^;)
である。
いやはや なんで、こんなたくさんの問題点を棚上げにして、
実施を2000年の4月と、決めてしまったのか。
そういえば、消費税導入の際にも、
高齢者社会の福祉のために、、なんていわれていたこともあった。
ちなみに、集められる「介護保険料」は年間2兆円とか、
「何兆」とかいわれても、豆腐の数ならわかるけど
なかなか想像できない数字だけれど
帰国したらあれよあれよといううちに
30兆が60兆円とかに膨れ上がってしまったという。
バブル時代に儲け、
その後、国民に利子を払わないで儲け、
たしか数年まえまで世界企業のトップテンにぞろぞろ入っていた日本の銀行業界に
「盗人に追いゼニ」ならぬ60兆円の「税金投げ入れ」だ。
月26日間、めいっぱい働いても16万円程度にしかならないという
ホームヘルパーの労働条件。
なんだかこの国の貨幣感覚がわからない。
(つづく)
霧の中の出勤模様(オーフス)