旅の計画を練っているところに、
「9月20日がスウェーデンの統一選挙の日ですよね」
という情報が「ホライゾン」から寄せられ、
願ってもないチャンスなので、全体の日程を大幅に組み替えて、
デンマークの滞在を短くして、選挙とストックホルムに時間をあることにした。
金曜日の午前は、すでに紹介したペーターの家の訪問で、
お菓子の家のような色彩の町中にある「地域センター」のカフェテリアで軽食をとり、
2時間ほどの自由時間の後に、ホテルロビー集合、オーフス空港にむかう、、、、
はずだったが、時間になっても専用バスが来ない(^^;)
運転手が約束の時間を勘違いしていたらしい。
しかし、大幅にバスは遅れたのだけれど、
運転手は急ぐそぶりを見せるわけでもなく、特段スピードをあげているわけでもなく
ただただ野原のような平原がつづく道を北の方へ40分ほど走った。
不思議にも空港にはぎりぎりでセーフ、
さあ、急いでチェックインを!とみんな力が入るが、
はて、オーフス空港は閑散としている。
へんだ。
みんなのスーツケースをワゴンで運んできてくれたバスの運転手が
ははあんという顔して「乗る飛行機は欠航だねえ」とかいったみたいだ。
コペンハーゲンに乗り継ぐ、1時間に1往復のSASは来ない。
でも、理由はわからない。
乗客も聞かないし、
航空会社は80クローネ(1600円?)分のレストラン券をくばっている。
何故か私には2枚くれた(人よりも体型が大きいからだろうか?)
1時間遅れでやってきた次の便は座席は完全フリーで、ほどよく乗客も乗れる。
しかし問題は、コペンハーゲンから乗り継いでスウェーデンのアーランダ空港に行く
便がどうなるか(^^;)なのだが、、、、
晩御飯も食べて、もう、こうなってくると郷に入っては郷に従えで、
あんまり考えることはやめてしまった。
結局その日、ストックホルムのはずれで、
地下鉄で言えば中央駅から7番目の新興都市といったところにある
(日本でいうと「幕張」みたいなところ)
ホテルに着いたのは夜の12時ごろだったろうか。
さて、土曜日だ。
まだ日が昇る前に、小雨もようだったけれど、
ピンク色に空を染めていくあさやけをみた。
ちょっと遅めの10時半にホテルのロビー集合だったので、
その横にある無料のインターネットコーナーで日本のホームページにアクセスしてみた。
当然のことだけれど、日本語は「ロゴ」以外、まともに表記されない。
英語というか、コンピューターの世界では、すくなくとも1バイト文字の世界を
活用できなければ、世界の中では異端であると、強く感じてしまった。
さて、地下鉄でストックホルムの中心街に行き、「選挙小屋」を訪問する。
最大会派の「社会民主党」、
支持率10%を越えた共産党の流れの「左党」、
そして「環境党」の3党が「左翼」ブロックで、
今回の選挙では歴史的ともいえる議席を減らした社民党ではあるが
第1党として、さきの2党が協力し「左翼政権」が継承される。
一方、「穏健党」「国民党」「中央党」「キリスト教民主党」があり
こうした政党が「選挙小屋」を設置し、街行く市民への政策宣伝のセンターとしている。
選挙小屋は気軽な場所だ
行き交う人に、シンボルマークの紅いバラの花をくばる社会民主党。
コーヒーもパンやクッキーも無料だ。
その「選挙小屋」の周りには、政策パンフが置かれ、人々は気軽に語り合っている。
これは日本では考えられない異質な光景だった。
だれもが、開けっぴろげで、政策について街角で議論しあう。
「社会民主党は、いくら失業率が13%でその失業対策に多額のお金がかかるのは
わかるが、福祉のレベルをあげてくれなければ支持できない」
そんな声が今回は多かったようだ。
好青年のヨーハンとは、翌日出会うのだが、散歩の最中に、
彼に聞いていいものかことわったうえで「どの政党に投票したのか?」と聞くと
「前回は国民党だったけど、やっぱり福祉を充実しないとダメだとおもって
今度は社会民主党に郵便投票で投票したよ」とハッキリといってくれた。
日本では、政治の話題を初対面でずばっといいあえる土壌があるだろうか。
スウェーデンでは、外国籍のままでも
18歳以上で選挙区に住民登録し有権者名簿に載っていて、
最低3年間11月1日の時点でスウェーデンに住民登録をしている、
という条件を満たしていれば
国会はダメでも県議会、市議会の選挙権がある。
投票にしても
1)投票所、
2)郵便局、さらには
3)国外のスウェーデン大使館
4)スウェーデン船上、
5)病院、サービスハウスなど
で投票できる。
あらゆる方法をつくして、より多くの人の意思を政治に反映させようとする
基本中の基本が、いとも平然とやられているのである。
紅いヤッケを着ている人たちの人だかりがしているなと思えば、
社会民主党の党首が、市民の質問に応えてスピーチをしている場面だった。
日本でこの方式で街頭で市民とやりあえる議員は、
片手の数もおもい浮かばない。
議員の力量だけでなく、市民の政治レベルも即反映される方法だからである。
「ヤーパン?!」
と不思議そうにいわれながも、
バラの花やコーヒーは何杯もいただいた。
しかし、彼らはどうおもったのだろう
飛行機で12時間もかけて、
遠い日本から「選挙」を視察しているグループを
(つづく)
ストックホルム中央駅近くのデパート前での街頭演説