障害者自立支援法で児童の支援はどうなる
2005年

シーサー(渡辺あふる作)


■児童福祉施設(通所)の利用者負担額
  一般は1.3倍! 低所得者は14倍!!


   障害保健福祉関係主管課長会議資料 2005.12.26 より

 ○児童福祉施設(医療型)20歳未満の利用者負担額(通所) PDFファイル 28kb


■12月5日、障全協政府交渉に参加して
4月を前に、利用者への十分な説明ができるのでしょうか

 厚生労働省の都合上、「自立支援医療(更生医療・育成医療)」、「補装具」の要望項目と合同での交渉となりました。約30人が参加。岩手、神奈川、愛知、京都、大阪、広島、宮崎、鹿児島などから、療育関係の保護者、職員の方々が参加、発言しました。
 以下、子どもの療育を中心に報告しますが、ほとんど「詳細未定。検討中」であり、「白紙回答」に等しい状況でした。中身のない「外箱」だけの法律を押しつけた政府・与党に対して、怒りをあらたにしました。特に重要なことは
太字にしました。
厚労省との交渉の様子
1)居宅支援関係
【回答】

・児童デイサービスの報酬単価は現在検討中。報酬単価の1割が利用料ということになるので、現在のところ利用料のモデルも出せない。
 →単価の提示はいつ?=「来年早々には提示する」。 現行の3区分はどうなる?=「未定」
・給食はこれまで給付していないので新たな給付はできない。送迎は報酬単価と一緒に後日示す。
・児童デイサービスは「療育指導」として行われているところと、「預かり」として行われているところがある。障害児タイムケア事業との調整もはかりつつ、
「療育」と「預かり」の区分けができないか、現在検討しているところ。H18年10月からの実施を考えている。
【参加者から】
・鹿児島県の療育を支えているのはすべて児童デイサービス。早期療育の役割も担っており「預かり」というものではない。国の支援費で応能負担の現在も、無料で療育が受けられるようにしている。障害児をかかえての離島の生活は厳しく、負担増によって療育が受けられなくなる。保育園や幼稚園に通いながら療育を受ける子どもの場合は二重の負担になる。
・都会の感覚でものを決めないでほしい。宮崎の山間部から児童デイサービスの場まで毎日車で100キロ走っている。ガソリン代だけで月5万円。いまでもさまざまな家族の負担があることを理解してほしい。
・支援費制度でも自治体で負担して無料か国基準よりも低い費用に抑えていることをどう考えるのか。本来、自治体間格差があってはならない。国として責任をもってほしい。家庭の所得実態を調べて決めたことなのか。
 →(厚労省)所得にもとづく試算はしていない

2)通園施設関係
【回答】

・費用負担モデルは示せるものはない→いつ?=「来年度予算との関係。来年1〜2月」
・利用料については家計負担を考え、補足給付を支給することとしたい。成人とは異なる軽減策について考慮しているつもり。
・通園施設の機能再編は3年後の検討となっているので、今のところ示せるものはない。
・出来高払いについては、通園施設だけ違う制度にすることはできない。利用されている方が通わせることができるのか不安をもっていることは理解できるが、安定した運営ができるようにということで、経営が成り立たないような報酬は考えていない(具体的な話はなし)
・地域療育等支援事業はH15年度536か所であったが、一般財源化後もH16年578か所にのびた。事業費は10%くらいカットされていると思う。療育に関して、都道府県が行わなければならない。また、一般に関しては、市町村が行わなければならない。ということになっている。2枚看板でやることになる。通園施設の受託状況は資料がない。
【参加者から】
・通園施設に毎日通うことで子どもが発達してきた事実を保護者とともに確かめ合っている。給食で偏食がなくなるなど、子どもの給食は指導の一環。実費はなじまない。
・保護者から利用契約のことを聞かれても答えることができない。10月からといっても子どもは4月入園。すでに入園相談も始まっている。
 →(厚労省)自立支援法に移行するにあたって、契約制度は利用者のニーズに合ったよい制度である。
・出来高払いでは、施設運営の安定は図れない。乳幼児の場合、病気で休むことが多いだけでなく、他の訓練機関に行ったり、親の病気や出産、兄弟の都合などでも休むことがある。そのことが施設の収入に影響することになる。「いかに儲けるか」で汲々とした施設ではよい療育はできない。
 →(厚労省)ここにおられるみなさんの施設のように、毎日、ほぼ定員通り来ておられる施設は(制度が変わっても)問題ないようにする。全国的にみるとそういう施設ばかりではない。定員を大きく割っている施設のように、実際に子どもが来ていないのに全額報酬を出すわけにはいかない。
・当面、現行の措置費の1割を利用料として考えておられるようだが、若い保護者は「低所得」にはならず「一般」で軽減措置の対象にならない家庭が多い。共働きもできず、しかも障害のない子どもの子育てにない出費がある、保育所の保育料は応能負担。
費用負担については具体的に世帯の範囲等を見直してほしい。(この点を強く要望)

3)障害程度区分(担当不在のため「Q&A」など、これまでの文書が読み上げられました)
「障害児の障害程度区分については、発達途上にあり障害の状態が刻々と変化することや、乳幼児については通常必要となる育児上のケアとの区別が必要なことか等検討課題が多いことから、今回は設けないこととしている。3年後の障害児施策の見直しに向け開発することは重要な課題と考えている。
 居宅サービスについては、これまでと同様のサービスが支給される。」

4)補装具関係
【回答】

・補装具定率負担。負担上限は財務省と調整中。おおむね障害福祉サービスと同様のものを考えている。
・価格のルールづくり等について専門委員会で検討中。競争原理によって価格を抑えるようにしたい。(丁寧な仕事をしてきた小さな工房などがつぶれてしまうなぁ、というつぶやきが漏れていました)
・基本的には償還払い。代理受領にすると、事業者の指定することになり新規参入が減る。その結果、利用者の選択の幅がせまくなる。
利用負担が過剰となる場合は代理受領となるよう検討中。
・給付品目の改廃についてルールづくりを検討中。
【参加者から】
・補装具の1割負担というのは「歩くのにお金がかかる」ということ。おかしいと思う。
 →(厚労省)今でも応能で負担。皆さんで負担を分かち合って支える制度にしたので理解してほしい。
・小さい子どもの補装具は頻繁に作りかえるので、そのたびに負担が生じる。
 →(厚労省)全部作りかえるのではなく、「モジュラー化」して、部分の交換で対応できるよう報酬も見直していく予定。また子どもの成長を見越して製作するように。半年ごとに作り直すというようなことは時代に合わない。
 →(参加者)そういう指導があるのか。子どもの下肢装具が大きめに作られてしまったので、スポンジなどを入れて着けているがまったく歩きづらくて困っている。
・軽度難聴だと手帳がとれないので、自費で補聴器を購入。ろう学校で教育を受ける必要があるのに矛盾している。
 →(厚労省)「児童の場合、手帳を要件とはしない」という現在の見解は変更しない。(つまり、厚労省としては「認めている」ということか?)

 このほか、人工内耳の修理・更新時の保険適用について、ろう学校のお母さんから要望がありました。
 また、最後に、福祉サービス、補装具、医療それぞれの「月額負担上限」だけでなく、二つ以上にまたがって子どもに利用が生じた場合の、負担の軽減措置を検討してほしいことを訴えました。(中村尚子・記)

■厚労省への要望書

                                      2005年12月5日
厚生労働大臣
川崎二郎 殿

         障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(略称:障全協)
         会長 吉本哲夫
〒169-0072  東京都新宿区大久保1-1-2 富士一ビル4階 日本障害者センター内
TEL 03-3207-5937 FAX 03-3207-5938


障害者自立支援法の成立に伴う障害児施策に関する要望書

 日頃より、障害者施策の推進にご努力いただいていることに対し、厚くお礼申し上げます。
 さて、先の特別国会において「障害者自立支援法案」が可決・成立し、2006年4月より福祉・医療サービスが大きく変更されようとしています。
 とりわけ、児童福祉法の中の障害児に関する部分を自立支援法下に移行し、「大人と同じサービス」にするという制度変更は、発達期、子ども期にある「児童の福祉」の特性とさまざまな点で矛盾せざるを得ません。また、同法が児童と保護者に与える影響は、「児童が心身ともに健やかに生まれ育成される」ことを目的とする児童福祉法の趣旨にも反すると考えます。法案審議の過程において、児童に関係する系統的な資料はまったくといっていいほど示されず、4月の施行に向けて保護者も事業者も不安をいだいています。
 つきましては、次の事項を早急に検討いただき、施策の改善・拡充を緊急に要望致します。

要 望 事 項

1.居宅支援

 児童デイサービス事業は、保健福祉圏域、市町村等における障害児療育システムの実態によってさまざまな機能をもっています。通園施設の未整備を背景として身近なところに療育の場のない地域においては、通園施設に匹敵する機能を発揮しています。現在の利用料は障害児を育てる家庭の負担に鑑み、一般のデイサービスとは異なる応能負担のしくみとなっており、療育へのアクセスを確保する目的で利用料無料としている自治体もあります。また支援費単価は利用児数よって3ランクに区分されています。
 ・事業単価、利用料のモデルを示してください。
 ・給食、送迎に対する給付を検討してください。

2.障害児施設
 地域の障害乳幼児と障害が疑われる子どもに、適切な早期療育の場を提供する通園施設には、本来、利用契約と利用料の支払いはなじみません。障害受容期にある保護者に対する経済的負担と心理的負担はできるだけ軽くしなければならないからです。障害児施設利用児と保護者は、「いったいどうなるのか」という不安がいっぱいです。
 10月6日の参議院厚生労働委員会で、軽減対象となるのは13%にすぎないことが明らかにされています。保護者のほとんどが「一般世帯」になるからです。若年でかつ共働きが難しいという家計状況を考え合わせると、利用料、食費などの実費、医療費の増大は多大な負担となります。
 ・すべての障害児施設利用について、費用負担モデルを示してください。
 ・利用料をふくむ費用増大の家計全体への影響を調査してください。
 ・成人とは異なる、利用料、「実費」軽減策を検討してください。

 通園施設は、来年10月から利用契約制度に移行し、5年後には大人と同じように機能による再編が予定されています。契約制度になり1日ごとの現員による利用料収入に移行すると、乳幼児期の体調の不安定さや通院などによる欠席は、すべて施設運営費の減額につながります。さらに通園施設は「再編」で第二種事業化が予定されており、株式会社などの民間資本の参入が可能になります。通園施設での子どもへの指導や親、家族への援助は、利潤追求になじむものではありません。公的な保障が確保されるような制度設計をすべきです。
 ・現時点での障害児施設の機能再編案を明らかにしてください。
 ・通園施設への現員出来高払いを中止し、安定した運営のできる制度にしてください。

 1996年度に開始された「障害児(者)地域療育等支援事業」は、通園施設が受託することによって圏域内の保育所、幼稚園、児童デイサービス事業、学童保育などへの巡回指導、外来療育、相談などに積極的な役割を果たしています。しかし、2003年度からの一般財源化によって、運営費補助金などにおいて自治体間の格差が拡大し、それまでの事業を維持できないところも生じています。
 ・本事業の実施状況を自治体ごとに明らかにしてください。またその障害児通園施設への委託状況を自治体ごとに明らかにしてください。
 ・都道府県などに、本事業の意義と重要性を助言・指導し、事業内容の維持と発展に努めてください。

3.医療、補装具
 育成医療は、放置しておくと障害を残す疾病に対する医療という性格をもっていますから、「障害者」であることが前提の制度とはちがう児童福祉法に位置づいているからこそ意義あるものです。また、発達期にある子どもの補装具は大人以上に作りかえなければならず、施設や学校と家庭の2カ所に車いすや姿勢保持具をつくる必要もあります。成長期にある子どもの場合、障害に対応する施策の負担を増やしてはなりません。
 ・車いす、補聴器など補装具の費用負担の実態と法による影響を調査し示してください。
 ・育成医療と同水準の費用負担ですむような軽減策を検討してください。

4.障害程度区分
 障害の判断がつかない場合、あるいはなかなか受け入れられない場合などは、この時期の「判定」自体が適切でありません。児童(とりわけ乳幼児期)に対するサービス利用のシステムを別途検討する必要があります。児童への障害程度区分制度の導入にあたっての検討の経過を公表してください。

■緊急出版!
 ブックレット『障害者自立支援法と子どもの療育』新
 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会
 茂木俊彦・近藤直子・白石正久・中村尚子・池添 素  
   定価1050円  全障研出版部
        表紙
●目次
 1)障害者自立支援法と障害児療育の行方
 2)私たちのねがう療育システム
 3)声とねがいをつなぐ
 4)豊かな発達と生活をつくるために
  手記 療育が一番必要だったのは親の私自身だった
      応益負担は乳幼児の力の芽を摘む
      応益負担が持ち込まれると障害児医療はなりたたない
       自立支援法によるわが家の費用負担

■障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会 交流集会のご案内新

 私たちの願いに背を向けて、「障害者自立支援法」が成立しました。しかし私たちは、この運動のなかでたくさんの人たちと手をつなぎ合うことができました。この財産を力に、面(おもて)を上げて、悪法の具体化を許さない運動を進めていきたいと思います。
 来春、1月28、29日には、宮崎県で全障研の「第9回全国障害乳幼児問題研究集会」が開催されます。私たちが作りあげてきた発達保障の実践や、療育システムの成果を確認し、それを守り育てるための討議の場にしたいものです。全国各地からの参加をお待ちしています。
 また、28日夜には、以下の交流集会を大々的に開催する予定です。「持ち込ませない会」の会員でなくとも、奮ってご参加ください。
 日時 2006年1月28日(土) 午後6時から8時半
 会場 宮崎市・ホテルメリージュ「ダイニングルーム」(研究集会宿舎の一つです)
 会費 4000円(食事と飲み物)
参加を希望される方は、応益負担を持ち込ませない会事務局までファックスまたはメールで事前にお知らせください。(申込締切は1月25日です)

らく相談室気付
ファックス番号:075-465-4151
メールアドレス:rakuraku@ma3.seikyou.ne.jp


■厚労省に私たちの要望を届けませんか

障全協の中央行動がつぎのように行われます。「障害児の療育」問題で厚労省と交渉し、午後は国会に要請します。前日の全国集会含めみなさんご参加ください  ○詳細はここ
中央行動
 12月5日(月)
 各省交渉 10時〜12時(交渉のうちあわせは前日の分科会で行います)
 国会要請 13:30〜15時(各党議員に要望書を手渡しながら施策改善を訴えます)
障全協全国集会
 12月4日(日) 国立オリンピック記念青少年総合センター
 午前 記念講演 川村俊夫(憲法会議事務局長)「憲法改正はだれのため? なんのため?」
 午後 7分科会(自立支援法、自立支援医療、障害児の療育、所得保障、障害児教育他)   


■声明 障害者自立支援法の可決に抗議します

     2005年10月31日
        障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会

 一度は廃案になりながら、再び上程された障害者自立支援法案は、10月31日、自民・公明両党の賛成によって、衆議院本会議で可決成立しました。
 法案の本質が日ごとに明らかになるなかで、慎重審議を求める運動は大きなうねりとなって日本を包みました。障害児者に関わる問題で、かつてこれほどの広がりのある運動が行われたことはありませんでした。
 私たち「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」は、法案の乳幼児期の施策に関する問題点を広く明らかにし、「応益負担反対」「大人の制度に統合すべきでない」という一致点で運動を呼びかけてきました。父母や療育機関で働く関係者、そして地域住民によって、厚生労働省や国会議員のもとに届けられた要請や抗議のはがき・ファックスは、数千通を超えました。しかし、政府与党はそのねがいに背きつづけました。
 また、国会審議に先立って行われた社会保障審議会障害者部会で、障害乳幼児の療育に関することは何も報告されず、審議もされないままに国会での可決にいたりました。乳幼児期の施策を軽視し、関係者の声を聞こうとしない行政姿勢に憤りを覚えます。
 この法案の可決・成立をもって私たちの運動は終わるのではありません。療育をより良いものにしていくための運動がこれから始まるのです。全国すみずみからの声を集め、改善に向け、運動の輪をいっそう広げていく決意です。
        
私たちのねがい

○乳幼児期の療育や医療への利用契約制度や応益(定率)負担の導入には、きっぱり反対します。早期からの療育を進めるために、そして親の障害受容を支援するために、この制度は大きなハードルになってしまいます。

○児童福祉法や子どもの権利条約において規定されているように、国や自治体の責任によって十分で地域格差のない療育や医療を保障してください。利用契約制度や応益負担は、これらの法律や条約と明らかに矛盾するものです。

○障害乳幼児やその家族の生活実態をよくつかみ、要求に耳を傾けて施策をつくり実施してください。そのために、広く関係者の意見を聴取する機会を定期的に設けてください。


 ○このままの障害者自立支援法案では納得がいきません!
   当事者・地方の声を国会にとどけよう!2週間行動 声明

 ○全国障害者問題研究会声明


障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会
緊急の行動提起

 障害乳幼児の療育に応益負担をもちこませない会の会員の皆さん、関係者の皆さん。先の国会で廃案になった障害者自立支援法案が、こともあろうに現在開催中の特別国会にほぼそのままの内容で上程され、審議に付されています。しかも、自公連立政権と厚生労働省は、参議院で可決させました。まともに国民に説明し、当事者としての障害者や家族の意見をほとんど反映せずに、国会での数の力で押し切ろうとしているのです。
 文字通りのゆりかごから墓場までにかかわる法案であり、障害をもっている人たちに、生活保護よりも低い水準の生活をおしつけようとする内容は、子どもたちの人生を思えば、絶対に許すことができません。しかも、乳幼児期は、子どもにとっても家族にとっても障害を受容し、その障害を軽減しつつ発達保障の基盤をつくる特別な段階です。医療、福祉ともに国や自治体の公的な施策によって、十分な内容を地域格差なく提供していく条件整備を、さらに進めなければなりません。そのとき、国の責任を曖昧にし、自治体には斡旋・調整程度の役割を求めるのみの利用契約制度は、これまで築いてきた条件整備の到達点さえ、崩すことになるでしょう。
 国会での審議予定を見れば、事態は急を要します。会員の皆さんにたいし、以下の行動に立ち上がることをよびかけるものです。

1)衆議院の厚生労働委員会の議員に、障害者自立支援法反対、乳幼児期については、とくに児童福祉法の精神に反する利用契約制度の導入に、慎重な審議を要求する要請(抗議)ファクシミリを送り続けること。
2)新聞各社やNHK、民放各社に、親の切実な声をファクシミリで送り、報道を要請すること。
3)それぞれの地方で開催される集会に、仲間を誘って参加すること。

 ともにがんばり抜きましょう。

ファックスの文面の例です

 衆議院議員           殿
                           氏名
                           住所

「障害者自立支援法」に乳児期の福祉施策を組み込まないでください

今般国会で審議されている障害者自立支援法案によって、幼い子どもたちやこれから生まれてくる子どもたちの生活や保育・療育がどのようになるのか、強い不安を覚えます。
ぜひ、つぎの私のねがいを聞いて下さい。
1)障害が発見されたばかりの親子にとって、利用契約制度は超えることの難しい大きなハードルです。絶対に導入しないで下さい。
2)利用料の一割負担、給食費などの実費負担は高額すぎる負担であるとともに、障害の受容に苦しむ保護者への冷たい仕打ちです。育成医療の廃止や補装具の定率負担も同様です。絶対に導入しないで下さい。

<私の願い>


国会インターネット中継+録画(いつでもみられます)  参議院   衆議院

特別国会(42日間 11月1日まで)
10月
 5日(水)参議院本会議で「趣旨説明」
    
6日(木)参議院厚生労働委員会で「趣旨説明」後、質疑(速記)
         ●
児童の問題が国会質問されました
          小林みえこ参議院議員質問  個人ページ
  
  7日(金)地方公聴会(大阪)
   11日(火)参議院厚生労働委員会
   12日(水)参考人招致
   13日(木)参議院厚生労働委員会採決
   14日(金)参議院本会議可決

10月18日(火)衆議院本会議で「趣旨説明」京都・池添要請

   
19日(水)衆議院厚生労働委員会で「趣旨説明」
   21日(金)衆議院厚生労働委員会
   24日(月)宮城から要請
   26日(水)衆議院厚生労働委員会(採決→できず)山梨、鹿児島から要請
   28日(金)衆議院厚生労働委員会(採択)

   
31日 (月) 本会議(可決成立)  

各地の運動などはここ

朝日新聞大阪本社版 ああ無情 家計負担増 障害児も対象「自立支援法案」と報道

<日本障害者協議会(JD)> 各地から850名が熱い討論と決意
 運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラムを開催
  8月10日 ニッショーホール(虎ノ門)
  フォーラムの様子は ここ

 
○中村副代表の指定発言
 発言する中村さん

 「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」を、5月12日の日比谷の集会で結成しました。私はその副代表をやっています。
 自立支援法の討論の中で、「3障害の統合」がひとつの前進面として見られています。しかし、実はもうひとつ「児童福祉法」という大きな法律が統合されている問題が、なかなか見えていませんでした。
 厚生労働省の文章では「年齢をこえた総合的なサービス」という表現をしていますが、18歳の壁をこえて統合してしまうというのが自立支援法のもうひとつの大きな柱なのです。
 そのことについて、私たちは会をたちあげて、児童福祉法から自立支援法に移ってしまうことによって、「子どもは子ども」と子どもの権利条約などで主張されてきた発達期にある子どもたちの権利を守る視点がなくなってしまうのではないか、と訴えてきたわけです。
 会ができた後私たちは、この問題について討論しようと、全国の300あまりの通園施設に会の結成を報告し、集会を開くことを呼びかけました。そして、緊急の集会でしたが、7月17日に名古屋で、100名あまりの、とりわけ通園施設の関係者が集まって、この問題について討論をしました。
 そこで大きく出されたことは、ひとつは「負担」についてです。

 厚生労働省は、低所得者層への対応として、「激変緩和」措置などいろいろ言っていますけれども、障害の子どもをかかえる家族はなかなか減免される対象にはなりえません。障害のある小さい子どもをかかえた、比較的年齢の若い、所得は低いけれども低所得の対象にはならない親ごさんには、大きな負担がかかるということです。
 また、育成医療や補装具の負担の問題もあります。たとえば、子どもの補装具は、おとなとはちがって、発達の状況、障害の状況、あるいは成長に応じて作りなおさなければいけません。子どもの障害を軽くしようと、一生懸命になっている親ごさんにとって、この負担もたいへん大きくなります。
 そして、子どもの障害認定の問題です。厚生労働省は今のところ、子どもに障害程度区分は持ち込まないと言っていますが、持ち込むことが原則であるという姿勢は変えていません。私たちは、子どもの障害認定については、いっそう慎重な議論が必要であり、障害の認定がなくても障害の軽減のためのサービスを受けることができることが必要であると訴えてきました。
 また、私たちは、自立支援法によって、通園施設などの運営がたいへん不安定なものになってしまう問題も取りあげてきました。小さな子どもの場合、風邪をひいたり、きょうだいのなにかの都合で通園できなくなったりする場合もあります。そういったことが、施設運営費の減額につながり、安定した運営ができなくなってしまうのです。

 最初に言いましたように私たちは、障害のある子どもへの福祉の供給を、「子どもは子ども」と子どもを大切にする思想をもつ児童福祉法の分野から自立支援法へ移すことは、子どもにとってたいへん問題であると訴えてきました。
 したがって、廃案になったこの状況のなかで、あたらめて障害のある子どもに焦点を当てて、可能であれば中央児童福祉審議会を開き、子どもの問題として討論をしていただきたいと思います。(大きな拍手)


厚生労働省にアピールを届けました!

 厚生労働省

 7月21日(木)、みなさんの思いとアピールを届けるために、厚生労働省を訪問しました。お忙しい中、障害福祉課捧(ささげ)障害児施設係長が対応してくださいました。アピールは事前に目を通していただいていましたので、捧さんの質問にもお答えしながら1時間ほど懇談しました。要点をお伝えします。

●福祉サービスの利用料負担
 「定率負担」について乳幼児の保護者に対する特別な軽減措置は今のところ考えていなが、もし、現状での家計調査などがあればおしえてほしい。このような費用を支払うことによって、その家庭が住民税非課税の対象にならない程度の対策を実施するということが基本。
 今回の利用者負担は、これから新たにサービスを受ける人、サービスの拡大のために、公平な負担をしていただくという意味で必要なこと。ぜひご理解いただきたい。
中村〜児童デイサービスの支援費化に伴う費用負担が別立てとされたことなどを例に、乳幼児期の家族の実態を話し、衆議院の附帯決議3項では、障害児の保護者は基本的に対応できないことを確認しました。また、調査などはぜひ厚労省として行ってほしい言いました。

●育成医療、補装具
 これに関する内容はうかがった話を担当に伝える。
中村〜育成医療の性格、補装具のつくりかえなど、福山の報告集の保護者の声や難聴幼児の補聴器の値段などを示して訴えました。

●児童デイサービス
 (係が異なることは前提で)児童デイはすでに支援費制度で運営されているので、利用者の受けるサービスに大きな変更はないと考えている。
中村〜費用負担はおおいに変更があることを強調しました。

●「障害程度区分」について
 まもなく全国自治体からの質問を整理した資料が公開される。その中に、障害程度区分は当面適用しないことを明記した。
 (おおむねつぎのような内容です)
・障害福祉サービスの必要性を判断する上で障害程度区分が必要。
・しかし児童の場合つぎの理由で当面導入しない。
 発達途上にあり、時間の経過とともに障害の状態が変化する
 乳幼児期については育児上の必要とされるケアとの区分が必要
 現段階では直ちに使用可能な指標が現存しない
・まずは、障害者の障害程度区分の推移を見た上でその後開発を検討する
中村〜1月からの児童デイサービスの利用は、従来どおりと考えてよいのですね、と確認。

●個別給付に伴う通園施設の運営への影響
 たとえば親の都合で欠席するとこともあるなど大人と異なることはよくわかる。運営に支障を来さないシステムを検討したい。サービスを提供していないのに給付することはできないので、たとえば「出席率」などを算定したり、「登録制」を導入して、日々の利用者数を確保するなどの方法が考えられるかもしれない。
中村〜「ゼノ」こばと園の資料を示して、読んでいただくよう訴えました。

 最後に捧氏は、「実態を教えていただいてありがとうございます」と言ってくださいました。官庁の仕事ゆえ、この方も3年前の支援費制度と児童デイ問題についてはまったくご存じありません。保護者、施設双方とも、実態を知らせていくことが大切だと実感しました。

 以上が概要です。障害福祉課の部屋で、みなさん仕事をしている中、捧氏のデスクの横に座っての懇談でしたので、録音もしていません。あくまでも、アピールを補強するための懇談だったということでお読みください。(中村尚子)


■

○障害乳幼児の療育を守り発展させるつどい  詳しいチラシ(PDF)
日時 2005年8月28日(日) 午後1時30分〜4時
場所 阪南パラドームくすのきホール(地下鉄御堂筋線昭和町駅下車4番出口徒歩5分)
内容 @障害者自立支援法案の経過
    A実践報告 平澤真文(吹田市立杉の子学園)「知的障害児通園施設からの実践報告」
      共同研究者 白石正久(大阪電気通信大学、全障研副委員長)〕



障害者自立支援法で
乳幼児の療育はどうなるのか?
 
 学習会+意見交流会に全国からつどう

 鹿児島から、宮崎から、宮城から、広島から、大阪から、兵庫から、京都から、滋賀から、富山から、愛知から、栃木から、山梨から、神奈川から、千葉から、東京から、岐阜から、全国各地から名古屋へ。総勢100名の参加者で「乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」の学習会が開催されました。
 学習会の内容と当日参加者一同で採択したアピールを掲載します。各地で広げていただけることを期待しています。(池添素)


障害者自立支援法案
「大人と共通の制度」では子どもの発達は保障されません
あの街、この街で多彩なとりくみ


会場一杯の参加者
 「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」は、7月17日(日)、名古屋市で学習+意見交流会を開きました。参加者は北は仙台市、南は宮崎、鹿児島と全国から約100人。障害者自立支援法案に対する各地の取り組みを交流しました。

 集会はまず、「障害乳幼児の豊かな発達と生活をつくるために必要なこと」と題して、茂木俊彦氏(桜美林大学教授・当会代表)が講演。乳幼児療育の場が、親にとって涙を流し、今と将来を語り合えるかけがえのない場として、子どもの育ちを見る目を身につける場として、とても大切な役割を果たしてきたことを指摘しました。そして、障害、発達、生活の3つの視点を相互に関係づけながら子どもを見て取り組むことが大事であり、自立支援法はそうした実践の基盤を崩すものだと述べました。

 つづいて、中村尚子(立正大学・当会副代表)が、この間の国会審議と障害者運動の経過をふまえて、子どもにとっての自立支援法の問題点について話しました。法案に児童福祉法の障害児関係条項を盛り込むことの矛盾を実態にもとづいて知らせる取り組みを強めていく必要があることを強調しました。

<自立支援法になったら…>
○離島の多い鹿児島の療育は26カ所に増えた児童デイサービスが支えている。人口3000人の自治体にも児童デイ。応益負担になったら利用料と給食などで負担は3倍以上に。
○第二種事業の児童デイでがんばっているところも条件は限界。高齢者事業と一緒に行っているところなどもあり「託児」的にならざるを得ない現実がある(宮崎)
○重症児施設は「療養介護」に位置づけられると、医療的には重くない、「動きまわる」障害児(者)は退所せざるを得ないのではないかと心配している。
○大阪府の障害者医療制度が大きく後退。そのうえ、育成医療がなくなり応益負担になれば、「先生、訓練は今日はいいわ」ということになる。また、補装具は今でも償還払いなので、一時期でも負担がある。返ってくる額が少ないとなるとさらにたいへん。
○幼児の補聴器が調整はとてもたいへん。何度も作り直したり破損も多く。デジタル補聴器は安くても1個10万円、両耳で20万円。お金が貯まるまで園の補聴器を貸与している例もある(広島からの文書での報告)

<各地でこんな取り組みが>
○保護者の声を「文集」にまとめて広めています(広島県)
○「1年でも療育を受けた親はその大切さを身をもって知っているけど、これからは療育に出会わないまま人がいるのではないか」と、親のことばで療育の意義と自立支援法の問題点を語る取り組みがはじまっている。そこでのキーワードは「子どもの権利」。『子どもの権利ハンドブック』を手に学習している(広島市)
○5.12に参加した親が「途中で席が立てなかった」と帰ってきてお母さんたちに問題点を訴え、7月21日に学習会を開く。「療育は基本。ご飯のようなもの}(仙台)
○「地域療育センターの早期建設を実現させる会」(名古屋市)で学習会。「もっと教えて!」という保護者の声に応えてさらに学習。ハガキ運動に加えて厚労大臣と名古屋市に対して要望書を提出。
○堺市の「五園連絡会」全ての園で学習会。近畿の施設長会議に訴える。「通園に出会えない人もまだまだいる。そんな中で、虐待を受ける子どもは確実に増える」

 最後に白石正久氏(大阪電気通信大学・当会副代表)が、この会を「権利としての療育を要求する会にしていこう」と訴え、今後の行動を提起しました。
 
アピールを厚生労働省にもっていく
 
参議院での審議に向けて厚生労働委員にファックスを
 地域で集会、学習会を開き、問題点を知らせよう
 
「持ち込ませない会」に入会を

<参加者の感想から>
通園施設職員
 堺市でも、必死で訴えを展開しています。施策を作っている人たちに、実態を伝えることは本当に大事と思いますが、法案成立のテンポが早くて声を出しても届くのかと不安でしたが、たとえ、法案が提出されても息長く運動し、「児童福祉法」の精神が骨抜きにならぬよう手をつなぎたいです。
社会福祉法人職員
 35年前の重症心身障害幼児および、知的障害児の通園施設を未認可で始めたころの経験と重なり、本当に、今回の自立支援法あの暗い母子たちの状況に戻してはいけないと、改めて強く思いました。各地での取り組みを聴き、自分たちの運動をしっかり取り組まねばと思いました。
児童デイサービス事業職員
 児童デイサービスが、乳幼児の療育に重要な役割を果たしていると改めて感じました。

 次の集会でも討論します。
  全障研大阪支部研究集会          8/28  
  全国発達支援通園事業連絡協議会全国大会  9/24〜25

(以上 中村記)


情勢報告 中村尚子「障害者自立支援法案でどうなる障害乳幼児の生活と療育」PDF

難聴幼児通園施設 報告「難聴幼児通園施設の今後のあり方と問題点」

各地の運動  ○広島の応益負担反対集会  ○名古屋市への要望書

アピール

 現在、国会で審議中の「障害者自立支援法案」(以下、自立支援法)は、その名称とは裏腹に、障害のある人の命を削り、自立への道を閉ざすものであることが明らかになりつつあります。自立支援法が成立するならば、成人とまったく同様に、18歳未満の子ども(児童)とその保護者にも、福祉サービス利用料、食費、医療費など過重な負担がのしかかります。同時に、自立支援法が児童に適用されたとき、次のような成人とは異なる重大な問題が生じることを見過ごすわけにはいきません。

軽減されることのない費用負担
 7月になって明らかにされた与党による修正案をもってしても、保護者の収入を基準とする児童の場合、そもそもが、ほとんど「低所得」の対象となりません。かといって若年でかつ共働きが難しいという家計状況にあり、利用料、食費などの実費、医療費の増大は多大な負担となります。
障害を受けいれる乳幼児期にふさわしくない
  自立支援法下の諸サービスを利用するためには、審査を受け、障害程度区分の判定を受ける必要があります。子どもの育ちに不安を抱えつつも、障害という判断がつかない場合、あるいは、なかなか受け入れられない場合などは、サービス利用をためらうことになるでしょう。その上、費用負担となれば、なおさら医療や福祉から足が遠のきます。
発達期にある児童の育成医療や補装具の特性を無視
  そもそも育成医療は、放置しておくと障害を残す疾病に対する医療という性格をもっており、現行の応能負担主義は費用負担を理由に医療が受けられないという事態を未然に防ぐ役割を果たします。乳幼児期は一般に医療費のかかる時期であり、障害ゆえに医療費が余計にかかることは避けられないにしても、その額は最小限に抑えられるべきです。また、発達期にある子どもの補装具は大人以上に作りかえなければなりません。
「障害程度区分」による判定のかかえる問題
 乳幼児期は障害が疑われる場合でも、その判断は大変むずかしく生育環境とのかかわりや被虐待などの背景を吟味する必要があります。全国一律のチェックでは子ども一人ひとりに必要とされるケアが明らかにされないばかりか、障害が見落とされ、対応が遅れるケースが続出するでしょう。
契約制度移行と「個別給付」化が招く不安定な施設運営
 利用契約制度に移行することによって、通園施設は支援費制度のもとでの児童デイサービスと同様に、措置費から、一日ごとの現員による利用料収入に移行することになります。乳幼児期の体調の不安定さや通院などによる欠席は、すべて施設運営費の減額につながります。利用料単価が公にされていない現状ではいっそう不安が募ります。
通園施設の第二種事業化
 通園施設は自立支援法の「障害福祉サービス」に組み込まれ、第二種事業として、株式会社などの民間資本の参入が可能になります。通園施設での子どもへの指導や親、家族への援助は、利潤追求になじむものではなく、公的責任で実施すべきものです。

 自立支援法が児童と保護者に与えるであろう影響は、ここに記した以上であると考えられます。これらの問題点は「児童が心身ともに健やかに生まれ育成される」ことを目的とする児童福祉法の趣旨に反するものです。よって、今後の自立支援法の審議において、児童福祉法関連条項を切り離し、児童福祉審議会などで時間をかけて検討することを要望するものです。
       2005年7月17日
         障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会 集会参加者一同


障害者自立支援法で
乳幼児の療育はどうなるのか?
 
 学習会+意見交流会のお知らせ

 今国会で議論されている「障害者自立支援法案」は、障害のある乳幼児や家族に大きな影響を与えます。とりわけ療育を受けるためには1割の「応益負担」(定率負担)が必要になることです。この問題を見過ごすことは出来ないと考え、「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」(代表:茂木俊彦・前東京都立大学総長)を結成しました。
 今回、全国の関係者、家族の皆さんに呼びかけ学習会と意見交流会を開催します。多くの皆さんの参加を呼びかけます。

日時:7月17日(日)1時30分から4時
会場:名古屋市中生涯学習センター2階視聴覚室 (名古屋市中区橘一丁目7番11号)
        地下鉄「名城線」『上前津(かみまえず)』下車6番出口から徒歩5分
内容:1)講演「障害乳幼児の豊かな発達と生活を作るために必要なこと」
            講師 茂木俊彦(桜美林大学教授・全障研顧問)
    2)報告「障害者自立支援法案」が乳幼児の療育をどのように導くか
    3)各地からの報告・意見交流
資料代:500円
参加申し込み:氏名/所属/自宅住所/電話を明記して E-MAILで (rakuraku@ma3.seikyou.ne.jp
主催:障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会(代表:茂木俊彦)
    事務局:らく相談室(池添素)TEL 075-465-4130  FAX 075-465-4151
学習会のお知らせチラシ(PDF 171KB)

障害乳幼児期にふさわしい発達保障システムをつくりあげよう
「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」
のとりくみに多くの人々の参加をよびかけます

  5.12みんなのフォーラム 野音会場で12時に発足します!

「障害者自立支援法案」が国会に提出されています。この法案が可決されることになると、障害乳幼児の生活と療育は、児童福祉法制定後最大と言ってよい変化を迎えることになります。その変化は、さまざまな不十分な点を持ちながらも蓄積されてきた現在の施策の積極的な面も後退させかねない大きな危険性をはらんでいます。
@まず、障害乳幼児の療育を担ってきた通園施設は、2006年10月から利用契約制度に移行することになります。
 乳幼児期の療育は、乳幼児健診などの早期発見システムと連携して、障害が顕在化し、保護者がわが子の障害を受容する前から、適切な指導と援助を親子に提供することに意義があります。利用契約制度になることによって、保護者は越えにくいハードルといきなり向き合うことを余儀なくされます。また、軽度発達障害などの子どもたちの早期対応の場が、一つ失われることにもなります。
 現在都道府県が行っている業務は、3年かけて市町村に移管されますが、「障害者自立支援法案」にともなう児童福祉法の改定で、その業務は、相談、斡旋、調整などに限られ、障害乳幼児と家族の支援にふさわしい条件整備を行う責任などが、きわめて曖昧になります。

A個人給付制度になって、90%は国と自治体によって給付されますが、10%は個人負担しなければならないことになります。これが応益(定率)負担と言われるものです。
 通園施設の利用においては、1 食600円と試算される給食などを実費で負担することになり、1家庭あたり推定される1か月の自己負担額は、30000円を超えることも懸念されています。さらに、育成医療が廃止され、自立支援医療に移行するために、医療費の1割が自己負担になり、各種の補装具も1割負担が強いられることになります。このように累計すると、障害が重複する子どもたちほど、多額の費用負担を新規に背負うことになります。率直に言えば、「療育も金次第」と言うことになり、高額の負担に耐えうる家庭でのみ、ニーズに応じた利用が可能になると言う、国民分断を招く制度改悪といえるでしょう。

Bこの制度改変は、これまで曲がりなりにも保持されてきた児童福祉法の基本理念と矛盾する改悪といわねばなりません。
 児童福祉法は「総則」において、第1条「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるように努めなければならない。」第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」第3条「前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたって、常に尊重されなければならない」と記しています。この国及び地方公共団体の「責任」規定によって、措置制度と都道府県による児童福祉施設の設置義務も発生していました。「障害者自立支援法案」は、児童福祉法にこの「総則」を残したまま、実質制度の骨抜きを図るものといえるでしょう。
 このような緊迫した動きのなかで、私たちは、乳幼児期にふさわしい発達保障のシステムを作り上げることをめざして、当面、障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませないことを一致点に会を結成し、多くの人々の参加を呼びかけたいと思います。
 国会の残りの会期は限られており、そのなかでこの法案の審議も進められていきます。私たちの運動も、そのテンポを乗り越えるエネルギーの結集が必要です。そのために、それぞれの地域で次のような運動を緊急に展開されるよう、提案します。

@職場や地域で学習集会を開いて、「障害者自立支援法案」のなかでの障害乳幼児施策の問題点を学習し、さらに多くの人々に伝えていく力を高めましょう。なかでも、保護者の方への参加の訴えや、保護者が中心になった学習会への援助を重視しましょう。

A緊急に取り組まれる厚生労働省への抗議はがき運動に、たくさんの人たちの参加を組織しましょう。とくに、療育の大切さを具体的に記したはがきをたくさん組織しましょう。

B自治体の長や議会が、この法案の問題点を認識して反対声明が出せるように、積極的に働きかけましょう。それぞれの通園施設の長や理事会が、反対意見を施設ごとの連絡協議会や厚生労働省に表明するように、積極的に働きかけましょう。

C広く国民に訴えるために、新聞やインターネットの読者欄に、切実な声を投稿しましょう。

 この運動は、「子どもの権利条約」の第23条で規定される「障害児の特別のケアの権利」と「無償原則」を、日本において確立していくための第一歩になるような意義ももっています。多くの方の参加によって、これからの粘り強い運動の基盤ができるような取り組みにしようではありませんか。

「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」

 代 表  茂木俊彦(桜美林大学教授、前東京都立大学総長)
 副代表  近藤直子(日本福祉大学教授)
       白石正久(大阪電気通信大学教授)
       中村尚子(立正大学講師)
 事務局長 池添 素 (らく相談室主宰) 
 


メッセージ  茂木俊彦(桜美林大学教授、前東京都立大学総長)
                                            
 国は、「障害者自立支援法」(案)を国会に提出し、十分な審議もしないまま一気に採択してしまおうとしています。国は、障害者関係団体等から多くの問題が指摘されたにもかかわらず、強引に導入した支援費制度(2003年)を「すでに破綻した」とし、介護保険との合体も視野に入れて「グランドデザイン」を発表、その具体化の1つとしてこの法案を立案したものです。
 障害のある人々には、障害によって生じる特別なニーズがあります。これらのニーズの充足は、本人や家族の自助努力によってではなく、公的な施策の整備、必要最低限の財政的裏付けがあってはじめて可能になります。重要なことは、障害のある人々は、それで利益を得るわけではなく、ようやく健常者と実質的に平等な生活が送れるようになるにすぎないのだということです。
 この法案は、このような考え方と真っ向から対立するものです。障害者は施策・サービスを利用することで利益を得るのだという乱暴な理屈をつけ、利用するには契約を結び、得る「利益」に応じて「負担」する(応益負担)ことを原則とするというのです。しかも本法案は乳幼児期の療育に関しても対象に含み、育成医療制度、通園施設・通園事業での療育・訓練などにも「応益負担」「利用契約制度」を持ち込むこととなっています。
 これを許してしまうと、国の責任放棄、保護者の負担増、療育等に地域間格差、個人間格差が拡大するなど、大変な負の影響がでてきます。
 私たちは本法案のねらい、悪影響などについて早急に学習しつつ、素早く行動しなければなりません。力を合わせ、ともにがんばりましょう。


全障研近畿ブロック主催
「障害者自立支援法でどうなる障害乳幼児の生活と療育」
学習集会開催されました

緊急の呼びかけであるにもかかわらず、会場となった大阪天満橋のエル大阪には、大阪、京都、兵庫、和歌山、滋賀、奈良の近畿各府県から50名の参加がありました。椅子や机が足りない窮屈な状態でも、熱心に耳を傾ける参加者の姿に、急展開する情勢への危機感が滲んでいました。
 学習会は、海老原功・大阪支部事務局長による4月11日の厚生労働省交渉の結果を交えての法案の特徴の解説、それへの質問や意見交換、白石副委員長による中間まとめ、交渉参加者の報告が行われ、最後に司会進行にあたった池添素副委員長による行動提起で締めくくりました。
 学習会を開催して確認されたことは、この法案が児童福祉法に基盤をもつ障害乳幼児対策の根幹を揺るがす大改悪であるという本質と、それを許さないためには、職場で全障研の会員が中心になって、学習運動を展開していくことの必要性です。
 5月12日の東京での「フォーラム」への参加、『みんなのねがい』の拡大運動、要求運動団体を結成しての抗議はがき運動の展開などが、緊急に取り組まれることになりました。
池添副委員長による主な行動提起は、
1)職場での学習に、「みんなのねがい」5月号の近藤直子さんの「緊急報告」を活用する。
 今後の動向などを的確に報道する「みんなのねがい」の普及拡大をはかる。
2)さまざまな新聞などマスコミに積極的に投稿する。広島の神谷さんの投稿を参考にしよう
(文責・白石正久)


<ご意見> 広島・神谷さとみさんより

 私は、障害乳幼児の通園施設で仕事をしています。今まで法律のことなどあまり意識しなかったのですが、障害者自立支援法案のことを知り、とても不安になりました。
 私の園に通っている子どもたちは、きこえやことばに障害をもっています。小さい時期から補聴器をつけたり、ことばの発達を促すことで、将来、社会で自立していけるための基礎作りをしています。かかる費用は、今は保護者の所得に応じて負担しています。
 この法案が通ったら、保護者は所得にかかわらず一律に、受けたサービスごとに一割を負担することになります。その上、今は無料の給食費も一食600円、通園バスも利用料を徴収することになります。付き20日通ったら、約3万円もの負担です。
 加えて、医療費や補装具の負担も増えます。補聴器にも人口内耳の手術にも、巨額の負担が押し寄せ、生活していけなくなります。
 どの家庭に障害児が生まれるかはわかりません。誰が障害児の親になっても、社会的な支援を受けて自立のためのケアを平等に受けることができる、これが福祉というものではないでしょうか。こんな法律は「自立支援法」ではなく、「自滅支援法」ではないですか。


こんな思いを胸に、5月12日の「みんなのフォーラム」には、山梨や宮城、大阪などから多くの方々が参加されます(事務局)

「障害者自立支援法」とわたしたちの願いや課題の視点でわかりやすく解説する
『障害者福祉制度改革 なにが問題か −障害者自立支援法と私たちのねがい−』
全国障害者問題研究会出版部から4月末刊行されます。

4.11厚労省との話し合いの概要報告です
全障研副委員長 中村尚子
 話し合いの様子
 4月11日午前、障害者自立支援法案に関する障全協の政府交渉の場で、乳幼児期の問題に焦点化した話し合いが行われました。緊急の呼びかけであったにもかかわらず、鹿児島、宮崎、広島、大阪、京都、愛知、山梨、東京から29名が参加、切実な訴えをしました。

T 厚労省(川島・居宅支援係長)による回答の概要(質問事項はHP参照)

【児童デイサービス事業】
1)障害者自立支援法案において児童デイサービスはどこに位置づくか
 原則は「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」(10月12日)の【説明資料】の16ページに書いてある内容(HPの<資料>のこと)。つまり「障害児施設、事業のサービス体系は概ね5年後の施行を目途に3年以内に結論」を出す。そのさい、検討の対象となる施設は入所型の障害児施設だけでなく、障害児通園施設、児童デイサービス事業も含む。機能に着目してサービス体系を再編するというさい、通園施設と児童デイサービスは「日中活動の場」に位置づくが、一本化されるということではない。いまのところ、重なり合う部分もあるがそれぞれ独自の機能があると考えている。
 当面は児童デイは「介護給付」に位置づく。

2)児童デイの「報酬」について
 現行のような規模別にするかどうか、未定。同じサービスを受けるのに違う利用というのはおかしいので、平均的な利用料(たとえば1回いくら)など簡便な利用額を設定する予定。平成18年(2006年)1月から1割負担で実施。

3)食費の実費徴収
 児童デイも給食を提供するのであれば、材料費、人件費をふくめた実費の1割をとることになる。食べないのなであればとらない。
 ただし、人件費の部分は「低所得者」からは徴収しないような低減措置。20日間で15,000円としてその1/3の5,000円程度を考えている。

4)制度利用における障害者手帳の取得について
 支援費制度と同様、取得を原則とするが、現行にある「やむを得ない措置」は継続する(児童福祉法の附則規定。

【通園施設】
1)障害者自立支援法案下において通園施設はどこに位置づくのか
 上記の【説明資料】にあるように、児童施設の新体系は3年かけて検討するので、未定の事柄。「訓練等給付」に位置づく部分もあるが、現行の障害種別の体系ではなく、機能、サービスごとので体系化する点がポイント。「報酬」はサービス内容ごとに決まる。

2)障害種別をなくすことについて
 障害児の地域生活を重視すること、各施設とも利用児の障害の重度化・重複化が進んでいることに着目して、障害種別をなくした施設体系を検討することにした。障害種別で共通であっても、支援は個々に即した内容になるようにしたい。

3)平成18年(2006)10月から、利用契約制度と利用1割負担は実施する。新体系(障害種別をなくした施設体系)が決まるまでは、それぞれの障害種別ごとの利用料(措置単価ベースの1割)とする予定。したがって、三種類の障害児通園施設は利用料が異なる。最終的には、新サービスでは日中活動としての報酬を決めることになる。

4)措置外事業、グレーゾーン児への対応
 関係者の意見を聞き、市町村が柔軟に実施するようにしたい

【費用負担】
 制度を持続していく必要上、1割負担とした。低所得者への配慮はしている。

U 参加した方の切実な訴え
 参加者は、それぞれの立場で、障害のある子どもの乳幼児期が「特別な時期」であり、大人の制度を持ち込むと、ゆっくりとではあるが充実しつつある各地の療育システムに亀裂が入ってしまうと訴えました。
 特に、この日参加できなかった人たちの分までも発言したいと、保護者の方が切々と訴えました。一部を紹介します。
・わが子の障害を認めたくない、認められないという親にとって、親子で通いはじめる親子教室や児童デイは、大切な場。支援費になったときに費用負担が導入されて以降、「保育園に行くから、療育の場はいらない」という親もいる。その結果、療育を受けないまま小学校に就学する子どももいる。親への援助が大事な時期だからこそ、丁寧に、しかも費用のない制度にすべきだ。
・子どもが2歳で通園施設に入ったとき、本当にいくらかかるか心配だった。しかし所得に応じた負担ですんで、しかもあそびを中心にとてもよい療育を受けることができた。それとともに親どうしの交流ができたことがよかった。必ずお金を払わなければならない、契約をしなければならないとなれば、足が遠のく親が絶対にいる。社会的に問題になっている児童虐待の中には、わが子の障害が認められなかったり、障害とはわからず、大変な子育てが虐待に至るケースも多いと聞く。こうした親子を救うためにも、乳幼児期の支援はお金の心配なく、親子で楽しめるものでなければならない。
・上の子は通園施設を卒園後、小学校にいて、いまは下の子がお世話になっている。安心して任せられると思っている。小学校に上がってからも通園の先生が学校に一緒に行ってくれたりしたが、その先生方が安心して働けることが子どもが育つ基盤だと思う。安心して働ける条件をつくってほしい。
 ・子どもと一緒に外に出られないという親はまだまだたくさんいる。人間として当たり前の生活ができないのが障害児とその親の実態。ふつうに生きるために私たちはお金を払わなければならないのでしょうか。

「療育」の本質
・乳幼児期は機能訓練や言葉の指導一つにしても、それだけをとりだして子どもを指導するのではなく、生活の中で言葉や身体の力をつけていくのだから、「機能に着目」したサービス体系はなじまない。機能訓練と保育を別に、、、ということでは、子どもの生活まるごとをとらえた療育はできない。
・この時期は、子育てのたいへんさの中でも、親が「子どもがかわいい」と思える用になることが大事で、そのためには一緒に遊んだり、子どもの発達の事実を見る目を育てる取り組みをしなければならない。

給食のとらえ方
・偏食のきつい子どもが少しずつ食べられるものが広がっていく、食べられないから食べなくてもいい、というのではなく、食べられるように働きかけるので、療育の一環。「誰でも食べる昼食」とは本質的に違う。
・なかなか食べられない子どもにも、ゆっくり待ってあげる。どうせ食べられないなら支払いもあるし「給食なし」とはならない。契約・選択ということで、お金がないから「この子は給食なし」ということもおかしい。

「重度の子ども」
・肢体不自由通園はほんとうに障害の重い子どもが通っている。虚弱で通えない子もいる。休むと施設の減収になるというのではこうした子どもへの対応が後退するかもしれない。
・命と向かい合いながら生きており、医療的支援が必須。呼吸が楽になったから食事が食べられるというような子にとって、呼吸を楽にすることは生命の基盤。そうした医療的機能が「機能別」ということで別の利用料が発生したりするということになると、「息をすることにもお金を払うのか」ということになる。障害の重い子どもは生まれたときから費用負担を背負うのか。
・補装具などは成長に応じて何度も作り直さなければならない。今でさえ、立て替え払いのお金を工面することに苦労しておられる保護者も多い。これが1割負担で負担が増えることになるわけで、「この子に足はいらない」といっているのと同じだ。

「施設運営」や「自治体の対応」
・いまの支援費でも、児童デイは子ども15人に2人の職員というのは全く現実的ではない。支援費の事務量も相当なものである。親指導や専門職員をやとうゆとりもないのに、個々の障害に応じた対応を求められてもできない。ここの改善をしてほしい。
・支援費支給の勘案事項は子どもに対応したものではない。いまのところ、児童相談所の専門性に依拠しているが、支援法でこれを市町村でやるのはむり。支援法の障害認定で同様のことがすすんでいるとしたら大混乱は必至。
・自治体の裁量で地域に応じたサービスを、といわれても、そのマンパワーは自治体にはない。
・たくさんの待機児を抱えている保育所への障害児の入所は厳しい。さらに通園施設や児童デイも待機児を出している。大事な時期を逃さないという趣旨で、児童福祉法に基づいた抜本的なシステムが必要。
・現員、出来高払いは施設運営を不安定にし、療育の質を下げることになる。しかし、保育所や幼稚園への支援や訪問療育、親指導など、ニーズに応じた支援をしている。ここに避ける費用はどうなるのか。

V ふたたび厚労省・川島居宅支援係長の発言
 こうした訴えを聞いて、川島係長はつぎのように述べました。
・1割負担で利用が抑制されるのではないかという懸念がある。
・保護者の方や実際に施設や事業を運営したいる方の話を聞いて、不勉強な部分があったと思っている。もちかえって、通園施設担当にもよく伝えたい。児童デイサービスの経営がたいへんなことは聞いているので、近々、経営実態調査をする予定である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 児童については、詳細はまだまだ未定でだということがわかりました。ただし、児童デイの1割負担は来年1月から、通園の契約制度は来年の10月からということだけは決まっています。全国的に本当に実態が多様な児童デイを一律の「1割負担」にすることは、大負担増につながるでしょう。施設の体系も決まらないのに、どうやって契約をしろというのでしょうか。
 最後に、今後もこうした場を継続することを約束して終了しました。(文責 中村尚子)

■障害者自立支援法(案)下における障害乳幼児施策に関する質問
                                       2005.4.11 障全協

 私たちは、障害児通園(デイサービス)事業が支援費制度に組み込まれるさいにも、事前に準備室の皆さんと懇談し、一貫して障害の発見やそれを受容するという特別な時期にある乳幼児と保護者への配慮を求めてきました。昨年秋のいわゆる「改革のグランドデザイン案」の提示から障害者自立支援法案にいたる一連の過程の資料を拝見して、支援費制度移行時と同様、成人の施策については例示を含めた説明があるのに、乳幼児に関する特別な説明がないことに、またもや等閑視されているのではないかとの危惧を覚えます。
 児童憲章は、子どもに障害がある場合、「適切な治療と教育と保護が与えられる」とうたい、児童福祉法はその第2条で「保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任」を国と地方公共団体に課しています。これらわが国の基本的な法規に照らしたとき、今般の障害者自立支援法案には障害乳幼児の健やかな育成にとって看過できない問題をはらんでいると考えます。
 支援費制度時に強調した乳幼児期の特性を考慮した以下のような内容は、基本的に障害者自立支援法の論議にも生かされるべきであると考えます。
 @乳幼児期で子どもの障害が発見されてまもない保護者にとって、「障害認定」をともなう制度は敷居が高く、支援へのアクセスの支障となりケアの適時を逸することになりかねない。したがって、障害が明確になっている成人とは異なる利用要件が必要である。
 A上記のこととも関わって、利用料が支援へのアクセスを阻む要因となることは絶対的に避けなければならない。すなわち、お金を払ってまで通えないとか、どうせ払うなら塾や習い事に、というのでは、系統的な療育につながらないので、利用料は原則的には無料とすべきである。利用料負担が生じるとしても、保護者の年齢が比較的低いことを勘案して所得に十分配慮したシステムでなければならない。
 B発達や障害ゆえに冬場などは体調を崩す子どもも多く、利用者数で収入が左右される出来高払い制度ではどうしても不安定な運営を強いられる。安定的な補助金のシステムを維持すべきである。

【児童デイサービス事業】について
1)「介護給付」の枠組みの中にある「児童デイサービス」とは、現行「児童デイサービス事業」と同義でしょうか。「児童デイサービス事業」(以下「児童デイ事業」)は「総合的な自立支援システム」の図のどこに位置づくのか教えていただきたい。
 2月25日、貴課と全国発達支援四通園連絡会との懇談において、「児童デイサービス」とはすべての通園を包括する概念との説明を受けたが、そうであれば、現行「児童デイ事業」はその一部を考えるのでしょうか。

2)自立支援法案の利用者負担は諸経費の1割が原則とされています。児童デイ事業はどのような計算式を考えておられるのでしょうか。児童デイ事業は利用者数によって3つの単価基準があります。この額との関係はどうなるのでしょうか。

3)児童デイ事業は各地で実施形態はさまざまですが、給食を療育の一貫と考えて無料にしているところや費用負担があってもきわめて廉価であるところも多くあります。また母子通園を実施してるところでは親が給食の補助をしていたりもしています。そうしたなかでは、成人施設と同様の「どうせ昼は食べる」という考え方はなじまないと思いますが、その点ではどんな議論があったのでしょうか。

4)支援費制度では、乳幼児は手帳取得を原則としないことや利用申請時における緩やかな対応が実現しています。この点はどう考えておられますか。

【障害児通園施設】について
1)通園施設は、上記1)でふれた「包括的概念としての児童デイサービス」の中に位置づくと考えてよいのでしょうか。そうであれば「介護給付」であって「訓練等給付」の枠組みからははずれるということでしょうか。
 通園施設と児童デイ事業が「児童デイサービス」として包括されるとなると、現行の措置費基準と支援費単価の大きな格差はどう解消されるのでしょうか。

2)乳幼児期の障害種別の対応の重要性を考えると、自立支援法の成人部分同様、障害種別の施設体系がなくなるということは非常に大きな問題点だと考えます。現行施設体系にそった専門性の確保について、どうお考えでしょうか。

3)現行三種の通園施設の措置費は施設ごとに異なっています。措置費をベースにして「契約・利用料」を設定した場合、どの施設を基準にするとお考えでしょうか。実質的に減収する施設が生じることになると思いますがいかがでしょうか。

4)地域に根ざした施設をめざし、施設機能の開放策、障害児(者)地域療育等支援事業などによって広げてきた、いわゆる「措置外事業」の部分はどのような位置に置かれるのか。ここには「グレーゾーン」とよばれる障害の確定しない子どもたちへの支援という重要な仕事が含まれています。

【保護者の費用負担】について(通園施設・児童デイ事業共通)
 児童の権利条約第23条は、障害のある子どもに対する必要な援助は「可能な限り無償で与えられる」としています。本条約を批准しているわが国の児童の福祉は、当然この条項にそってすすめられるべきであると考えます。発達途上にある、障害のある子どもに必要な療育は、他のライフステージの施策と区別される必要があるのです。児童福祉法に定められた育成医療もそうした精神に基づくものです。
 したがって、施設利用料、食費、育成医療の費用負担は大きな問題をもつと考えます。
                                    以 上


障害をもっている子どもたちと係わっている方に緊急のお知らせです。
全障研副委員長 池添 素

厚生労働省は2004年10月に「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を提示しました。当初、児童に関しては、大人同様に障害種別ごとの施設体系を見直し、「日中活動の場」と「住まいの場」を分ける程度の内容しかうたわれていませんでした。
 しかし2005年2月25日、厚生労働省と4通園懇話会において、次のような説明がありました。
@通園施設は2006年10月より利用契約制度へ変わる。
A通園施設は第1種事業から第2種事業へ変わる。自治体・社会福祉法人以外による経営が可能になる。
B通園施設の障害種別をなくし大人と同様の障害区分を導入する。グレーゾーンは想定せず、措置は虐待のみ。現行の児童デイサービス事業を含めて「児童デイサービス」という括りとする。
C定員払いから利用時間や日数での1日現員払いへ。
D保護者の費用負担が応能負担から応益負担(「定率負担」と言い替えられています)へ。給食費も実費払い(人件費・高熱水費含む)など。(資料
 障害種別ごとの施設体系の見直しは有効としても、「日中活動」という括りだけで各施設を統合するのはあまりに療育の現状を無視しています。特に職員の配置基準など格差が大きい現状が、この機会に低い基準へそろえられる危険もあります。
 これより先、グランドデザイン案をもとに作成された「障害者自立支援法案」が2月10日に閣議決定され、国会へ上程され、5月の連休前後から審議入りされる予定になっています。
 この法案には、数々の問題点がありますが、「育成医療」制度を廃止し、補装具含めて応益負担(1割負担)へ移す内容が盛り込まれています。障害児にとって補装具は、生活上あるいは発達上必要なばかりでなく、成長につれて適切に作り直し調整することが欠かせません。自己負担が増えれば、子どもの身体か家計かに無理を強いることになりかねません。また、応益負担による児童デイサービスの新たな利用者負担額は月々2万円台後半から3万円(食費含む、月20日登園で試算)とも予想されます。
 こうした保護者負担の増大は、障害の早期発見・早期対応に逆行するだけでなく、当事者家族に経済的状況という新たなハンディを背負わせることになります。
 現在、残念ながら、こうした状況はまだまだ知らされていません。そこで、全障研と車の両輪にあたる障全協を通じて、急きょ厚生労働省と通園施設・児童デイサービス関連の話し合いの場を設けることになりました。
 これは、法案に関する厚労省の考え方を聞くとともに、療育の現状、保護者のねがいをしっかり伝えることを目的としています。(先の支援費制度導入の際も、通園事業の現状を訴えていくことで、いくつか改善が図られた経過があります。)
 急な取り組みではありますが、ぜひ各施設、地域で代表者(保護者、職員)の派遣を呼びかけて下さい。※労働組合にも協力を訴えてください。
全国の全障研・障全協で呼びかけが進められています。
具体的な日程は、以下の通りです。平日で出にくいこととは思いますが、職員はもちろん保護者への働きかけも強めていただき、一緒に参加して生の声を厚生労働省へ届けましょう。
〒全障研へのメール

7.5緊急大行動へ

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