障害者自立支援法で児童の支援はどうなる
障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会/編集
史上最大1万5000人の連帯!
■池添素「持ち込ませない会」事務局長 国会で意見陳述 12.6衆議院厚労委員会「子ども」の問題が焦点に 12月6日(水)衆議院厚生労働委員会で参考人招致があり、「持ち込ませない会」の池添事務局長(全障研副委員長)、日本障害者協議会の藤井常務理事(きょうされん常務理事)など6名が意見陳述しました。 強行実施後、1年もたたないわずか8か月で、実質見直しのための集中審議は、「異例中の異例」といわれます。 議論では、■福祉と市場原理導入、■応益負担、■「子ども」の問題が焦点となりました。 意見を述べる池添さん 午後2時からは厚労省記者クラブで、池添さんと奈良から上京した篠原さんたち3名のお母さん(1か月で署名を22097筆集めて厚労省に提出)が記者会見(9社取材)を行い、10分間の予定を大幅にオーバーする45分間つづきました。 厚労省記者クラブで会見するお母さんたち 4人は、記者からの質問「国会での手応えはあったか?」に対して、「子どもの問題が、正面にはじめて据えられた感じがした」。 「サービスに対してお金を払うことに対してどう考えるか。サービスの質を高めるために費用を払うメリットはあるか?」の質問には、 池添さんが、「無償であると申し訳なさを感じて意見が言えない」ではなく、それは子どもたちの権利としてとらえ、子どもが言えないから、その分親はどんどん意見をのべるべきこと。権利の意識の問題ではないでしょうか」とこたえました。 報道によれば、午後からの厚生労働委員会で柳沢厚労大臣が「与党側の意向を踏まえ、今年度の補正予算案と来年度予算案で何らかの措置を検討したいという考えを示しました」。小さな小さな障害者・関係者の声が、大きな世論となって、国という大きな山が動き始めました。 ●池添素さんの意見陳述(全文) ●衆議院国会中継ライブラリー → 「12月6日」→「厚生労働委員会」で全部見られます。必見です。 ●緊急要望署名 ■障害のある子どもの放課後保障全国連絡会 学齢児中心の児童デイサービス 緊急全国調査を報告 12.10 12月10日に東京で「学齢児中心の児童デイサービス緊急全国調査報告集会」を開催し、北海道・青森・岩手・新潟・静岡・福島・群馬・栃木・富山・岐阜・大阪・奈良・和歌山・愛知・千葉・埼玉・東京から50名が参加。調査結果から、学齢児中心の児童デイサービスが存亡の危機にあることがいっそう浮き彫りになりました。 ●調査結果を掲載する全国放課後連のホームページ ■学齢児中心の児童デイサービス 存亡の危機に 緊急全国調査、12.10に全国集会開催へ(全国放課後連) 存亡の危機にある学齢児中心の児童デイサービス。障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連)は、緊急全国調査を実施します。その結果をもとに、12月10日(日)に東京で全国集会を開催します。詳細はPDFをご参照ください。 ○緊急実態調査調査用紙(PDF) ○12.10全国集会案内 ■10月7日(土) 夜10時15分〜 NHK総合「つながるテレビ@ヒューマン」でも報道されました ■ひきつづき運動を強めましょう! 守ろう!健やかな発達とたしかな療育 9.30全国集会(大阪)に各地から170名 9月30日午後から大阪市内で開かれた同集会には、17府県から170名の参加者があり熱気あふれました。 ●講演「現在の情勢と私たちのとりくみ、そして課題」中村尚子副代表資料(PDF) ●集会アピール わたしたちのねがい 親として わが子の障害が告げられたとき、子どもとともに、目の前が真っ暗になった親の気持ちを受けとめてくれたのが、通園施設や児童デイサービスでした。そこで発達していくわが子の姿に励まされ、わたしたちは新しい人生の一歩を踏み出すことができたのです。 障害ゆえに偏食が強く、白いご飯を食べられないわが子が、先生の励ましに支えられながら口にすることができたときの喜びは、忘れられません。 マヒの強い足を一生懸命動かして、自分の力で靴を履けたときのうれしそうなわが子の顔は、先生の笑顔とともに親の心を支えてくれました。 施設職員として わたしたち施設職員は、障害を背負いながら、なお発達しようとする子どもの姿に、そしてお母さんやお父さんの苦悩を乗り越えた笑顔に、はたらく喜びを与えられ、このしごとに人生をかけてきました。 しかし、乳幼児の療育に障害者自立支援法は適用され、利用料と給食費を合わせると、ほとんどの家庭がこれまでより2万円近く負担が増えます。乳幼児の親は若年ゆえに所得が限られ、これからきょうだいも生まれてくれば、子育て費用はもっとかかります。 もし、費用負担ゆえに通園をひかえることになれば、障害児と親の人生の原点ともいえる療育に出会うことはできなくなるでしょう。 日割りの報酬(日額現員払)によって施設経営が圧迫されると、職員が力を合わせて積み重ねてきた療育の専門性も、維持していくことができません。 障害者自立支援法の本格実施を明日・10月1日に控えて、わたしたちは訴え続けます。 総理大臣、衆参の国会議員、厚生労働省の大臣・職員のみなさん! 通園施設や児童デイサービスの大切さを知ってください。子どもの権利条約にあるように、障害児の特別なケアは原則無償とし、児童福祉法の精神に則り、児童福祉の分野では応益負担制度から撤退してください。 すべての種別の施設において現在の運営費を確保できるように、報酬制度を見直してください。 都道府県と市町村の首長、議員、職員のみなさん! わたしたちの要請署名や要望を受けとめ、利用料や給食費の補助にふみきった自治体がある一方で、住む地域によって大きな格差が生まれています。 まだ補助制度の決まっていない自治体での、一刻も早い実施を望みます。今年度内の実施が決まっている自治体も、次年度以降も継続できるように努力してください。 自治体の補助が行われないと療育に通うことができない現実は、障害者自立支援法の問題点を如実に示しています。自治体首長、議会は、応益負担を凍結するよう、わたしたちといっしょに国に要望してください。 国民のみなさん! 障害児の療育は、子育て教室、育児相談、保育所・幼稚園への巡回指導を含み、障害児のためだけではなく、すべての子どもたちの健やかな発達を支援する制度でもあります。安心して子どもが育てられる地域や国にするために、そして、障害児者、子ども、老人、働きたくても働けない人などの社会的弱者が、国民の一人として幸福に生きられる社会をつくるために、わたしたちは国民のみなさんと力を合わせたいと願います。 守ろう!健やかな発達とたしかな療育9.30全国集会 ◆当日の様子をつたえるユリカモメさんの速報 ◆赤旗新聞 ◇自治体4割負担軽減策 地域格差、拡大 朝日新聞調査 9.25 ■TBS ニュース23も報道 鎌倉市、障害児通園施設の利用料軽減 保護者の運動を報道 「ニュース23」2006.9.19 ■鎌倉市のあおぞら園のようすを映し、負担増の金額を示す。 「障害のある子どもたちに発達を支援するための教育=「療育」を行う通園施設です。現在、自閉症やダウン症、手足に障害がある子どもたち34人が毎日通っています。7月、保護者の間に衝撃が走りました。10月からの利用料引き上げがかなり大幅なものになりそうだと分かったからです」 現在 所得に応じて、0円から71,700円まで18段階 →新しい国基準では原則1割負担のためほとんどの世帯が28,700円に。 ■Hくん自閉症。「はじめは白いご飯しか食べられなかったけれど、さいきんずいぶん変わった」とお母さん。 園庭のブランコで遊ぶHくんを映しながら、園は母親の精神的な支えでもあるという解説。 実際、負担額は15400円から28,700円と2倍近くに。 母親「保育園に入れたくても断られる、選択肢もないのに何でこんなに高いの?」 ■Kさん。低酸素脳症。0円→25,000円に。 お父さん「年間で25万円の出費はさすがに痛手」 ■保護者会が市議会に訴える映像。その結果、今年度中は値上がり分を全額市が助成することに。 千一議員(脳性麻痺)「これからもがんばっていきましょう」とトーキングエイドでお母さんたちを励ます。 保護者会会長母親「これからこの子のためにもっともっとがんばらなくちゃ」 ■障害児施設の負担軽減をしているのは「1府2県13市」であると地図を示して説明。 ■鎌倉市長「自立支援法に疑問。国の穴埋めをしているといえる」 ■母親「鎌倉市ががんばって何とかしてくれればいいというだけの話ではなく、将来にわたって不安なく生活していけるような仕組みを国につくってもらいたいと思います」 ■取材した担当者と筑紫哲也が解説。値上がり分を全額助成するのは、横浜市、川崎市、鎌倉市、大府市、滋賀県などと地図で説明(あわてて作成したのか、タイトルが「利用軽減」とすべきところ「利用制限」となっているのが何とも悲しいが)。筑紫氏は、地域格差が広がること、さらに担当者はほとんどが3月までの期限付きであることに懸念を示していました。(中村尚子) ■特殊教育学会自主シンポも熱気 9月17日に群馬大学で開催された日本特殊教育学会での自主シンポ「自立支援法と子どもの療育」は会場のいっぱいの参加者で、充実した報告と発言がありました。 ○話題提供者 白石正久(大阪電気通信大学)、中村尚子(立正大学)、池添素(らく相談室) ○指定討論者 小渕隆司(鎌ヶ谷市役所) ■応益負担開始直前集会にご参加ください! 守ろう!健やかな発達とたしかな療育 9.30全国集会(大阪)へ 応益負担の開始で子どもの通園や家族の生活はどうなるのか。通園施設や児童デイサービスの運営や実践は守られるのか。国や自治体に私たちの声を届けましょう! 日時 2006年9月30日 午後1時から4時30分 会場 ヴィアーレ大阪 第一部 現在の情勢と私たちのとりくみ、そして課題/中村尚子(持ち込ませない会・副代表) 第二部 シンポジュウム「障害者自立支援法で乳幼児の療育はどうなるのか」 知的障害児通園施設から 高木恵子氏(京都市・洛西愛育園園長) 肢体不自由児通園施設から 大阪府吹田市から予定 難聴幼児通園施設から 塩出順子氏(広島県福山市・「ゼノ」こばと園園長) <コーディネーター> 白石正久(持ち込ませない会・副代表) 参加申込・問合 ファックスかメールで 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会事務局 〒603−8324 京都市北区北野紅梅町85 らく相談室内 Fax 075−465−4310 mail rakuraku@ma3.seikyou.ne.jp ●参加案内チラシ(PDF) 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会からの訴え!! 障害者自立支援法が本年4月から施行され、すでに成人期の施設や居宅支援の利用では、応益(定率)負担が課せられています。その結果、作業所への通所を断念したり、ホームヘルプサービスの利用を控えるなどの影響が出ていることが、全国いたるところで報道されています。 児童期の施設の応益負担の実施は10月からであり、まさに目前に迫りました。私たち「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」は、本年1月末に宮崎市で開いた交流集会を機に、厚生労働省への要望署名をとりくみ、わずか1カ月で3万筆を集める活動を行い、その後もこの署名活動は全国のいたるところでとりくまれています。また、法が施行された4月以降、自治体への請願・要望署名の活動を提起し、多くの市町村で保護者や施設職員が中心になってこの活動にとりくみ、利用料や給食費の補助を得るなどの具体的成果のみられた地域もあります。 しかし、私たちやさまざまな組織・団体が行った交渉においても、国(厚生労働省)は、障害者自立支援法の根幹である応益負担についての、何らの軽減策も示さず、このままでは10月から多大な負担が子どもとその家族に強いられることになります。 乳幼児期は、子どもへの適切な療育と保護者の障害受容や生活への支援を速やかに行うことによって、たしかな発達や家庭生活を築くことができるという点で、特別の配慮を必要とする時期です。そして、乳幼児期の子どもをもつ保護者は、若年ゆえに収入が十分ではないにもかかわらず、軽減措置の対象になる家庭は少数に限られるという実態があります。また、通園施設や児童デイサービスは、これまでの運営費を維持して確保することがむずかしくなるとの懸念が広がり、施設経営者にも危惧や怒りが広がっています。 このような想定される困難に対して、応益負担の実施の前日に、私たちの願いを大きな声にして国や自治体に届け、世論に訴えるために大阪に集いましょう。 ■8.24全国課長会議 「見直し」のポイント (1)障害乳幼児 ○障害児施設(入所・通園)、「一般世帯」の一部で食費等の実費の軽減 ○通園施設、児童デイの家庭訪問など、新たな加算 8月24日に行われた障害保健福祉関係主管課長会議では、障害児施設の利用者負担など、障害児、障害乳幼児に関係する変更が公表されました。 ◎就学前の通園施設の食費 一部軽減 利用者負担区分「一般」の中で、「住民税所得割2万円未満」に該当する世帯の食費が減額されます。年収にすると、300〜400万円の世帯です。 →主管課長会議「資料4−1の別添3(福祉型)」と 「別添6(医療型)」参照 厚労省は、「保育所保育料程度の負担水準」をしたとその根拠を述べています。保育所保育料との比較は →「参考資料D」の7頁。ここには22日通園した場合の例が示されています。 8月31日に行われた全国発達支援四通園連絡協議会での厚労省の説明を追加しておきます。 これまでの案 650円×22日=14,300円 650円の内訳…420円人件費+230円材料費 ↓ 今回の新区分(230円の材料費を利用者負担とし、人件費は公費とする) 230円×22日≒5100円 (これまでの「低所得」と同じ考え方) なお、これまでの「低所得」世帯は5100円が→1540円に軽減されます。 (230円のうち、160円を公費、70円を利用者負担にする。 70円×22日=1540円) したがって、毎月の食費負担の目安としては、650円、230円、70円の3種類の食費単価が国基準として示されたことになります。 ◎家庭訪問が報酬の対象に 通園施設と児童デイサービス 加算の種類は@家庭連携加算とA訪問支援特別加算の2種類→「資料4−3」8頁と9頁 @家庭連携加算 「乳幼児の保護者に対し、障害児の健全育成を図る観点から、サービス利用計画に位置づけ、保護者の了解を得て、事前に日程調整した上で職員が家庭を訪問し、利用児童や家族への支援・指導を行った場合」の加算 利用児1人あたり、月2回まで、事前に計画された家庭訪問を対象とします。家庭で過ごしている場合などで、訪問療育、家族支援を必要とする場合に活用できそうです。1時間まで187単位、1時間を超える場合280単位。 これまで児童デイサービス事業ではこうした訪問はいっさい報酬化されていませんでしたので、前進だといえます。地域療育等支援事業で家庭訪問などを行ってきた通園施設は、今後、「地域生活支援事業」とのかかわりを含めて、こうした訪問をどのような形で実施していくのか、検討していく必要があるでしょう。 なお、四通園連絡協議会では、さらに保育園・幼稚園への訪問・巡回指導も加算の対象とすることを検討しているという厚労相からの話もありました。期待したいところです。 A訪問支援特別加算 利用児が「5日以上連続して利用がなかった場合、その児童の居宅を訪問して、家庭の状況を確認」、ひきつづき登園を促したり支援をすることに対する加算。一時間までが187単位、1時間を超える場合は280単位。 しかし、いずれも、報酬があれば原則として利用者1割負担が生じます。 ☆課長会議を受け、自治体での対応はさまざま… 通園施設の利用者負担を軽減する方策が、各自治体で検討されています。 具体的には、「食費負担の軽減」と「利用料の軽減」の二つの動きがあります。国は食費に焦点をあてて軽減策を提示しましたが、利用料については1割負担の原則を崩していません。 すでに報道されているように、名古屋市では6月議会で食費と利用料の両方で減免の方法です。名古屋市の通園施設の食費は月額670円。日額650円の国基準とは大きな違いです。利用料も、現行措置費にできる限り近づけ、所得に応じたより細かい基準を設ける予定です。 これに連動して、周辺の愛知県下の自治体は食費等の減額が予定されています。 政令市や中核市は比較的早く動き出しました。広島市200円、堺市230円(いずれも1食単価)などです。 大阪府下はもともと公設でできた通園施設が多いところですが、各自治体とも検討中とのこと。「給食費は取らない方向、利用料も国基準より減額する」ところもあれば、「「一般」世帯の激変緩和措置を検討中、食費は1日400円とし利用料と食費の合計に対して障害者施策全体として助成を検討」「食費300円の方向」などなど、さまざまです。 いずれも9月議会の決定事項で、調整に微妙な時期にあるため、詳細は明らかではありません。各地の情報を、当会までお知らせください。 (2)児童デイ 自立支援法施行によって、放課後保障をはじめとする学齢児童を対象とする児童デイサービスの事業展開がきわめて困難になると指摘されています。主管課長会議では、注目されている「就学前児童7割」の算定方法をはじめ、児童デイサービスの指定基準や報酬が明らかにされています。→「資料4−3」10頁 この基準は、障害児施設の再編までのもので(2008年度中)、児童福祉法と自立支援法の「改正」時に見直されます。 これらを読む上で、「利用定員」「1日当たり平均利用人員」「利用延人日」といった、利用人数のカウントの仕方が複雑に異なっている点に注意しておく必要があります。 ◎児童デイサービスの指定基準 @利用定員10人以上、Aサービス管理責任者、B10:2の職員配置の3点です。これらはこれまでも公表されてきたことと変更ありません。 これまで実施してきた事業所は、従来どおりの職員配置15:2でも指定を取り消されることはありませんが、その場合は「報酬設定」の段階で「児童デイサービスU」となります。 ◎10人に満たない小規模事業所を守るための方法提示 先の会議で、デイサービスの基準として「利用定員10人」が示され、これまで障害者プランなどで推奨されてきた5人規模の児童デイサービスの行方が心配されていました。 1日に複数のクラスをもうけ、その合計が10名であればOK 例)午前クラス5名 午後クラス6名→合計で11名。 ただし、午前午後それぞれ10:2の職員配置+サービス管理責任者 成人の事業の中の日中活動サービスの「多機能型」の一つに児童デイサービスを合わせることで、 5名規模でも実施が可能。合計が20名以上となること。 例)生活介護事業 10人+自立訓練事業 6人+児童デイサービス 5人 職員配置は10:2 サービス管理責任者は兼務でもよい ◎2種類の報酬設定…放課後活動は[児童デイサービスU]→「資料4−3」11頁 これまでの「療育(就学前)」と「放課後・レスパイト(学齢児)」という表記がなくなり、報酬単価上「児童デイサービスT」と「児童デイサービスU」に整理されました。後でふれる「就学前児7割」はあくまでも報酬上の算定要件で、児童デイサービス事業の指定基準ではありません。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 児童デイサービスTの算定基準 ・サービス管理責任者の配置 ・10:2 の職員配置 ・利用実績において就学前児童7割 この要件を満たさない場合は、「児童デイサービスU」の報酬となる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ T、Uともに、従来どおり「1日当たり平均利用人員」に応じた3種類の報酬単価が設定されています。 残念ながら、Uの報酬単価は、予定されていたとおりTの5〜6割程度の水準にとどまっています。この報酬では活動ができないので、事業の継続と利用者負担軽減のために自治体の助成を求める運動を強化する必要があります。また「経過措置」という文言は消えましたが、障害児施設を再編するさいに、再度、児童デイサービスの見直しがありますので、「児童デイサービスU」はその時期までの報酬であるということも認識しておく必要があります。 なお、TとUでは加算・減算の規定も異なるので注意が必要です。 ◎「就学前児童7割」は前年10月の「利用延人日」で決定→「資料4−3 別紙」12頁 この部分は、実際の課長会議の資料に詳しく説明されているので、お読みください。 「利用延人日」とは、毎日の実際の利用児を加算したひと月の合計数のことです。その数を分母として、就学前児童の割合を算出します。クラスを設定している場合、定員を決めるときは施設(事業)全体でみましたが、報酬は全体の利用実績とクラスごとの利用実績とうまく使い分けることができます。その点が資料に例示してあります。 来年度(07年度)からは、今年の10月、1カ月の利用実績によってTかUが決定し、1年間反映します。 また、今年度(06年度)については、T、Uいずれの報酬になるかは都道府県の判断に依るところが大であるような記述です。 ■応益負担開始直前集会 守ろう!健やかな発達とたしかな療育 9.30全国集会へ 応益負担の開始で子どもの通園や家族の生活はどうなるのか。通園施設や児童デイサービスの運営や実践は守られるのか。国や自治体に私たちの声を届けよう 日時 2006年9月30日 午後1時から4時30分 会場 ヴィアーレ大阪 第一部 現在の情勢と私たちのとりくみ、そして課題/中村尚子(持ち込ませない会・副代表) 第二部 シンポジュウム「障害者自立支援法で乳幼児の療育はどうなるのか」 <シンポジスト> 知的障害児通園施設から 高木恵子氏(京都市・洛西愛育園園長) 肢体不自由児通園施設から 大阪府吹田市から予定 難聴幼児通園施設から 塩出順子氏(広島県福山市・「ゼノ」こばと園園長) <コーディネーター> 白石正久(持ち込ませない会・副代表) 参加申込・問合 ファックスかメールで 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会事務局 〒603−8324 京都市北区北野紅梅町85 らく相談室内 Fax 075−465−4310 mail rakuraku@ma3.seikyou.ne.jp ●参加案内チラシ(PDF) 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会からの訴え!! 障害者自立支援法が本年4月から施行され、すでに成人期の施設や居宅支援の利用では、応益(定率)負担が課せられています。その結果、作業所への通所を断念したり、ホームヘルプサービスの利用を控えるなどの影響が出ていることが、全国いたるところで報道されています。 児童期の施設の応益負担の実施は10月からであり、まさに目前に迫りました。私たち「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」は、本年1月末に宮崎市で開いた交流集会を機に、厚生労働省への要望署名をとりくみ、わずか1カ月で3万筆を集める活動を行い、その後もこの署名活動は全国のいたるところでとりくまれています。また、法が施行された4月以降、自治体への請願・要望署名の活動を提起し、多くの市町村で保護者や施設職員が中心になってこの活動にとりくみ、利用料や給食費の補助を得るなどの具体的成果のみられた地域もあります。 しかし、私たちやさまざまな組織・団体が行った交渉においても、国(厚生労働省)は、障害者自立支援法の根幹である応益負担についての、何らの軽減策も示さず、このままでは10月から多大な負担が子どもとその家族に強いられることになります。 乳幼児期は、子どもへの適切な療育と保護者の障害受容や生活への支援を速やかに行うことによって、たしかな発達や家庭生活を築くことができるという点で、特別の配慮を必要とする時期です。そして、乳幼児期の子どもをもつ保護者は、若年ゆえに収入が十分ではないにもかかわらず、軽減措置の対象になる家庭は少数に限られるという実態があります。また、通園施設や児童デイサービスは、これまでの運営費を維持して確保することがむずかしくなるとの懸念が広がり、施設経営者にも危惧や怒りが広がっています。 このような想定される困難に対して、応益負担の実施の前日に、私たちの願いを大きな声にして国や自治体に届け、世論に訴えるために大阪に集いましょう。 ■各自治体に要望しましょう! 「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」からの訴え 会員のみなさん、通園施設や児童デイサービスに子どもを通わせる保護者のみなさん、はたらく仲間のみなさん。障害者自立支援法による施策が児童期の施設において本格実施される10月が目前に迫りました。この法律によって、障害が発見されて間もない乳幼児期の子どもたちに関する費用負担の実際などが明らかになるにつれて、子どもを通園施設や児童デイサービスに通わせている保護者や職員の間に、これまで通りの通園や療育を続けていくことがむずかしくなるとの懸念が広がっています。 この法が、障害の早期発見・早期対応、専門的な療育、乳幼児期の保護者支援などの意義を意に介さず、費用負担のみを求める趣旨で定められたものであることが、いよいよ明らかになりつつあります。障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会は、この法の応益負担部分などの障害児者の人権を著しく制限する内容については法の改定を求めるために、今後も粘り強く運動を続けます。それとともに、市町村などの地方自治体が、住民の生活を守る立場で、この法の矛盾を軽減、改善するための具体策を講じるように求めるものです。すでに、いくつかの自治体が独自の補助、軽減策を明らかにしているところですが、この動きが全国津々浦々の市町村に波及していくためには、それぞれの自治体のなかでの要求運動の展開が求められます。 その具体化としては、自治体の首長をあて先とする要望署名、自治体の議会をあて先とする請願署名が、現実的な方法でしょう。以下に、その案文を示しましたが、それぞれの市町村にふさわしい内容に書き改めていただき、多くの住民の共感と賛同を得られる方法で、取り組まれることを期待するものです。 ---- 要望書の例 ○○県 △△ 市長 □□□□ 殿 (請願書の場合は、議長 □□□□ 殿) ○○園 保護者会 代表 □□□□ 連絡先 障害者自立支援法に伴う費用負担についての軽減措置を求める要望署名(請願書) 趣旨(請願趣旨) 私たちの子どもは、乳幼児健診などで障害が発見されました。戸惑いや不安な気持ちをもちながらも、○○園に通う中で、子どもの発達する姿に励まされ、今日までがんばって来られました。 ところが、本年4月から障害者自立支援法が施行され、10月からは障害児施設の利用に応じて1割の費用負担、そして給食費の実費負担が求められることになります。これに、医療費、車イス・補聴器などの補装具の1割負担が加わることになります。 障害があることにより、そして障害が重複し重度であるほど、より多くの支援が必要になります。障害者自立支援法の施行によって、私たち保護者の負担は家計を圧迫するほどになり、不安とともに暗澹たる気持ちになりつつあります。 乳幼児を育てている世帯は、比較的若年層が多いために収入も限られています。しかし、ほとんどの家庭は軽減措置の対象とはならず、月額3万円を超える負担が求められることになります。施設への通園をはじめ、各種訓練や補装具の使用を抑制せざるをえなくなる家庭も出てくるのではないかと懸念されます。 私たちの子どもは、障害に対応する療育があることによって、はじめて発達が保障されるのですから、できるだけのことをしたいと思います。費用がかさむことによって療育の機会が損なわれることのないよう、利用料の補助をしていただきたいと願います。 また障害児にとって、給食指導は単に栄養を補給するだけでなく、食べるための技能や楽しく食べる情緒を育てるための、大切な指導の一環です。たとえば、マヒがあることによって摂取がむずかしかったり、自閉症のために偏食が強い子どもたちなのです。つまり、教育としての給食なのであり、可能な限り無料ないし低額であるべきでしょう。 以上のような趣旨のもとに、○○園に子どもを通わせている保護者一同は、以下のような内容での要望(請願)を行うことになりました。 要望(請願)内容 1、 障害者自立支援法において生じる施設利用料を、保護者の所得に応じて軽減すべく、現在の措置制度のもとでの負担金と同等の額になるように、補助してください。 2、 給食費については、これまでと同額になるよう補助してください。 3、障害者自立支援法の児童に関する条項は、児童福祉法の趣旨に則って、見直しが行われるように、国に意見書を提出してください。 ■児童デイサービスの「経過措置」要件で一歩前進 障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連)からのニュースの一部をお知らせします。 厚労省は児童デイサービスの見直し「問題」で、部分的な改善を行なう模様です。つまり、「経過措置」の要件として「就学前児童を3割以上受け入れること」としていた部分を削除するというものです。こうした部分的な改善であっても、これまでの運動の成果だと言えるでしょう。ただし、新しい児童デイサービスについては、「就学前児童を7割以上受け入れること」という要件は変わっていません。また、「経過措置」の報酬単価が支援費と比べて引き下がる問題もそのままです。引き続き、運動を高める必要があると思います。 緊急要望書の署名については、2万人を突破し、2万6000人となりました。大分県の児童デイサービス連絡会では、5300人以上の署名を集められた上に、独自の要望書を厚労省に提出されたようです。愛知・北海道・宮崎・神奈川・山梨・群馬・岩手からもかなり署名数が厚労省に送られています。そのほかにも20近い県の関係者から厚労省に署名が送られています。(事務局 村岡真治) ■『障害者自立支援法の基本と活用』!わかりやすいと大好評 峰島厚(全障研)・白沢仁(障全協)・多田薫(きょうされん) 編著 A5判 224頁 ■児童デイサービスの「基準・報酬」と「見直し」 全通研緊急学習会の報告 2006年3月25日、全国発達支援通園事業連絡協議会が開催した緊急学習会「障害者自立支援法と児童デイサービス」に参加しました。会合では、さか本英俊厚生労働省障害保健福祉課課長補佐が、3月1日障害保健福祉関係主管課長会議で示された「基準・報酬」に関する資料を基本に、さらに詳しく説明しました。その後、児童デイサービスのかかわる内容について参加者との質疑応答がありました。 ●自立支援法全体を貫く「基準・報酬」の基本的考え方 児童デイサービスに限定した話ではありませんが、障害程度区分や効果測定と報酬との連動など、自立支援法の基本原則が強調されました。たとえば、つぎのようなことです。 ・報酬の基本は、利用者数を伸ばすことにあるので、そのために単価は下がる。 ・自立支援法の障害福祉サービスを受けるためには障害程度区分を受けることが必須。区分を必要としないサービスは国以外の市町村のサービスで提供。 ・基準上、必置規制を緩和しているが、これは施設整備がなくても事業はできるという考え方に基づいている。「箱」という概念を捨てる必要がある。 ・障害程度区分によって受けるサービスが異なる。また報酬も異なる。 ・「国庫負担基準額」は国と地方で対応する負担の基準であって利用者の上限ではない。 ・全体として「施設を出て地域生活に移行」することを前提にした報酬であるから、区分によっては施設を出なければならないこともある。 ・施設・事業体系の見直しについては、10月から5年かけて移行する大人の施設の動向をみながら検討する。(現行の)障害児施設も日割りになれば児童デイサービスと変わらない。大人の「日中活動」の6事業のようなものを頭において検討することになる。 ・「自立訓練事業」は期間を区切って評価をする。18か月を超えると報酬が減額される(施設側に能力がないとみなす) ・定員の考え方の変更。日割りになることによって減収にならないよう、1日120%までの利用を認める(10名定員であっても12人の日があってよい。12名分の報酬となる) ●「児童デイサービスの見直しについて」(添付の3資料参照) (1)の資料 児童デイサービスを支援費制度前の目的である、就学前の地域療育に重点化する。これまで「デイサービス」という言葉で混乱を来した感がある。 「療育を必要とする児童」と「放課後・レスパイト」に分ける、前者を介護給付(個別給付)に位置づけた。必要性のあるところに重点的にお金をつかう。個別給付(お金をつかうからには)は判定を受けることが原則。後者は地域生活支援事業のタイムケア事業に移行する。 (2)の資料 3年後の障害児施設の見直しを見通して、実質15:4(15:3+サービス管理責任者)の職員配置にした。ただし、現在の通所(通園)施設より内容を濃くするわけにはいかない。 (3)の資料 サービス管理責任者は地域療育というそもそもの児童デイサービスの発想から、これまでよりは厳しい基準を設定した。あくまでも就学前の療育を実施することが本旨であるので、経過措置であっても3割以上の就学前児利用の規定を設ける予定。 ●質疑応答から 後半は参加者との質疑応答が行われました。特に集中したのはつぎのようなことです。 │☆「個別療育」「1日一定時間以上の個別指導を実施」とはどんな内容か。集団での │指導との関わりはどうなるのか。 このことは最終的には「大きな宿題」となりました。このあたり文言は、検討の過程で当初時間を設定するということも考えられていたのですが、全通連をはじめとする現場の声で現在のような表記になっているもので、今後も「療育」の概念とかかわって十分検討する用意があるとのことでした。このことについてたとえば東北地方の通園事業連絡会では、朝の会の「呼名」でじっくりかかわることなども個別の指導、集団指導の中での個別、個への対応と考えている、という発言がありました。 │☆「新しい児童デイサービスと経過措置」の区分による困難。ゼロ歳から中学生まで │軽度発達障害児を中心にしている児童デイサービス。保健所や児相からの紹介という │規定や乳幼児が7割という規定が達成できない可能性が高いので心配。 軽度発達障害児への対応として、発達障害者支援法や特別支援教育体制等、関連する法律との関係を検討すべきだと考えているけれども、そうした相互の関連が整理できていない現実はあるとの認識が示されました。 │☆「小規模」の単価が高いことは今度は利用料にはね返る。保護者の生活も困難なな │か、利用を控える傾向が出ないか。 小規模(10人以下)の児童デイサービスは支援費制度出発時、事業の安定的運営のために3区分のなかでも一番高い単価(5340円)が設定されましたが、利用料は応能負担で上限設定があったために、利用回数が増えても保護者の負担は増えないしくみでした。今回754単位(7540円)となり、月10日通園すると1割の7540円の利用料となります。小さな施設を守るしくみが保護者を苦しめることになっていることを理解してほしいという訴えが相次ぎました。 この点についてさか本氏は「一人にかかわる時間が深いと考えてほしい。人件費から算出するという考え方」と原則を説明しつつも、「『不公平』といわれると、そう思う」という考えも示しました。この点では最後のまとめの中で、さか本氏は、利用者負担はこれからも検討しなくてはならないとしたうえで、たとえば特別児童扶養手当の範囲を検討するなども視野に入れる必要があるかもしれないと述べました。 │☆児童デイサービスは、その日の来園児への療育だけではなく、多様な地域療育の機 │能を担っている。たとえば、休んでいるからといってそのままではなく訪問もするし、 │乳幼児健診や就学時健診に付き添うこともある。保育所に並行通園している子どもの │巡回をすることもある。この点で単価の考え方がなじまない。 前半の報酬の基本的考え方で強調されたように、日額払い制は、「園に来ていなければ報酬は出ない」ということが原則であるとされました。しかし一度園に来て同行するのであればOKとのこと。(注:この点では、大人の分野でグループホーム(ケアホーム)の帰省にかかわって、泊まり前後のホームでのケアも報酬とカウントできるとされていますので、これと同じ考え方ではないかと思いました―中村) │☆「障害児の支給決定」の5領域10項目の調査は突然出されたとの思いがある。児 │童に適用できる障害程度区分は今のところ開発されていないというのが見解ではなか │ったのか。その内容も身体障害の介護に重点があり、児童デイサービスを利用してい │るような子どもにはふさわしくない。 調査は、今後、区分を定めるにあたっての資料とするために行うもので児童デイサービスの利用の前提には使用しない、ということが確認されました。そうであれば、支給決定の責任をもつ市町村にこのことを徹底してほしいという発言がつづきました。 │☆「サービス管理責任者」の実務経験の業種や経験年数もかなり厳しく書かれている │ために、はたしていま仕事をしている人が認められるのか不安である。支援費制度が │始まって立ち上げた児童デイサービスは3年しかたっていない、第2種社会福祉事業 │である児童デイサービスの経験年数が認められるのか、保育所の障害児保育は含まれ │るかなど。 これについてまず「保育所での障害児保育の経験は『等』に含まれる」とのこと。そのほかは確認して全通連に返事があるそうです。 │☆ 障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連)から、「見直し」に │よって、単価の切り下げ、乳幼児3割規定によって、放課後保障の児童デイサービス │の運営がきわめて困難になると、「見直し」を見直してほしいと発言がありました。 放課後連の村岡さんは、「放課後対策=預かり」ではない、早期療育とは区別する必要はあるが、思春期にかけての学齢期の子どもの発達支援は極めて重要であるので、学齢児の発達支援も児童デイサービスとしてしっかり位置付けてほしい、と述べました。 「放課後・レスパイト」は11〜20人の標準で283単位。これまでの支援費に比較して880円の減です。しかも、厚労省がいうタイムケア事業は「地域生活支援事業」の中の必須の事業ではありませんので、10月以降、市町村の任意となり、「移行」は容易ではありません。 さか本氏は「就学児(の福祉)は誰(どの部署)が責任をもつのか、不明確であるいえる。学校教育の中でも家庭支援を言っているし発達障害者支援法などもあるが、責任という点では不十分」との認識を示しました。 (文責・中村尚子) ■児童デイサービスの「見直し」深刻 以下、全国放課後連事務局 村岡さんからの情報をお知らせします。 ■全国放課後連は、障害児タイムケア事業および児童デイサービスの問題で厚労省に要望書を提出し、3月20日1時間半懇談を行ないました。 ★懇談会の報告+要望書 ■全国発達支援通園事業連絡協議会(全通連)が主催する、児童デイサービスについての緊急学習会が3月25日に東京で開かれました。講師は、厚労省障害福祉課のさか本英俊課長補佐。 その資料の中の、★児童デイサービスの見直しに関係する部分(3ページ)(訂正版)です。 資料の1、2ページはすでに発表されているものですが、3ページ目は、初めて知り得たものです。 その内容は、児童デイサービスの実利用人数の7割以上は乳幼児でなければならないというものです(報酬単価が低く設定された3年間の経過措置のほうでも、乳幼児は3割以上いなければなりません)。これでは、対象児童がほとんど学齢児のところは、児童デイサービスとして認められなくなり、運営が成り立たなくなってしまいます。 質疑応答で、「放課後対策=預かり」ではない。早期療育とは区別する必要はあるが、思春期にかけての学齢期の子どもの発達支援は極めて重要。学齢児の発達支援も児童デイサービスとしてしっかり位置付けてほしい。の発言がありました。 課長補佐は、今後検討すべき「宿題」や「要望」を整理し、小学生から高校生までを児童デイサービスの事業体系に明確に位置付けるかどうかという問題があることについても触れました。 全国放課後連は、情報を全国の関係者に伝えて意見を把握し、厚労省に要望などを行なっていくことにしました。 この資料をもとに、それぞれの地域や事業体でどんな問題が起こりうるかを具体的に検討し、ご意見などを寄ていただくようよびかけています。 ■ブックレット『障害者自立支援法と子どもの療育 増補版』完成! 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会 茂木俊彦・近藤直子・白石正久・中村尚子・池添素 ■これまでどおり「通園バス」が利用できます! 2月28日、通園施設問題で厚生労働省と懇談 大阪、山梨、愛知、埼玉、和歌山、鹿児島、神奈川、京都から19人が出席。厚生労働省からは、障害児施設の係の大野さん、補装具の係の國松さんが対応してくださいました。 はじめに各地からのみなさんの思いのいっぱい詰まった署名20,000筆を提出しました。「すでに直接届いています」と大野さん。署名は合計で30,000筆を超えました。以下、質問と要望に関する回答をお知らせします。 「要望」(障害者自立支援法施行に伴う障害児関連施策についての質問及び要望)は別紙を参照(PDF)してください。 T.質問事項 @肢体不自由児通園施設の利用料中、福祉部分利用者負担額の「低所得」が5,900円で「一般」より1,000円高いのはどうしてか。 A→「低所得」の人も人件費分の1割は負担することとし「福祉部分」に加算した。 ○給食費実費650円=420円(人件費)+230円(食材料費) 「一般」は全額自己負担で、食費(実費)は、650円×22日=14,300円 「低所得」は人件費分を公費で負担するが自己負担分は成人と同様で、230円(食材料費)×22日≒5100円 しかし、「低所得」の人も公費で負担した人件費分の1割は負担することとし「福祉部分」に加算。 420円×22日×0.1≒1,000円 以上から4,900円(平均事業費4.9万円の一割)+1,000円(人件費分の1割該当の加算)=5,900円 A知的障害、難聴幼児の通園施設の利用料例示 A→表で例示する予定はない。日割りの報酬単価が明らかになるのでその1割と利用回数で算出することになる。 →予定されている報酬単価:知的障害児通園施設の例から 報酬単価 634点→22日通園 139,480円 A 幼児加算 253点→22日通園 55,660円 B 利用料一般の場合 (A+B)×0.1≒19,500円 (給食費実費は肢体不自由児通園施設の例示と同じ) B10月からの制度変更、利用契約制度についての説明資料はいつ? A→4月施行分の準備が込んでいるので、10月施行の部分の説明資料はまだ示せない。概略は次のとおり。保護者に対して4月〜9月は制度変更はない。措置費は人事院勧告どおり減額。10月以降は日割り(日額)の単価となる。また調理費、栄養士などは別立て加算方式になる。 C施設の報酬単価等の詳細は A→3月1日の課長会議で示される。 U.要望事項 @若年層に着目した利用料・実費負担の上限設定・減免措置の新設 A→家計調査などによって明らかになっている、子育てにかかる標準的な経費を勘案したので、公平な負担という認識をもっている。 A福祉サービス利用と補装具や育成医療などが同月に発生した場合の軽減措置を A→育成医療も補装具もそれぞれに上限額を設定した。補装具は372,000円以上かかっても37,200円の支払いでよいので、同月に複数の補装具を製作することも可能。 B通園バスの費用 これまでどおり利用できるよう費用に加える。実費負担とはしない。 C給食の提供 通園施設の給食は提供できるが、実費負担は提案どおり。 D現在、通園施設が行っている療育が維持発展できる報酬システムを ア.日払い単価は措置費を通園日数22日で割り、定員の充足率83%であっても最終的には現行の水準が保持できるように単価案を決定した。毎日通園がなかなかむずかしいことは理解しているので、定員をかなり割っている場合には成人施設と同様の補填を考えている。 イ.家族支援・相談機能の評価 こうした機能については理解しているのでつづけていただきたい。しかし、登園していないのにお金を出すということは成り立たない(報酬への反映は困難)。通園施設の機能として検討したい。 ウ.保育所との並行通園 保育所へ行った日は「登園していない」ので報酬は支払われない。こうした現実は認識しているので、定員枠をふくらませて(定員の弾力化)、日常的に現状を確保できる制度を予定している。 エ.家庭訪問や訪問指導 家族支援と同様、登園していない場合は報酬の対象とならない。 オ.被虐待児への対応 利用定員の一部を被虐待児の枠として設けることは考えていない。 参加者の発言から ○本会のホームページを見て、署名を集め、車いすのお子さんを連れて参加してくださったお母さん二人。補装具のことを訴えました。 ・補装具は障害がなかったら必要ない出費。補装具といっても腰、膝、長下肢、つえ、靴とたくさん必要作ってみないと合うかどうかわからないし、成長期になって背が伸びると半年で作り直さなければならない。「まとめて買えばお得」(一月にまとめて作ればいくらかかっても37200円の支払いで済む)などというようなことはできない。また「子ども」として特別手厚い支援を。 →國松さんは「子どもの補装具は特別」という理解を示しつつも、「このままでは平成23年には国の財政が破綻する」ので「公平な負担を」とのべ、児童福祉法から自立支援法になったことでこれまでの指定育成医療機関だけでなく更生相談所も利用できるようになって便利になるのではないかと「改善」点を指摘しました。 ○名古屋からはお母さんがみんなの声を集めて参加。親が障害を受け入れるには、支援と時間が必要なことを切々と訴えました。 ・子どもの育ちについてちょっと不安だったときに通園施設をすすめられたが、積極的に行ったわけではない。そんななかで、少しずつ子どもの発達が見えるようになってきた。自分からすすんでいくわけではないので、契約や利用者負担があると足が遠のく。 ・自閉症で偏食がたいへんきつかったが、通園施設での食事で本当に変わった。コンビニ弁当や家で食べる食事とはまったく違う。 ・利用料を含めて費用が4〜5倍になる。乳幼児期の療育が成長を左右すると思うからがんばれるが、障害があるために負担が増すというのはおかしい。 ○通園施設の職員のみなさん ・保護者の思いと仕事として説明しなければならないことの矛盾に悩んでいる。保護者の中には、通園施設が子どもにとっていいことはわかっているが、保育所に変わろうと思っている、離婚して生活保護世帯になることを真剣に考えている、という人もいる。できるなら、厚労省の方が直接園に来て保護者に説明してほしい。 ・通園しない日は施設にお金が出ないと言うが、子どもが来ないことこそ危険信号だ。家庭訪問したところ、お母さんがぼろぼろになっていたこともある。家族支援、相談機能は欠かせない。「直接処遇」だけに報酬を付けるということでは施設の役割は果たせない。 ・生活支援センターのコーディネーターから見ると、乳幼児期はもっとも大切な時期。ここで放置されると障害が重くなったり、問題が拡大する。この時期は義務教育と同様、手厚くすべきだ。 ○給食の大切さは、ほんとうに皆さんが訴えました。 もっともっとお伝えしたいのですが、詳しくは「持ち込ませない会」のニュースに掲載します。 今回の懇談を通じて、障害のある子どもを育てるには特別なケアが必要であること、施設は子どもが来るのを待っているだけの機関ではないことを訴えることができました。給食費用の軽減なども、費用の問題としてだけではなく、療育の問題として具体的に強く訴えることができました。 今後も、児童デイサービスの「支給決定」問題などとからめて、よりいっそう、総合的な乳幼児施策の改善に向けた取り組みをつづけていきましょう。 (中村尚子) ■ひどい! これでは「児童デイ」からの追い出し!? 2月22日、厚生労働省で「障害者自立支援法に関するヒアリング」が行われました。ヒアリングには、20を超える障害団体から約40人の出席がありました。その際示された、資料によれば、これまで「障害程度区分」は設けないとしてきましたが、 居宅支援に関して今年10月より、5領域10項目の調査を行い、支給の要否、支給量を決定するとされています。 ○障害児の支給決定について(資料6) ■自立支援法の施行にあたって 障害児施策について要望します(要望署名) 障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会(代表 茂木俊彦)は、 つぎの要望署名運動にとりくんでいます。 <送り先> 〒100−8916 千代田区霞が関1−2−2 厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 ●要望署名用紙(PDFファイル) 要望事項 ○障害のある乳幼児、児童の福祉サービス利用にあたって、現行の費用を上回らないよう、保護者にたいする費用負担の利用上限額を設定してください ○福祉サービス、施設、育成医療、補装具を同時に複数利用した場合の費用負担の軽減措置を設定してください ○通園バスの費用負担が生じないよう、現行児童デイサービス事業において支給される 「送迎」費用を継続し、障害児通園施設の送迎についても給付してください。 ○児童デイサービス事業、障害児通園施設の給食費の費用負担をなくしてください ○障害児の福祉が、児童福祉法の本旨にもとづいて実施されるよう、 障害者自立支援法を見直してください ■12月26日 課長会議のQ&A 平成17年12月26日障害保健福祉関係主管課長会議資料より「11月11日全国会議及びヘルプデスクへ出された質問事項(制度改正関係)について」の中から「障害児施設サービス」の項目を抜粋 @障害児施設を利用している加齢児(18歳以上)が継続して施設を利用する場合、 ・障害児と同様、障害程度区分の認定は不要とする扱いでよいか。 ・また、利用契約を行うのは本人か。 →@お見込のとおり。 A障害児施設について、これまでの措置決定は施設の設置場所等を勘案して、施設を決めて措置を行ってきたが、改正後の支給決定でも利用する施設を都道府県知事が決定できるか。例えば、児童相談所長が利用施設についても意見の中に含めて回答し、その意見に基づき決定できないか。(自由に契約できるようになると、かなりの混乱が予想される。) →A基本的に利用契約制度の導入により、どの施設に入所するかは障害児の保護者の選択によるものである。なお、児童福祉法第24条の3第2項において、都道府県知事は、児童相談所の意見も参考としつつ、障害児施設給付費の支給決定する際に、利用者のニーズを踏まえ、適切なサービス利用の調整をすることも想定される。 B障害児施設において、契約制度の対象とする児童の判断基準はどうなるのか。 →B原則として、契約制度に移行することとし、虐待等やむを得ないと児童相談所が判断した場合のみ措置を行う。 C公設民営の障害児施設の事業者指定に係る申請者については、現行支援費制度と同様の取扱いとなるのか。 →C利用者と契約を結び、利用料や報酬の収入を得る者を申請者とするなど、支援費制度と同様の扱いを考えている。 なお、11月11日に回答した「指定管理者制度導入施設」における障害児施設の取扱いについても、支援費制度と同様の取扱いに変更する方向である。 ■「障害児タイムケア事業」の来年度の取り扱い方 明らかに 全国放課後連からの情報です。連絡会は昨年12月8日に要望書を提出し、「障害児タイムケア事業」は障害者自立支援法の地域生活支援事業に組み込むのではなく、今年度と同様に直接補助を継続するように求めていました。しかし、以下のように今年10月以降は障害者自立支援法の地域生活支援事業に組み込まれる方向です。 ●2006年4月から9月まで 他の関連事業と一緒になった統合補助金として「地域生活支援推進事業費」に組み込まれる。 この補助金全体の予算額は45億円。 ●2006年10月から 障害者自立支援法の「地域生活支援事業」に組み込まれ、その中のメニュー事業の1つとなる。 2006年10月から2007年3月までの地域生活支援事業全体の予算額は200億円。 したがって、「障害児タイムケア事業」だけの予算というものはありません。いよいよ、各地域の運動とつながった全国的な運動が重要になってきたと感じます。 障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連) 事務局 村岡 ■児童福祉施設(通所)の利用者負担額 一般は1.3倍! 低所得者は14倍!! ○障害保健福祉関係主管課長会議資料 2005.12.26 より ○児童福祉施設(医療型)20歳未満の利用者負担額(通所) PDFファイル 28kb ■12月5日、障全協政府交渉に参加して 4月を前に、利用者への十分な説明ができるのでしょうか 厚生労働省の都合上、「自立支援医療(更生医療・育成医療)」、「補装具」の要望項目と合同での交渉となりました。約30人が参加。岩手、神奈川、愛知、京都、大阪、広島、宮崎、鹿児島などから、療育関係の保護者、職員の方々が参加、発言しました。 以下、子どもの療育を中心に報告しますが、ほとんど「詳細未定。検討中」であり、「白紙回答」に等しい状況でした。中身のない「外箱」だけの法律を押しつけた政府・与党に対して、怒りをあらたにしました。特に重要なことは太字にしました。 1)居宅支援関係 【回答】 ・児童デイサービスの報酬単価は現在検討中。報酬単価の1割が利用料ということになるので、現在のところ利用料のモデルも出せない。 →単価の提示はいつ?=「来年早々には提示する」。 現行の3区分はどうなる?=「未定」 ・給食はこれまで給付していないので新たな給付はできない。送迎は報酬単価と一緒に後日示す。 ・児童デイサービスは「療育指導」として行われているところと、「預かり」として行われているところがある。障害児タイムケア事業との調整もはかりつつ、「療育」と「預かり」の区分けができないか、現在検討しているところ。H18年10月からの実施を考えている。 【参加者から】 ・鹿児島県の療育を支えているのはすべて児童デイサービス。早期療育の役割も担っており「預かり」というものではない。国の支援費で応能負担の現在も、無料で療育が受けられるようにしている。障害児をかかえての離島の生活は厳しく、負担増によって療育が受けられなくなる。保育園や幼稚園に通いながら療育を受ける子どもの場合は二重の負担になる。 ・都会の感覚でものを決めないでほしい。宮崎の山間部から児童デイサービスの場まで毎日車で100キロ走っている。ガソリン代だけで月5万円。いまでもさまざまな家族の負担があることを理解してほしい。 ・支援費制度でも自治体で負担して無料か国基準よりも低い費用に抑えていることをどう考えるのか。本来、自治体間格差があってはならない。国として責任をもってほしい。家庭の所得実態を調べて決めたことなのか。 →(厚労省)所得にもとづく試算はしていない 2)通園施設関係 【回答】 ・費用負担モデルは示せるものはない→いつ?=「来年度予算との関係。来年1〜2月」 ・利用料については家計負担を考え、補足給付を支給することとしたい。成人とは異なる軽減策について考慮しているつもり。 ・通園施設の機能再編は3年後の検討となっているので、今のところ示せるものはない。 ・出来高払いについては、通園施設だけ違う制度にすることはできない。利用されている方が通わせることができるのか不安をもっていることは理解できるが、安定した運営ができるようにということで、経営が成り立たないような報酬は考えていない(具体的な話はなし) ・地域療育等支援事業はH15年度536か所であったが、一般財源化後もH16年578か所にのびた。事業費は10%くらいカットされていると思う。療育に関して、都道府県が行わなければならない。また、一般に関しては、市町村が行わなければならない。ということになっている。2枚看板でやることになる。通園施設の受託状況は資料がない。 【参加者から】 ・通園施設に毎日通うことで子どもが発達してきた事実を保護者とともに確かめ合っている。給食で偏食がなくなるなど、子どもの給食は指導の一環。実費はなじまない。 ・保護者から利用契約のことを聞かれても答えることができない。10月からといっても子どもは4月入園。すでに入園相談も始まっている。 →(厚労省)自立支援法に移行するにあたって、契約制度は利用者のニーズに合ったよい制度である。 ・出来高払いでは、施設運営の安定は図れない。乳幼児の場合、病気で休むことが多いだけでなく、他の訓練機関に行ったり、親の病気や出産、兄弟の都合などでも休むことがある。そのことが施設の収入に影響することになる。「いかに儲けるか」で汲々とした施設ではよい療育はできない。 →(厚労省)ここにおられるみなさんの施設のように、毎日、ほぼ定員通り来ておられる施設は(制度が変わっても)問題ないようにする。全国的にみるとそういう施設ばかりではない。定員を大きく割っている施設のように、実際に子どもが来ていないのに全額報酬を出すわけにはいかない。 ・当面、現行の措置費の1割を利用料として考えておられるようだが、若い保護者は「低所得」にはならず「一般」で軽減措置の対象にならない家庭が多い。共働きもできず、しかも障害のない子どもの子育てにない出費がある、保育所の保育料は応能負担。費用負担については具体的に世帯の範囲等を見直してほしい。(この点を強く要望) 3)障害程度区分(担当不在のため「Q&A」など、これまでの文書が読み上げられました) 「障害児の障害程度区分については、発達途上にあり障害の状態が刻々と変化することや、乳幼児については通常必要となる育児上のケアとの区別が必要なことか等検討課題が多いことから、今回は設けないこととしている。3年後の障害児施策の見直しに向け開発することは重要な課題と考えている。 居宅サービスについては、これまでと同様のサービスが支給される。」 4)補装具関係 【回答】 ・補装具定率負担。負担上限は財務省と調整中。おおむね障害福祉サービスと同様のものを考えている。 ・価格のルールづくり等について専門委員会で検討中。競争原理によって価格を抑えるようにしたい。(丁寧な仕事をしてきた小さな工房などがつぶれてしまうなぁ、というつぶやきが漏れていました) ・基本的には償還払い。代理受領にすると、事業者の指定することになり新規参入が減る。その結果、利用者の選択の幅がせまくなる。利用負担が過剰となる場合は代理受領となるよう検討中。 ・給付品目の改廃についてルールづくりを検討中。 【参加者から】 ・補装具の1割負担というのは「歩くのにお金がかかる」ということ。おかしいと思う。 →(厚労省)今でも応能で負担。皆さんで負担を分かち合って支える制度にしたので理解してほしい。 ・小さい子どもの補装具は頻繁に作りかえるので、そのたびに負担が生じる。 →(厚労省)全部作りかえるのではなく、「モジュラー化」して、部分の交換で対応できるよう報酬も見直していく予定。また子どもの成長を見越して製作するように。半年ごとに作り直すというようなことは時代に合わない。 →(参加者)そういう指導があるのか。子どもの下肢装具が大きめに作られてしまったので、スポンジなどを入れて着けているがまったく歩きづらくて困っている。 ・軽度難聴だと手帳がとれないので、自費で補聴器を購入。ろう学校で教育を受ける必要があるのに矛盾している。 →(厚労省)「児童の場合、手帳を要件とはしない」という現在の見解は変更しない。(つまり、厚労省としては「認めている」ということか?) このほか、人工内耳の修理・更新時の保険適用について、ろう学校のお母さんから要望がありました。 また、最後に、福祉サービス、補装具、医療それぞれの「月額負担上限」だけでなく、二つ以上にまたがって子どもに利用が生じた場合の、負担の軽減措置を検討してほしいことを訴えました。(中村尚子・記) ■厚労省への要望書 2005年12月5日 厚生労働大臣 川崎二郎 殿 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(略称:障全協) 会長 吉本哲夫 〒169-0072 東京都新宿区大久保1-1-2 富士一ビル4階 日本障害者センター内 TEL 03-3207-5937 FAX 03-3207-5938 障害者自立支援法の成立に伴う障害児施策に関する要望書 日頃より、障害者施策の推進にご努力いただいていることに対し、厚くお礼申し上げます。 さて、先の特別国会において「障害者自立支援法案」が可決・成立し、2006年4月より福祉・医療サービスが大きく変更されようとしています。 とりわけ、児童福祉法の中の障害児に関する部分を自立支援法下に移行し、「大人と同じサービス」にするという制度変更は、発達期、子ども期にある「児童の福祉」の特性とさまざまな点で矛盾せざるを得ません。また、同法が児童と保護者に与える影響は、「児童が心身ともに健やかに生まれ育成される」ことを目的とする児童福祉法の趣旨にも反すると考えます。法案審議の過程において、児童に関係する系統的な資料はまったくといっていいほど示されず、4月の施行に向けて保護者も事業者も不安をいだいています。 つきましては、次の事項を早急に検討いただき、施策の改善・拡充を緊急に要望致します。 要 望 事 項 1.居宅支援 児童デイサービス事業は、保健福祉圏域、市町村等における障害児療育システムの実態によってさまざまな機能をもっています。通園施設の未整備を背景として身近なところに療育の場のない地域においては、通園施設に匹敵する機能を発揮しています。現在の利用料は障害児を育てる家庭の負担に鑑み、一般のデイサービスとは異なる応能負担のしくみとなっており、療育へのアクセスを確保する目的で利用料無料としている自治体もあります。また支援費単価は利用児数よって3ランクに区分されています。 ・事業単価、利用料のモデルを示してください。 ・給食、送迎に対する給付を検討してください。 2.障害児施設 地域の障害乳幼児と障害が疑われる子どもに、適切な早期療育の場を提供する通園施設には、本来、利用契約と利用料の支払いはなじみません。障害受容期にある保護者に対する経済的負担と心理的負担はできるだけ軽くしなければならないからです。障害児施設利用児と保護者は、「いったいどうなるのか」という不安がいっぱいです。 10月6日の参議院厚生労働委員会で、軽減対象となるのは13%にすぎないことが明らかにされています。保護者のほとんどが「一般世帯」になるからです。若年でかつ共働きが難しいという家計状況を考え合わせると、利用料、食費などの実費、医療費の増大は多大な負担となります。 ・すべての障害児施設利用について、費用負担モデルを示してください。 ・利用料をふくむ費用増大の家計全体への影響を調査してください。 ・成人とは異なる、利用料、「実費」軽減策を検討してください。 通園施設は、来年10月から利用契約制度に移行し、5年後には大人と同じように機能による再編が予定されています。契約制度になり1日ごとの現員による利用料収入に移行すると、乳幼児期の体調の不安定さや通院などによる欠席は、すべて施設運営費の減額につながります。さらに通園施設は「再編」で第二種事業化が予定されており、株式会社などの民間資本の参入が可能になります。通園施設での子どもへの指導や親、家族への援助は、利潤追求になじむものではありません。公的な保障が確保されるような制度設計をすべきです。 ・現時点での障害児施設の機能再編案を明らかにしてください。 ・通園施設への現員出来高払いを中止し、安定した運営のできる制度にしてください。 1996年度に開始された「障害児(者)地域療育等支援事業」は、通園施設が受託することによって圏域内の保育所、幼稚園、児童デイサービス事業、学童保育などへの巡回指導、外来療育、相談などに積極的な役割を果たしています。しかし、2003年度からの一般財源化によって、運営費補助金などにおいて自治体間の格差が拡大し、それまでの事業を維持できないところも生じています。 ・本事業の実施状況を自治体ごとに明らかにしてください。またその障害児通園施設への委託状況を自治体ごとに明らかにしてください。 ・都道府県などに、本事業の意義と重要性を助言・指導し、事業内容の維持と発展に努めてください。 3.医療、補装具 育成医療は、放置しておくと障害を残す疾病に対する医療という性格をもっていますから、「障害者」であることが前提の制度とはちがう児童福祉法に位置づいているからこそ意義あるものです。また、発達期にある子どもの補装具は大人以上に作りかえなければならず、施設や学校と家庭の2カ所に車いすや姿勢保持具をつくる必要もあります。成長期にある子どもの場合、障害に対応する施策の負担を増やしてはなりません。 ・車いす、補聴器など補装具の費用負担の実態と法による影響を調査し示してください。 ・育成医療と同水準の費用負担ですむような軽減策を検討してください。 4.障害程度区分 障害の判断がつかない場合、あるいはなかなか受け入れられない場合などは、この時期の「判定」自体が適切でありません。児童(とりわけ乳幼児期)に対するサービス利用のシステムを別途検討する必要があります。児童への障害程度区分制度の導入にあたっての検討の経過を公表してください。 ■2005年の運動のページ(とても重要な記録です) |
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