声明=ウクライナにおける武力行使と戦争に反対し、障害のある人と家族のいのちと安全を守ろう
声明
ウクライナにおける武力行使と戦争に反対し、障害のある人と家族のいのちと安全を守ろう
2022年3月10日
全国障害者問題研究会常任全国委員会
このたびのロシア政府によるウクライナへの軍事侵攻は、国連憲章に反する侵略行為であり、武力により他国の主権を侵害すること、戦争によって人々の生活を破壊し、子どもを含めた多くのいのちを犠牲にすることは、いかなる理由によっても正当化できません。さらにロシア軍は原発施設を占拠し、プーチン大統領は、核兵器の先制使用も示唆しています。核兵器の使用は、人類の生存を脅かし、地球環境を破滅に向かわせる、決して歩んではならない最悪の道です。わたしたちは、全世界の人びとのいのちとくらしを危機に追いやる核戦争へとつながりかねない軍事侵攻の即時中止を強く求めます。
一方、日本政府は、ウクライナへの自衛隊の「防衛装備品」の供与を決定しましたが、これは紛争当事国への「武器輸出」に相当し、容認できません。さらに、この機に乗じて日米が共同で管理・運用する「核共有」や憲法9条改正の議論を押し進めようとする動きすら出ています。唯一の戦争被爆国であり、戦争放棄を掲げる憲法9条をもつ日本が、ウクライナにおける武力行使や戦争の拡大に加担することは決して許されません。
戦禍を逃れて周辺国に避難するウクライナの人びとへの人道的支援がはじまっています。ウクライナ国内では、食料品の不足をはじめ、深刻なライフラインの危機に陥っており、障害のある人びとと家族が生き延びるうえでいっそうの困難が予想されます。ウクライナの障害のある人びとと家族が、障害者権利条約第11条(危険のある状況及び人道上の緊急事態)に則して保護されるとともに、食料と住居、移動と情報手段の確保、医療とリハビリテーションの提供などが、国際機関や諸国の連帯によってすみやかになされるよう求めます。
第二次世界大戦後の国際社会は、戦争の歴史を深く反省し、平和と民主主義の実現にむけて共同の歩みをすすめてきました。そのなかで、戦争を含む、あらゆるかたちの暴力が障害を発生させる最大の要因であること、戦争の悲劇を繰り返すことなく、平和な社会が実現されてこそ、障害のある人びとの人権が保障されることを歴史の教訓として、すべての人の権利保障の道を一歩一歩切り拓きながら、障害者権利条約を手にしました。
全国障害者問題研究会は、戦争がもたらす惨禍への反省のうえに「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有すること」を謳った日本国憲法の理念を、障害のある人びとの権利において実現することをめざして研究運動をすすめてきました。わたしたちは、生命・生存・発達の権利を保障しようとする発達保障の理念に立ち、ウクライナにおける武力行使と戦争に強く反対します。
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