白石正久・白石恵理子編『新版 教育と保育のための発達診断 上 発達診断の基礎理論』刊行しました
『新版 教育と保育のための発達診断 上
発達診断の基礎理論』
定価2750円 ISBN978-4-88134-036-3 2022年8月31日
もくじ
はじめに
執筆者一覧
Ⅰ 子ども・障害のある人たちの権利と発達保障
子ども・障害のある人たちの権利と発達保障/玉村公二彦(京都女子大学)
はじめに
1 「子どもの世紀」における精神発達の発見と歪曲―― 知能・能力の測定による選別から発達診断へ
(1)ビネーの知能検査の開発
(2)測定運動とテスト法の緻密化――能力の「量」への還元
(3)測定運動への批判と発達診断・アセスメントの萌芽
2 発達の権利と発達保障の提起――「この子らを世の光に」する取り組みの中で
(1)人権認識の発展と国際人権規約――国連における自由権・社会権を中心とした人権条約の成立
(2)「発達の権利」と「発達保障」の胎動――障害の重い子どもたちへの取り組みから
(3)「学習権宣言」と「発達への権利宣言」
3 子ども・障害のある人の権利の総合保障
(1)「子どもの権利条約」と意見表明権
(2)「障害者権利条約」
4 インクルーシブな社会の実現と参加主体の形成(インクルーシブ教育の権利)
5 子ども・障害のある人の権利保障のための発達診断を
Ⅱ 発達理論と教育・保育の実践
発達理論と教育・保育の実践/松島明日香(滋賀大学)
1 発達の基本的理解
(1)子どもの手応えを想像する
(2)自己変革の「ねがい」に導かれる
2 子ども理解のための発達理論
(1)発達理論を学ぶ意味
(2)「可逆操作の高次化における階層―段階理論」とは
(3)発達の質的転換期
(4)「新しい発達の力」の誕生
(5)人格形成の発達的基礎
(6)発達における連関
3 発達理論は保育・教育実践にどのように寄与するのか
(1)ヨコへの発達姿勢を変換させる
(2)新しい発達の力と保育・教育実践
(3)「問題行動」を発達要求ととらえて実践のなかで実現をはかる
4 結びにかえて
Ⅲ 発達の質的転換期とはなにか――その発見と実践研究
1章 乳児期の発達段階と発達保障/白石正久
1 障害の重い子どもたちが教えてくれたこと
(1)映画『夜明け前の子どもたち』から
(2)シモちゃんの笑顔
(3)三井くんの「心の窓」
2 乳児期の発達の階層―段階
(1)乳児期前半の3つの発達段階
(2)乳児期後半の3つの発達段階
(3)発達の段階間の移行で芽生える力
3 発達の源泉としての心輝く自然と文化
2章 1歳半の質的転換期と発達保障/白石恵里子
1 「1歳半の節」がどのように認識されてきたか
2 はめ板課題と1次元可逆操作
3 「発達の節」は「発達の危機」
4 障害の早期発見・早期対応において
5 1960年代後半の近江学園での実践から
3章 4歳の発達の質的転換期と発達保障/張 貞京(京都文教短期大学)
1 ある4歳児クラスの話
2 発達研究にみる4歳の質的転換期
(1)近江学園を中心とする発達研究のはじまり
(2)「精神作業過程測定装置」にみる質的転換期
(3)2次元可逆操作を獲得していく難しさ
(4)2次元可逆操作期と生活年齢の効果
3 実践研究にみる4歳の質的転換期
(1)質的転換期をふまえた実践指導の検討
(2)近江学園の指導体制の変遷
(3)指導実践の歴史からみえた4歳の質的転換期と生活の広がり
(4)友だちを見ながら,自分と比べて考える―4歳の質的転換期にいる成人の姿から
4 さまざまな指導実践における諸問題
(1)4歳児の悩みと願い
(2)青年期以降の実践について
4章 7歳の発達の質的転換期と発達保障/川地亜弥子(神戸大学)
1 発達の質的転換期と保育・教育の節目
2 なかまとともに筋道をつくる――生後第3の新しい発達の力の誕生から3次元可逆操作期へ
(1)道順描画やその説明にみられる変化
(2)自分を中に繰り込んで,みんなで達成する
3 自分の視点と他者の視点を調整しようとする――3次元可逆操作期の特徴
4 書き言葉の中に見えてくる子どもの発達と内面世界の深まり
(1)友だちとの世界―やんちゃな遊びと「ひみつ」の共有
(2)信頼できる他者を支えに,自分なりの筋道をつくる
(3)思考や感情「の理解の深まり
5 発達に課題をもつ子への実践からみえてくること
Ⅳ 障害と発達診断
1章 自閉スペクトラム症と発達診断/別府 哲(岐阜大学)
1 自閉スペクトラム症と発達診断
(1)鑑別診断である診断基準(DSM-5)と発達診断
(2)機能連関,発達連関―機能間のズレ
2 1歳半の節と自閉スペクトラム症
(1)定型発達時における1歳半の節
(2)自閉スペクトラム症における1歳半の節
(3)こだわりと破壊行動を頻発した成人の自閉スペクトラム症者
(4)アタッチメント――発達連関の視点より
3 自閉スペクトラム症の発達診断の課題
(1)ユニークな機能連関,発達連関の解明
(2)目の前の子どもの好きな世界を知る
2章 重症児と発達診断/白石正久
はじめに――重症児とは
1 重症児と発達診断
2 乳児期前半の発達段階にある重症児の発達診断
(1)感覚と運動を協応させて外界を志向する発達の連関過程
(2)「生後第1の新しい発達の力」の誕生と発達の連関過程
3 重度の機能障害の背後に言語認識をもつ重症児
(1)「みかけの重度」問題
(2)「みかけの重度」問題に対する発達診断と教育指導
4 重症児の発達診断の方法を構築していくために
おわりに
Ⅴ ライフサイクルと発達診断の役割
1章 早期発見・早期対応と発達診断
/小原佳代・西原睦子・高田智行(大津市幼保支援課)・高橋真保子(コスモス)
1 乳幼児健診と子育て支援・療育――滋賀県大津市を中心に
(1)乳幼児健診と発達相談
(2)子育て支援と発達相談
(3)保育園・幼稚園における発達相談
2 児童発達支援における発達診断を療育実践
(1)児童発達支援センターのかなめとしての通園療育
(2)発達相談の一つ目の役割――子どもがどんな発達への願いをもっているかを職員集団が考え合う
(3)発達相談の二つ目の役割――子どもが見せる姿を保護者と担当者が共有し、子どもの育ちを確かめ合う
2章 学校教育と発達診断/櫻井宏明(元特別支援学校)
1 実践の中での子ども理解と発達診断
(1)子ども理解は子どもとのふれあい・かかわりから (2)子ども理解の方法
2 アセスメントと発達診断
(1)個別の支援計画・指導計画とアセスメント
(2)アセスメントに心理検査等を利用する際の注意点
3 学習意欲を取り戻したダイスケさん
(1)ダイスケさんの内面を探る
(2)ダイスケさんの内面を考え、学習内容を見直す
(3)学習面での変化
4 障害が重度の子どもの発達診断の難しさ
5 障害が重度の子どもの行動をとらえ直す
(1)定位的活動の獲得の検討
(2)動作模倣の検討「あらって,あらって」
(3)教材や活動についての発達的意義の理解を深める
6 子どもの発達課題の理解と授業づくり
(1)発達課題に合った教材を選択する
(2)一歩先の発達的課題も含める
(3)障害や生活に配慮する
(4)教師との関係や集団を大切にする
7 実践における発達診断・アセスメントの留意すべき傾向
(1)表面的な子ども理解にとどまる傾向
(2)指導と結果を短絡的に結びつける傾向
(3)PDCAサイクルの問題
(4)実践のマニュアル化の傾向
3章 成人期実践と発達診断/白石恵理子
1 成人期の発達をとらえる意味
2 発達保障とは
3 可逆操作は行動の基本単位である
4 発達は右肩上がりにきれいに進むものではない
5 具体的事例から考える
(1)1次元可逆操作期言語にある「強度行動障害」のAさん
(2)自傷行為の激しかったBさん
(3)期待と納得の中でのCさんの姿
(4)陶芸に生きがいを見いだすDさん
6 生活の歴史を尊重する
7 ねがいや要求の内実は生活の質によって規定される
8 「問題行動」の発達的理解
9 集団の中で自分の価値を築く
10 職員集団として、語り合う
あとがき
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