声明=コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう
声明
コロナ禍の下でのオリパラ強行ではなく、
すべての人々のいのちと健康、くらしを守ろう
2021年5月9日
全国障害者問題研究会常任全国委員会
私たちは、昨年5月、声明「新型コロナウイルスをめぐる情勢の下で障害児者の権利を守るために」を発表し、コロナ禍における障害児者の困難や権利侵害の実態をつかみながら、障害児者とその家族、そして障害児者に関わる人たちの権利を守り、発達を保障するための施策を求めました。
それから1年が経ちましたが、現在の感染拡大の状況下では、感染力が強く重症化の可能性が高いとされる変異ウイルスが急拡大し、各地の新規感染者数は過去最多を更新するとともに、死亡者も増え続けています。病床がひっ迫した医療機関では新たな患者の受け入れも困難となり、「救えるはずのいのち」が救えない危機的な事態が生じています。
しかし、政府は、医療崩壊をくいとめる抜本的な施策を講じることなく、国民に「自粛」と「自衛」を求めるばかりです。医療従事者や高齢者へのワクチンの優先接種も混乱しています。にもかからず、オリンピック・パラリンピックの開催には大量の医師の募集や看護師の派遣要請が報じられています。
いのちと健康を守ることを自己責任とする政策がむき出しになれば、障害のある人、なかんずく重い障害があり複合的な権利保障を必要とする人のいのちと健康は守られません。いのちの選別はあってはなりません。
障害のある人のなかには、慢性疾患があり、感染すれば重症化しやすく、日常的な医療・介護を必要とする人たちが多くいます。いま、求められていることは、希望すればPCR検査ができること、希望者がワクチン接種を受けられること、適切な医療が受診できること、障害を理由に入院が拒まれないことです。本人や家族が感染した場合も、安定した生活基盤が確保できるような医療や福祉の体制が必要です。事業所や施設等で奮闘を続ける人たちのいのちと健康を守り、障害児者の発達と生活を支えるために最善を尽くすことのできる手厚いしくみが求められます。
東京オリンピック・パラリンピック開催に固執することなく、すべての人々のいのちと健康、くらしを最優先することを強く求めます。
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